真(チェンジ!!) ゲッターロボ
世界最後の日

◆メディア:OVA ◆発売年月日:1998年8月〜1999年5月
◆話数:全13話 ◆監督:川越淳
◆キャラクターデザイン:羽山賢二 ◆メカニックデザイン:山田起生
あらすじ

 宇宙の彼方より飛来する、未知のエネルギー・ゲッター線。ゲッター線研究の第一人者である早乙女博士は、月面基地にてゲッター線の実用化に成功した。だが、突如として現れた謎の生命体・インベーダーにより、月面基地が襲撃されてしまう。人類はゲッターロボを筆頭とするスーパーロボット軍団により、インベーダーの全滅に成功。のちに月面インベーダー戦争と呼ばれる戦いは終結。そして、3年の月日が流れる。 
 つかの間の平和を謳歌していた人類。だが、そんななか突如として死んだはずの早乙女博士が復活し、無数のゲッターロボGを率いて人類に敵対する。事態を収拾すべく、国連は早乙女博士殺害の容疑で投獄されていた元ゲッターチームのリーダー・流竜馬を召喚。早乙女博士を殺すため早乙女研究所へと向った竜馬は、ゲッターロボ単機でゲッターロボGの大軍を蹴散らしていく。

キャラクター

 石川賢氏の原作版は、初代『ゲッターロボ』のころから少なからずバイオレンス要素が盛り込まれた作品であった。有名なところでは、隼人が過激な学生運動に身を投じており、配下の学生を残虐な方法で制裁するなどがあげられる(このシーンは後年の『新ゲッターロボ』で、形を変えて再現されている)。『真ゲッターロボ』では、キャラクターデザインや性格設定など原作版に近づけることで、新世代の『ゲッターロボ』としてのイメージを開拓。ゲッターチームのリーダーである竜馬が、早乙女博士殺害の容疑で投獄されているなど、主人公として異例の設定は、『スパロボ』でしか『ゲッターロボ』を知らない若年層のファンには大きな衝撃を与え、原作版のファンからは大きな支持を得ることとなった。
 従来は竜馬たちの味方だった早乙女博士が巨大な敵とされていたり、ミチルが死亡するなども衝撃的であったほか、原作版では恐竜帝国、百鬼帝国の親玉だったゴールとブライが意外な形で登場するなどのサプライズも用意されていた。

用語1

●インベーダー

 宇宙を漂うバクテリア状の生命体。月面でのゲッター線採取成功にともなって発見され、人類初の宇宙からの敵として月面インベーダー戦争を引き起こした。有機体、無機物のいずれにも融合することが可能であり、ロボットとナノレベルで融合したものは、とくにメタルビーストと呼ばれる。ゲッター線を主なエネルギー源としているが、必要以上のゲッター線を過剰摂取するとその肉体は崩壊してしまう。人間では早乙女、コーウェンやスティンガーに寄生していたほか、早乙女の娘であるミチルにも寄生しており、その死の原因を作った。なお、インベーダーの発生起源は人類と同一で、ともにゲッター線の影響によって進化した生命体であるとされている。

©1998 永井豪・石川賢/ダイナミック企画・「真ゲッターロボ製作委員会」


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ストーリー

 1991年のTVアニメ『ゲッターロボ號』の完結から、約7年のブランクを経て新たに始動した、ゲッターロボサーガの一翼を担う作品。それが『真(チェンジ!!)ゲッターロボ』だ。前作には、竜馬や隼人ら『ゲッターロボG』までのゲッターチームが登場しなかった(ただしこれはTV版に限ったことで、原作版については後述する)ため、彼らの復活はじつに20年もの時を経て実現した一大イベントであった。
 この作品では號と真ドラゴンにまつわる謎が全編を通じたミステリーになっており、その謎に迫るべく、視聴者はハードでシリアスなストーリーに引き込まれていくことになる。13年の月日を経て、すべての謎が1つに集約していくさまは必見だ。 なお、この作品は『ゲッターロボ』シリーズとしては初のOVA作品である。余談ではあるが、本作のセルVHSの価格は各巻2話収録で3,000円(第1巻は1話収録で1,500円)と、当時としては破格の安さであり、『スーパーロボット大戦』などで『ゲッターロボ』の名を知った若年層のファンにも受け入れやすいものであった。
 これらの事情からも、この作品は『ゲッターロボ』シリーズのファン層の拡大に成功。2000年の『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』、2004年の『新ゲッターロボ』へと続くOVAシリーズの基礎を築き上げたといえる。

メカ

 この作品のメカを語るならば、やはり主役ロボットである真ゲッターロボについて触れる必要がある。真ゲッターロボはこの作品が初出ではなく、原作版『ゲッターロボ號』で初登場したロボットである。この原作版は、TV版とは大きく異なるストーリーが展開し、シリーズでおなじみの竜馬や隼人も登場して重要な役割を担っていた。
 そんななかで最強のゲッターロボとして登場した真ゲッターロボは、あらゆるものをとりこみ、神のごとき力を発揮するというロボットの枠組みを超えるような存在であった(なお、原作版『ゲッターロボ號』では、真ゲッター1、真ゲッター2(上半身のみ)の2形態が登場し、真ゲッター3は『第4次スーパーロボット大戦』に参戦した際に新たにデザインされている)。その存在感はまさしく圧倒的で、アニメでの活躍が長年待ち望まれていたのである。
 さらに、現代風にアレンジされた初代ゲッターロボの活躍も、オールドファンにとってもうれしいものだった。特に、ゲッター1が無数のゲッタードラゴンを次々となぎ倒していく第1話のド迫力は、ファンの間で語り草となっている。また、超巨大なゲッターロボである真ドラゴンの登場もファンのド肝を抜いた。かつての主役機であったゲッターロボGが、先述のとおり雲霞の如く現れる量産型の敵ロボットとして登場したのも驚きであった。装いも新たに登場したゲッターロボたちは、ファンの認識を大きく揺るがしたのだ。

用語2

●ゲッター線

  生命体の進化(退化を含む)を司るとされる宇宙線の一種。ゲッターロボやインベーダーの主なエネルギー源でもあるが、詳細については不明な点が多い。  有機体に照射することでその進化を促すことができるようで、號は早乙女博士と早乙女ミチルの細胞を融合させたものに、ゲッター線を浴びせて造りだした人工生命体である。また、トカゲの特徴を持つゴールや鬼のようなブライも、號と同様に竜馬と隼人の細胞をもとに造られた新人類である。
 なお、条件によっては時空間に干渉することもあるらしく、重陽子ミサイルとゲッター線の影響により竜馬は13年もの歳月を飛び超えることになってしまった。さらに、核融合を促進する作用すら持っており、第12話ではコーウェンとスティンガーが木星をゲッター太陽へと変化させている。