【男性目線の『アイナナ』レポ】帰ってきたモンジェネおじさんが語る『アイドリッシュセブン』の魅力♪ 第4回
みなさん、こんにちは! 自称“モンジェネおじさん”ことフリーライターの原 常樹です。すっかり『アイドリッシュセブン』にハマってしまったひとりの男性マネージャーが「アイナナはここが素晴らしい!」ととりとめもなく語っていく本連載。【男性のマネージャー】、また【男性に布教しようとしているマネージャー】を応援する──というのがとりあえずのコンセプトです。
さて、この記事を執筆しているタイミングは10月末。10月末といえば──そう、ハロウィン! 毎年10月31日に行われる、古代ケルト人を起源とするお祭りのことですね。本来は宗教的な意味合いを持つお祭りなんですが、最近では純粋に仮装を楽しんでいる方も多いかと思います。まぁ、パリピ属性が一切ないおじさんにとっては縁遠いイベントですが。
でも、まったく無関係というのもなんだか寂しいなぁ……なんて話を編集さんにしたところ。
編集「じゃあ、今月はそういう企画を組みますか?」
おじさん「というと?」
編集「そろそろ男性マネージャー座談会をやってもいいと思います。仮装で」
おじさん「なるほど、仮装で……仮装で!?」
編集「参加者の自由という形で。あっ、もちろん、モンジェネおじさんは仮装しますよね?」
おじさん「えっ、アッ、ハイ」
──ということで、突然ではありますが、第2回『モンジェネおじさんと男性マネだらけの座談会(仮装もあるよ)』を開催することになりました!
幸い、僕自身も「上板橋スタジオあすか」というハウススタジオを経営しているので、こういった企画は大歓迎なのですが、まさかこの連載で本格的に使うことになるとは……。
いきなりの超展開ですが、どうか皆さんにもお付き合いいただけますと幸いです。それではさっそくメンバー紹介! まずは新人さんからいきましょう。
今回の参加者はこちら
【参加者1】茨木裕一(いばらぎ ゆういち)
モンジェネおじさんの中学・高校の同級生。『アイナナ』はたびたび飲み会で布教された結果、現在やっと第1部をプレイ中。普段は某大学で人工知能について研究するインテリ。その傍ら、アークシステムワークスのアドベンチャーゲーム『月英学園 -kou-』にピアノ曲を提供したり、映像や舞台用に音楽を制作したりとクリエイティブな方面でも活動しています。まだアイナナをプレイし始めたばかりということもあって、今回の座談会は私服で参加することになりました。
【参加者2】吉野貴大(よしの たかひろ)
株式会社ケンユウオフィスに所属する声優さん。主に洋画の吹き替えやナレーションなどのジャンルで活躍。Twitterのアカウントはこちら。
『アイナナ』には出演していないものの、『アイドリッシュセブン1st LIVE「Road To Infinity」』を現地に観に行くなどマネージャーとしての愛情は折り紙付き。直前のオファーにも関わらず、わざわざ月雲了のスーツを用意してお仕事の現場から駆けつけてくれました。
フレッシュなメンバーを紹介したところで、ここからはいつもの面々です。
【参加者3】原 常樹(はら つねき)
モンジェネおじさん。本職はインタビューを主戦場とするフリーライター/構成作家。今回の座談会でも司会進行を務めます。そして、恐れ多くも九条鷹匡の仮装をさせてもらいました……。Twitterのアカウントはこちら。
なお、こちらの座談会の衣装は参加者が自腹で用意しています。
ウィッグも用意させてもらったのですが、鏡を見ながらのカットだったので髪の分け目を左右間違えるという大失態を犯したのは秘密(一部の写真は、必死の抵抗よろしく左右反転しています)。
【参加者4】塩谷太白(しおや たいはく)
学生時代から役者として実写ドラマ等に出演したりという経歴を持つ映像作家。アニメやゲーム、音楽などに幅広い知識を持ち、気がつけばアイナナにもどっぷりハマっていました。今回の座談会には日向アキヒトの仮装で参加。見ているとなんだかパソコンをぶつけたくなります。Twitterのアカウントはこちら。
【参加者5】凡(ぼん)
ゲームを最大限に楽しむ集団 【ゴジライン】に所属するゲームライター。某格闘ゲームでは、世界王者という肩書を持っています。アイナナに対する愛情も深く、類まれなる行動力を活かしてグッズ収拾に精を出す日々。今回の座談会では、ダグラス=ルートバンクの仮装をしてくれました。チョイスの時点でズルい。
以上、前回以上に(いろいろな意味で)絵面が濃い顔ぶれでお届けします。
第2回『モンジェネおじさんと男性マネだらけの座談会(仮装もあるよ)』・前編
──この座談会当日はハロウィン。ということで、我々も『アイナナ』のキャラクターに仮装しつつの座談会となりました!
