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2019年4月10日(水)

DLCやアップデートで進化を続ける『DQビルダーズ2』の今だから話せる開発秘話を一挙公開!【電撃PS】

文:電撃PlayStation

 2018年12月20日の発売以来、『ドラゴンクエスト』シリーズの伝統に基づいた魅力的な世界観と、サンドボックス要素を取り入れた奥深いシステムによって、大ヒットを記録している『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島(以下、2)』。2019年に入ってもアップデートの実施やダウンロードコンテンツ(以下、DLC)の配信により、話題は尽きません。

 今回は、本作の開発を手掛けたスクウェア・エニックス、およびコーエーテクモゲームスの開発スタッフの方々へのインタビューを実施して、本作の魅力の秘密と今後の予定などについてお話をうかがいました。

『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』
『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』


序盤から積極的に使ってもらいたかった
写真撮影&けいじばんへのアップ機能

――まず最初に、開発におけるみなさんの役割を教えていただければと思います。

藤本則義氏(以下、敬称略):スクウェア・エニックスのプロデューサーの藤本です。全体のプロデュースを担当しています。

白石琢磨氏(以下、敬称略):同じくスクウェア・エニックスのプロデューサー白石です。プロデュースワーク全般や、各種プラットフォーマーさんとの調整など、いろいろな交渉を担当したりといった業務に携わらせていただきました。あとは、社内でももろもろの調整ですね。

新納一哉氏(以下、敬称略):同じくスクウェア・エニックスの新納です。ディレクターとして企画の立案と、全般的な監修作業を担当しています。

枝川拓人氏(以下、敬称略):コーエーテクモゲームス、オメガフォースブランドの枝川です。コーエーテクモゲームス内の開発ディレクターをやらせていただいていて、新納さんから出たアイデアを具体的にどう進めて行くのかを開発チーム内で議論して、みなさんとすりあわせて実際にゲームに落とし込んでいくというところを担当しました。

新納:一番苦労された方です(笑)。

――『2』では前作(2016年1月28日に発売されたシリーズ第1弾『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』)と比べると、けいじばんなどプレイヤーさん側が発信できる機能が充実していますが、そちらにアップされている作品をご覧になっての感想はいかがでしょうか?

藤本:すばらしいですね。何日も時間をかけて作り込んでいただいた島を見るのも楽しいのですが、ワンアイデアというか、島の風景や製作過程のワンシーンをちょっと工夫して撮影・投稿していただけたことで、かなり盛り上がっていると思います。これはプレイヤーのみなさんも同じだと思いますが、完成品だけでなく、作る過程もさまざまな形でアップされていて、見ることができるのが嬉しいですね。

――こういった盛り上がりは予想されていたのでしょうか?

新納:前作のプレイヤーさん同士のコミュニケーションの仕様というのは、作った島の一部分だけを相手に渡すというか、見せる形でした。これはいろいろ制約もあって参加するハードルが高く、『2』では開発当初からもっと手軽な形にできないかなと検討しました。マルチプレイを採用することは最初から決めていましたが、それ以外にもプレイヤーさん同士でコミュニケーションできる要素が欲しいと思い、前作のような建物の交換はやめて“写真”の交換に特化させようという話になりました。その段階で“けいじばん”が必要になったのですが、そのためには社内にサーバーを用意する必要があり、最初から大騒ぎというか「本当にそんな大変なことするの?」と大激論になりました。ただ、写真交換はプレイヤーのみなさんにも望まれる機能だろうなと思ったので……。

白石:前作でマルチプレイを入れて欲しいという要望がすごくあって、それを実現することは決まっていたのですが、それをもう一段階手軽にできる機能としてぜひ写真交換、けいじばんという機能を入れたいという相談が新納ディレクターからありました。

――からっぽ島に流れ着いた段階で、すぐにけいじばんが利用できるようになるのも、写真交換を積極的に使って欲しかったからなのでしょうか?

