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2019年2月13日(水)

『キャサリン・フルボディ』ネタバレ無しレビュー。追加要素満載で実質『1.8』の大ボリューム!【電撃PS】

文:電撃PlayStation

 2月14日にアトラスからPS4とPS Vitaで発売される『キャサリン・フルボディ』のネタバレなしレビューを、かつて前作『キャサリン』の全エンディングを見届けた電撃PlayStation編集部のあーや(33歳・独身男性)がお届けします。

『キャサリン・フルボディ』

 結論から言いますと、『キャサリン・フルボディ』はストーリー面では新たな恋愛対象の追加、アクションパズル面ではアレンジモードの追加にユーザビリティの改善と、両面で大きくパワーアップしており、そのボリュームは実質『キャサリン1.8』と言っていいぐらい、前作からの進化を感じることができました!

 もともとのゲーム自体が他に類を見ない、非常にユニークな作りをしていることもあり、前作未プレイの方はもちろん、前作やりこみ済みの方も満足できる内容になっているかなと思います。

1人だけなんて選べない!? 追加イベント・新エンディングに興奮!

 では、まずは物語面から紹介していきましょう。前作『キャサリン』はいわゆるギャルゲーのような恋愛シミュレーションと比べると、物語をリアルに寄せた、“大人の恋愛模様”にフィーチャーした作品。主人公はヴィンセントという仕事もプライベートもパッとしない32歳の独身男性です。

 付き合って5年経つ”キャサリン(Katherine)”という恋人がいながら、未来については漠然としたイメージしか持てていない彼が、ある日バーで飲み友達たちと飲んでいると、恋人と同名の”キャサリン(Catherine)”という絶世の美女があらわれ、気がついたら一晩を共に過ごしてしまうことに。

 そして、それとほぼ同時期に謎の悪夢も見るようになって……? というのが前作『キャサリン』の冒頭のあらすじでした。恋人に誠実でいるか、それとも浮気しちゃう? ということを、プレイヤーは自分の恋愛観や価値観に沿って考えながらゲームを進めていくことになります。

『キャサリン・フルボディ』

 では『キャサリン・フルボディ』はどうかといいますと、基本的な骨子に変化はないものの、新たな恋愛対象として”リン”という存在が追加。ゲームスタート直後から登場するため、ストーリーは序盤から大きく変化し、すぐに四角関係がはじまります。そして気になるエンディングは結構な種類が追加に!

 もちろん、リンとのイベントやエンディングだけじゃなく、Kキャサリン、Cキャサリンのアニメーションやエンディングも追加されていますよ。イベントはどれも“キャサリン”を好きになっちゃうようなものになっていますし、追加エンディングは「えっ、そうなっちゃうの!?」という彼女たちの“新たな可能性”を感じられるものになっていますので、一見の価値は大いにアリ。

 個人的にはCキャサリンの追加エンドが「これはDLCの理想の声(詳しくは後述)、が欲しくなっちゃうな~」と唸りました。ちなみに、リンの正体については現在いろいろと噂されていますが、想像を上回る内容だったとお伝えしておきます。

『キャサリン・フルボディ』
『キャサリン・フルボディ』
『キャサリン・フルボディ』

 余談ですが、“自分の恋愛観や価値観”に沿ってプレイしていく、というのは『真・女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズに通じる、アトラスらしい本作の大きな魅力なんですよね。初回は自分の気持ちに素直になってプレイしてもらえれば、より本作を楽しめるのではないかなと。

 8年前にプレイした方も、今プレイしてみると自分の価値観が変化していることに気付くかもしれませんよ。個人的には昔はKキャサ一択だったのが、Cキャサもカワイイなぁと思うようになってました。……こんなんだからまだ独身なのか(苦笑)。

 また、1人でプレイしても楽しいのですが、みんなで集まってプレイするのも楽しいんですよ。その際も自分を偽らず、素直な気持ちで答えるのがオススメ。周りの人は「へぇ、浮気相手にこんな返信するんだ」とか「でも電話はでないんだ」とか、じゃんじゃんツッコミを入れていきましょう。

 同性でも異性でも、その人の知らない人となりをきっと見ることができるはず! あ、それで修羅場になっても私は責任を取れませんので、実際にプレイする際はくれぐれもお気をつけて(笑)。

『キャサリン・フルボディ』

より遊びやすく、奥深く。進化したアクションパズルで夜更かし決定!

