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スタッフから見た『STRIKERS』の魅力を徹底検証!!
2004年によみがえる名作STG『STRIKERS 1945』。
制作スタッフの目に、本作はどう映っているのか?
総合的なプロデュースを担当した、タイトーの安河内氏に語ってもらった。
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●レシプロ機への憧れ
 
――第二次大戦中に実在した戦闘機で、STGを作ろうとしたきっかけはなんですか?

安河内氏:
プレイヤーの間口を広げて、多くの人にプレイしてもらおうとしたのが何よりのきっかけですね。第二次大戦中の兵器は知名度が高いですし、「戦闘機が機銃を撃って敵に当たり、爆発する」という感覚がパッと見でわかりやすいですから。

――そうですね、機体のデータ自体は歴史上の情報として存在していますね。

安河内氏:ゲーム中では、もちろん性能を脚色している部分もかなりあるんですけど(笑)、それでもオリジナルの機体をデザインして動かすよりはわかりやすいんじゃないでしょうか。あと、個人的にもレシプロ機(プロペラがついている飛行機)が好きなんです。現代の戦闘機は流線型で、すごくカッコよくはあるんですが……なんだか、ワビサビみたいなものがなくて。あまりにも実用的すぎるきらいがあるんですね。レシプロ機は確かに古臭いですけれど、味があって設計も自由度が高いんですよ。『II』のフライングパンケーキも、実験段階止まりではありましたがきちんと飛びますしね、あのデザインで(笑)。このゲームの世界設定は第二次大戦終了時なので、パンケーキのように実戦には投入されなかった機体でも、世界の裏ではこんなことが起こっていたんだよ……という「if」の世界で空を飛ばすことができました。

 
 
●初心者からヘビーユーザーまで楽しめる奥深さ
 
――本作のセールスポイントはなんですか?

安河内氏:
繰り返し遊んでも飽きが来ない、でしょうか。アーケードゲームとして、長期のプレイに耐えるような企画で作られていますので。かなり長い時間遊んでも飽きが来ず、たまにちょっと思い出して遊んでもじゅうぶん楽しめる、という。単純なように見えて奥が深いんですね。STGならではの弾よけもあれば、戦略性を必要とするさまざまな攻撃方法もある。

――金塊のボーナスとか、やり込み派の人をくすぐる要素もありますよね。

安河内氏:そうですね、光っているときに金塊を取るとボーナスが飛躍的に増えるとか。ステージ全体が割と短めなので、飽きる前に次の面が始まるというのもポイントです。そのリズム感は、制作時に注意した部分でもあります。

――なるほど。

安河内氏:あと、単なる覚えゲーではない、という部分もありますね。アドリブでもけっこうなんとかなってしまう。もちろん、敵の性質やパターンを覚えておくと、さらに攻略しやすくなる。

――そうですね、いわゆる「弾幕ゲーム」に比べると「こりゃダメだ!」と投げたくなる局面は少ないと思います。


安河内氏:
ある程度の反射神経は要求されますが、難易度を調整したり何度かプレイを繰り返したりすれば「こりゃダメだ!」はなくせると思いますよ。そういう、やる気を刺激されるバランスも特徴の1つです。

――『I』と『II』それぞれの特徴はなんでしょう?


安河内氏:
一番大きいのは、タメ撃ちの使い方が変わった点でしょうか。『I』は護衛機によるフォーメーション攻撃、『II』はスーパーショットと変更されています。タメて撃つのは両方同じですが、『I』はタメさえすれば何度でも撃てる。それに対して『II』は、ゲージをためないと撃てない。ゲージがレベル3まで行くと、ボムよりも強力な攻撃になる機体もありますしね。

――せっせとゲージをためているときに撃墜されると、ものすごくしょんぼりします……。


安河内氏:
はっははは(笑)、そうですね。どこで使うか、という戦略性は、『II』の大きな特徴です。

――PS2版ならではのセールスポイントはありますか?


安河内氏:
業務用と同じような環境で遊べるようにするための、3種類の画面モードですね。PS2版を出すことが決まったときに、「テレビを横置きできるモードは必ず入れよう!」と話していたんですよ。

――その他の2つの画面モードはいかがでしょう。

安河内氏:
オリジナル1は、家庭用テレビの横長画面に合わせて調整したモードです。画面は固定で、スクロールしません。オリジナル2は縦横比がアーケードそのままなんですが、上下に若干スクロールします。その分、敵と自機の距離は忠実に再現されていますよ。

――オリジナル1と2で、異なっている部分は縦横の比率だけでしょうか?


安河内氏:
オリジナル1と2では、敵と自機の距離が変わるので、遊びやすいように敵弾の速度を調整していますね。

 
 
●驚きのネーミングセンス! 「追憶のタネガシマ」
 
――嫌いなボス敵はいますか?

安河内氏:
ボスというか……ええと、順を追って説明しますね。『STRIKERS 1945』は、第1~4面まではランダムで選ばれるんですが、5面以降は固定になります。それで5面以降は、コンティニューをしても「その場から」ではなく「面の最初から」始まることになるんです。しかも、敵の攻撃はどんどんいやらしくなりますから……嫌いなのは、5面以降の展開、でしょうかね(笑)。5面以降に登場するボスは全体的にいやらしいですしね。

――『I』の“カニ”とか(笑)。


安河内氏:
いやらしいですねぇー。倒してもまた変形して襲ってくるし。大抵のプレイヤーは、あそこでコインをもう1枚、といった感じでしょうね。

――私がまさにそうでした(笑)。


安河内氏:
7面の「追憶のタネガシマ」もそうですが、後半面の敵は全体的にいやらしいですね。

――は? た、「タネガシマ」?


