◆メディア:OVA | ◆放映年月日:1988年3月1日 |
◆話数:全1話 | ◆監督:高橋良輔 |
◆キャラクターデザイン:塩山紀生 | ◆メカニックデザイン:大河原邦男 |
百年戦争末期。ヨラン・ペールゼン大佐が創設した特殊部隊、通称「レッドショルダー」に配属されたキリコは、配属早々、共食いと呼ばれる生死をかけた入隊試験に挑まされる。ともに試験を受けるバージル・カースンを助けつつ、グレゴルー・ガロッシュ、ムーザ・メリメ、バイマン・ハガードらの容赦ない攻撃を退けたキリコは、無事に隊員として認められるのであった。
何と言ってもペールゼンの異能生存体(キリコ)にかける執念が本作の原動力。ペールゼンの存在はシリーズの屋台骨ともなる非常に重要なファクターなので、その行動理念はぜひとも理解しておきたい。また、再登場となるグレゴルーたちとキリコの乾いた友情に憧れるストイックなファンも多いはず。『ザ・ラストレッドショルダー』では描かれなかった彼らの人間関係を埋めてくれる。さらには、有能な将官でありながら、異能生存体を否定することしかできず、しかもそれを果たせないリーマンの通常人としての悲哀も感情移入の対象だろう。
正式名称はメルキア戦略機甲兵団特殊任務班X-1(この他いくつかの呼称が確認されている)。ヨラン・ペールゼン大佐によって創設された部隊で、使用するATの肩が赤く塗られていたことから「レッドショルダー」と呼ばれることになった。隊員の練度が極めて高いエリート部隊であったが、惑星サンサでの虐殺行為が発覚し、「吸血部隊」として恐れられるようになった。ペールゼンの失脚により、百年戦争の終結とともに解体されている。
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『ボトムズ』シリーズにおいては、そのミリタリズムを構成する最重要要素とも言える特務部隊レッドショルダー。だが、キリコが過去に所属していたというその部隊の詳細は、TV版では断片的にしか語られてはいなかった。だが、本作では『レッドショルダードキュメント』のサブタイトルが示すとおり、レッドショルダー時代のキリコのストーリーが描かれている。前々作(時間軸的には後)『ザ・ラストレッドショルダー』で初登場した、ペールゼンとキリコの確執がさらに踏み込んで描かれており、『ボトムズ』シリーズを理解するためには、決して欠かすことのできない作品となっている。
戦争ものとしての側面が強い作品だけに、登場するATも戦場色にあふれたものとなっている。たとえばキリコ達が終盤で乗るスコープドッグターボカスタムは、『ザ・ラストレッドショルダー』に登場したものと形状的にはほぼ同一だが、長期侵攻に備えた補給物資などを背面に装着するなどのマイナーチェンジが施されている。また、リーマン率いるレッドショルダー仕様のスコープドッグの暗闇に浮かび上がる赤い肩の不気味な演出や、ローラーダッシュによる流れるようなアクションなど、AT戦闘の迫力も際立つ作品であった。
人類においては約250億分の1の確率で発生しうる、生存確率の高い死なない人間のこと。単に肉体的に強靭であるだけでなく、極めて高い治癒能力を持つ。さらには環境を変化させたり、偶然を利用するなどして結果的に死ぬことがない。逆説的に、もし死んだのならば、それは異能生存体ではない、ということになる。「異能者」と呼ばれることもあるが、これがワイズマンの前身となった突然変異者と同じものかどうかは不明。なお、異能生存体は人類以外の種でも発生しうる。