News

2019年4月26日(金)

『オルサガ』4周年記念開発者インタビュー。『ゼロ』への想いと、今だから明かされる秘密が大公開!?

文:ライターM

 セガゲームスが配信するiOS/Android用アプリ『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-(以下、オルサガ)』。本作の4周年を記念した、開発者インタビューをお届けします。

 昨年12月にメインストーリー第三部が完結した『オルサガ』。この4月には、公式ビジュアルファンブック3の発売にあわせて、企画展“オルタンシア・サーガ展”も開催されました。さらに6月には、新たなる物語『オルタンシア・サーガ ゼロ(以下、オルサガ ゼロ)』第1章の配信を控えています。

 今回は、開発プロデューサーの田口堅士氏、『オルタンシア国営放送』などでおなじみのでぃでぃえ氏、そしてさまざまなキャラクターイラストを手がけるササギコウシ氏という『オルサガ』3大キーパーソンに、『オルサガ』の今までと今後について語っていただきました。(※インタビュー中は敬称略)

『オルサガ』
▲左からササギ氏、田口氏、でぃでぃえ氏。

メインキャラクターを担当しているのは実は……!?

――まずは『オルサガ』4周年を迎えての率直な感想をお願いします。

でぃでぃえ:あっという間でしたね。ついこの前第3部完結を迎えての4周年ですから、次々と新しいことに取り込んでいて目の前のことで精いっぱいになってしまいますが、4周年を迎えられたことはすごくありがたいです。

ササギ:3部完結までの長大なストーリーがちゃんと完結してよかったなと思います。完結したうえで4周年ですから、とてもうれしいです。

『オルサガ』

――ササギさんはどのタイミングで開発に携わられたのですか?

田口:第1部の主人公を描くところからのスタートだよね?

でぃでぃえ:あの時の名前は“犬塚ぱお”じゃないですか?

ササギ:僕1人で描いたものではないイラストに関しては“犬塚ぱお”という別名義を使っているんですよ。主人公やマリエル(マリユス)、ルギスなど、キャラクターデザインを起こしてくれた方が他にいるメインキャラクターの立ち絵とかは別名義が多いですね。

田口:主人公とかのイラストはすべて犬塚ぱお名義だっけ? 後々1人で描いたイラストも含めて。

ササギ:そうですね。最初に素晴らしいデザインがあってこそというリスペクトを込めて別名義を使っています。ですので、そこからいかにアレンジを加えようとも、名義は“犬塚ぱお”です。

『オルサガ』
▲第1部の主人公

――ということは第1部のキービジュアルを描かれたのはササギさんですか?

ササギ:はい、第1部のキービジュアルは僕が描きました。実はキービジュアルを描くのは初めての体験で、それはもう苦労しました……。

『オルサガ』

田口:こういう構図にしたいとお願いしたら、「そんな構図は描けない」とか「そういう絵はリアリティ的に無理だ」とか、かなり苦労していたようです。

ササギ:あの時はなかなか田口さんと意見というか、話が合わなくて。キービジュアルを見て「ここは海なんじゃないか?」とか「いや空でしょ」とか、揉めに揉めた覚えがあります。

田口:キャラクターが丘の上にいるんですが、それで主題歌のイメージに合わせて風が吹いている高台の下のほうは海なの? 空なの? と。完成までに3カ月くらいかかったっけ?

ササギ:さすがに1カ月くらいですよ!(笑)。

田口:キービジュアル1枚描くのですら揉めて揉めて、「コレ完成するのかな?」と作り続けて4年間、スタートから言うと6年くらいですね。スマホのゲームで4年間運営できるタイトルってそんなにないですし、多くのユーザーさんのおかげで4周年を迎えられたというのは本当にうれしいと感じています。

 ササギ君にしても『オルサガ ゼロ』のキャラクターやキービジュアルなどを制作してもらっていますが、イラストの沿革から彼ら自身も成長してきているなと。

4年間で印象に残っている出来事は?