新納:はい。最初から写真を撮って欲しいし、最初から写真をアップして欲しかったんです。だから、体験版でも使えるようにしました。前作のときもtwitterにはすごくおもしろい写真(スクリーンショット)がアップされていたんですよ。でも、なかなかそれを多くのプレイヤーのみなさんに見てもらう機会がなくて、それをなんとかしたいと考えていました。

藤本:やはり投稿作品がたくさんあるというのは見ていて楽しいですし、それを見た人がゲームをやりたいな、やってみようかなと思っていただける相乗効果を狙うのは企画意図としてあったので、ゲーム内のけいじばんで見られるようにしたのはもちろん、ゲーム外でも“ビルダーズギャラリー”という形でWebページを用意していますので、こちらも含めて交流に活用してもらいたいというのが、制作全体の考えでした。こうして実際に盛り上がっているのを見て、実装してよかったなと思っています。

――実際に作る際の工夫や苦労はあったのでしょうか?

枝川:大変でした(笑)。大変な思いをして作ったのですが、開発者としては実際にこうしてプレイヤーのみなさんたちが作ったものを見られるのは非常に嬉しくて、開発者冥利に尽きますね。もう毎日見ています(笑)。

白石:毎日見ちゃいますよね。発売から結構経ちましたが、今でも毎日すごい数の作品をアップしていただいています。

枝川:アップデートで写真から(島もアップされている場合は)直接島に飛べるようにしましたが、こちらも好評をいただいています。

藤本:それもあってか、島をアップしていただく数も爆発的に増えましたね。今後もどんどんアップしていただければなと思います。

『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』
『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』


少年シドーのアイデアは企画当初から
破壊と創造(ビルド)でうまくハマった

――今回は『ドラゴンクエストⅡ』がベースになっていると思いますが、シドーを仲間にするという発想は、どのような経緯で出てきたのでしょうか?

新納:最初に企画書を書いた段階から、シドーを仲間にしたいな、というのは入っていました。『2』なので仲間と一緒に旅する要素は入れたいと考えていて、前作もそうなのですが『ビルダーズ』は“IF”というか、もしこうだったらどうだろうという要素を描くシリーズだと思うので、『ドラゴンクエストⅡ』ならハーゴンかシドーを仲間にするべきかな、やっぱりラスボスを仲間に出来たらおもしろいなと思いました。で、仲間にするならイケメンがいいなと思って……ここまでは全部、最初の企画書に入っていますね。本作の企画の最初からのテーマです。

白石:一番最初の企画書にイケメンシドーのイメージが具体的に描かれていましたね(笑)。

――仲間の中でも特に頼れるシドーですが、その狙いは?

新納:アクションが苦手な方への救済要素の一面はありますね。前作への意見で、アクションが難しいというものがかなり多かったんです。だからシドーはできるだけ強くして欲しいという要望を開発チームに伝えていて、自分は戦わなくてもシドーが何とかしてくれる、くらいの所まで持って行ってもらっています。

――それだけに、ストーリー後半の展開がものすごい戦力ダウンというか、喪失感があったのですが……。

新納:そうですね、クライマックスに向けてシドーをどう扱うのかについては、開発チーム内でもかなり議論しました。結果的に最終章をああいった形にする構想が出てきたので、それに合わせてムーンブルク島での展開が決まりました。ちなみにムーンブルク編(終わらない戦いの島編)は、かなり重苦しい話にしようと思っていましたので、意図してプレイヤーさんにストレスをかけるように作っています。

――戦闘で倒れた兵士の死体がいつまでも残っていて消えないので、それも衝撃的でした。

枝川:あれは開発チーム内でも意見が分かれたのですが、私は絶対に残さないとだめだと思っていたので、押し切りました。どうしても墓に埋葬してほしくて……新納さんにも相談したら後押ししていただけて。やはり戦争がテーマなので、自分の行動でそれを実感してほしかったんです。

白石:倫理面からの判断は当然あって、そこでかなりの議論はありました。作り手の思いを汲みつつ、慎重に表現を検討しています。

――前作でも第2章のリムルダール編で病死する患者たちを助けられないという展開がありましたが、このあたりはリアルに描くという方針なのでしょうか?