凡:ハッハー、ヨロシクオネガイシマース。
塩谷太白(以下:太白):凡さんがダグラスに引き寄せられてすっかりカタコトに……。ちょっと前にモンジェネおじさんの呼びかけで有志のマネージャーを集めて飲み会をやったんですが、そのときに「そろそろまた座談会をやりたい」という話があったんですよね。それで、時期を聞いたら「えっ、ハロウィンにやるの?」って。
──編集さんに話をしたところ「ハロウィンなら仮装もおもしろそうですね!」ということになり、すっかり後に引けない形になってしまいましたが、わりとすぐに「あれ、さすがに連載でもこれってやりすぎなんじゃ……!?」と心配になりました。読者の方に引かれてないといいのですが。
凡:おじさんたちでもアイナナに対する情熱があるということが伝わればいいですよね。ちなみにモンジェネおじさんに関しては「ぜひ九条さんをやってほしい」とみんなから一斉に声が上がりました。
太白:頬のこけ方がそっくりですからね(笑)。あと、凡さんに関してもダグラスをやってほしいという意見は満場一致。それに対して僕なんかはほぼ私服で肩身が狭い。
吉野貴大(以下、吉野):太白さんも今にも事務所に盗みに入りそうなオーラが出てますよ!(笑)
太白:それはちょっと褒められていない気がする!(笑)
──そもそも本来の目的は座談会なので、仮装は自由とさせてもらいました。
茨木裕一(以下、茨木):実際、僕は普通の格好でも大丈夫と言われたのでそのまま来ましたが、そっちの方が浮いている気がします(笑)。ただ、アイドルコンテンツなのに誰ひとりアイドルの格好をしていないというのはどういうことなんだろう……。
一同:我々がアイドルの格好をするなんて滅相もない!
茨木:なるほど!(笑)
凡:まぁ、さすがに今回のチョイスだと絵面的にパワーバランスが崩れている気はしますけど。
──仮装の話はこれぐらいで(笑)。今回の座談会ではふたりの新規メンバーに参加してもらうことになりました! まず、茨木裕一くんは『アイナナ』を遊び始めたばかりの新人マネージャーです。
茨木:僕は原の中学・高校の同級生で、ちょっと前から「『アイナナ』がおもしろい」という話を聞いていたんですよ。普段、音楽サークルで音楽を作っていることもあってアイドル業界をテーマにした作品には興味がありましたし、購入したばかりの『レッド・デッド・リデンプション2』を積みながらアプリを遊んでいる最中です(笑)。まだ第1部までしか触っていないんですが、今日はネタバレOKの覚悟でやってきました。
凡:実際に遊んでみてどうでした?
茨木:作品を勧められたときに「熱血スポ根モノだよ」と言われたときは「?」マークが浮かんだんですが、遊んでみたらすぐに納得できました。バスケットボールから始まるアイドルモノは見たことありませんでしたし(笑)。やればやるほど先の展開が気になります。
──もうひとり今回から座談会に参加してくださるのが吉野貴大さん。洋画の吹き替えやナレーションなどを中心に活躍している株式会社ケンユウオフィス所属の声優さんです!