――この4年間で印象に残っている出来事などありましたらお聞かせください。

田口:そうですね、リリースから1週間後くらいのガチャで盛大な不具合を出してしまいまして……。10連回すと好きなSSRを“1回”だけ確定させることができるガチャで、2回目も3回目も自分で決めたSSRが出続けてしまったんですね。

 その時にガチャを回されたユーザーさんを対象に、好きなカードを伝えていただいて交換するという対応をさせていただいたのですが、あの時のことはかなり印象に残っていますね。その時にご迷惑をおかけしたユーザーの皆様には本当に申し訳なかったなと。

でぃでぃえ:その時にニーナを選んだ方が多くて、わりと強いキャラクターでいきなり4凸するという結果になって、初期からニーナに愛着を持っていただけたという流れになったんですよ。申し訳ないやらありがたいやらと複雑な気持ちでした。

――でぃでぃえさんはいかがですか?

でぃでぃえ:周年や部の完結を体験して、いつも節目はいいなと思うんですよ。もちろんストーリーを作っている側だから内容は知ってはいるんですけど、いざクライマックスを読み返してみるとグッとくるんです。もっとも、毎回そのタイミングで公式ビジュアルファンブックの作業で忙殺されていて、違う意味でもグッときています。

 先日開催した“オルタンシア・サーガ展”を見ても、当初の想定よりも多くのお客様に来ていただいて、豪華な装丁のプリモアートが何枚も売れるようなクオリティのイラストが描けたというのも、『オルサガ』とともに成長してきたイラストレーターチームの歴史があって、なぞるように思い返してみると非常に感慨深いです。

――ササギさんはいかがですか?

でぃでぃえ:最初の頃、ルギスの鎧を描くのにすごく悩んでましたよね?

ササギ:そうでしたっけ……?

『オルサガ』
▲ルギス

ササギ:(しばし思い返した後)あー、鎧なんてまったく描いたことがない時期の最初のイラストですね。僕の尊敬する先輩から、鎧に愛を感じないと2時間ほど説教されたという。ありがたかったですが、当時自分の実力がまだまだと改めて感じて本当につらかったですね。

でぃでぃえ:でもそれがあっての現在じゃないですか。第2部のルギスの正面立ちの鎧はものすごくカッコよかったじゃないですか。僕はいまだに男性キャラクターの中ではルギスが一番好きですよ。

ササギ:そういえば、あのイラストも“犬塚ぱお”名義ですね。“オルタンシア・サーガ展”でやらせていただいたサイン会で、ユーザーさんにササギさんの描いたキャラクターはどれかと聞かれたら、「フレーゲルですね!」と即答していました。フレーゲルは、僕がゼロからキャラクターデザインを起こしたキャラなのでとても愛着があります。

でぃでぃえ:今後は“犬塚ぱお”名義も“ササギコウシ”が描いたと言えますね。

ササギ:もちろん初期デザインへのリスペクトがあるので“犬塚ぱお”名義は残してほしいと思っています。

――ササギさんは、数々のコラボキャラクターのイラストも描かれていますよね。それぞれのコラボ作品のタッチに寄せられているので、『進撃の巨人』コラボ第1弾のリヴァイと『サクラ大戦』コラボの真宮寺さくらを同じイラストレーターさんが描いているとは思いませんでした。

ササギ:ありがとうございます、それはいい意味と解釈させていただいてもいいのでしょうか!?(笑)

田口:今まで『オルサガ』がさまざまな作品とのコラボでユーザーさんから高い評価をいただいているのは、イラストレーターチームのみんなが、クオリティの高いコラボイラストを描いてくれているおかげだと思っています。

ササギ:ありがとうございます。こんなに褒められたのは久しぶりです(笑)。コラボに関しては元のキャラクターのいいところは絶対に捨てたくないというか、表現したいという気持ちで描いていました。そういう意味でもこの4年間、いい経験をさせていただきました。

開発陣のお気に入りキャラクターは!?

