◆メディア:TV | ◆放映年月日:1999年10月~2000年3月 |
◆話数:全26話 | ◆監督:水島精二 |
◆キャラクター原案:菅野博之 | ◆キャラクターデザイン:石原満 |
◆サブキャラクターデザイン:富岡隆司 | ◆ロボデザイン:大塚健 |
西暦2018年。謎の怪物ヘテロダインが現れ、日本を襲撃した。国連安全保障軍(安保軍)が出撃するもヘテロダインには通じず、最終的にOE兵器の使用によりヘテロダインは消滅したが、その破壊力がもたらした被害は甚大なものであった。この事件を教訓とし、安保軍は巨大ロボット、ダイ・ガードを建造。ヘテロダインの再度の出現に備えた……。
それから12年。ヘテロダインが姿を現すことはなかった。西暦2030年、すでに無用の長物と化していたダイ・ガードは、安保軍出資の民間企業「21世紀警備保障」へと譲渡され、広報活動用の広告塔として扱われるありさま。だが、相模湾岸でのイベント中に、ヘテロダインが出現。現用兵器がことごとく役に立たないなか、人々の避難の時間を稼ぐため、21世紀警備保障の広報2課に所属する赤木駿介、桃井いぶき、青山圭一郎らはダイ・ガードを起動。苦戦の末、なんとかヘテロダインの撃退に成功するのだった。
ろくな武装も持たず、パイロットも民間の会社員。心もとない21世紀警備保障に、安保軍から戦術アドバイザーの城田志郎が派遣される。安保軍が21世紀警備保障からダイ・ガードを取りあげようとしているというウワサも手伝い、赤木は城田と対立。だが、炎と氷のごとく対照的な2人は衝突しつつも、次第に互いを理解しあっていく。一方、安保軍がダイ・ガードの試作機を改修した対ヘテロダイン用兵器コクボウガーを開発するも、ヘテロダインに取りこまれて大破。これまで以上に、ダイ・ガードへと期待が寄せられることになる。
「サラリーマンだって、平和を守れるんだ!」という、次回予告の赤木のセリフに代表されるように、この作品の登場人物の多くは一介のサラリーマン。21世紀警備保障は、ダイ・ガードの存在を除けば、どこにでもあるような職場であり、社会人の視聴者は共感できるところも多い。そして、登場する人々は、それぞれに社会人として果たすべき責任を持って行動している。また、保身と出世を大事にする典型的暗愚サラリーマンの西島が正義感あふれる大河内社長を追い落とす出来事が起きてしまうのも、民間企業だからこそのイベント。ほかのロボットアニメでは、描かれないリアリティがここにある。また、熱血サラリーマンである赤木と、冷静な軍人である城田の友情も物語の主軸の1つとなっている。彼らは当初は対立しているが、やがて互いの立場から支えあう友になっていく。陰の主人公ともいうべき城田の活躍にも注目したい。
ダイ・ガードを所有する株式会社で、本社はお台場に所在。無用の長物と化してしまったダイ・ガードを運用するため、安保軍が大株主となって立ち上げられた、半官半民の企業である。もちろん、通常の総合警備会社と同様の業務も行っている。
現在は、総務部門、財務管理部門、企画開発部門、営業渉外部門の12名の役員がいる。小説版では、創立当初は社長の大河内を含めた経営陣の多くが軍の人間であったが、世間的な風当たりが強かったため、ほとんどが、銀行やゼネコンなどの主要取引先から役員を迎え入れることになったのだという。
©XEBEC・フライングドッグ/創通
主役ロボットのダイ・ガードは、見た目こそスーパーロボットである。だが、この作品の根底に息づいているテーマは、「もしも巨大ロボットが実在するのなら」という、ある意味究極のリアリティだ。民間企業が人々を守るための巨大ロボットを所有することにより、当然発生するであろう経済効果や、世間一般からの評価までもが描かれているのだ。ダイ・ガードが出撃すれば、それに比例して赤木たちは書類仕事に追われるという、普通の会社としての日常。これこそがこの作品の魅力であろう。また、民間企業ゆえのフットワークの軽さを発揮する21世紀警備保障と、メンツを重んじる安保軍との対立も対照的でおもしろい。一方、敵となるヘテロダインはあくまで自然災害の一種として認識されており、ヘテロダインに関する謎やドラマはほとんど存在しない。この作品はあくまで、現実世界にもいるような等身大の人々が主役なのだ。
トタン並の弱い装甲で、武装を持たずに戦う前代未聞の巨大ロボット。それがダイ・ガードである。これまた、ある意味では非常に現実的だが、それによってロボットアニメとしてのカタルシスが失われることはない。
当初ダイ・ガードは肉弾戦が基本で、腕をちぎってぶん投げるロケットパンチで危機をしのいだりしていたが、ストーリーが進むにつれてドリルアームや、必殺武器ノットパニッシャーを装備し、対ヘテロダイン用の切り札としての体裁を整えていく。また、ダイ・ガードは、出撃時に専用の運搬トレーラーを用いて組み立てる必要があるという、手間のかかるロボットでもあった(巨大ロボットの運用方法としてはリアルではあるが)。多数の組み立て要員とクレーンを用いて、ビルを建てるかのようにダイ・ガードの発進準備を整える様は、ファンの記憶にも強く残っている。これもストーリー中盤で改善され、なんと3機のメカによる合体ロボットへと変貌する。スーパーロボットの伝統ともいうべきパワーアップは、ダイ・ガードにもしっかりと受け継がれているのだ。
謎の巨大怪物。生命体ではなく、大陸プレートの接触によって発生する膨大な磁気が、平行世界との接点を生み出し(界震)、そこから流入するエネルギーによって発現する現象である。フラクタルノットと呼ばれる中心核を破壊することで消滅する。電磁波や磁場に引き寄せられやすい性質を持ち、このことがダイ・ガードが対ヘテロダイン用の切り札となる要因のひとつでもある(ダイ・ガードが強い電磁波を発しているため)。
なおいぶきの実父、故・桜田栄二郎は界震研究の第一人者であり、ヘテロダインの出現を予見していた。