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2018年12月21日(金)

死んで覚えろ! 高難易度インディーレビュー企画始動。『シナー~贖罪の刻~』で死に次ぐ死!【電撃PS】

文:電撃PlayStation

 「キャラクターだけではなく、プレイヤーも成長できる高難易度のアクションゲームが大好きだ!」

 そんな人に向けた本企画では、“高難易度”のインディータイトルにフォーカスを当て、ライターがとことん遊んで死んだ上でレビューを実施。

 今回は、PS4/ Nintendo Switch/PCで配信中の『シナー~贖罪の刻~』を、高難易度のアクションゲームが好きな担当ライター・シューが死にまくりながらレビューします。

『シナー~贖罪の刻~』

 本作は海外のインディーズスタジオ“Dark Star Game Studios”が『Demon's Souls』や『DARK SOULS』といった『ソウル』シリーズ、ワンダと巨像に影響を受けて、開発したアクションゲームです。自らの罪を償う為に7つの大罪に基づいたボスたちを倒すのが目的になっています。

自キャラが弱くなることで難易度が上がっていく独自の発想

 世の中にアクションゲームは星の数あれど、物語が進むにつれて自キャラが成長していくのとは真逆、弱体化と引き換えにボスと戦う作品は本作くらいのものでしょう。

 本作はボスバトルに特化した、いやむしろボスバトルだけが楽しめるゲームで、プレイヤーは7体のボスたちを好きな順序で戦うことができます。

 一般的なゲームは、ボスを倒すごとに新しい力や武器を得て次に備えますが、このゲームに成長要素はなく、最初から用意された攻撃速度に優れる片手剣と破壊力の高い両手剣、そして回復や魔法が使える少しばかりのアイテムのみ。それらを元に自らの性能を犠牲に捧げてボスに挑む仕組みになっています。

『シナー~贖罪の刻~』
▲石碑に触れて犠牲を捧げることでボスと戦える。

 そのため7体のボスがゲームの進行によって強くなっていくのではなく、自らが弱体化していくことで徐々に難易度が上がるという発想には驚かされました。ちなみにボスと戦う際には犠牲にするステータスは下記のような感じです。

・憤怒のアグロン……防御力が下がり、自然回復しなくなる
・シャネルの色欲……ガードクラッシュ時に盾が破損する
・傲慢なるロデス……攻撃力が低下する
・強欲なるフェズ・ティラス……体力とスタミナの上限が下がる
・暴食のカンバー・ルス……ポーションの使用回数が減り、回復速度が低下する
・嫉妬深きレヴィン・アンドック……アイテムの使用可能回数が減る
・怠惰なるヨルド……スタミナが減ると脱力状態になる

 どれも重要なステータスばかりですよね。このシステムにより“どの順番で犠牲を捧げてボスを倒すか?”という攻略性が生まれるのが本作の面白さ。「何よりも攻撃力を維持したい!」というプレイスタイルなら傲慢なるロデスは最後になるでしょうし、回避主体なら憤怒のアグロンから倒してもいい。自分のプレイスタイルや今後戦うボスに必要そうなステータスを残しておく選択肢があるのがポイントですね。

『シナー~贖罪の刻~』
▲捧げた犠牲はボスを倒す前なら取り返せるので、途中でも攻略順を変えられます。

世の中のボスは7種類に分けられる!? 古今東西のボスが楽しめるのも魅力

 超大型で攻撃力は高いが動きは遅いタイプのボス。HPが減ると2体に分裂してくるボス。毒撒きやザコ召喚など嫌らしい戦い方を好むが、本体は大したことないボスなどなど、どこかで見たことあるようなそんなボスたちが相手です。さまざまなタイプがいるので「こんなボスと戦いたい!」という欲求を満たせるゲームかも?

『シナー~贖罪の刻~』
▲ボスのHPが減ると攻撃パターンが変化するのもおなじみ。常に初見のような新鮮味!

 各ボスに明確な弱点となる武器やアイテムは存在しせず、自分のプレイヤースキルで突破していくことになります。片手剣か両手剣か。ガードと回避のどちらが有効なのか。そういった試行錯誤をボスごとに変えて糸口を見付けていく“観察力”が試されるという点に、影響を受けたという『ソウル』シリーズイズムを感じますね。

死んで覚える観察眼が要求される!