――みなさんのお気に入りのキャラクターについてお聞かせください。

田口:僕はこれまでと変わらずデフロットですね。主人公のような優等生タイプよりも、適当だけどカッコイイというキャラクターが一番好みなので。使徒の力と比べれば豆粒みたいなものですけれども、第3部のクライマックスではしっかりと活躍できるストーリーを描けたのがよかったなと。

『オルサガ』

でぃでぃえ:あの最後はベルナデッタと竜騎士のような一枚絵で、カッコよかったですよね! 第3部完結の制作も佳境に入っている段階で、赤火竜の背中から跳躍するデフロットの絵が欲しいっていうオーダーに肝を冷やした思い出もありますが、入れられて本当によかったです。

――でぃでぃえさんのお気に入りのキャラクターは……やはりディディエですか?

でぃでぃえ:それ一番恥ずかしいヤツですよね(笑)。

田口:先のエイプリルフールイベントで、ついにユニット化されましたからね。

『オルサガ』
▲でぃでぃえ部長がついにユニットに!

でぃでぃえ:僕は、ほんのひとセリフでもアツイ奴がいいんですよ。ゲオルグとかはアツかったですね。第1部11章2話で教会勢力のすう勢は決まってきているのに、すべての事情を理解したうえで教会騎士総長の立場を全うしようとするシーンは激アツです。次いでバルカス。統一戦で手に入ったルギスの騎士伝3話で、バルカスがルギスのことを主従の関係を超えて強く励ますシーンは印象的でした。とにかくアツイ思いが伝わってくるキャラが好きなんです。

田口:女の子キャラクターでは?

でぃでぃえ:チヨですね(即答)。登場時からホーム画面でタップしたときのセリフが大好きで、ずっと変わらずに好きです。キレイどころとかセクシーなお姉さんとかもいいですが、チヨのキャラクターと下田麻美さんの声がすごくマッチしていて好きなんですよ。

――ササギさんはいかがですか?

ササギ:カノンですね。ササギコウシ名義としてはたぶん、あの子が一番知名度があると思います。カノンは自分が描いたキャラクターとして初めてコスプレとかしてもらっているので、そんなありがたい思い出とかも含めてではありますけど。

 男性キャラクターなら、やはりルギスですね。彼だけはどうしても自分で描きたくて。漢(おとこ)らしいキャラクターですよね。

『オルサガ』
▲カノン
『オルサガ』
▲なんとなんと! ササギさんにローズの直筆イラスト色紙をいただいてしまいました! 後日、読者プレゼントとして提供しますので、ぜひぜひご応募ください! 超絶レアアイテムですよ!

幻のキャラクター“トン子ちゃん”とは!?

――ササギさんがイラストを描くうえでこだわっている点や、特に苦労されたことがありましたらお聞かせください。

ササギ:初代キービジュアル以外ですと……主人公は毎回苦労しますね。キャラクターをうまく捉えきれていないというか、プレイヤーの分身を、どう描くかということに、いつも悩んでしまいます。

――主人公=プレイヤーということで色付けの難しさもあると思いますが、そのあたりの細かいオーダーはありましたか?

田口:基本的にわかりやすい個性とかはない感じにしているので、あまり深い指示も出していないですね。

ササギ:なので表情はどうしようかといつも迷います。あと、描くうえでのこだわりと言えば筋肉なんですけど、『オルサガ ゼロ』にでてくる、アルベリクをキャラクターデザインから起こさせていただいたのですが、なるべく男臭くならないよう頑張りました。いつもゴツゴツさせちゃうので。

田口:最初は肩幅もパンパンのムッキムキで、だいぶ何段階か減らしたよね。

『オルサガ』
▲アルベリク

でぃでぃえ:バルトハウザーもいつの間にかムキムキになりましたよね?

