2019年3月4日(月)
『サイレントヒル』霧と鉄さびの世界を極限の精神状態で進んだ名作ホラータイトルから20年【周年連載】
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第94回でお祝いするのは、20周年を迎えた『サイレントヒル』。恐怖の始まりは、1999年3月4日。PlayStationで発売されました。この1作目から、シリーズとして長く展開していくことになります。ファンの愛称は“静岡”で、かつてエイプリルフールに、静岡県がサイレントヒル県に改名を発表したことも話題となりました。
ただしゲーム内容は、お茶とみかんがおいしい温暖な静岡のイメージとはかけ離れ、本当に本当に怖いです……。それでは、20年ぶりに霧の町を訪れてみましょう。
有名な観光地に何が起こったのか?
主人公のハロルド・メイソンことハリーは、娘のシェリルとともに観光地サイレントヒルに向かっていました。しかし、ハリーの車の前に突然少女が飛び出し、驚いたハリーは事故を起こしてしまいます。
▲主人公のハリーは、娘のシェリルを大切に思っているお父さん。シェリルの母親はすでに他界しています。 |
▲シェリルが胸に抱いているのは、父ハリーにもらったスケッチブック。このスケッチブックが、のちに重要な役目を担います。 |
事故後、気を失っていたハリーが目覚めると、車に乗っていたはずのシェリルの姿がありません。シェリルを探すため、ハリーはすぐに車から降りました。そこは、いつの間にか到着していたサイレントヒル。人が見当たらず静まりかえり、霧に包まれた町には雪らしきものがしんしんと降り続いていました。
▲観光地のはずなのに、誰もいないサイレントヒル。しかも、霧が濃くて先が見えません。こちらが、サイレントヒルを象徴する光景です。 |
▲シェリルを探して路地に入ると、クリーチャーに襲われます。なすすべもなくハリーは倒れてしまいました。当時は、いきなりゲームオーバーになるのかと驚いたものです。 |
▲カフェで目覚めたハリーは、ようやく生きている人間と出会います。プレイヤーである筆者がハリー以上にホッとしました。 |
カフェで出会ったのは警察官のシビル。急に連絡が取れなくなったサイレントヒルの状況を確認するため、隣町からやってきたとのこと。結局ふたりとも、サイレントヒルがなぜこんなことになっているのか、わかりませんでした。
▲警察官のシビル・ベネットはクリーチャーが徘徊するサイレントヒルにおいてオアシスのような存在。しかも、一般人のハリーに銃を渡してくれます。 |
▲お互いに何も情報を持っていないふたりは、ここで別れました。ハリーはシェリル探しを続行。シビルはいったん隣町に戻るそうです。 |
▲探索していると、シェリルのスケッチブックを見つけました。メッセージが書かれているようです……。 |
サイレントヒルの迷惑な住人たち
サイレントヒルの町には、人間のかわりにクリーチャーがうろついています。ハリーは、シビルにもらった銃や手に入れたナイフなどを使い、クリーチャーを退けながら進んでいきます。
▲銃の弾丸数は限りがあります。道中でハンドガンの弾を拾って補充します。 |
▲ハンドガンの弾薬を節約したい時は近接武器で攻撃。条件を満たすと、ちょっと意外な隠し武器を使うこともできます。 |
クリーチャーの接近や、ちゃんと息の根を止められたかの判断は、所持品のラジオで確認できます。本作は、ヘッドホンを使ってプレイすると敵の接近がわかりやすいうえに緊張感が増すのでオススメです!
▲『サイレントヒル』名物のラジオ先輩。生きたクリーチャーが近くにいると、ノイズで知らせてくれます。 |
クリーチャーには素早く動く犬のような“グローナー”、翼を持っていて空を飛ぶ“エアスクリーマー”、2本足でじわじわ寄ってくる“マンブラー”などの種類があります。ハリーは一般人なので、たくさんのクリーチャーを倒したところでレベルアップするわけではありません。クリーチャーの動き方を把握したら、回避するのも手です。
▲とはいえ、ビビリな筆者は恐怖が勝って銃ボタンを連打してしまうのです……。 |
しばらく探索を進めると、巨大なボスクリーチャーに遭遇。撃破必須のバトルなので、覚悟を決めて戦う必要があります。このように、いろいろな特徴を持った小型クリーチャー、避けられない戦いとなるボスクリーチャーなど、『サイレントヒル』の住民はにぎやかです。
▲横に口が開く“スプリットヘッド”さん。これが、本作初めてのボス戦です。 |
▲最初のボスだというのに、即死攻撃を持っています。大きな口に挟まれたら、もう抜け出せません。 |
ほどよく高難易度な探索と謎解き要素
マップを探索していると、謎解きが必要な場面と遭遇することがあります。まずは、基本のアイテム探し。必要なアイテムを探してくるのですが、これが意外と難しいことも。
というのも、視界が悪いサイレントヒルの町での移動は、地図に頼ることになります。移動中はマップが出ませんので、ときどき地図を開いては進み……を繰り返します。このような工程で、日常とは異なる場所へ来た実感がわいて没入感が高まります。
▲地図には、ハリーが気になったことを書き込んでいきます。手描き風なのがリアルです。 |
▲通らない視界の中で小さなアイテムを探します。かなり丁寧な探索が必要になります。 |
▲カメラアングルは決まった場所まで行くと切り替わるので、すみずみまで足を運んで重要なポイントを探し出します。 |
さらに、単なるアイテム探しだけではなく、プレイヤーがしっかり頭を使わないと解けない謎も。筆者は謎解き好きなのですが、ほどよいレベルの難易度で楽しさを感じました。
▲血で書かれた文字。なんだか意味深ですね……。 |
▲時計塔があります。時間も確認できるようです。 |
▲ピアノの謎解き。当時、ここで苦労したことを思い出します。 |
▲手が届かない場所にある鍵。意外な方法で手に入れます。 |
血と鉄さびが印象的な裏側の世界へ
探索を続けたハリーは、ある場所から急に雰囲気の異なる別世界に入り込みます。そこは、さびた鉄と血でできた赤茶けた世界です。これもまた、『サイレントヒル』を象徴する光景のひとつですね。
▲突然現れる薄気味悪い世界。ここから、プレイヤーの精神力が試されます。 |
▲この直後、悲鳴を上げたプレイヤーは多いことでしょう。 |
▲ここも悲鳴ポイント。無人のはずの学校で、職員室の電話が鳴ります。この電話をためらわずに取るハリーがすごい。 |
ホラーゲームといっても、その恐怖の感じさせ方はさまざまです。この『サイレントヒル』は、クリーチャーの存在よりも、周囲の風景に恐怖を感じます。やすりで少しずつ削るように、じわじわと恐怖が迫ってきて精神力が摩耗していきます。そして、現代の美麗なグラフィックと比較すると画像は粗いですが、その粗さが視界の悪さの表現を手伝い、よりいっそう恐怖が増します。
久しぶりにプレイしてみようと思った方、そして初めて興味を持ってくださったホラーゲームファンの方は、可能ならばこの初代『サイレントヒル』をプレイしてみてください。近年のホラーゲームとは、また異なる恐怖を味わうことができます。
▲人気観光地サイレントヒルは、さまざまなアトラクションをご用意して、皆さまのお越しをお待ちしております! |
“周年連載”バックナンバー
(C)Konami Digital Entertainment
データ
- ▼『サイレントヒル』
- ■メーカー:KONAMI
- ■対応機種:PS
- ■ジャンル:ADV
- ■発売日:1999年3月4日
- ■価格:6,090円