 幻影のような白い影をはじめ、キャラの攻撃モーション、ボスの挙動など『ソウル』シリーズ経験者であるほど強い既視感を覚えます。ですが、それは全く悪いことではなくて、むしろよくここまで研究して作り上げたな思うほどの愛を感じます。

 自キャラは、少しのミスで簡単に死んでしまうほどに非力なため、回避に回避を重ねてダメージを蓄積させていくスタイル。忍耐力と観察力が求められる戦闘のヒリヒリ感は、『ソウル』シリーズで味わった記憶が蘇ってくるほど。

『シナー~贖罪の刻~』
『シナー~贖罪の刻~』
▲落下死、凍結死、ボスに食われるなど死に様の多彩さも見どころ。

 どんなに大型のボスでも足を狙えばダウンさせられる。攻撃後に開いた口が弱点。大量の兵士に紛れた本体。パリィが有効などなど。死を積み重ねて、ようやく見えてくる突破口。決して大きなチャンスではなく、大ダメージを与えられるものでもない上に、欲張ればあっけなく死亡。これらの条件を突破して、やっとボスを倒せた瞬間の絶妙なカタルシス。非常によく再現できているなと感じました。

用意された罠に引っ掛かった瞬間のトロフィー獲得に悔しさ

 プレイしていて「やられた!」と思ったのは、死亡した瞬間のトロフィー獲得でしょうか。ただの死亡で獲得できるわけではなく、ボスごとに異なる死亡をすることでトロフィー獲得になります。いかにも制作側の用意した「この攻撃で死ぬだろう!」にまんまと引っ掛かってしまったときの悔しさったらないです。

『シナー~贖罪の刻~』
▲大量のシャンデリアに嫌な予感はしていたのですが、やっぱりこれに押し潰されました。
『シナー~贖罪の刻~』
▲毒と呪いを受けて死亡してトロフィー獲得。嬉しいような悔しいような……。

 プレイしていて一番多かった死因はボスからの攻撃……ではなく、もしかしたら落下死かもしれません。攻撃でふっ飛ばされる、回避した方向がまずかった、足場が崩れる……などなど、思い返したらキリがありません。

 本作は、自分よりも大型のボスが多く、攻撃も大振りになるため回避自体はしやすい方だと思います。あくまで体感ですが。人間サイズのボスにはパリィが有効なので、案外サクッといけたりもします。

 数あるボスでも、初見時に一番苦労したのはアグロンですね。ボスが手を降ろした瞬間にしか攻撃できない“忍耐力”が必要なタイプのボスです。体力の減少と共に狭まる足場。捧げた犠牲で下がった防御力。そして連敗続きで下がった気力から生じる微妙なミス。などが重なり、おそらく二時間ほどかかったのではないでしょうか。集中力が下がり、あまりに勝てないため一旦寝てから再挑戦したほどです。

『シナー~贖罪の刻~』
▲地面に刺さった剣が、ボスのなぎ払いで飛んでくるのが苦手でした。どこに飛ぶか分からない!

マルチエンディングにボスラッシュの追加。クリア後の要素もやり込め!

 本作では、ボスを倒したあとのプレイヤーの行動によってエンディングが変化するマルチエンディングを採用しています。ストーリーはハッキリとは語られず雰囲気だけを教えてもらえるものですが、少しでも背景が知れる要素があるのは良いですね。

『シナー~贖罪の刻~』
▲クリア後はボスが使っていた攻撃力に優れた双剣が追加されます。

 追加されるボスラッシュでは、本編で戦ったボスと一体ずつ戦う……のではなく、ボスと戦っている最中に1体ずつ順々に出現する仕様で中々の難易度。狭い円形の闘技場で戦うため、どうしても追い込まれるので的確な操作が求められるスピード勝負になっています。

 ボス一体につきバラつきはありましたが、およそ10~30回ほどでボスを1体倒せたことを踏まえると、クリアまでに150回ほど死亡する計算でしょうか。初見時に一度も死なずに倒せたボスもいた一方で、アグロンのような翌日に持ち越して倒したボスもいました。多彩なボスがいるため得手不得手もハッキリ出てきます。

 本作を遊んだあとでは、今後別のゲームを遊ぶ時に「このタイプのボスは苦手だからじっくり準備していこう!」のような心構えができるかもしれませんね。

 『ソウル』シリーズの面影がありつつ、独自のシステムで歯ごたえのある難易度が楽しめる『シナー~贖罪の刻~』。レベルアップによる強化がないからこそ地力を求められる、アクションゲーマーにもってこいのゲームです。

(C)2018 AnotherIndie LLC

データ

▼『シナー~贖罪の刻~(Sinner: Sacrifice for Redemption)』
■メーカー:ANOTHER INDIE STUDIO
■対応機種:PS4
■ジャンル:アクションRPG
■配信日:2018年11月15日
■価格:2,390円(税込)

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