ササギ:彼はそうですね。結構ムキムキ。

でぃでぃえ:俯瞰で見るのとあおりで見るのとでは2倍くらい体つきが違うから。

ササギ:描いているうちにサイズ感がわからなくなってしまって(笑)。

『オルサガ』
▲バルトハウザー

――ササギさんは他のアプリタイトルでもイラストを手がけられていますが、あまり他タイトルで筋肉キャラというのは見かけないですよね。

ササギ:そうですね、『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』にはちょっぴりいるのですが、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』にいたっては筋肉要素がないというか、入れたら怒られてしまいますね。

田口:描いたとしても絶対に通らないよね。

ササギ:そうですね。そういう意味で筋肉を表現できるのは『オルサガ』しかないので、そこは大事にしたいなと思っています。

田口:ササギ君は、女性だととにかく胸がでかいキャラクターが好きなんですよ。

ササギ:でも昔、好きなキャラクターを描いていいよと言われて描いたら没にされましたよね。

田口:あ~、いたね! みんな『オルサガ』のメインキャラを描いていたので、シナリオに縛られない自分の好きなキャラクターを好きなように描いていいよと言ったら、性癖を全面に押し出したようなイラストを描いてきたので没にしました。描いていいよといっただけで、採用するとはひと言も言っていないので。

一同:(爆笑)。

『オルサガ』

ササギ:なんかインパクトが違う方向になっちゃったという感じで、はい。

――もう一度自由に描いていいと言われたら何を描きますか?

ササギ:そうしたら没になった子をもう1回描きますよ(笑)。

田口:今でも気に入ってるの?

ササギ:実は“トン子ちゃん”という名前がありまして。

でぃでぃえ:なんですか、その名前は(笑)。

――つかぬことをお聞きしますけど、人間の女の子ですよね……? 獣人とかではなく。

ササギ:違います違います。普通の女性です。

でぃでぃえ:ハンマーにまたがっていましたよね。

『オルサガ』
▲これが幻のレア(?)キャラクター“トン子ちゃん”です!

田口:あの時は好きなキャラを描いていいよと言ったんですけど、「そういうことは言うものではないな」と非常に後悔しました。

ササギ:僕に好きなようにやらせると、ああなると言うことですよ(笑)。

『オルサガ ゼロ』に込めた想いとは?

『オルサガ』

――『オルサガ ゼロ』の開発状況はいかがでしょうか?

でぃでぃえ:今のところ6月実装予定です。聖王歴0年あたりの話がようやく始まる感じです。

――八英雄が活躍していた頃ですか?

でぃでぃえ:そうです、今回の『オルサガ ゼロ』は八英雄が活躍するという話になります。

田口:0章で触れたカメリアの会議で何かが起きるというわけではなくて、あそこから一気に『オルサガ ゼロ』の年代へと移ります。エンディングまでの骨子はできていて、それに基づいて終わり方をどうしようとか、いくつか描きたいポイントがあってその辺を調整しつつ書いています。ボリューム的には15章前後をイメージしていて、1年か1年半くらいで描いていきたいなと思っているところです。

――『オルサガ ゼロ』のストーリーとして力を入れている部分や、これを描きたいというものはありますか?

田口:見る人によっていろいろな解釈はあるんですけど、最終的にはハッピーエンドとして終われるようなストーリーにしたいと思っています。とにかく今までの『オルサガ』は悲しいストーリーなので、悲しみに終止符を打てるようなハッピーエンドというのを描きたいと。そのために今までは、主役ではなかったベルナデッタが、どうやって幸せな結末を手繰り寄せるのかを描きたいなと。

 個人的には王道が好きなので、裏切らない、わかりやすいように書いているという感じです。今回は大好きな兄の面影を持つキャラクターとして八英雄のアルベリクも登場するので、ベルナデッタがどのような感情を抱いて過ごしていくかというところもうまく描いていきたいですね。

