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2009年8月13日(木)

【経営者は語る 第1回】なぜ今ブラウザゲーが注目を集めるのか――SeedC社長インタビュー

文:電撃オンライン

●社長自ら翻訳作業に……ブラウザゲームで残念な日本のゲーム市場活性化させたい

山田:本当に先のことなので、あまり詳しいことはお伝えできないんですが、12月にリリース予定の作品は、あえて言えば育成系というジャンルになる……のかな? いや、本質は違うんです。トランプ的な、簡単なルールでの対戦の要素もあって、それで育成も楽しめるものになります。なんだか抽象的なことばかりで申し訳ありません。ともあれ、何よりもブラウザゲームの間口をもっと広げるということを主眼において製作しています。

 もう一つの来年3月リリース予定のものは、弊社が既にサービスしているオンラインゲームの、キャラクターと世界観をベースにした作品になります。こちらは携帯電話との連携も視野に入れています。

――携帯電話との連携といいますと、最近では携帯電話専用のウェブゲームのようなものも増えていますが、そういうニュアンスなのでしょうか?

山田:いえ、あくまでもメインはPCです。携帯電話は、補助的な位置ですね。外出先でも操作ができるけれど、あくまでメインはPCになります。

崔:開発するにあたっても、ブラウザゲームというジャンルは魅力が大きいですね。弊社では開発期間をだいたい4~6ヶ月用意していますが、これはMMORPGなどでは考えられない小回りの良さを持っています。同様に、用意すべきサーバにしても、回線にしても、かかるコストは比較になりません。

 そうやっていろんなところをスリム化できるぶん、たくさんの種類をサービスして、ユーザーさんにはそこから自分の好みのものを選んでいただけたらな、と思います。

――ゲームの選択も簡単に、手軽にということですね。しかし、あまりにサービス提供タイトルが増えると、今度はブラウザゲーム初心者にとって「何を選んだらいいのか、たくさんありすぎてよく分からない」と、混乱を招きそうですが。

崔:そうです。一つ試しに遊んでみて、これは自分にあわないなと思ったら、どんどん他のタイトルにチャレンジしてみる。それくらいの手軽さを提供していきたいですね。

 まあ、そうなるとサイトのナビゲーションもまた考えなくてはならないのですが、これは今後の課題の一つということで。とにかく、初心者にやさしいサイトと運営、これを心がけていきたいです。 それから、自社開発したブラウザゲームは、将来的に欧米でも展開していく予定です。本場ヨーロッパでも通用するタイトルを作る。これは大きな目標として持っています。

――日本産のPCゲームが、世界的に見るといささか残念な状態になってしまっている現在、ブラウザゲームという分野から盛り返せたら、それは本当に素晴らしいことだと思います。期待しています。しかし、自社開発ゲームも作って、ライセンスをとってのローカライズもして、サイトの設計もしてとなると、ずいぶん負荷が高いようにも思えます。

崔:弊社では、ブラウザゲームの担当部署を「部」に格上げしまして、その部長に私が就くことになっています。また、ネットゲーム部門からも多少スタッフを引き抜いてこようかな、と画策してます。実は私自身、かつて『アッピーオンライン』というMMORPGを立ち上げたばかりのころは、韓国に家族を置いて日本の会社に毎日寝泊りして、深夜にサーバがダウンしたら自分でサーバを再起動に行く、そんな感じで現場に密着して仕事をしていた時期があります。それを、ブラウザゲームの展開にあたって、もう一度やってみたいと考えています。何か新しいことを始めるのは本当に大変ですが、それくらいおもしろいんですよ。

山田:今回の立ち上げの3作品についても、ローカライズの翻訳作業を社長にやっていただいたという背景が既にありまして。

崔:「このままじゃ間に合わない」とか言い出すから、そんなのは絶対にダメだと。なので私が日本語へ翻訳しました(笑)。

斧:それを私が、自然な言い回しに校正するという分担です。

山田:「社長、○日までに翻訳を上げていただかないと困るんですが」みたいな、普通では体験できない状況を経験できましたよ。

『SeedCインタビュー』 『SeedCインタビュー』

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