新納:やはり“死”が存在する世界なので、死についてはちゃんと描きたいですね。点滅して消えてしまうのもかわいそうだと、私は思っているので。

『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』
『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』


バッサリ削られた青の開拓地の巨大城
開発中は完璧に仕上げてくれる予定だった!?

――今回はフリービルド要素がメインストーリーに組み込まれていますが、その狙いは?

新納:やはりフリービルドで突然自由なものを渡されても戸惑うと思います。前作のフリービルドモードでも作りたいものがある方は問題なかったのですが、そうでない方は何をすればいいのかわからなかったという意見が相当ありました。また、シナリオ上の住人を連れて行きたいという意見も多かったので、それを1カ所にまとめるのが、みなさんが望まれる形に近いのかなと考えました。作るものを強制されるのが嫌な方もいらっしゃると思いますが、ストーリーをクリアしたら壊していただいて構わないので(笑)。

藤本:ピラミッドやお城は広い場所を占拠してしまうので、壊されているという方も多いようですね。

新納:逆にそのまま有効活用されている方もいらっしゃるようなので、ひとまずはこれでよかったかなと思っています。

白石:ピラミットを活用されている方が予想以上に多くて、そこはこういう形を選んでよかったなと思いました。無かった場合、どこに作ればいいか迷われたと思いますし……。

藤本:あれだけ巨大なものを作ったのは初めてだった方も多いと思います。がんばれば、こういった大きなものも作れるんだよっていうのを伝えたい部分もありました。

白石:ピラミッドは中ががらんどうで、お城も上半分が未完成な点もちょうどよかったと思います。ストーリーで外側だけ作って、あとはプレイヤーのみなさんに委ねた形ですね。

――そこはあえて未完成にしたのでしょうか?

新納:そうですね。じつはお城は完全完成形のスゴイのがあったのですが、マスターアップ直前に変更しました。こんなのを作られたら、自分がプレイヤーだったら完全に萎えるなと思ったんです。もう何もすることがないじゃんってなるので(笑)。また、実際に通しでプレイしてみて、自分はピラミッドから連続で巨大なものを勝手に作られるのはもう飽きたよって感じたので、これはさっさと切り上げたほうがいいなと思い、現在の形に切り替えました。あとは、前作の時からゼネラルディレクターの堀井雄二さんには「もうちょっと手を加えればよくなるのに……というものを渡した方が、プレイヤーのみなさんも遊びやすいよ」と言われていたので、そこは今回も守っています。

藤本:我々も開発の途中まであったお城がいきなり消えたので、アレ?って驚きました。本当に完成度が高くてもったいなかったのに、スパっと切り捨ててしまった。思い切りの良さは新納ディレクターの真骨頂ですね(笑)。

新納:100あるうちの80くらいを切り捨てましたね。ストーリーではその後も大きなものを作ることになるので、別々にやっている時は気にならなかったのですが、続けて遊ぶとかなり面倒に感じたんです。だから、お城は未完成にして、それをできるだけギャグ風にして欲しいとシナリオの担当者に相談しました。タイミング的にはもう本当にギリギリで、シナリオもいったん完成していたのですが、私とシナリオ担当者と3人くらいで集まってその場で新しいセリフも決めて、中途半端なお城になるバージョンに変更しました。

――プレイヤーのみなさんの投稿作品には、このお城を自分で完成させたバージョンを投稿されている方もたくさんいらっしゃいますね。

藤本:そうですね、そうした投稿作品にいろいろなバリエーションがあるのも、シナリオでは未完成で止めた結果だと思います。詳しく見ると、少しだけ原型が残っているものがあるのもおもしろいですよね(笑)。

――今回は住人たちがビルドを手伝ってくれるようになりましたが、やはり巨大建築物が登場したからなのでしょうか?