でぃでぃえ:八英雄が活躍するから、放っておくとベルナデッタが全然出てこなくなりますよね(笑)。

田口:そうなんですよ。英雄が8人もいて、それ以外のキャラクターも結構いるので、ベルナデッタが脇役に埋もれないようにしつつ。

でぃでぃえ:最終的にユーザーさんが求めるのはマリエルの幸せじゃないですか。

田口:それでいうと、ベルナデッタが目指す先にあるのは好意を寄せている主人公とマリエルの幸せで、すべてをわかったうえで過去に向かっているので。もしうまくいったとしても、悲しいところもありますよね。そのあたりはアルベリクもいますし、遠い血脈というだけだから彼を好きになるかもしれないですし。

でぃでぃえ:でもようやくベルナデッタが田口さん好みの外見になったんじゃないですか?

田口:また髪を切らせてしまいましたね。ショートカットになるとみんないい子になるという。

ササギ:ロングヘアーのいい子もたくさんいますけどね(笑)。

田口:もともとベルナデッタは身体が弱くて部屋にこもりきりで、使徒になってカメリアに行ってと数奇な運命をたどってきた子ですし、大きくないとはいえ、一応、領主のお嬢様だからいろいろなことがうまくできないんですよね。

でぃでぃえ:今までいろいろな人の庇護下にあったベルナデッタが、今回は1人で決断して1人で進まなければいけなくなります。あるきっかけで髪を切ることになるのですが、その理由もいろいろと想像してもらえるとうれしいですね。

田口:決して僕の趣味で短くしたわけではないので(笑)。

『オルサガ』

世界観やビジュアルへのこだわり

――『オルサガ ゼロ』のキービジュアルについて、こだわりのポイントなどを教えていただけますでしょうか?

ササギ:今回のキービジュアルは、背景担当の人と一緒に作りました。担当の方と相談し、 “希望が見える構図”を心がけ、『オルサガ ゼロ』で繰り広げられるであろうストーリーの壮大な空気感が感じられるようなものを目標にしようと。

 イラストの右側が現在のオルタンシアで、左側が700年前のアルベリクが住んでいる時代の世界となります。なので微妙に建物の形が違うんですけど、右側(ベルナデッタの方)の建物はマゴニアの戦争が終わった後なので建物がボロボロになっています。

 空は中央が特異点のようになっていて、過去から未来の時間経過として朝と夕方を表していて、右が現代のベルナデッタ、左が過去のアルベリクという形です。そしてここから始まるという意味で、ロゴの位置を現代側に置きました。第1部キービジュアルは左にロゴがあるので、対称な形を意識しました。

 キャラの頭上にロゴを置くことで縦画面にも対応できるという、便利なキービジュアルになっています(笑)。

――今のところそういう使い方をされている場面はないですよね?

ササギ:ないですし、この設定を話すこと自体がほぼ初めてです。あとはキャラクターを地面に立たせているのは、以前のキービジュアルから大きく印象を変えたくなかったので、人物の大きさと背景の大きさは第1部のキービジュアルと近いものにして、並べて見ると違いがわかるようにしています。

――今回のキービジュアルの総合的な判断は、ササギさんが主導されたのですか?

ササギ:いえ、でぃでぃえさん主導で、チーム全員でロゴの位置とかも相談しました。今回は背景担当の人のおかげでキャラクターとバランスに集中できたので、以前よりもクオリティを上げることができて4年間の集大成という感じになっていると思います。

田口:キャラクター的には気をつけたこととかなかったっけ?

ササギ:細かいですけど背中合わせっぽくしたかったので、アルベリクは半身で左を振り返るような感じで。最初は向いている方向を変えようとしたんですけど、やっぱり同じ方向を向いてほしいなということで、2人とも同じ何かを見ているんですよね。その何かというのはきっとでぃでぃえさんが答えてくれると思います。

でぃでぃえ:え? えぇ!? それはもうアレですよ、彼らの行く先、命運を握る何かですよ。

ササギ:以前は表情をあまり入れていなかったんですけど、今回はちょっと寂しそうなというか、これから波乱が待っているぞという顔にしました。

 デザイン的なところでなぜアルベリクの肩が露出しているのかというと、700年前は金属加工があまり発達していないという設定を受けています。その代わりマゴニアの魔力の影響が強かった頃の世界と聞いているので、表面に白い紋様を入れて、魔法で保護された防具というイメージにしました。

――この時代ではルギスのようなイカツイ鎧姿はあまり見られない感じですか?