 続きましてヴィンセントが悪夢内で挑戦することになるアクションパズル部分について説明していきますね。アクションパズルの基本構成は、壁のように立ち並ぶ“石”を押したり引いたりして組み合わせ、上に登っていくというもの。

 このアクションパズル、8年前は多くの人が実際に悪夢を見たんじゃないか、というほどの高難度で話題になり、アトラスからも難度を調整する追加パッチが配信されたほどでした。

 とは言え、本作のアクションパズルが高難度と呼ばれる主な理由は”ユニークで他に類を見ないものかつ、基本的なルールを学ぶ機会が少なかったから”ではないかと個人的には感じています。

 自分の場合、『キャサリン・フルボディ』を改めてプレイしてルールを再確認するにともなって、アクションパズルがクセになってきて、最終的にはストーリー以上にハマってしまったんです。海外ではeスポーツが行われるほど熱狂的なファンがたくさんいる、という事実もそれを裏付けているかなと思います。

『キャサリン・フルボディ』

 『キャサリン・フルボディ』ではもちろんアクションパズル部分のユーザビリティもパワーアップ。まず難易度には、イージー、ノーマル、ハードのほかに、セーフティが追加。セーフティでは、そもそもパズルパートのスキップが可能になりました。

『キャサリン・フルボディ』

 ちょっとパズルがどんなものか、まずは試しに見てみよう、という方にはセーフティ、イージーで選択できるオートプレイがオススメ。自動で登ってくれるので、登り方のハウトゥを見て学ぶことが出来ます。実際に手を動かして試行錯誤する場合は、ノーマルやハードでも使えるようになったアンドゥ機能が非常に役立ちます。

 今回はこのように、段階ごとにさまざまな上達方法が用意されているので、アクションパズルにハマるプレイヤーが増えるのではないかと個人的には期待しています。

『キャサリン・フルボディ』

 難易度ノーマルでそれなりに登れるようになってきたら、ぜひさまざまなモードを遊んでみてください。まずは『キャサリン・フルボディ』で追加されたアレンジモードに挑戦してみるのがオススメ。こちらは1×1の石を基本として、1×3、2×2など、さまざまな形をした石が登場するモード。石の動き方がダイナミックになるので、石の形によってはスタンダードとは異なる発想力が必要になります。「なるほどなー」と感じることでしょう。

『キャサリン・フルボディ』

 そしてノーマルで全ステージのゴールドプライズを取ってしまったら、本作のやりこみ要素にハマってしまうまであと一歩! 時間無制限のかわりに手数制限がある、詰め将棋的な思考力が必要になるスーパーラプンツェル、ランダムに積み上がっていく石を登るアドリブ力が必要になるバベル、そしてネットワークを介して手軽に対戦ができるコロシアム、とやりこみ先はたっぷり。

 自分の場合、どれもアーケードゲーム感覚でパッと手軽に遊べるので、つい仕事の合間にやってしまってそのまま何時間も……ということが何回もありましたが、一番プレイしているのはバベルです。

『キャサリン・フルボディ』

 じつは8年前は、最もカンタンなステージ“アルター”ですらクリアできなかったんですよね……。しかし今回は石2段ぶんのハイジャンプが3回までできる“ドリンク”というアイテムを最初から所持しているので、難易度はいくぶんか低下。練習の末、なんとかクリアできました!

 練習を重ねて上達していくこの爽快感、プレイした方にしかわからないかもしれないのですが、唯一無二、たまらん感覚なのですよ……。発売後はコロシアムでオンライン対戦をやってみようと思います。対戦は対戦ならではの考え方が必要になるので、これもまたおもしろいんです!

DLCでフルボディはもっと濃厚・華やかに!

