◆メディア:TV | ◆放映年月日:1980年3月~1981年2月 |
◆話数:全50話 | ◆チーフディレクター:神田武幸、田口勝彦 |
◆キャラクターデザイン:宇田川一彦 | ◆キャラクター原案:新谷かおる |
◆デザイン協力:出渕裕 | ◆メカニックデザイン:サブマリン |
西暦2050年、宇宙に進出した地球人は、木星に移住するまでにいたった。木星の衛星イオを故郷とする檀闘志也は、宇宙博を観覧するため地球のトリニティシティを訪れる。しかし、未確認飛行物体が現れ、トリニティシティへの攻撃を開始。闘志也と、トリニティシティの責任者である風見博士の助手ジュリィ野口は、展示中のロボット空雷王と海鳴王でこれを迎撃する。一方、これと前後してイオもまた謎の勢力、エルダー星人の攻撃によって占拠されてしまった。家族を失いつつもイオを脱出した吉良謙作(キラケン)は、トリニティシティにて旧知の闘志也と再会。彼もまた陸震王のパイロットとして、エルダー軍と戦うこととなる。そして、3機のロボットは風見博士が発見したトリニティエネルギーによってゴッドシグマに合体し、エルダー軍のコスモザウルスを打ち砕くのだった。
イオを我がものとした、エルダー軍の目的……それは、風見博士が発見したトリニティエネルギーの奪取にあった。250年後の未来、地球人はトリニティエネルギーの発達によって力をつけ、宇宙連合を率いて全宇宙を支配していた。エルダー軍の総司令テラルは、トリニティエネルギーの謎を解明し、地球人による支配を回避するために未来から送りこまれたのである。だが、テラルは幾度となくゴッドシグマに敗北を喫し、イオのコスモファクトリーにいる闘志也の父・太一郎を模したアンドロイドを使っての暗殺作戦も失敗する。そんななか、風見博士を訪ねてきた息子のヤスジが、エルダー軍から風見を助けるために生命を落としてしまう。
なんといっても驚きなのが、風見博士の裏切りである。ロボット作品に博士の存在は不可欠といってもよく、味方組織の司令官的立場にあることも多かった。この作品もその例に漏れないのだが、風見博士は物語が進むに従って、マッドサイエンティスト的側面を急速に浮上させ、最終的には闘志也たちを裏切ってガガーンに寝返ってしまった。狂気にとらわれてしまったかのようなその言動は、視聴者たちに大きな衝撃を与えた。しかし、風見博士の裏切りは決して突拍子のないものではなかった。第10話において、3年も会っていない息子のヤスジとの面会を拒絶。闘志也に「心が通っていない」と責められ、「君と私とでは平行線だ」と返すなど、序盤からその端緒は見え隠れしていたのである。
ちなみに、キャラクター面でのトピックとして、この作品のキャラクター原案を、『エリア88』で知られる人気マンガ家の新谷かおる氏が担当したことも特記しておこう。
エリダヌス座イプシロン星系にある星。2300年より元老院の命で派遣されたテラルらは、木星の大赤点からエネルギーと原料をとりこみ、小型宇宙生物に武器をプラスし、重金属で仕上げたコスモザウルスを兵器として用いている。なお、エルダー星人は、本星のほかにSP星とMZ星という星を領有していたが、地球側のトリニティエネルギー砲により壊滅させられた。
エルダー星は、10.7光年離れた太陽に似た星として、1961年のオズマ計画(地球外知的生命体探査計画)に取り上げられていた星である。しかし、2050年現在のエルダー星と2300年のエルダー星とでは細部が異なっており、ひょんなことから2300年のエルダー星の写真を入手した闘志也たちは、そこからテラルたちが未来人であることを推測した。
ちなみに、オズマ計画は天文学者フランク・ドレイクらが、1960年にアメリカ国立電波天文台で実際に行った計画である。
©東映
従来のロボット作品では、ほとんどの場合、正義は主人公側にあった。それがこの作品ではある意味逆転している。敵であるエルダー星人は未来からやってきた軍勢で、その最終的な目的は地球人による全宇宙支配を阻止することなのだ。テラルが男性の身体に女性の精神を持つこととなったのも、地球人を中心とした宇宙連合に肉体の持ち主であった本当のテラルが殺されたためである。いわば、エルダー軍の侵攻目的は自衛に過ぎず、彼らから見れば地球こそが諸悪の根源なのだ。
一方、攻撃を受ける地球側も物語の舞台となる2050年の段階では、エルダー軍に襲撃されるような理由は持っていないので、こちらもまた正当防衛といえる。地球人とエルダー星人、互いの正義がぶつかり合う形でストーリーは進んでいく。だが、私利私欲でトリニティエネルギーを支配しようとするガガーンの登場によって、両陣営の代表者である闘志也とテラルがわだかまりを越えて手を取り合っていくさまは、視聴者の感動を呼んだ。さらに、ガガーンに司令官の座を追われたテラルの呼びかけで、太一郎たち一般市民も立ち上がり、ガガーンに立ち向かう姿も描かれるなど、斬新な要素が多かった。
主役ロボットであるゴッドシグマが、3機の人型ロボットが合体して誕生する巨大ロボットの元祖ともいうべき存在である点に注目したい(より正確には、1976年の『UFO戦士ダイアポロン』、1979年の『闘士ゴーディアン』などで人型ロボット3機による合体ロボットは登場していたが、前者は不要部分が収納される物理的に困難な合体であり、後者は合体というより収納であった。このほか、必殺技としての使用ならば、ほかにも3機合体ロボは存在する)。
第27話から第28話にかけて行われた、追加武装シグマブレストの開発によるパワーアップもみどころ。『マジンガーZ』から連綿と受け継がれる、ロボット作品の醍醐味の1つといえるだろう。また、同じ東映ロボット作品である『超電磁マシーン ボルテスⅤ』から、ロボットが剣をメインの必殺武器として使用するようになったのだが、この作品でもそれを踏襲。毎回決め手として繰り出される無双剣の一撃には、「唐竹割り」や「十文字斬り」などさまざまな技名が付けられていた。
ちなみに、当時のこの作品の設定本などではゴッドシグマの全長を265メートルとしていることがあった。これは、数あるロボット作品に登場するロボットのなかでもトップクラスの巨大さとなる。しかし、放映終了後に修正されており、現在では全長66メートルとするのが一般的となっている。
風見博士が発見したエネルギー。西暦2300年代には、トリニティエネルギーを用いて地球が台頭しており、エルダー星をはじめとした星々の平和を脅かしていた。2300年当時の地球が所持するトリニティエネルギー砲は、惑星を壊滅させる力を持っている。
イオでしか採掘されない鉱石イオニウムは、トリニティエネルギーを蓄積する性質を持っており、ゴッドシグマへの合体には不可欠なものであった。また、トリニティシティにはトリニティエネルギーの発生装置が設置されており、幾度となくエルダー軍の標的となった。