ササギ:場合によってはですけど、今のところは少なめですね。

田口:時代が違うので、世界観構築が大変なんですよね。

でぃでぃえ:マゴニアの力で今とは違う発展をしているので、その辺りのキーワードとかまとめていくのが結構大変ですね。オルタンシア全土が舞台になるので、すみずみまで想像したり、魔法と言ってもどこまで何ができるのかとか。ストーリーが映えるように、ストーリー8割、世界観2割くらいの味付けになればいいかなと思っています。

田口:キービジュアル以外のキャラクターについて少しお話しすると、せっかく舞台が過去になるということで、「もしかしてこの人は、あのキャラクターの先祖なのでは!?」と匂わせるような仕掛けも入れようかと思っています。

 具体的に何かというわけではなく、口癖がまったく同じであったり、逆に見た目が同じなのに性格が全然違ったり、そういうところも楽しみにしていただければなと思います。

“オルタンシア・サーガ展”と『ビジュアルファンブック3』の制作裏話

――先日開催されたオルタンシア・サーガ展の感想をお聞かせください。

でぃでぃえ:今回、大日本印刷さんが全面的にご協力してくださったので、まずはお礼を言いたいです。パネルなどの印刷も素晴らしく、また大画面で映したオープニングムービーブースは迫力があってすごかったです。『オルサガ ゼロ』のオープニングムービーのフルver.も、あそこが初公開だったので食い入るように見てくれたユーザーさんもいて、、あれだけのものができてすごくよかったと思っています。

――たたみ一畳分という巨大なキービジュアルも途中から展示されましたね。

田口:あそこが初出ですね。本当は間に合わなかったのですが、こんなに来場していただけるのであればお見せしてあげたいなと急遽間に合わせた感じです。キャラクターごとにパネルがあって、その上にシナリオムービーがあったのですが、あれ全部でぃでぃえさんが用意してくれたんですよ。

『オルサガ』
『オルサガ』
『オルサガ』
『オルサガ』
『オルサガ』 『オルサガ』

でぃでぃえ:本当にね、ユーザーさんはみんなムービーとか見てくれて、感動して泣いてらっしゃる方もいたみたいで。海外からいらしてくださった方もいて。本当にありがたいです。想いが詰まった寄せ書きは会社に持ち帰ってすべて目を通させていただきました。

田口:ゲームに思い入れのあるユーザーさんが一番足を止める場所が寄せ書きなので、他の方の絵とか思い入れを見てしまったら、やっぱり自分も時間をかけて何かを残していきたくなりますよね。

ササギ:サイン会は100人ほど来てくださったのでうれしかったです。広島や九州、奈良からいらっしゃった方も。オルサガ愛あふれるユーザーさんに支えられて、本当にありがたいです。ですので、1人1人へ笑顔を絶やさずに対応させていただきました。一緒にサイン会を行った“鮠水ちか”さんも、「プレイヤーと接するこのような機会をとてもありがたく、とてもうれしいことです」とおっしゃっていました。

――せっかくなので、新学期とか入学とか、ササギさんのようなイラストレーターを目指して新たな一歩を踏み出した方々にアドバイスをいただけますでしょうか?

ササギ:まずは好きなだけ絵を描いて頑張ってくださいということ。もしも教えてくれる人がいたら教えてもらって、あとはうまい人がいるところに行ってください。

田口:やっぱり教えてもらったほうがいいの?