新納:どちらかというと、住人たちに手伝ってもらえる要素を入れたのが先で、その結果巨大建築物も可能になったという感じですね。やはり前作でも建築を手伝ってもらいたいという要望が多かったのと、堀井さんと「一度作った設計図を後で誰かが建ててくれてもおもしろいよね」と冗談交じりに話していたので、できれば実現したいと開発チームに相談しました。そうしたらガッツリと作ってもらえたので、じゃあお話にもしっかり組み込んでいこうと思い、章の最後にみんなで巨大建築物を作って盛り上げる構成にしています。

――みんなで一気にビルドしていくシーンは盛り上がりますよね。

枝川:あれを実現するのには、かなり時間がかかっています(笑)。

藤本:かなりインパクトがあるし、作る過程を見られるのも楽しいですよね。

枝川:いきなり完成させてしまうという方法もあったのですが、そこはこだわって、順番に作り上げていく過程を見られるようにしています。最初はもっと厳密に動かしていたのですが、それだと完成まで非常に時間がかかってしまうので、現在のようにある程度アバウトに動くように調整しました。

――ストーリー中で戻れなくなる島もありますが、あえてそうされた理由は?

新納:監獄島は脱出したのに帰ってどうするんだというストーリー上の理由ですね。破壊天体シドーも、ストーリー的に戻れるのはおかしいかなと。

枝川:その後が気になっている方が多いこともわかってはいるのですが……。

――破壊天体シドーについては、クリア後にポストへ手紙が届きましたが……。

新納:あれについては、入れるかどうか意見が分かれましたね。

枝川:入れてくれとお願いしたのは私です(笑)。せめて無事だよということだけは伝えなければいけないと思い、クリア後に手紙が届く形にしました。

白石:プレイヤーのみなさんにも非常に気にしていただいていて、イラストなどを描いて投稿されている方もおられて、開発側の我々も非常にうれしいですね。

――彼らに限らず、ゲームに登場したモンスターの人気が非常に高いと思います。

新納:そうですね、『ドラゴンクエスト』シリーズはモンスターが非常に個性的だし、かわいいじゃないですか。だから、前作からモンスターを立たせていこうという話はしていて、『2』ではよりパワーアップさせようと考えました。

枝川:モンスターをどう個性づけるかについては、かなり議論して決めていきました。今回は単なる町や島の住人ではなく、一緒に冒険したり、建築したり、生活する仲間という側面もあります。だから、どんなモンスターが仲間にいると嬉しいかな、どういう行動をして欲しいかなという所から考えて、当てはめていく作業を行いました。

『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』
『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』


こだわりつつアバウトにした部分も
素材の無限化は開発内でも大激論に

――『2』ではビルダー道具として便利なアイテムが多数追加されましたが、それぞれどんな経緯で採用されたのでしょうか?

枝川:“かわきのつぼ”や“風のマント”といった本家『ドラゴンクエスト』由来のものに加えて、まったく新たに“ビルダーペンシル”“リフォームコテ”“カッター”などのビルダー道具を追加しています。

新納:ビルダーペンシルは開発チームからのアイデアです。「前作でプレイヤーさんから“設計図”を自分で作りたいという要望が多かったけど、できなかったんですよね~」というお話をしたまま、しばらく忘れていたんです。そうしたら、ある日いきなり「できるようにしました!」と言われて驚きました。

藤本:「どうやって設計図にするの!?」とビックリでしたね。階層ごとに見ることもできて、スゴい(笑)。

白石:そのおかげで他の人の島に遊びに行って、ビルダーペンシルで気に入ったものをコピーして帰るという、いい循環が実現できていると思います。

――“リフォームコテ”については?

新納:今回とてもアイテム数が多いので、前作のような1対1での塗り替えアイテム(前作の石だたみセットや○○○ウォールなど)だと、さらに数が増えてしまいます。だから、何らかのシステムで一括して再現しようという話になり、いろいろ検討した結果、現在のリフォームコテの形になりました。

白石:前作では土ブロックを一部の壁アイテムや床アイテムに変換できるだけでしたが、今回は基本的に何でも変換でき、元々あったアイテムも消えずに戻ってきます。そういう意味で、より便利な“上位版”になっていますね。

枝川:じつはリフォームコテが採用されたのって、開発の結構後半なんですよ。これが導入されるまでは、ビルドにもっと時間がかかっていました。

――応用的な使い方として、そざい島などに行って地形ブロックを集めるのにも活用されていますが、そうした使い方も想定されていたのでしょうか?

