無敵鋼人ダイターン3

◆メディア:TV ◆放映年月日:1978年6月~1979年3月
◆話数:全40話 ◆監督:富野喜幸(現:富野由悠季)
◆キャラクターデザイン:塩山紀生、小国一和 ◆メカニカルデザイン:大河原邦男
あらすじ

 華やかなりしシン・ザ・シティ。その陰には肉体を機械化し、エゴをも増大させたことによりスーパー人間を自称する、ドン・ザウサー率いるメガノイドの魔の手が伸びていた。だが、脅威にさらされた人々、そしてメガノイドたちの間でウワサとなっている男がいた。その名も破嵐万丈! 美人コンテストを開催した富豪サンドレイク卿。しかし、その狙いは美女たちをメガノイドに改造することにあった。会場に乱入した万丈は、アシスタントのビューティフル・タチバナ(愛称:ビューティ)、そして潜入捜査を行っていたインターポールアカデミーの生徒、三条レイカとともにサンドレイクを追い詰める。だが、サンドレイクは巨大形態メガボーグへと変身させる。万丈もまた巨大ロボット、ダイターン3を呼び出し、世のため人のためサンドレイクの野望を打ち砕くのであった。
 ビューティ、レイカの2人の美女アシスタントに加え、執事のギャリソン時田、わんぱく少年トッポ(戸田突太)とともに、快男児として名高い富豪・破嵐万丈の戦いは続く。

キャラクター

 ある意味、この作品の魅力のすべてを背負うキャラクター、それが主人公の破嵐万丈である。万丈は、洒脱でダンディな二枚目かと思いきや、ときとして三枚目すらも演じてみせる。また、明るいスーパーヒーローでありながら、メガノイドに対しては常軌を逸したといっても過言ではないほどの深い憎しみをのぞかせる……。しかも、最終話でドン・ザウサーをして「メガノイドか?」と言わしめるほどの怪力を随所で発揮しており、その正体は結局最後まで謎に包まれたままなのである。最終話での万丈が残した最後のセリフ「僕は……いやだ」もまた、多くの謎を残している。このように、万丈という男が持つキャラクター性は、ミステリアスかつ奥深いものであった。ダイターン3搭乗時に発するお約束の口上も、彼がいうからこそ凛々しく、カッコよく映えるのである。
 なお、この作品の放映終了後に富野喜幸総監督自らが筆をとり、破嵐万丈を主人公としたスピンオフ小説『破嵐万丈』シリーズ全4巻が刊行されている。こちらでは、TV版とは異なる万丈の活躍が展開されている。

用語1

●マサアロケット

 万丈が火星から脱出する際に使用したロケット。全長2600メートルと非常に巨大であり、万丈邸近くの海底に隠されている。ダイターン3も待機時には、このロケットの内部に格納される。高性能のマザー・コンピューターを内蔵しており、1人でも操縦が可能なほか、機体の最先端部は脱出カプセルになっている。ちなみに、最終話ではビューティ、レイカ、トッポ、ギャリソンそれぞれに推進力をアップさせた量産型が与えられ、メガノイドの陽動を行った。全機が撃破されてしまったものの、パイロットは脱出カプセルによって、ことなきを得ている。

©創通・サンライズ


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ストーリー

 子ども向けのロボットアニメらしからぬハードなストーリー展開で視聴者に衝撃を与えた、前作『無敵超人ザンボット3』。『無敵鋼人ダイターン3』はその後番組にあたる作品である。総監督も前作から引き続き、富野喜幸(現:富野由悠季)が担当しているが、その作品テイストは大きく異なるものになっている。前作はある意味でリアリティを追求した作品だったが、それとは一転し、『ダイターン3』はコメディチックな要素を多く内包した作品に仕上がっている。「ダイターン、カムヒア!」と万丈が叫べばどこにでも現れるダイターン3、そしてダイターン3への搭乗時の「世のため人のため、メガノイドの野望を打ち砕くダイターン3……」といったケレン味溢れる前口上などは、その最たるものである。さらに、イギリス映画『007』を思い起こさせる万丈の奇想天外な活躍もまた、みどころの1つとして、この作品の特徴となっている。

メカ

 メカニック面でも盛り込まれたユーモアが光る。「日輪の力を借りて……」と、お決まりのセリフとともに放たれる必殺技のサン・アタックは、お約束が持つ様式美を感じさせるものであった。また、ダイターン3はロボットでありながら表情豊かで、第26話においては、敵に酒を飲まされて酔っ払ってしまうというシーンも存在した。余談だが、ダイターン3には武装としてなんと股間にダイターンミサイルが内蔵されており、これが登場したときにはスタッフが放送局から怒られたという逸話も明らかになっている。
 なお、ダイターン3は当時の作品としては珍しく、1体のロボットが3形態に変形する点も特徴の1つであった。さらに、コクピットも戦闘機形態のマッハアタッカーと自動車形態のマッハパトロールに変形するという斬新なものだった。

用語2

●メガノイド

 本来は破嵐創造が開発した火星開発用のサイボーグであったが、ドン・ザウサーによって率いられ、造物主たる創造らに反乱を起こした。肉体だけではなくエゴまでもが強化されており、スーパー人間を自称し、全人類をメガノイド化して銀河を征服するために地球へと魔の手を伸ばす。しかし、現在ドンは意識を失った状態にあり、実質的に頂点に立っているのはドンの腹心・コロスである。
 コロスはドンの命を受け、前線指揮官であるコマンダーに指令を下す。コマンダーの多くはほとんど人間と変わらない姿をしており、なかには人間社会にまぎれこみ、その力を利用して高い地位を築いている者もいる。なお、コマンダーはマクロ・メカを用いることにより、メガボーグと呼ばれる巨大戦闘形態に変化することが可能である。また、コマンダーごとにデザインや機能が異なるデスバトルという母艦を与えられている場合も多い。