安河内氏:
ボスにそういう名前がついてるんです(笑)。資料を持ってきましたので、ご覧ください。

――……(唖然)。これ、公開させてもらってもいいですか?


安河内氏:
ええ、どうぞ。

 というわけで、電撃オンラインはタイトーの全面協力によって秘蔵資料の入手に成功した! 全てのボス敵の名前を一気に公開するので、耽美かつ個性的なネーミングセンスを堪能してほしい。特に後半面のボスは名前が「?」になっているので必見だ。

■『STRIKERS 1945 I』ボス名一覧
種別
ステージ
ボス名
前半
ランダム
ステージ
日本
大和級戦艦「紀伊」
ドイツ
地上戦艦「ドーラ マスカー」
アメリカ
空中要塞「XFB-1」
ソビエト
飛行戦艦「ハバロフスク」
後半固定ステージ
5面
ミサイル発射基地「サムソン」
6面
UFOロボ「ガラムマサラー」
7面
凶悪宇宙獣「追憶のタネガシマ」
可変爆撃機「男色のバラス」
強襲着陸艇「狂乱のマッチャ」
8面
最終防御装置「メカ・キャニー」

■『STRIKERS 1945 II』ボス名一覧
種別
ステージ
ボス名
前半
ランダム
ステージ
中ボス・爆撃機「ギガント」
ボス・零式大型飛行艇「須弥(しゅみ)」
中ボス・戦艦「長門(ながと)」
ボス・超弩級空母「アイアンカスケット」
ボス・空中戦間「アイアンカスケット」
鉱山
ボス・装甲列車「ゴライアス」
後半固定ステージ
5面
巨砲要塞「ロンメル」
6面
巨大潜水艦「クロスシンカー」
7面
中ボス・「CANNY I」または「CANNY II」
ボス・特殊戦車「ブロック・エイド」
8面
中ボス・試作光学兵器「B・B」
ボス・生物兵器「F・G・R」


――こうして見ると、『II』のボスは全体的におとなしいネーミングですね。

安河内氏:
そうですね。

――しかし「タネガシマ」はすごいな……。


安河内氏:
同じ面の「男色のバラス」もいい味出してます。『I』は5面以降やりたい放題(笑)。


●『I』と『II』両方に登場する機体、ライトニングと震電
 
――さまざまな機体が登場する『STRIKERS 1945』ですが、ライトニングと震電だけは『I』と『II』の両方に登場しますよね。これはどうしてですか?

安河内氏:
最もオーソドックスで使いやすい機体と、最もクセがあって上級者向けの機体、相反する2機だからこそですね。『II』の制作時はその対極する2機を残して、他の機体をピックアップしていきました。『II』を作るときに、『I』で出せなかった機体とか、知名度はあるのに出せなかった機体などがあるので、それを登場させましたね。


●なぜ、いま、『STRIKERS 1945』なのか
 
――では最後に、なぜいま『STRIKERS 1945』が登場することになったのかをお聞かせください。

安河内氏:
はっきり言って……STGって、今現在あまりプレイされてないですよね。そんな状況で、基礎に立ち返った『STRIKERS 1945』をリリースすることで、あまりSTGをプレイされない方にも良さをわかってほしいという狙いがあります。裾野を広げて、STGというジャンル自体を盛り上げることができればいいな、という。タイトーのSTGというのは基本的なツボを抑えていますので、プレイヤーの皆さんにも楽しんでもらえるのではないでしょうか。

――間口は広く、しかし奥が深い『STRIKERS 1945』だからこそ、というわけですか。


安河内氏:
そうですね。本作をプレイしておけば、いわゆる弾幕系のSTGにも目が慣れて対処できるようになると思いますし。タイトーの『シューティングコレクション』シリーズは今後もリリースしていく予定ですので、ご期待ください。

――ありがとうございました!


話を聞いた人:安河内氏
本作では全体的なプロデュースを担当。「インタビューを受けるのは初めて」とのことで少々緊張気味だったが、笑顔で質問に答えてくれた。むしろインタビューに行った人間の方が、なぜかガチンガチンに緊張していたのはヒミツだ。

安河内氏のおすすめ
機体はこれだ!!

1.P-38 ライトニング
2.F-5U フライングパンケーキ
3.キ84 疾風
 ライトニングは、やはり初心者向けな点がプッシュの理由。ホーミングミサイルを搭載しているので、気がつくと敵を倒してくれてるのが便利なのだとか。フライングパンケーキも同様の理由で、サーチレーザーによってザコ敵を比較的楽に倒せるのが魅力。疾風は、『I』の零戦のフォーメーション攻撃をサブウェポンとして受け継いでいる点がポイントとか。スーパーショットも強く、オールマイティな機体と言える。
安河内氏も、ヘビーユーザー代表・HAL氏と同じく疾風をオススメに挙げた。『II』をプレイする際には、ぜひ使ってみよう!