◆メディア:映画 | ◆上映年月日:2009年11月21日 |
◆原作:河森正治、スタジオぬえ | ◆監督:河森正治 |
◆キャラクターデザイン:江端里沙、高橋裕一 | ◆メカニックデザイン:石垣純哉、高倉武史 |
◆バルキリーデザイン:河森正治 |
西暦2059年。銀河中心宙域を航行する巨大移民船団<マクロス・フロンティア>に、銀河の妖精と称されるトップアーティスト、シェリル・ノームが来艦した。美星学園航宙科に通う早乙女アルトは、シェリルのライブにてアクロバット飛行を披露することになる。だが、ライブのさなかシェリルはステージから地面へ飛び降りるという危険な行動をとる。アルトはかろうじてシェリルを助けて飛行するが、それはシェリルのパフォーマンスであった。ライブが盛り上がる中、突如として謎の生命体——バジュラ——が船団に襲い来る。シェリルとともに会場を脱出したアルトは、そこで友人のランカ・リーがバジュラに襲われているのを目撃。パイロットを失ったVF-25に乗り込み、駆けつけたランカの義兄オズマ・リーら民間軍事プロバイダー<S.M.S>のメンバーとともに、なんとかバジュラを撃退するのだった。
『マクロス』シリーズに欠かせない重要な要素のひとつとして「歌」があげられる。本作は劇場版ということもあり、冒頭から非常に力の入ったシェリルの大迫力ライブシーンを、新曲「ユニバーサル・バニー」とともに楽しめるのだ。手描きとCG、さらには実写をも融合させて完成したこのクォリティは、百聞は一見にしかず、実際に目にした者しかわからない驚きに満ち溢れたものとなっている。一方、ランカの新曲も多数用意されている。EDテーマ「そうだよ。」だけでなく、先述したファミリーマートのシーンで流れる「ファミリーマート・コスモス」など、素朴なランカらしいCM曲の数々にも注目したい。
戦争への出兵や警備などを、ビジネスとして行う民間軍事プロバイダー。フロンティア政府や総合機器メーカーL.A.Iとも深いつながりを持ち、実戦配備前の最新兵器をテスト・運用することもある。マクロス・クォーターを旗艦とし、最新型であるVF-25が実験配備されているなど、戦力は非常に充実している。オズマが率いるスカル小隊のほか、クラン・クラン大尉が率いるゼントラーディ(巨人兵士)によるピクシー小隊などの部隊が存在する。
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「マクロスF」ポータルサイト
本作はTV版『マクロスF』を再編集し、新規カット&シーンを追加した劇場用作品である。ストーリー前半の展開はTV版とほぼ同一で、TV版第1話から第7話までのストーリーが凝縮されている。また後半は、シェリルにスパイ疑惑が浮上し、フロンティア船団がギャラクシー船団を見捨てようとしていた事実が判明するなど、TV版にはなかった新たな展開でファンを驚かせた。なお、物語の結末は今年2月に上映された『劇場版マクロスF〜サヨナラノツバサ〜』へと持ち越されている。
ちなみに、本作はコンビニチェーンのファミリーマートとのタイアップを実現しており、劇中でもファミリーマートが重要なシーンの舞台となっている。そのほか、映画の上映に先駆けて、ファミリーマートの店内放送で、劇中に使用されるランカやシェリルの新曲が流れるなど、現実とのリンクも試みられていた。
本作にはTV版に登場しないメカニックが多数登場する。とくに終盤でアルトのVF-25が装備するトルネードパックの存在は、上映前から大きな話題を呼んだ。また、戦闘シーンもCGを駆使した劇場版ならではの迫力に満ちており、噴煙たなびくミサイルが乱舞する、いわゆる「板野サーカス」の系譜上にあるドッグファイト演出もTV版にも増してド派手なものとなっている。一方、敵であるバジュラにも新タイプが設定されており、世界観を拡充している。
ちなみに、本作の公開に先駆け、YF-25プロフェシーという試作機の存在が明らかにされ、前売り券に付属する形でプラモデルも発売された。実は、この機体は映画公開時には登場しておらず、DVDおよびBD版でのみ、ランカのCMシーンに登場しているレア機体なのだ。気になる方はそちらもぜひチェックしていただきたい。
銀河中心宙域を目指して地球を進発した、巨大都市船アイランド1を旗艦とする、第25次新マクロス級移民船団。資源循環システムを構成する環境艦アイランド3をはじめとした、大小合わせて数千隻の艦艇からなる。現在の大統領は、第4代のハワード・グラス。なお、護衛艦隊は、バトル・フロンティアというバトル級ステルス攻撃可変宇宙空母を旗艦としている。
同様の移民船団として、シェリルが住んでいたマクロス・ギャラクシー船団がある。こちらは惑星エデンを進発した、第21次新マクロス級移民船団であり、護衛艦隊旗艦はバトル・ギャラクシー。TV版においては、フロンティア船団では違法とされる人間のインプラント化(機械化)が、逆に推進されていた。