吉野:今回は月雲さんの仮装をして参加させていただきました。アフレコ終わりに駆けつける形になってしまったので、ウィッグまで用意できなかったのが心残りなんですが……。あと、ポケットチーフを用意できなかったので、代わりに『アイドリッシュセブン1st LIVE「Road To Infinity」』のリストバンドを忍ばせています(笑)。
太白:ガチだ……。
吉野:僕自身は声優をやらせていただいていますが、お仕事では『アイナナ』とは関わりがございません。ただ単に好きなだけで、事務所のスタッフさんと『アイドリッシュセブン1st LIVE「Road To Infinity」』も観に行っていました(笑)。それでこの前、男性マネージャーを集めて飲み会をやるということで声をかけられた席で、この座談会にもお誘いいただいたんです。そうしたら、やるのが仮装座談会ということでスーツもメルカリで必死に探すことに(笑)。
──本気の男性マネージャーを見つけて、ついうれしくなって声をかけさせていただきました(笑)。思わぬところでアイナナの輪が広がっていくというのもうれしいものです。
吉野:実はアフレコ現場からこのスタジオに来る道中、別の声優さんにモバイルバッテリーをお借りして……。ふと見たらそれがアイナナのコラボグッズだったんです。それで「えっ、これってアイナナですか!?」って尋ねたら「アイナナ、ご存じなんですか」と(笑)。アフレコ現場でひた隠しにしていたこのスーツを見せて「実はこのあと座談会の予定があって~」と説明して、会話も一気に盛り上がりました(笑)。
太白:まだまだ男性マネージャーは少数なので、アイナナを知っていると驚かれたりしますよね。
凡:アニメ・ゲーム業界への浸透度は比較的に高い気がします。
太白:題材自体が親和性が高いというのもありますが、やっぱり『アイナナ』は“アイドルを応援する側”の描き方がとにかくリアルなので、そこが刺さるのかも……? 実際のアイドルファンもそういう側面があると思いますが、応援しているアイドルが自分と思っていたのと違うと感じた瞬間にサーッと波が引いていくあの感じは、業界に近い人ほど刺さるんじゃないかなって。
──たしかにそういう面はあるのかもしれません。
太白:ファンの描き方についても当初のIDOLiSH7に対する期待の低さや「誰?」みたいな反応もリアルですし、一方で少数でも熱心に応援するファンがいて、彼女たちが板挟みでつらい思いをしているというのもしっかり描かれている。先日放送されたアニナナ(アニメ『アイドリッシュセブン』)では、そのあたりをしっかり描写していたのが印象的でした。
──前回の男性マネージャー座談会はアニメ化前でした! 僕は非常に楽しませていただきましたが、みなさんのアニナナについての感想ももう少しうかがいたいところです。
凡:個人的にアイキャッチの音楽もちゃんとアプリの曲を使ってくれたのもよかったです。たしか、先行上映会のときに別所監督さんがそういう方針を決めたとおっしゃっていた気がしましたけど、そういう愛情を感じられたのはうれしかったです。ラビチャの会話やアイナナ警察の衣装なんかもうまく本編にまぶしてくれた印象もありましたし。
吉野:細かいところまで愛情があふれていましたよね。
太白:マネージャーもアニメでは声がつくということでどうなるのかと思ったんですが、声優の佐藤聡美さんの声がパーフェクトにハマっていましたよね……。『アイナナ』に出演している声優さんは芸達者な方ばかりっていう印象ですし、アイドルたちもすごくパワーのあるお芝居なんですが、そんな彼らを守りたいという芯の強さが声を通して画面越しに伝わってくるんです。かわいさを残しつつも。マネージャーになったばかりのときに栄養ドリンクを飲みながら必死にがんばっているところも、絵がついてしっかり描写されたことであそこまでの破壊力になるとは思いませんでした(笑)。
そして、音がついたことで、ショッキングなシーンもより度合いが増しているというか。一織がライブでミスをしたときの“やっちゃった感”は演劇の世界にいた人間には来るものがあるんです。
吉野:メチャクチャわかります! あの胃が掴まれる感じ……。
太白:ゲームでも十分にエグかったのに絵と映像がつくことで、さらにシチュエーションが補完されて辛辣さが完成されましたよね。
茨木:そんなことに……。アニメは未見なので、話を聞く限りそっちもかなり楽しみになってきました!
