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2018年11月24日(土)

『ジャッジアイズ:死神の遺言』レビュー。心を衝き動かす人間ドラマと探偵らしいゲーム体験が没入感を誘う

文:キャナ☆メン

 セガゲームスが、12月13日に発売するPS4用ソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』(以下、ジャッジアイズ)。本作の“一章まるごと・スペシャル体験版”が11月29日より配信(※PS Plus向けには配信中)されることにあわせて、そのプレイレポートをお届けします。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』

 『ジャッジアイズ』は、セガゲームスの“龍が如くスタジオ”が開発する完全新作で、ジャンルはリーガルサスペンスアクション。木村拓哉さんが演じる探偵・八神隆之が、死体の目が抉られるという連続殺人事件の謎に挑みます。

 ゲームとしては、『龍が如く』シリーズと同じく東京の巨大繁華街・神室町を舞台にしながら、リアルな街並みの中で繰り広げる尾行、調査、追跡など、探偵らしさを体験できる新しいゲーム性が盛り込まれています。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』
▲フェイスキャプチャーを使用した本物そっくりのCGモデル。木村さんを操作できるゲームに!

登場人物のドラマが物語に引き込む

 主人公の八神は、殺人事件の裁判で無罪を勝ち取って一躍有名になった弁護士です。けれども、その1カ月後に被告人が恋人を殺害する事件が起き、“殺人者を世に解き放った”という苦悩から、法廷に立つことを辞めた人物でもあります。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』
『ジャッジアイズ:死神の遺言』

 ゲーム本編の物語が始まるのはその3年後。第1章では、探偵の立場で再び法廷にかかわっていく八神の姿が描かれます。きっかけになるのは、“死体の目が抉られる”という奇妙な連続殺人事件です。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』

 ネタバレを避けて遊んだ感想を語れば、ストーリーは秀逸の一言。

 第1章は、メインキャラクターが数多く顔を見せますが、そのシーンの中でしっかりとドラマ性をにおわせてくれます。謎が謎を呼ぶ展開と相まって想像力をかき立てられ、コントローラから手を離せません。

 そうした物語のよさは、脚本やキャストの演技によるところも大きいと思いますが、本作の開発に使用されているゲームエンジン“ドラゴンエンジン”の表現力も改めてすごさを感じました。

 イベントの中でも本編を演出する力のこもったシーンは、顔の筋肉が動いて見えるかのような繊細な表情が作られ、言葉に載った感情だけではない、内面の機微までくみ取れる一種の“味わい”があります。

 プレイすればきっと、心を衝き動かすドラマに引き込まれるでしょう。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』 『ジャッジアイズ:死神の遺言』
▲セリフだけでなく、表情の小さな変化も登場人物の感情を物語ってくれます。

“神室町の探偵”を実感できるゲームプレイ

 ここからは、筆者の感想を交えつつ『ジャッジアイズ』ならではのゲームシステムとそのおもしろさを紹介していきます。

 探偵として事件を調査する場面では、ターゲットの尾行、ドローンによる建物の偵察、証拠写真の撮影、鍵開け、路上や屋内にある怪しい場所の調査など、多彩なシチュエーションを体験できます。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』
『ジャッジアイズ:死神の遺言』

 言葉だけなら見慣れたシステムもありますが、神室町というオープンかつリアルな箱庭を舞台にすることで、プレイの没入感が段違い! 『龍が如く』シリーズで神室町を知り尽くした人でも、また違った街のおもしろさを感じると思います。

 また、事件を調査して真相を推理する過程では、選択や行動によってプレイヤー自身の考える場面がたくさんあるので、能動的にストーリーに絡むことができ、物語の没入感も高いです。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』
▲第1章では、変装してある建物に忍び込むことが可能。変装したからと安心はできず、その後の切り抜け方に失敗すると早々に見つかることもあります。
『ジャッジアイズ:死神の遺言』
▲会話の選択肢を選ぶ場面は数多くあります。間違った選択をしても先に進めますが、連続正解ボーナスがある場合は、正解のみを選ぶと少しだけお得。