ササギ:絵を教えてもらうというより、同じく絵を描く人が周りにいる状況が大切だと思います。1人で絵を描く時間も大切ですが、力を合わせることも絶対に必要です。今僕がこうして続けていられるのは、一緒に力を合わせて頑張れる仲間たちに恵まれたからであって、自分1人では実現できなかったと思います。ですので、とにかくたくさん絵を描き、それから切磋琢磨できる仲間たちと出会ってください。

 もしも、僕の絵に興味があるという方がいれば、f4samuraiまで遊びに来てください。何か言えることがあれば有償提供しますので!

でぃでぃえ:有償なの!?

ササギ:嘘です! もちろん無償ですよ(笑)。

――先ごろ発売された『ビジュアルファンブック3』を制作する過程で苦労されたこととか、印象深かったことをお聞かせください。

でぃでぃえ:印象的と言えばやはり、表紙に描かれたマリエルですね。ずっとマリエルを描いてきた“nakano”さんというイラストレーターさんの作品なんですけど、こちらもオルサガ第3部完結まで色々と描かれてきたマリエルの集大成なんじゃないかと思います。従者マリエルとして始まり、最後は使徒にまでなったマリエルの運命をすべて内包した非常に素晴らしいイラストになったのではと思います。ちなみにササギさんと同様の理由でnakanoさんも“ぷにゃん”という別の名義のイラストも担当されています。

『オルサガ』

田口:第3部は長かったし、イラストの取捨選択は大変でしたよね。

でぃでぃえ:いや本当に。取捨選択といっても捨てたわけではなく全部載せはしたのですが、大きさとか配置には毎回悩まされます。今回はメインキャラが大きくなってしまって、その他のキャラクターを半分くらいのページに収める必要があったんですけど、これとこれを隣り合わせにすればよかったとか本当にいろいろと悩みました。まあその結果、またしてもマクシミリアンを見開きにしてしまったわけですが……。

『オルサガ』
▲マクシミリアン

ササギ:贔屓ですね?

でぃでぃえ:贔屓じゃないですよ! シタトヒダリさんのイラストが好きなのは別にして、マクシミリアンのお爺ちゃんのイラストは個人的に好きだったので。

田口:贔屓じゃん(笑)。

でぃでぃえ:だってイラストのクオリティ高いんですもん! ともあれ形になって、ひとまずよかったです。

田口:結構な部数を購入していただいたんですよね。すぐには追加生産できない状態で、イラスト展に持って行った分もあわやというところ、ぎりぎり何とかなりましたけど。でぃでぃえさんが久しぶりに床で寝るくらい大好評でした。

――修羅場だったんですね。

でぃでぃえ:その分、いいものが作れたと胸を張って言えます!

『オルサガ』

――では最後に『オルサガ』5年目に向けての抱負などをお願いします。

でぃでぃえ:こういうの苦手なんですよね、毎回。前のインタビューでもそんなこと言ったと思うんですけど。

――前回は動画でしたよね。滑り台から滑りながらコメントをいただきました。

でぃでぃえ:もう物理的に滑ったし、結果滑っていましたね。

田口:記事として見たときのシュールさはハンパなかったね。

でぃでぃえ:いよいよゼロが始まります。感動をお届けできるよう頑張っていきますので、これからもオルサガをよろしくお願いします。

ササギ:これからもたくさんキャラクターイラストを描いていきますので、見守っていただければなと思います。

田口:『オルサガ』も5年目に入って、第3部から『ゼロ』に向かうところでどうなるんだろうとユーザーの皆さんが不安に感じている部分もあるかもしれません。お待たせしてしまいましたが、5年目は『オルサガ ゼロ』を定期的に出していって、おもしろいシナリオ、そしてゲームを作っていきたいと思っています。

 5年目、そして6年目のときもまたこうやってインタビューしていただけるように、いい5年目にできるようにしたいと思いますので、これからも『オルサガ』を楽しんでいただければと思います。

――ありがとうございました!

(C)SEGA / f4samurai

データ

関連サイト