凡:これはネタバレに気をつけて話さないと(笑)。アニメで際立っていたのはシリーズ構成の妙。1話ごとの引き方も上手いので気になる感じで次につなげるんですよ。放送スケジュールが変則的だったこともあって、第15話のラストで暗雲が立ち込める展開になり、そこから第16話が放送されるまでに2ヵ月空くっていうのもなかなか生殺し感がありました(笑)。
──あの状態のまま待つのはかなりしんどかったですよね……。ただ、“しんどさ”もリアルタイムで作品を追っているマネージャーならではの楽しさだったのでは。
茨木:なるほど、マンガを連載誌で毎週更新を楽しみにしながら読むのと、完結後に単行本で一気に読むのとで感覚が違うのに近い感じなのかな?
太白:そんな感じですかね。まぁ、しんどさも『アイナナ』の大切な魅力だと思うので。
凡:しんどいといえば、オープニングの演出を変えることで展開の暗さを強調していたのもすごかった!
太白:明日を歌うような明るい歌で演出だけダークにチェンジするっていうのは新しい。オープニングをCGで表現したからこその演出のような気もします。
凡:そういえば、徳島のマチ☆アソビに参加したときに、下岡(聡吉)プロデューサーとufotableスタッフさんのトークショーでもアニメについていろいろとおもしろい話が出ていました。
──凡さんは台風の中、今年のマチ☆アソビに参加されたんですよね?
凡:いやー、わりとよく参加しているんですが、今年は『アイナナ』もいろいろとイベントがあるということで、これは参加せざるをえないぞと!(笑)
眉山ロープウェイのアナウンスも天にぃと陸が担当していましたし、一緒に乗った女の子たちのテンションがすごいことになっていました。まぁ、僕もすごいことになっていたんですけど(笑)。眉山の山頂にはふたりのサインもしっかり飾ってありましたし。アイナナ×ufotableでŹOOĻの描きおろしイラストも展示されたんですけど、こちらを描かれたのがŹOOĻのMVのキャラクターデザインを担当する内村瞳子さんということで会場全体の期待値もすごいことになっていました。
吉野:アイナナはアプリもアニメも、あらゆるところでさらなる展開が予定されていますから、みんな楽しみなんですよね……。
茨木:僕ですらアニメの2期が決まっているというニュースは知っていますし。
太白:Re:valeファンとしては、2期が待ち遠しくて仕方ありません。1期のラストでちゃんとふたりが出てきてくれたのもうれしかったなぁ。
吉野:第2部は第2部で強烈な展開の連続なので、どうなることやら。
──ちょうどこの連載でも第2部を振り返ったばかりなのですが、“サスペンス”、“センター交代劇”、“Re:vale登場”、“三月くんのエピソード”など強烈な展開の連続だった印象です。
茨木:みんなが極力ネタバレしないように気を遣ってくれているのはわかるんだけど、それでも気になる単語が多すぎる!(笑) むしろ、あまりにも鮮烈なワードが出すぎて惹かれますよ(笑)。……っていうか、サスペンスってなに!?(笑)
太白:文字どおりそのままなんで、ぜひ早く物語を読み進めてください(笑)。『アイナナ』に関しては、ガワだけを見て「女性向けか~」って思っちゃう男性マネージャーが多いから、そこを払しょくした方が興味を持ってもらえるとは思うんですよね。今の茨木さんみたいに。
凡:ストーリーを1回読み始めちゃえば、そのままシナリオのパワーに魂を持っていかれると思うんで、そこまでの勝負っていう感じはします。誰かに布教するときは、そのお膳立てをどうするかがポイント(笑)。