 そして、ゲームへの没入感という点では、神室町の人々と絆を育む“フレンド”というサブ要素も大きいと思いました。

 絆ゲージを上げる部分は『龍が如く』シリーズの絆イベントと似ていますが、『ジャッジアイズ』の“フレンド”システムは、街の評判や仕事の依頼にかかわってくるため、主人公と街を結びつける色合いがかなり濃くなっています。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』

 主人公の八神は、神室町に住んでいて、探偵という名の便利屋として人々から仕事をもらう、いわば神室町という地域社会の“内側”に存在するキャラクターです。

 その彼が人脈を広げいく様子、人々の評判がよくなって新たな仕事が舞い込む状態。言い換えれば、八神の“探偵としての日常”や“探偵としての成長”を、ゲームプレイとして体験できる。フレンドを増やすほど、八神にも街にも愛着がわいてきますよ、ほんと。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』
▲依頼は、八神のオフィスと古巣の源田法律事務所、なじみのBAR“テンダー”の3カ所で引き受けることができます。

 ちなみに、街の評判が上がると舞い込んでくる依頼などはサイドケースと呼ばれ、内容は指名手配犯を取り押さえるシリアスなものから、“変態三銃士”に狙われる女の子を助けるという振り切った笑いのものまで、エピソードと調査内容(ゲームプレイ)は多岐に渡ります。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』

 サイドケースによっては、クリア後に新たなフレンド候補が登場したり、事件にかかわった女の子とガールフレンドになったり、さらなる人間関係が生まれる場合も。また、フレンド候補と仲よくなっておけば、彼らのたまり場から情報収集できることもあります。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』
『ジャッジアイズ:死神の遺言』

 フレンドから始まる一連のシステムは、人脈が仕事につながり、仕事が新たな人脈につながる、まさに“探偵らしさ”を実感できるゲームデザインです。

 寄り道というよりも、“神室町の探偵・八神隆之”という人物像に厚みを感じられるゲーム体験なので、メインストーリー重視でプレイする人にもぜひおすすめしたい要素ですよ!

華麗な空中殺法が決まると気持ちいいバトル

 探偵に関連したゲーム要素は本作の大きなフィーチャーですが、バトルもわりと随所で発生します。街を歩いているとチンピラに絡まれますし(笑)。

 基本操作は『龍が如く』シリーズとほぼ同様で、アクションが得意でなくともゲームが好きな人はすぐに慣れると思います。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』

 ただ、個人的には「PVやセガなまを見て想像するよりも、『龍が如く』とはバトルの手触りが違う」と感じました。

 スウェイを積極的に使い、ダッシュ攻撃や三角飛びでルチャドールのように空中殺法を駆使し、敵を圧倒した時はすごい爽快!

 『龍が如く』以上に、立ち回り次第で攻めの爽快感を味わえるバトルだと思います。そのぶん、油断するとザコ戦でも思わぬ痛手を負いますが(笑)。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』

プレイと物語に一体感があって没入できる作品

 木村さんの主演がビッグな話題性を持つ本作ですが、前述のように探偵らしさを味わえるゲーム内容と秀逸なストーリーで、龍が如くスタジオの作品としてまた一歩、没入感の増したプレイ体験を得られると思います。

『ジャッジアイズ:死神の遺言』
▲木村さんの他、谷原章介さんなど著名な俳優が出演しています。

 “一章まるごと・スペシャル体験版”に触れれば、本作のプレイと物語に一体感のあるゲーム性を感じられるはず。しかもセーブデータは引き継ぎ可能なので、発売日からそのまま続きを遊べます。

 もう筆者から伝えるべきことは1つしかありません。絶対モノにしようぜ!

『ジャッジアイズ:死神の遺言』

(C)SEGA

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