獣装機攻 ダンクーガ ノヴァ

◆メディア:TV ◆放映年月日:2007年2月〜5月
◆話数:全12話 ◆監督:大張正己
◆キャラクターデザイン:KAZZ ◆ダンクーガコンセプトデザイン:村上克司
◆メカニックデザイン:大張正己、中北晃二
あらすじ

 時は22世紀。大規模な戦いこそ起こらないものの、世界の各地では紛争が頻発していた。そんななか、善悪や思想を問わずに劣勢に立たされた勢力に味方する謎のロボットが出没してはちまたを騒がせていた。ある日、モデル兼レーサーの飛鷹葵は、ドラゴンズハイヴと呼ばれる謎の施設へ連れ去られてしまう。そこには、葵と同じように、警視庁の麻薬捜査官である館華くらら、敏腕サラリーマンのジョニー・バーネット、ホームレスの加門朔哉が集められていた。ドラゴンズハイヴの司令官である田中は、彼女たちを謎のロボットのダンクーガノヴァのパイロットとしてスカウト。田中の強引ないい分に拒絶した葵たちだったが、無理やり小国の紛争に介入させられてしまう。4人はそのときの刺激が忘れられなくなり、ダンクーガノヴァのパイロットとして戦うことを決意するのだった。
 自分たちが選ばれた理由も、ダンクーガノヴァが弱者に加担する理由も知らされぬまま、各地の紛争に介入を続ける葵たちチームDは、戦いのなかで赤いダンクーガ─R-ダイガン─と遭遇する。R-ダイガンは、ときにチームDに手を貸し、またときに敵として立ちはだかる……。

キャラクター

 この作品の主人公であるチームDの面々はクールで無関心を装っており、血気盛んだった前作『超獣機神ダンクーガ』の獣戦機隊とは対照的なキャラクターである。そんな彼女たちが、次第に獣の野性を内包した熱さに目覚めていくさまこそが、この作品のメインテーマだ。ちなみに、放映以前に大張氏は「ダンクーガは青い光でクールに燃えるイメージ」という発言をしている。そのイメージが結実したキャラクターこそがチームDなのであろう。キャスティングについても見逃せない。ドラゴンズハイヴの司令官であるF.S.の声優が、前作で藤原忍を演じた矢尾氏であるのは先述のとおり。それに加え、F.S.の協力者であるアースWILL(およびボスであるムーンWILL)は、前作で獣戦機隊のライバルとなったシャピロ・キーツを演じた若本規夫氏が担当している。旧作での敵と味方のキャストが手をとって戦う構図だが、これは「忍とシャピロが力を合わせなければ勝てない大きな敵」というイメージが込められてのことだったという。さらには、R-ダイガン陣営のウラジミール役として、前作で結城沙羅役を演じた山本百合子さんが再登場。第8話のゲストキャラクター、神官ローサ役として前作でローラ・サリバンを演じた藤原理恵さんが起用されるという、前作ファンを意識した要素も多数あった。

用語1

●ドラゴンズハイヴ

 100年前に隆起して現れた龍牙島に本拠を置く、ダンクーガノヴァの秘密基地。世界的企業体イゴールコンツェルンの総裁であるF.S.(フォグ・スウィーパー)を責任者として、紛争の拡大防止を目的として、国際連盟の各国から強力な支援を取りつけている。ただし、F.S.とメインコンピューターWILL(アースWILL)の意図には謎が多く、ダンクーガノヴァのパイロットであるチームDに直接指揮を下す上司である田中司令にも、ダンクーガノヴァの真の目的など多くは知らされていない。
 建造物としてのドラゴンズハイヴは、その名のとおり龍を模した外観を持つ基地だが、第11話ではドラゴンそのものの姿をした移動要塞としてその全貌を現し、チームDの母艦となっている。なお、ダンクーガノヴァのほか、その行動をサポートする潜水艦D−ポセイドンや、輸送機D−フェニックスなどの兵器も所有している。

©藤原忍/ダンクーガ ノヴァ製作委員会


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ストーリー

 この作品は1985年に放映された『超獣機神ダンクーガ』の流れをくむ作品である。ストーリーに直接のつながりはないものの、大張監督やキャラクターデザインのKAZZ氏(只野和子)ら、前作で中核として活躍していたスタッフが参加。ダンクーガノヴァの名の由来が、「かつて地球を救ったロボット」から付けられたという設定になっているほか、その事実をチームDに説明するF.S(. 声優は前作で主人公の藤原忍を演じた矢尾一樹)が、「やってやるぜ!」の決めセリフを叫ぶなど、随所に前作との関連をにおわせる、ファンなら思わずニヤリとしてしまうような作品に仕上がっている。「やってやるぜ!」はシリーズおなじみの決めゼリフとして、この作品ではチームDの面々(主に葵)も「やってやろうじゃん!」「やってやるわ!」など、形を変えて用いており、最終回ではそのまま「やってやるぜ!」として熱く叫ばれている。『超獣機神ダンクーガ』が残した魂は、「やってやるぜ!」の言葉とともに新時代に受け継がれたのである。
 なお、この作品には『超獣機神ダンクーガ』のみならず、過去に葦プロダクション(現:プロダクションリード)が手がけた作品に対するオマージュが数多く盛り込まれているので、探してみるのも面白いだろう。

メカ

 『超重神グラヴィオン』同様、CG全盛の時代でありながら、あえて手描きにこだわった大迫力の大張氏のメカアクションが白眉! もちろん、前作『超獣機神ダンクーガ』と同様、この作品でもメカニックデザインも担当している。ヒーロー然としたダンクーガノヴァのオオバリズムに満ちあふれた活躍に注目したい。ゴッドビーストモードへの変形、マックスゴッドへの合神など、正統派ロボット作品らしいパワーアップ劇も、もちろん大きなみどころである。なお、この作品でダンクーガコンセプトデザインを務めたのは、かつてバンダイ(ポピー)で数々の人気ロボットを生み出した、工業デザイナーの村上克司氏。
 『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』に登場する、『宇宙大帝ゴッドシグマ』や『六神合体ゴッドマーズ』も彼の手によるものである。だが、1985年の『超獣機神ダンクーガ』の放映時には、その超合金デザインを担当することができず、心残りだったという。約20年もの歳月を経て、ゴッドビーストモードという新ギミックを盛りこみ、リベンジを見事果たしたのである。

用語2

●WILL

 ドラゴンズハイヴが擁するメインコンピューター。だが、その正体は宇宙の彼方から飛来した、戦争によって母星を失った自我を持つ機械─無機知性体─の生き残りである。彼らは同じ過ちを繰り返させないため、宇宙の番人となる道を選び、数十億年前から地球生命体の進化を見続けていた。ドラゴンズハイヴのアースWILLは、長きに渡る観測から人類の多様性に可能性を感じて彼らを守護。一方で、新たに飛来した月のムーンWILLは、人類を宇宙の根幹から揺るがしかねない脅威として判断し、地球を滅ぼそうとする。これに対応するため、アースWILLとF.S.で作りあげたのがドラゴンズハイヴとダンクーガノヴァであり、その覚醒を促すべく作られたR−ダイガンもまた、アースWILLによってもたらされたものである。