太白:第2部の三月くんのエピソードなんか、老若男女問わずに刺さるでしょうし……。三月くんは自分でも言っている通り、アイドルとしての能力値は決して高くない。そこで「三月くんいらなくない?」っていう声がファンから上がるっていうのはしんどいですよ。敵対している存在から言われるならともかく、その声が上がるのがファンからなので……。悪意を持って言われたのであれば対抗したくなるのもわかりますが、そうじゃないんです。
吉野:あの展開はつらかったですね……。
──第2部の百さんの「本当にアイドルを苦しめるのは好きという感情なんだ」という言葉も刺さるものがありました。
茨木:深い言葉だなぁ……。
凡:展開も相当シビアになっていくんで、茨木さんはあらかじめ備えておいた方がいいですよ(笑)。三月くんに関しては、リアルで三月くんがいたら現場の人間には絶対に好かれまくるはずなんですけど。バラエティ番組の現場なんかにいると「あの人がいてくれて助かる!」っていう存在は重宝するので。
太白:裏方にいる人間にとって、三月くんは有能だし、親近感を持てる存在。彼が認められてうれしいっていうのは、おそらく僕らの共通見解なんじゃないかなと。だからこそ、そのあとに続くファンの「いらなくね?」というセリフで落ち込んだのも共通の流れだろうと(笑)。
吉野:そうですね……。演じる側に立つ人間にとっても、あのシーンは絶対に心が痛くなると思います。あんなにキツいモブのセリフってそうそうないですよ(笑)。ただ、実際に表舞台に立つ人間に対する批評がそういうものなのも事実。「あれ、つまんなかったよね」みたいな意見は普通に来ますし。
凡:普段から業界に出入りしている人が他人事じゃないと感じてストレートな意見はセーブすることはあっても、業界とは縁の遠い一般のファンだったら他人事だと思って「いらなくね?」みたいなことを普通に言っちゃうもの。残酷ですけど。
──スポーツのヤジもそれに近いのかもしれません。自分がプレイすることを前提としていないからこそ、好き放題言えてしまう。
太白:けなす意図がなくても、比較対象があった方が別の何かを褒めるときにわかりやすかったりもするんでしょう。そして、三月くんはその引き合いに出されてしまった……。ただ、彼の良さはそこじゃないから! 気づいて!(笑)
凡:あの展開は何かを下げて何かを上げるという風潮に対するメッセージでもあるのかなぁ……。そういう意味では、第3部の天にぃの「僕を落としても君のランクが上がるわけじゃない」というセリフも考えさせられるものがありました。
太白:理不尽な評価を下されるのはアイドルたちにとっては残酷ですが、一方で救いもあるというか。裏方のスタッフはわりと好意的な人が多いですよね。物語の要所要所でも、モブのスタッフたちがアイドルたちのがんばりを汲み取ってくれているように感じます。
吉野:そうなんですよね! 上で指示している人間が私怨で動いても、現場のスタッフがそれに反旗を翻したり。いい働きをしていますよ。
凡:月雲さんの仮装をしている吉野さんがそういう発言をしますか!?
一同:(笑)。
──月雲さんに関しては、明確な敵役というイメージが強いです。
凡:やっとラスボスが来たなぐらいの印象はありましたね。
太白:正直、褒めようとしても高橋広樹さんの声しか見当たらないレベル(笑)。
凡:性格的には完全にサイコパスですからね。でも、能力的には優れているし、カリスマ性も兼ね備えているから余計に厄介。
茨木:それって経営者としてはメチャクチャ有能じゃないの?
