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2010年9月3日(金)

【CEDEC 2010】『アイマス2』ではココまでこだわる! かわいいアイドルの作り方

文:電撃オンライン

■よりアイドルが輝くステージの作り方――“グラフィクス”ステージ編

 こういった苦労を重ねて生み出された『アイマス2』のキャラクター。このアイドルたちをより魅力的に映し出すように、ステージ演出にもさまざまな工夫が用意されているという。

 前澤氏は『ライブフォーユー!』を例に、ステージ演出へのこだわりを紹介。ステージのライティングは、ステージの中心あたりに光源が配置されており、アイドルがいる場所は明るく、離れた場所は暗くなるという、ここでも「アイドルを魅せる」ことに重きを置いた設定がなされている。また、ステージが遠くなったときにボヤけるなどの距離フォグはカメラに依存しておらず、カメラが引いた場合でもステージ上のアイドルは明るくクリアに映し出されるようになっているとのことだ。

『アイドルマスター』 『アイドルマスター』

 続けて前澤氏は『アイマス2』のステージに加わった要素として、揺れモノ動きモノの2つを挙げた。たとえばプロモーションビデオ第1弾では、背景で揺れるヤシの木の葉や、打ち寄せる波、ステージを周回するように動く汽車などがそれに該当する。全体の質感も向上しているとのこと。また、ステージ下部から吹き上がる蒸気や舞い散る紙吹雪などを扱うパーティクルエンジンも一新。これは、アーケード用ゲーム『デッドストームパイレーツ』用に開発された新エンジンが採用されているという。

『アイドルマスター』 『アイドルマスター』

 このように作り上げられたステージだが、そのままではトゥーンで描かれたキャラクターとトゥーンで描かれていない背景がパキッと分かれて、違和感を感じる仕上がりになってしまう。この違和感を解消するために、Xbox 360版『アイマス』のころからすでに対策がとられていた。キャラクターと背景をなじませるためのソフトフォーカス、3D空間的な奥行きを出すためにぼかしを入れる被写界深度、この2つのフィルターを同時にかけることで、ステージとキャラクターの間に生じる違和感を解消しているという。『アイマス2』では、ステージ上のバックライトなどからフワッと光が放出されているように見えるブルームや、ステージ床が徐々に明るくなるフレアの効果も強化されている。

『アイドルマスター』 『アイドルマスター』

 さらにこれまでの『アイマス』では、処理負荷などを考えてアップのカメラのみに被写界深度などのフィルタを使っていたが、『アイマス2』ではミドルやロングといったカメラにも、ぼかしやフレア処理などを導入。「∞の字に動くミドルカメラでの映像にも注目してもらいたいです。今回はこれらの効果によって、処理負荷は皆さんが想像される以上のものになっていますよ」と前澤氏は語った。

『アイドルマスター』 『アイドルマスター』

■営業シーンでも、影にこだわる――“グラフィクス”コミュ編

 続けて前澤氏は「『アイマス』において、ステージとコミュは車の両輪」と表現し、ゲーム中の営業――コミュニケーションシーンについて話を展開。スクリーンに映し出されたのは、亜美・真美が近い位置にいるXbox 360版のワンシーン。亜美と真美のそれぞれのモデルが突き刺さらないように、また、それぞれのキャラのセルフシャドウが正しく描き出されるように、キャラごとに独立した3D空間をレイヤーとして分けて作り、お互いが干渉し合わないような作りになっているという。

『アイドルマスター』 『アイドルマスター』 『アイドルマスター』

 このセルフシャドウの相互干渉については、『アイマス2』のステージシーンにおいても厳禁としているという。特に5人でのステージ出演が可能になる『アイマス2』では、光源とアイドルの前後の立ち位置を考えて“正しい影”を作り出すと、暗い位置にアイドルが立ってしまうことも起きうる。それを解消するため、先に紹介したキャラの顔の角度による影の調整と同じく「『アイマス』では、いかにアイドルの魅力が引き立つかを第一に考え、普通に考えるとおかしな位置に光源が置いてあります。これを使って相互に干渉するようなシャドウを落としてしまうと破たんしてしまうので、シャドウをキャラごとに作るのは必須です。今回は5人なので、処理は相当たいへんです」と前澤氏は解説していた。

 以上のような、新シェーダ、セルフシャドウ、5人の同時出演といったグラフィック強化による処理負荷の増大に対応するため、前澤氏らは全システムを最初から再構築したという。Xbox 360版『アイマス』と同じように見えても、中身はまったくの別物に仕上がっているとのことだ。

『アイドルマスター』 『アイドルマスター』 『アイドルマスター』

 最後のまとめとして前澤氏は、「基礎エンジンやデータフォーマットといった部分も一新しています。パッと見ではマイナーチェンジに見える部分も、中身はまったくの別物。新しいからこその『2』、新しくなければ『2』ではない。すべてを一新した『アイマス2』なんです!」と熱く語り、聴衆をうならせた後に「そんな『アイマス2』ですが、今日覚えて帰ってもらいたいのはコレ――」と、響のお腹の画像をスクリーンに映し「響は俺の嫁!」と締めくくり、聴衆を笑わせていた。

『アイドルマスター』

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(C)窪岡俊之 (C)NBGI

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