2019年4月2日(火)

『ファイナルファンタジー6』すべてのキャラクターが主人公。壮大なケフカとの戦いから25年【周年連載】

文:滑川けいと

 あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。

『ファイナルファンタジーVI』

 第95回でお祝いするのは、25周年を迎えた『ファイナルファンタジーVI(以下、FF6)』です。本作は1994年4月2日に、SFCで発売されました。その名が冠する通り、シリーズのナンバリング6作目となる本作。SFC以降も、PSやGBAなど多くのプラットフォームでリメイクされているので、プレイされた方も多いのではないでしょうか。根強い人気を誇る悪役“ケフカ”が登場する作品です。

『ファイナルファンタジーVI』

 本タイトルの魅力を紹介していきます。

魔導の少女とそれを取り巻くキャラクターたちの壮大な物語

 かつて人間と幻獣が激しく争い合った“魔大戦”。大戦後幻獣たちは姿を消し、その結果世界から魔法の力が失われてしまいました。そして魔大戦から1000年。魔法がなくなった世界では、ガストラ皇帝率いるガストラ帝国が大きな勢力として猛威をふるっており、“魔導”の力を使ってさらなる力を得ようとしていたのです。

 そんな背景の中、本作はひとりの少女がガストラ帝国の兵器“魔導アーマー”に乗って移動しているところから始まります。少女の名は“ティナ”。魔法が失われた世界で、ティナはなぜか幼少から魔法を使えました。その力を悪用するため、ガストラ皇帝はティナを操っていたのです。

『ファイナルファンタジーVI』 『ファイナルファンタジーVI』
▲不思議な少女ティナ。ゴツめの魔導アーマーに乗っての登場シーンが印象的です。

 ティナは“ビックス”と“ウェッジ”という帝国兵に連れられて、魔導の力となる“幻獣”を見つけようとしていました。氷漬けになった幻獣を発見した3人でしたが、突如発せられた光によってビックスとウェッジは消え、ティナは意識を失ってしまいます。そんなティナを助けたのが、トレジャーハンターの“ロック”でした。帝国に操られ、強制的に働かされていたティナを、ロックは反帝国組織であるリターナーに誘います。そうして、帝国を倒すための冒険が幕を上けるのです。

『ファイナルファンタジーVI』
▲トレジャーハンターのロック。誰かを守ることに固執していますが、その理由はストーリー中に明かされます。
『ファイナルファンタジーVI』
▲本作では魔法は特別なもの。序盤でティナが魔法を使うと、それに驚いた仲間が会話を繰り広げるという場面も。

 特徴的なのはストーリー展開。本作は群像劇のようになっており、ひとりの主人公の視点で物語が描かれるというわけではありません。目的のために行動するキャラクターの辿った物語を、俯瞰的な視点で追体験できるようになっているのです。すべてのキャラクターの体験や心情を見られるため、全員に愛着がわきます。メインキャラクターは、隠しキャラクターも含めて全員が主人公という扱いとなっています。

『ファイナルファンタジーVI』
▲こんなコミカルなキャラが、最終的にあんな姿になるなんて。途中までケフカは、重めのストーリーの中のオアシス的存在です。
『ファイナルファンタジーVI』 『ファイナルファンタジーVI』
▲序盤でキャラクターが3手に分かれます。それぞれがどんなを行動して合流したのか、実際にキャラクターを操作して知ることができます。
『ファイナルファンタジーVI』
▲どのキャラクターにもスポットを当てていて、どんどん感情移入ができるようになっています。

 最初は帝国を倒すという目的で進んでいくのですが、途中から物語は急展開を迎えます。それが帝国の幹部であるケフカの裏切り。ケフカはガストラ皇帝を殺害したあげく、ついには神である三闘神の強大な魔導の力を手にし、世界を崩壊させてしまうのです。

 ここから物語は後半に突入し、目的が“帝国を倒す”から“ケフカを倒す”に変化。さらには崩壊によって散り散りになってしまった仲間を、世界を巡って再度集めることになります。登場キャラも操作するプレイヤーも、再出発の状態になるわけです。