凡:実際にそうだと思います。ただ、現場にいる人間たちにとってはたまったものじゃないので(笑)。
吉野:月雲さんが悪役なのは間違いありませんが、この作品は『アイナナ』なんで、もしかしたら彼にも悲しい過去があるのか……とは疑ってしまいます。自分を必要としている人間に対する依存心がすごいのも理由がありそうなんですよね。
太白:陸くんにシンパシーを感じるというのはそういうことなのかもしれません。なんらかの理由できれいに育たなかった陸くんというポジションになる可能性もあります。なので、僕は心の中で月雲さんのことをダークサイドに育ってしまった陸くん、言うなれば“七瀬・オルタナティブ”って捉えていますけど(笑)。
凡:なるほど、そういう見方もあるのか~。
──ŹOOĻに関しても『拮抗のクォーター』を読むとまさにそういう捉え方ができます。いろいろな人に振り回された結果、今の尖った姿になってしまった。
太白:ダークサイドに堕ちたIDOLiSH7といっても違和感がないぐらい。状況が状況ならば、彼らもIDOLiSH7やTRIGGER、Re:valeと仲良く肩を並べていてもおかしくはなかった気がします。とくにトウマなんかは。
凡:トウマはŹOOĻの中においてもわかりやすくいい奴ですからね。
太白:IDOLiSH7における音晴さんみたいな人間がいれば、また違ったカタチになっていたのかも。現実では周りにいたのが月雲さんや九条さんだからなぁ……。
──ただ、IDOLiSH7が恵まれた環境にいたかというと必ずしもそうではない気もします。たとえば、壮五くんも父親との確執が大きな障害になっていました。
太白:第3部ではピンチになりましからね。もしも、環くんがいなかったらどうなっていたことやら……。
茨木:環くんがいなかったら……第1部の時点では、環くんはキッズな印象で壮五くんに手綱を引いてもらっている印象だから、そういう話を聞くと「えっ!?」ってなります。
吉野:第1部だけだったらそうなりますよね。
凡:前回の座談会でも環くんについてはそういう話が出ていたような(笑)。実際、MEZZO"のふたりは物語が進めば進むほど印象が変わってくるイメージ。MEZZO"は第3部で評価が上がったという人は多いんじゃないかな。
吉野:やっぱり壮五くんのお父さんのところに乗り込んだところに尽きますよね。環くんの株がこれまでにないぐらいガッと上がりました。
太白:環くんは気持ちを隠さない分、方向性さえ間違っていなければ大きな長所になるんですよね。最初はただのワガママでも、そこに思いやりが加わることでめちゃめちゃ素敵な感じになる。あそこはファインプレーでしたよ!
茨木:環くんは歌もうまいよね!
太白:激しさだったり、艶やかさだったり、一部に振り切ったようなピーキーな歌い方をすることに努めている感じはあります。それ単体だけ見るとインパクトがあるんだけど、センターをとってかわるようなことはしないから気にならない。そして、IDOLiSH7の楽曲を聴き続けているうちに、七人揃ったときに彼の歌がないと物足りなくなってしまう(笑)。
凡:そこが魅力なんですよ! 気がつくと中毒になっている(笑)。
太白:そういえば、前回の座談会では大和さんが理想の上司に近いっていう話が出てましたけど、第3部で大和さんのエピソードが配信されたことでちょっとだけ印象が変わりましたね。いつもの飄々としている感じはデキる男の余裕というよりも、完全に弱さを隠すためのカムフラージュだったんだなと。
凡:それで一気に人間味が感じられるようになった気がします。我々も含めて誰しも自分を隠そうとする部分があるものですけど、大和さんは隠していた自分をさらけ出せてよかったなと。
太白:弱さを見せたことで、むしろ逆に頼れる男性になった気がする。以前に僕の周りの女性陣にリサーチしたことがあって、そのときは大和さんの人気はそんなに高くなかったみたいで、その理由は「本音が見えないから」。
──男性目線では、そんな底知れなさも格好よく映りましたが、女性から見たら“理解できない”というのは評価しづらい部分なのかも。
吉野:それはわかる気がします。
太白:このリサーチをしたときはまだ第3部が配信されていなかったので、今改めて質問したら結果も変わるかもしれないなぁと思っています。我々の中では大和さんの評価は下がっていませんし、むしろかわいくてよかったなぁと(笑)。
凡:大和役の白井悠介さんはいろいろな作品でキラキラしたキャラクターを演じていますが、IDOLiSH7の一員として歌うときはしっかりと後ろからほかのメンバーをバックアップしている印象が強いですよね。そういうところも含めてお兄さん感が強い。
──第3部が配信されたことで、一気に株が上がったアイドルというと誰でしょうか。
凡:そこはやっぱり十龍之介じゃないですか!
