創聖のアクエリオン

◆メディア:TV ◆放映年月日:2005年4月〜2005年9月 
◆話数:全26話 ◆監督:河森正治
◆キャラクター原案:金田榮路 ◆キャラクターデザイン:藤川太5
◆アクエリオンデザイン:河森正治 ◆メカニックデザイン:高倉武史
あらすじ

 創聖紀0011年。人類は、1万2000年前に滅びた種族、堕天翅族の復活により窮地に立たされていた。人智を超えた力を操り、人々の生体エネルギー─プラーナ─を狩り集める堕天翅族の前に、人々はなすすべもなかった。しかし、野性的な少年アポロは、親友のバロンとともに、荒廃した街でたくましく生き抜いていた。そんななか、アポロは超能力(エレメント能力)を使う少女─シルヴィア・ド・アリシア─たちに出会う。地球再生機構ディーバに所属する彼女たちは、1万2000年前に同胞を裏切り、人類を救った堕天翅族─太陽の翼─の生まれ変わりを捜しており、アポロが太陽の翼ではないかと考え接触をはかったのだ。だが、その印である翼の刻印がアポロにはなかった……。そんななか、堕天翅族の兵器ケルビム兵と、ディーバが運用する機械天使アクエリオンが出現。アポロがアクエリオンに乗り込むと、彼の意識は一変し、シルヴィアの過去生にあたる人間の女性セリアンを愛し、同胞を裏切って人間についた堕天翅アポロニアスの人格が、アポロの中に蘇るのだっ。

キャラクター

 野生児アポロ、お兄様大好きのシルヴィア、耽美主義を地で行くシリウス、三枚目プレイボーイのピエールなど、個性的なキャラクターが多数登場するこの作品。それぞれに全く異なる個性が、「合体」して1つの力になっていくさまが、基本的に一話完結のエピソードのなかで丁寧に描かれている。第18話「魂のコスプレイヤー」では、アポロたちがお互いのコスプレをして相手になりきり、自分と他者を理解していくという、一風変わったエピソードなども盛り込まれていた。そして、その象徴としてアクエリオンの新必殺技が次々と登場する。アポロが使う時間も距離も超越した無限拳や、嫉妬の心を認めて放つシリウスの嫉妬変性劍(ゼーロテュピアー グラディウス)、はては空腹で食べ物を求める意思をも利用したシルヴィアたちの求食爆裂矢など、ときにシリアスにときにコミカルに、さまざまな心の「合体」が表現されているのだ。

用語1

●地球再生機構ディーバ(DEAVA)

 11年前に蘇った堕天翅族に対抗するため、人類が設立した最後の砦。1万2000年前の戦いで用いられた機械天使(神話型)アクエリオンを発掘し、そのパイロットとなるエレメント候補生を世界各地から集め、エレメントスクールにて養成している。スクールの教官は、司令官である「神速の魔術師」こと不動GENが兼任する。
 なお、本組織とは別に新国連軍という武装組織も存在し、DEAVAとの協力により、双翅の翅を摘出し、強攻型アクエリオンの開発に成功している。

©2004 河森正治・サテライト/ Project AQUARION

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ストーリー

 「あなたと合体したい…」─放映当時に用いられた、このセンセーショナルなキャッチコピーこそが、まさにこの作品の本質を体現している。むろんこれは、3機のベクターマシンが合体して誕生するアクエリオンのことを指しているが、それだけではなく「合体」というテーマは、この作品のストーリー全体を通じて繰り返し語られている。不動GENの特訓から、アポロたちエレメント候補生が見出していく、人と人が互いを受け入れてともに歩むという心の「合体」は、この作品ではそのままバトルシーンでの新必殺技に直結しているのだ。また、第19話「けがれなき悪戯」では、歪んだ世界を表現するために、作画監督としてうつのみや理を起用。通常とは大きく異なる、デフォルメされたまるで別番組のようなキャラクター、世界観でほぼまるごと1話を構成するなど、視聴者の予想を超えた演出も盛り込まれた。
 これらの諸要素が相まって本作は大人気を呼び、2007年には設定を始めとして随所が変更されたOVA版がリリース。さらに同年新作エピソードの『劇場版アクエリオン-壱発逆転篇-』と、OVA版をベースとして構成された『劇場版アクエリオン-創星神話篇』の併映となる劇場用作品が上映されており、その人気のほどがうかがい知れる。

メカ

 「合体」をメインテーマとする本作にとって、もっとも重要なファクターが主役ロボットのアクエリオンだ。基本的には、3機のベクターマシンが、組み合わせにより3つの異なるロボット形態に合体するのだが、劇中では応急的な合体であるアクエリオンソルナや、量産型である強攻型アクエリオンとのハイブリッドとなるアクエリオンエンジェルなど、さまざまな新形態が登場して視聴者を驚かせた。これを可能としたアクエリオンの合体機構は、メカデザインをするにあたり河森監督がレゴブロックによるモデルを製作して検討したというのは、有名なエピソードである。アニメ制作と並行して作られた超合金は、河森監督のほぼイメージどおりだったらしく、このブロックモデルを踏襲し、完全変形合体が可能な超合金玩具も発売されている。河森監督によると、この玩具で遊んでいるときに誕生したのが、強攻型アクエリオンが劇中で合体した、アサルトウォーカー形態とアーマゲドン形態であるという。

用語2

●堕天翅族

 頭や背中など、身体の一部に羽状の器官を有する種族。「堕天翅」は人類側からの呼称であり、彼らは自らを「天翅」と呼んでいる。南極の氷に封印されていたアトランディアを都とし、パワーストーン工学の粋を集め、突然変異に過ぎなかった羽状器官を超能力を用いることができる特殊器官へと変化させた。1万2000年前に勃発した人類との戦い、そしてアポロニアスの裏切りによってアトランディアもろとも滅び去ったかに思えたが、長き歳月を経て復活を果たした。現在は羽状器官の開発メンバーの1人であった老賢翅・夜翅(ヨハネス)によって率いられている。
 彼らの超能力は圧倒的で、人類のことを「翅なし」と呼び蔑んでいるが、堕天翅族にはほとんど子どもが生まれなくなっており、種としては存続の危機に瀕している。彼らがケルビム兵や収穫獣と呼ばれる兵器を使用して人類のプラーナを集め、生命の樹の受粉を急ぐのは、滅亡の危機から堕天翅族を救うためである。