新納:そこは予想していましたね。開発中にプレイしていて“緑の草原”などを集めるには、この方法じゃないと大変だなと(笑)。

――ハンマー系の武器がビルダー道具として武器から独立していますが、こちらについては?

新納:前作に寄せられた意見の中に「戦闘中に誤って建物を壊してしまって悲しい」というのが多数あって、今回は分けようかなという話になりました。攻撃用の武器と装備で切り替える方式でもよかったのですが、とっさに襲われたときに反撃できないのがストレスだったので、ボタンを分けることにしました。

藤本:前作からの操作方法を変えてしまったのが心配だったのですが、体験版の配信や全国で行った試遊プレイイベントでの反応を見て、みなさんわりとすぐに新しい操作に慣れていただけていたので、安心しましたね。

――そざい島で調査を終えると、一部の素材が無限に使えるようになりますが、こちらの要素については?

新納:これは途中までなかったのですが、ある日唐突に私が「素材は無限にしたほうがいいのでは?」と主張し始めて、リアリティ重視派の枝川さんを強引に説得しました。素材は最初のうちは集めるのも楽しいのですが、途中からは“作業”になってしまうので、素材集めをしなくて済むほうが楽しいかなと思い、これもバッサリと(笑)。

――当初は大樹やピラミッドを作る際も、素材を全部集める必要があったのでしょうか?

白石:そうですね、最初はそうでした。あと、段階的に素材が手に入る量がアップするバージョンもありましたよね?

新納:ありましたね。素材を入手した際に、1個ではなく3個、10個……と増やすことで集めやすくしていたのですが、100個に増えた段階でおかしいというか、結局これもリアリティがなくなっているんだから無限にすればいいじゃないかという話になりましたね。

――リアリティよりビルドの快適さを重視したと言うことでしょうか?

新納:本作は『ドラゴンクエスト』の名を冠していて、ゲームとして遊んでいただくことを主眼に置いているので、それがリアリティを重視するあまり“ゲーム”から離れていくのは違うと思ったんです。だからビルダー道具や住人たちの手伝いもあわせて、プレイヤーのみなさんが“ゲーム”として楽しめるところまで、サポート要素を手厚くしてあります。

――プレイヤーのみなさんの中にもビルドを楽しみたい派と、ストーリーが楽しいんだからビルドは手を抜きたい派がいると思いますが……。

新納:本作では、ものを作れない人が最後まで遊んで、ものを作ろうかなと思ってくれるところまで持って行くのが第一命題だと考えています。本当にものを作れる人にとっては余計なお世話だよっていう要素もたくさんあったと思いますが、そこは変えるつもりはありませんでした。

――からっぽ島にモンスターを登場させるのかどうかも、判断に迷われたと思いますが……!?

新納:ビルドに集中できないという意見も多かったのですが、逆に出なくなると寂しいという意見も多かったんです。だから、アップデートで好きな方を選べるように調整しました。

――ロトのまよけを置いたエリアには敵が出現しなくなりましたね。

新納:モンスターは素材も落としますし、モンスターを利用した遊び方もあると思うので、完全に消すのはできないかなと。とはいえ、落ち着いて作りたいという意見もわかるので、どちらも選べるようにしました。ちなみにアリは想定外でした。開発チームとも話をしたのですが、ゲーム中のアクセントとして考えていたものがよくない方向に出てしまいました。

枝川:一応、ちゃんと町を広げて地形が部屋扱いになってしまえば、アリも出てこなくすることが可能です。ただ、結構遠くからでもこちらを見つけて襲いかかってくるので、わずらわしく感じる方が多かったかと。現在はアップデートで調整済みとなっています。

『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』
『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』


からっぽ島を賑わす個性的な住人たち
アップデートでさらに重要な存在に

――2019年1月31日に実施されたアップデートで、シドーを含むからっぽ島での住人たちのセリフが追加されました。これはプレイヤーさんからの要望を受けてのものなのでしょうか?