吉野:個人的にここ最近の『アイナナ』で一番エモかったのは、第3部の十さんのシーンですね……。
茨木:第1部の時点だとTRIGGERってライバルキャラという印象の方が強いんだけど、『アイナナ』の中だと少しずつそれが変わっていくんだよね?
凡:めちゃくちゃ変わりますよ。拉致監禁されますし。
茨木:……拉致監禁!? さすがに誇張してない!?
太白:きっと第3部を読んでいなかったら僕もそういう反応をしていたと思いますが、事実そのままです(笑)。第3部ではTRIGGERに逆風が来ますが、その中でも十くんが「願いはShine On The Sea」をひとりで歌うところは屈指の名場面だと思います。
──芸能界という深い海の中で、さまざまな人に向けて願いを届けようとする「願いはShine On The Sea」は、これまでのTRIGGERの楽曲とは違ったエモーショナルさがある気がします。
凡:TRIGGERの曲でもあるけれど、ストーリーを知っていると、あの曲は龍之介のソロバージョンもまったく違った意味を持って並び立っていると思います。
太白:「NATSU☆しようぜ!」もそうだけど、違うバージョンがあることにしっかりと意味があるのは巧みだと思いますよ。普段はセクシーさにあふれている龍之介役・佐藤拓也さんの歌声が「願いはShine On The Sea」では透明感を押し出しているのがまたグッと来ます。
凡:少なくともあのときはエロエロビーストではありません(笑)。
──Re:valeの「太陽のEsperanza」も情景を知っているかどうかで聴こえ方が変わってくる気がします。反骨の歌であると同時にバックダンサーとして参加した“彼ら”を照らす楽曲でもあると。
茨木:実際のアイドルソングでもラテン調を意識したものは多いと思うんですが、『アイドリッシュセブン』ではRe:valeの「太陽のEsperanza」ぐらいですよね。
凡:そういう意味でも不思議な王道感がある気がします。
太白:Re:valeは第2部でもしっかりとバックボーンが語られていましたが、第3部になってドンドン魅力的な側面が出てきている気がします。いやー、百ちゃんのファンをやっていてよかった! あんなに人間味あふれる王者はいませんから!
吉野:というか、普通は五年間で王者になんてなれませんよね。僕がちょうど声優としてデビューして五年なんですが、ド新人の部類ですし、アーティストの業界でも基準としてはそんなに変わらないはず……。それだけ類まれなるものを持っているということかもしれませんけど。
凡:まぁ、百さんは万理さんにも「才能がある」と言われているぐらいですし。何より百さんがすごいのは、そのリーダーシップ! 後輩のIDOLiSH7に対してもすごく気さくに接していましたし、一方で目上の人間に対するパイプもしっかりと作っている。お調子者に見えながらもしっかりと考えて行動しているところが、またとんでもない!
太白:月雲さんのヤバさにも真っ先に気づいていましたしね……。
凡:その上でコンタクトを取り続けるという忍耐力もある。まぁ、忍耐力が強すぎるせいで、痛みを我慢してしまうのかもしれませんけど。
太白:第2部で声が出なくなったのは、メンタル的な許容範囲を超えても我慢し続けたからだと思うと納得がいきます。しかも、Re:valeは痛みを避けるのではなく、信頼できる仲間のためであれば進んで泥をかぶりにいくアイドル。千さんも百ちゃんとは違うタイプですが、無愛想に見えて中身は熱いし、ふたりでしっかりと共鳴しているのもわかります。あの夫婦漫才もまた魅力的なんだよなぁ……。
吉野:やっぱり男性から見ても、あのふたりは好感度高いですよ! 嫌味がない。
太白:一見すると「王者?」となるかもしれませんが、中身を知れば知るほど、彼らがトップアイドルであるという事実の説得力が増していくと思います。アニメの2期もありますし、もっと多くの人にRe:valeの魅力が伝わったらうれしいですね。
さて、座談会の途中ではありますが、分量的に大ボリュームになってしまったので、第4回の連載はここまでとなります。次回も男性マネージャーたちが取り留めもなく語ります。よろしければぜひお付き合いください!
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