 プレイヤーの思い出の場面は、シドの看病ではないでしょうか。まさかシドの運命が分岐するとは最初のプレイでは思いもしませんでした。

 後半に入ると、特定のキャラクターを仲間にすれば、いつでもラストダンジョンへ挑めるように。一新されたフィールドを飛び回って育成やサブストーリーを楽しむことも、すぐにラストダンジョンに挑むこともできるわけです。

 ここがポイントで、前半はストーリーメインで楽しめるようになっており、後半はプレイヤーの意思で好きなように遊べるようになっているわけです。仲間になるキャラクターは世界各地に散らばっています。とはいえ、情報なしでシャドウを仲間にするのは至難の業でした。初見でシャドウを崩壊後に仲間にできた人は、少ないのではないでしょうか。そう、筆者もそのひとりです。

『ファイナルファンタジーVI』
▲世界は崩壊し、町もボロボロ。でも人々は、なんとか復興させようとしています。
『ファイナルファンタジーVI』
▲飛空艇で各地を巡り、散った仲間を集めなおします。実は全員を集めなくてもクリアできるので、どのメンバーを再集合させるのかはお好みで!
『ファイナルファンタジーVI』
▲崩壊後の世界では、アイテムをかけてモンスターと戦う“竜の首コロシアム”という新たな要素も。テュポーン先生に“はないき”で飛ばされたのもいい思い出です。

 ストーリーといえば、その演出も見所です。有名なオペラハウスでのイベントにおいてセリスの歌うシーンはまるで本当に歌っているようで、筆者の記憶に深く残っています。

『ファイナルファンタジーVI』 『ファイナルファンタジーVI』
▲歌詞を選び、オペラを成功させるシーン。当時は覚えられずに台本をメモってプレイしていました。

好みのキャラクターで戦略を組めるバトルシステム

 本作のバトルは、おなじみのアクティブタイムバトル。ですが、ロックの“ぬすむ”、マッシュの“ひっさつわざ”といったように、キャラクターそれぞれに“たたかう”以外の特別な技が用意されています。

トランス(ティナ)

『ファイナルファンタジーVI』
▲姿が変わり、一定時間自身を強化。敵に与えるダメージがかなり大きくなります。

ぬすむ(ロック)

『ファイナルファンタジーVI』
▲敵からアイテムを盗みます。特定のアクセサリをつけると盗む際に攻撃を加える“ぶんどる”に。

きかい(エドガー)

『ファイナルファンタジーVI』
▲特殊なアイテム“きかい”を使って攻撃できます。

ひっさつわざ(マッシュ)

『ファイナルファンタジーVI』
▲コマンドを入力することで、強力な攻撃ができます。個人的によく使っていたのは、もちろん“むげんとうぶ”です!

まふうけん(セリス)

『ファイナルファンタジーVI』
▲使用したターンに発動した魔法を自身に集中させ、吸収します。

ひっさつけん(カイエン)

『ファイナルファンタジーVI』
▲剣を使った強力な攻撃です。ためる時間によって、繰り出される攻撃が変化します。

あばれる&とびこむ(ガウ)

『ファイナルファンタジーVI』
▲特定の場所でとびこむことで、とびこんだ相手の攻撃を習得。あばれるで使用できます。

なげる(シャドウ)

『ファイナルファンタジーVI』
▲所持しているアイテムを投げてダメージを与えます。

おどる(モグ)

『ファイナルファンタジーVI』
▲さまざまな効果を与えるおどりを踊ります。おどりは特定の場所で戦うと覚えます。

スロット(セッツァー)

『ファイナルファンタジーVI』
▲そろったマークで効果が決まります。特定のアクセサリをつけると“ぜになげ”に変化し、ギルを消費して相手に攻撃できるように。

おぼえたわざ(ストラゴス)

『ファイナルファンタジーVI』
▲モンスターの技を習得し、その技を使用できるようになります。

スケッチ(リルム)