新納:これは開発サイドからの要望があっての追加です。今回は開発の最終段階までストーリーの修正等がありましたので、シナリオの担当者にほとんど余裕が無かったんですよ。だから、ゲーム中に繰り返し話しかけることでセリフが変化するというのを本作ではあまり実現できていませんでした。前作では2回目以降に話しかけると本編に関係ないことをいろいろ話すのですが、それが『2』では十分ではなかったんです。シナリオ担当者本人も残念に思っていたようで、できればアップデートで追加したいという要望が、開発終了直後から上がってきていました。じゃあやろうかという話になって、どうせ入れるのならできるだけ早いほうが多くの方に見ていただけると考えて、あの段階での追加になりました。

――一部の部屋レシピを教えてくれるようになったのも、この時からでしょうか?

新納:そうですね、どうせ追加するなら攻略のヒントも出そうと思い、一緒に入れてあります。

藤本:1キャラあたり8つくらいあるので、ぜひみなさん何度も話しかけて、いろいろなパターンを聞いて欲しいですね。

枝川:“労働”しているかどうかでセリフが切り替わるので、昼と夜にそれぞれ話しかけると、だいたい全部聞けると思います。最初は4パターンでいいという話だったのですが、シナリオの担当者が自分からもっと書きたいと言ってきたので、増えましたね(笑)。

――2019年3月28日のアップデートでは、ビルダーハートとアイテムの直接交換が可能になりました。

新納:素材が無限化したとはいえ、やはりビルドする過程で、アイテムは無制限に手に入って欲しいという要望があったので、ビルダーハートの新たな使い道の確保も兼ねて、実装を行いました。ブロックにしろ家具にしろ、1度手に入れたものなら、材料がなくても直接手に入れることが可能です。ただし、レア度などに応じてビルダーハートを支払うことになります。

――そうすると、いかにビルダーハートを稼ぐかが再び重要になってくるわけですね。

枝川:そうですね、開拓地を発展させて、いかに住人たちにビルダーハートを出してもらうかが、これまで以上に重要になると思います。老人や子どもといった明確な役割を持たない職業でも、ビルダーハートを出すことで貢献できると思います。ちなみに老人については、同日に配信されたDLC第2弾“水族館パック”を導入すると、釣りを行うようになります。

『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』
『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』


今後のアップデートおよびDLCについて

――アップデートでさまざまな要素が追加される一方で、追加DLC第1弾“和風パック”と追加DLC 第2弾“水族館パック”も発売されています。こちらについては?

新納:第1弾の「和風パック」では、主に和風の新アイテムと新そざい島などを追加しました。無料アップデートと合わせてプレイヤーのみなさんには満足していただけたようで、安心いたしました。けいじばんにも和風パックを利用した投稿が一気に増えたので、うれしいですね。また、2019年3月28日に発売した“水族館パック”では、新たに“釣り”システムの追加を行っているのが最大の特徴です。チュートリアルも兼ねて新たな島“ツリル島”でいくつかクエストが発生して、女性あらくれタイプの新キャラクター“フィー”も登場するので、ぜひ遊んでいただきたいと思います。

――本作は非オンラインゲームとしてはかなりアップデートやDLCが充実していると思いますが、どこまでを追加で実装するか、次回作以降に生かすかの難しい判断があると思います。その基準のようなものはありますか?

新納:そうですね、これはやっておきたいよね、やっておくべきだよねという要素は、プレイヤーのみなさんからの要望も踏まえて、できるだけアップデート等で追加したいと考えています。ただ、いつまでも続けるわけにもいかないので、逆に本作での実装をまったく想定していなかった要素などについては、今後の課題になると思います。

白石:やはり月額で利用料金をいただいているオンラインゲームではないので、できることに限界はあります。ただ、その中でDLCという形で、うまくやり繰りできればと考えています。

