2010年2月24日(水)
『MTG』では、能力は、その性質によって3つの種類にわかれているの。まず1つ目は“起動型能力”。これは、なんらかのコストを払うことで使える能力よ。基本的に、コストが払えるならば、1ターンに何度でも使うことができるわ。 |
たとえば、この《放蕩紅蓮術士》ね。“クリーチャーかプレイヤーに1点のダメージを与える”という能力を持っているわ。起動型能力は“コスト:効果”というように“:(コロン)”で文章が区切られているの。“:”の左側に書かれたコストをすべて支払うことで、能力を起動することができるわ。 | ||
じゃあ、その左側に書いてある矢印みたいのがコストってこと? 何これ? | ||
それは“タップ・シンボル”で、“アンタップ状態のこのクリーチャーをタップする”って意味を持つ記号なの。いちいち文章で書くと長くなっちゃうから、それで略しているのよ。 | ||
なるほど。 | ||
これまでの講座で、クリーチャーをタップすると言えば攻撃の時だったわよね。クリーチャーは、戦場に出たターンは攻撃に参加できないってことは覚えているかしら? | ||
うん。さっき速攻についてやったばかりだし、覚えてるよ。そう言えば、タップ・シンボルって速攻のところにも書いてあったね。 | ||
そうそう。実は、戦場に出たばかりのクリーチャーは速攻を持っていない限り、攻撃に参加できないのに加えて“コストにタップ・シンボルを含む起動型能力”を使うこともできないの。 | ||
えっ!? そうなのか!! | ||
ええ。結構重要なことだから、覚えておいてね。ちなみに、タップ・シンボルを含まない起動型能力に関しては、戦場に出たターンからすぐに使えるわ。たとえばコレね。 |
ええと、黒マナ1点で、ターン終了時までパワーとタフネスに+1/+1ってことだよね? | ||
そう。コストを支払えれば何度でも起動型能力は使えるから、この《立ちはだかる影》は黒マナさえあれば、どんどん大きく、強くなれるってことね。 |
続いて2つ目は“誘発型能力”。特定の条件が満たされた時に、自動的に効果を発揮する能力よ。 |
誘発型能力の代表は、この《魂の管理人》ね。クリーチャーが戦場に出さえすれば、能力が誘発して、ライフを得ることができるわ。 | ||
これ、相手がクリーチャーを出してもライフを得られるの? | ||
ええ、もちろん。 | ||
へー、便利だねぇ。 | ||
カードによっては自分のクリーチャーでしか誘発しないものもあるし、相手のクリーチャーでしか誘発しないものもあるわ。カードをしっかり読んでね。 | ||
そうなんだ。これはタップしたりマナを払ったりしなくていいの? | ||
ええ。でも、条件が整わなければ能力を持ってないのと同じになっちゃうのよね。たとえば“タップ:あなたは1点のライフを得る”っていう起動型能力だったら、他にクリーチャーが出なくてもライフは得られるでしょう? | ||
だけど誘発型能力は、そういうわけにはいかないのか。《魂の管理人》だったら“クリーチャーが戦場に出る”って条件があるもんな。 | ||
そういうこと。 | ||
なんだか効果的に使うのが難しそうだよ。 | ||
そこで頭をひねるのがおもしろいんじゃないの! どれだけ効率的に能力を駆使するか……。ああ、いくら考えても時間が足りないわ! | ||
もしもーし。 | ||
ハッ!! ご、ごめんなさい、誘発型能力の話だったわね! 他にも代表的なものとしては、こういうのもあるわ。 |
自分自身が戦場に出た時に誘発する能力ね。とにかく戦場に出さえすれば、一度も攻撃できなくてもなんらかの効果は得られるわけで、そういった点ではお得なクリーチャーね。 | ||
これなら他のクリーチャーとかに影響されないね。 | ||
ええ。だから、こういう“自分自身が戦場に出た時~”というクリーチャーは、唱えるためのコストに比べて、パワーとタフネスが低めに設定されていることが多いわ。この《酸のスライム》も接死があるとは言え、2マナの《灰色熊》と同じ2/2だからね。 | ||
無駄にならない能力がついてるから、そのぶんコストが重くなってるのかぁ。 | ||
そういうこと。じゃあ誘発型能力についてはこれくらいにして、最後の“常在型能力”について説明するわ。 |
常在型能力は、その名の通り、常に効果を発揮している能力よ。ちなみに、さっき説明したキーワード能力は全部この“常在型能力”に分類されるわね。 | ||
キーワード能力は全部そうなの? | ||
いいえ。たまたまよ。キーワード能力には起動型のものや誘発型のものもあるわ。まぁ、この“常在型能力”については、カードに書いてあることがそのまま効果だから、それほど難しくないと思うけど、どうかしら。 | ||
うん。大丈夫……だと思う。 | ||
そう、よかった。じゃあ、これで3つの能力の種類について説明したけれど、最後にひとつ重要なことを言っておくわね。 | ||
え? | ||
スタックについては、覚えてる? | ||
う……たぶん。呪文が唱えられてから、それが解決されるまで一度置かれる領域……だっけ。細かくは覚えてないかも。 | ||
んもう、3ページ前にも思い出してもらったのに、また忘れちゃったの!? 忘れちゃったなら、ココを見返してね。 | ||
う、うん。でもなんでいきなりスタックの話が出てくるの? | ||
スタックの話をした時は《ショック》とか《巨大化》みたいな呪文で説明したけれど、今回説明した起動型能力や誘発型能力もスタックに積まれるのよ。 | ||
あーっ、そうなんだ。 | ||
例えば、自分も相手も《放蕩紅蓮術士》を出していると考えてみて。相手が《放蕩紅蓮術士》で、こちらの《放蕩紅蓮術士》に1点のダメージを与えようとしてきたら……。 | ||
それがスタックに積まれて、こっちの《放蕩紅蓮術士》の能力を使えるタイミングがあるってことだね? | ||
その通り! 起動型能力は、一部の例外をのぞいてインスタントと同じタイミングで使うことができるわ。 | ||
そうすれば一方的に自分の《放蕩紅蓮術士》が勝てるってことか。 | ||
残念ながら、そうじゃないの。 | ||
え? | ||
スタックに積まれた能力は、その発生源が戦場を離れてもそのまま処理されるのよ。 | ||
つまり、どうなるの? | ||
まず自分の《放蕩紅蓮術士》の能力が解決されて、相手の《放蕩紅蓮術士》が破壊されるわね。 | ||
うん。 | ||
その後で相手の《放蕩紅蓮術士》の能力が解決されて、自分の《放蕩紅蓮術士》も破壊されちゃうわけ。 | ||
なるほどなぁ。確かに、能力を持ったクリーチャーがいると、いろいろなやり取りが複雑になりそうだね。 | ||
そう。そしてそれが『MTG』のおもしろいところでもあるわ。そこをわかってもらえたところで今回はおしまい。よく復習しておいてね。 | ||
うん。 | ||
この第3回までで『MTG』のルールについては、ほとんど説明したから、実際に遊ぶ用意がある人は実際にプレイしてみてね。記事を読むだけでルールを理解するのって難しいから、遊びながら覚えるといいわよ。 | ||
ういっす! | ||
では次回からいよいよ“デッキを組む”ことについて説明していきます。お楽しみに! | ||
またねー。 |
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[Text by ねこひげ合同会社/ゆば]