『ファイナルファンタジーVI』
▲戦っている敵をスケッチして、戦わせることができます。特定のアクセサリをつけると“あやつる”になり、敵そのものを操ります。

ウーマロ

『ファイナルファンタジーVI』
▲ウーマロについては、プレイヤーは一切操作できず、自動で戦います。

ものまね(ゴゴ)

『ファイナルファンタジーVI』
▲直前の味方の行動をそのまま行います。ステータス画面では、他のキャラクターの持つ固有のわざをつけられます。

 本作は4人パーティを組んで戦うのですが、バラエティに富んでいて迷ってしまうんですよね。筆者が特に好んで使っていたのはマッシュです。ひっさつわざのコマンド入力が魅力的で、必ずパーティに入れていました。

『ファイナルファンタジーVI』 『ファイナルファンタジーVI』
▲マッシュの初登場シーン。「ひだり、みぎ、ひだり、Aだ!」はややメタなセリフですが、印象に残っています。
『ファイナルファンタジーVI』 『ファイナルファンタジーVI』
▲ほとんどのキャラクターは、HPが少なくなった状態で攻撃すると“超必殺技”を発動します。当時説明書に記載はなく、発動した時は驚いたものです。

 魔法が特殊な立ち位置の世界というのは前述した通り。本作では“ませき”と呼ばれるものを装備し、バトルで得られる魔法習得値をためることで魔法を覚えます。攻撃役はこのキャラクター、回復役はこのキャラクターにしようといった役割を、自分で考えられるのも特徴でした。

『ファイナルファンタジーVI』
▲ませきは幻獣の力が結晶化したもの。そのため、幻獣の力を借りて魔法を使用できるようになるのです。

 また、ませきには“レベルアップボーナス”を持つものもあり、装備した状態でレベルが上がると対象のステータスがアップします。この仕組みがあることで、キャラクター育成においても自由度が増します。幻獣や魔法の存在の重要性が、ストーリーだけでなくシステムにも反映されているのは今でもおもしろいと感じます。

『ファイナルファンタジーVI』
▲右欄の“じゅくれんど”が100になると、その魔法を習得します。
『ファイナルファンタジーVI』
▲画面下に、レベルアップ時のボーナスが記載されています。レベルが上がるタイミングで身につけていると、書かれた効果を得られます。

 記事を書くにあたり、改めて本作をプレイしました。まさに「こういうのがいいんだよ!」という心境です。この場面はどう行動するのか、あの仲間は探しに行くのか、待つのか諦めるのか……育成面を含めて自由度が高く、プレイのたびに違ったセリフや光景を見ることになります。そのため、昔遊んだことがある人でも、新しい発見があるかもしれません。

 初見の人は、もちろん楽しめるかと。初めて遊ぶからこそ「え? 本当に!?」と驚く場面があるはずです。25周年を迎えて、今なおこの作品が愛される理由はプレイすればきっとわかりますよ!

“周年連載”バックナンバー

データ

▼『ファイナルファンタジーVI』
■メーカー:スクウェア
■対応機種:SFC
■ジャンル:RPG
■発売日:1994年4月2日
■価格:11,400円+税
▼『ファイナルファンタジーVI』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PS3/PS Vita/PSP(ダウンロード専用)
■ジャンル:RPG
■配信日:2011年4月20日
■価格:1,234円(税込)
▼『ファイナルファンタジーVI』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:Wii U(ダウンロード専用)
■ジャンル:RPG
■配信日:2013年6月26日
■価格:926円(税込)
▼『ファイナルファンタジーVI』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:3DS(ダウンロード専用)
■ジャンル:RPG
■配信日:2017年8月23日
■価格:926円(税込)
▼『ファイナルファンタジーVI』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:iOS
■ジャンル:RPG
■配信日:2014年2月6日
■価格:1,800円(税込)
▼『ファイナルファンタジーVI』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:Android
■ジャンル:RPG
■配信日:2014年1月16日
■価格:1,800円(税込)

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