 せっかくなので、DLCについてもお伝えしておきましょう。まずは先着購入の特典として、『ペルソナ5』のジョーカーを本作に参戦させることができます。使用できるのはバベルとコロシアムのみではありますが、バベルでは怪盗団の実況もついてくるうえに、インストール直後とクリア後には、専用のデモも流れるという気合の入りよう。

 『ペルソナ5』にハマった方は、ぜひ今すぐに『キャサリン・フルボディ』を予約して遊んでみてください。願わくはバベルをクリアして、自力でクリア後のデモを見てほしい! その頃にはきっと本作のトリコになっているはず……。

『キャサリン・フルボディ』

 DLCはこのほかにも、Cキャサリンの声を全11種類から選択できるようになる“理想の声”、バーに登場するキャラクターのナイトウェア姿が見られる“ネロメガネ”、と単純にゲームの進行をラクにするものではなく、プレイ体験が豊かになるものがそろいぶみ。

 理想の声についてはCキャサリンの印象がガラッと変わるので「色んな人に誘惑されたーい!」という人にはもうたまらんのではないかと(笑)。自分の場合、8年前のプレイですっかりCキャサリン=沢城みゆきさん、という印象が根付いていたので、最終的に沢城さんに戻ってしまったのですが、そこに至るまでに正直けっこういろいろあったので、とても満足です(笑)。

 ネロメガネについては全員が「え、えーっと……ナイトウェア? 勝負下着じゃなくて?」と思わずにはいられないエロ……いや、セクシーな衣装なのですが、まぁ、それはそれでアリかなと(笑)。女はもちろん男も下着姿になるので、ヴィンセントの飲み友達がどんな格好で寝ているのかを見られるのもおもしろいところ。その目で確かめてみてください。個人的にはジョニーの下着……いやナイトウェア姿が……(笑)。

『キャサリン・フルボディ』

 理想の声とネロメガネのDLCは、副島成記氏描き下ろしのパッケージやアートブック、オリジナル・サウンドトラックが1つになった初回限定生産版”ダイナマイト・フルボディBOX”に同梱されていますが、後日配信予定とのことなので、「とりあえず遊んでみよーっと」というスタンスでも大丈夫、という形になっています。

細かいところまで語りたくなる、隠されたアトラスの名作!

 このほかにも、『キャサリン』から『キャサリン・フルボディ』になって、いろいろなところに手が加わっています。大きなところではサブキャラクターの追加がそうですが、そのほかには、たとえば、バーのジュークボックスに入っている楽曲が挙げられます。8年前には発売されていなかった『ペルソナ5』や現在開発中の『PROJECT Re:FANTASY』などの楽曲が入っています。

『キャサリン・フルボディ』
▲バーカウンターのすみっこに『ペルソナ』シリーズのキャラクターたちもこっそり出演。じっくり比較してみないと、すべての変更点はみつけられないかも……。

 ロード時間の短縮もうれしいですね。そうそう、ロードと言えば、ロード中にランダムで表示される偉人たちの格言も、『キャサリン・フルボディ』になったことで、よりバリエーションが豊かになっています。

 個人的に、偉人たちの格言は『真・女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズに登場する神話上の存在に通じると言うか、ゲームに深みを与えるアトラスらしい仕組みだと思うんですよ。見てみると結構おもしろいんですよね。たとえば、

恋に落ちるのは、重力のせいではない。
(アインシュタイン)

 なんて小洒落が効いてるなぁと思いますし、

結婚は性欲を調節する事には有効だが、
恋愛を調節する事には有効ではない。
(芥川龍之介)

 なんてとても情熱的に聞こえます。ゲームにとっては枝葉の部分かもしれませんが、学校で覚えた偉人たちの意外な側面や恋愛観を知れるのも、個人的には非常にユニークな試みだと思います。また、物語的な意味では、

常識とは、誰もが知っているありふれたものでは決してない。
(ヴォルテール)

 という格言はけっこうリンを象徴しているのかなと感じましたね。

 偉人たちの格言についてはもっと紹介したいのですが、いつまでたってもおわらなくなってしまうのでそろそろまとめに入ります。

 改めて『キャサリン・フルボディ』、唯一無二の体験が得られるタイトルだった『キャサリン』の決定版に違いないと思います。リンの登場やユーザビリティの改善によってカジュアル感が増したぶん、ダークでホラーな印象は少し薄れた感がありますが、これはこれでぜんぜんアリ。

 大人の恋愛というテーマ、独特なアクションパズル、ユニークな世界設定、華麗なアートワークなどなど、本作を構成するさまざまな要素は8年たった今でも古臭さをまったく感じません。前作を経験した人はもちろんですが、とくに『ペルソナ5』でアトラスというゲームメーカーを知った方は、ぜひ本作を遊んでみてほしいと思います!

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