――アップデートやDLCで新たなそざい島が追加されましたが、仲間にできる住人(職業)は追加されませんでした。

新納:住人たちの職業については、本家『ドラゴンクエスト』のドット絵にあったキャラクターを再現することをコンセプトにしています。『ドラゴンクエストⅡ』までに登場するドット絵については、今回の『2』でほぼ全部登場させているので、これ以上の追加……『ドラゴンクエストⅡ』に登場しないドット絵(職業)については、現状では考えていません。

枝川:そういう意味では、釣りをするようになった老人が、新職業と言えなくもないかもしれませんね。行動パターンは完全に新しくなっていますので。

――『ドラゴンクエストⅡ』要素の再現では“はかぶさの剣”が話題を集めましたが、かなり入手条件が特殊なものでした。こちらは広まるのは想定されていたのでしょうか?

新納:あれ、よく見つけられましたよね(笑)。

藤本:なんで見つけられたのかな(笑)。かなり早かったですよね。

枝川:『ドラゴンクエストⅡ』での入手法をなぞっていますし、はやぶさの剣の見た目が好きで、ドレッサーで変更されている方がいれば、いつかは発見されると思っていましたが、予想外の早さでした。はかぶさの剣のアイデア自体は開発初期からあって、普通に入る武器とは別の最強武器という形で入れたいとは考えていました。

新納:“まぼろしの世界”がテーマになっているので、はかぶさの剣もぜひ入れたかったんです。ただ、ここまで話題になるとは予想していなくて、入手法が判明しても「ふーん」くらいで流されるかなと考えていました。だから、この反響は嬉しいですね。

――モンゾーラ島で仲間になるモンゾーラ犬についても『ドラゴンクエストⅡ』のネタだと思いますが……。

新納:そうですね、『ドラゴンクエストⅡ』のエピソードを再現したものです。

――しゃべり方がかなり特殊ですが、何か意味があるのでしょうか?

枝川:あれは私の趣味なのかな(笑)。シナリオの担当者に「枝川さん、どんな子が好みですか?」って聞かれて答えたら、ああなってしまいました。ただ、一応ゲーム内でほかにいないタイプのキャラクターを、という方向性でも考えて決めています。このアイデアの実装は絶対にやりたいと考えていて、同時に誘導などは入れないことも決めていました。でも、これもすぐに広まってしまいましたね。ほかにもムーンブルク島の教会に『ドラゴンクエストⅡ』のムーンブルクの王女の肖像画が隠してあるという隠し要素もあります。

新納:これらを含めて『ドラゴンクエストⅡ』との関係性や再現の部分は、できるだけがんばろうと考えていました。細かいところを含めればもっと存在するので、ぜひ探してみてください。

――最後にプレイヤーのみなさんにメッセージをお願いいたします。

藤本:新たに追加DLC第2弾の“水族館パック”を発売しましたので、ぜひそれを使って新しい作品をけいじばんにアップして、プレイヤーのみなさん同士で見せ合っていただきたいと思います。見てもらうことで評価が集まって、それでランキングへの入賞を狙うのもこのゲームの楽しみ方の1つだと思うので、ぜひ挑戦してください。我々もそれを見て、いいねを押したいと思います。

白石:私からも、配信したDLCをぜひ楽しんでいただければと思います。けいじばんについては、作品がすばらしいのはもちろんですが、時々「配信ありがとう」「アップデートありがとう」みたいなコメント付きの写真をアップしていただいているのが、非常に励みになります。引き続き、各種機能をフルに活用して楽しんでいただければと考えています。

新納:今後については、プレイヤーのみなさんの反応をうかがいつつ検討していければと思います。この取材を受けている時点ではまだ追加DLC第2弾の制作中ですので、まずは第2弾を遊んでいただき、その反響を見ていきたいと思います。

枝川:けいじばんにはスゴい作品が並んでいますが、それを自分の作品と比較する必要はないと思います。見て楽しんで、参考にして、そのうえで自分なりのビルドを楽しんでいただくのが一番だと思います。アップロードもスゴい作品じゃないといけないみたいに気負わず、気軽にやっていけば仲間も見つかると思いますので、自分のペースで楽しんでください。

『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』
『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』

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