◆メディア:映画 | ◆上映年月日:2008年9月6日 |
◆監督:今石洋之 | ◆キャラクターデザイン:錦織敦史 |
◆メカデザイン:吉成曜 | |
地下のジーハ村に住む少年シモン。「穴掘りシモン」と呼ばれる彼は、その内向的な性格から、村の女の子たちから気味悪がられるなどの仕打ちを受けていた。しかし、兄貴分のカミナだけは彼を信頼し、地上への脱出を持ちかける。そんな中、地上から獣人の乗る巨大メカ――ガンメン――が落下。それを追いかけてきたリットナー村の女スナイパー、ヨーコとともにガンメンと戦う。シモンは穴掘りの最中に掘り当てたラガンをカミナに託そうとする。しかし、カミナは「お前を信じる俺を信じろ」とシモンを勇気づけ、ラガンの操縦をシモンに任せるのだった。シモン操るラガンは、敵ガンメンを貫き、地上へと飛び出す……。
当然といえば当然だが、本作の登場キャラクターはTV版と同一。だが、ストーリーの項で述べたとおり、一部のエピソードやシーンがカットされることによって、TV版よりいっそう浮き彫りになった一面がある。それが、カミナとシモンの関係性である。物語が凝縮されることで、カミナが持つ強さと弱さ、そしてシモンの成長にスポットライトが当てられているのだ。
また、本作の大きな目玉として、オール新規カットによるヨーコと四天王の紅一点アディーネの肉弾戦をあげておきたい。ヨーコのブラが外れるなど、お色気要素にも注目だが、好意を寄せていたカミナを失ってなお戦い続けるヨーコの強さが垣間見れる重要なシーンでもある。
獣人を生み出し、人間たちを地下へと押し込めた地上の支配者。1000年の長きにわたり君臨し、予定調和でしかなくなった日々に倦怠を感じていた。そのため、退屈しのぎにニアのような姫たちを生み出し、飽きてしまえば捨てていた。
非常に強大な螺旋力の持ち主であり、グレンラガンタイプのガンメンである真・螺旋王機「ラゼンガン」に乗る。また、身体能力も生身でラガンを破壊することができるほど高い。その正体はかつてアンチスパイラルに対抗し、その絶大な力の前に敗れ去った螺旋族の戦士である。
©GAINAX・中島かずき/劇場版グレンラガン製作委員会
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本作はTV版『天元突破グレンラガン』の、螺旋王ロージェノムとの対決直前までを描いた前半ストーリーが、2時間弱の上映時間に凝縮された作品である。よって、大まかなストーリーの流れはTV版とほとんど同じなのだが、もとより物語の密度が高かったTV版が圧縮されたことにより、見る者を決して飽きさせることのないハイペースのテンポが生み出されている。反面、ロシウやキタンとの出会いのエピソードなどは大幅に削減されているが、『天元突破グレンラガン』を初めて見る入門者や、すでにTV版を熟知したファンが物語全体を俯瞰するには最適な作品であろう。また、後述する追加要素により、単なるTV版の再編集ではなく、本作独自のカタルシスを生み出すことに成功している点にも言及しておきたい。
メカニック面での最大の見どころは、TV版には登場しなかった、螺旋四天王のダイガンが合体して誕生するドテンカイザンの登場だろう。4機の超大型移動要塞が1つになった「東西南北、陸海空、三界四方に死角なし」というその威容は、劇場版のクライマックスを飾るにふさわしい迫力を備えていた。そのほかにも、本作独自の新ガンメンが登場している。たとえば、TV版では超電導ライフル一丁で戦っていたヨーコに、ヨーコMタンクというガンメンが与えられているのだ。残念ながら、この機体はあまり活躍することがなかったが、続編となる映画『螺巌篇』においてパワーアップを果たすことになる。
巨大な顔に手足がついた姿をした巨大メカ。その正体は、はるかな太古に螺旋族がアンチスパイラルと戦うために作り出した、対アンチスパイラル用の兵器である。かつては螺旋力を動力としていたが、現在は一切の螺旋力を持たない獣人に与えられているため、動力は電池に切り替えられている。
手足を収納したダンガンメンという射出モードに変形することもできるが、これはかつて、大気圏突入に用いられていた形態である。