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2012年6月28日(木)

『DEAD OR ALIVE 5』と『バーチャファイター』のコラボは開発陣の熱意が決め手! サラの肉感にもこだわりアリ(インタビューその1)

文:電撃オンライン

■『VF』らしさがなくなる調整はしないようにしている

――次に、今回のコラボにあたって心がけた点について教えてください。

▲コーエーテクモゲームス ソフトウェア事業部 Team NINJA シニアリーダー 新堀洋平さん。

新堀:ディレクターとして心がけた点は、『VF』をプレイしているファンのみなさんが、『VF』が『DOA』に出るならこうだなって思っていただけるようにすることです。これを最も重要視しました。見た目の部分もそうですし、プレイしたときの感覚だったり、技の性能だったり、コンボのつながりだったり……。『VF』らしさを残しつつも、『DOA』で遊んでるという感覚を大事にして作りました。

――今回のインタビューの前に、アキラとサラを実際に触らせていただきましたが、とてもしっくりくる感じでした。『VF』が別のゲームに乗り込んでいる感覚なのですが、違和感をまったく感じませんでした。

新堀:『VF』の現役プレイヤーにそういう意見を言ってもらえるのは本当にありがたいです。

羽田:そのあたりの感覚について補足させていただくと、新堀さんのこだわりが生かされているんだと思います。セガ側としては、例えば相手に技がヒットしたりガードされたりする状況で、何フレーム後に動けるようになるといったフレームデータを提供しました。出せるデータはすべて提供して、なるべく『VF』の感覚が『DOA5』に反映されるように協力させていただきました。

片桐:実はフレームやモーションなどのデータを渡したところで、その技が違和感なく別のゲーム中で表現されるケースは稀なんです。こちらとしては、内心「無理だろうな」と思っていたんですけど、細かい調整などをお願いした時に、次に調整済みのバージョンを見せていただくと、しっかり直っている。その情熱とこだわりは純粋にスゴイなと、正直驚きました。

新堀:できる限り対応をさせていただきました。

――ということは、データなどは提出したものの、開発の実作業に関しては、セガ側はかかわっていないわけですね。

片桐:はい。作っていただいたものに対して、「ここがちょっと違いますね」みたいなことをお伝えし、「やはりここ、1フレーム違いますよね」なんてことを新堀さんが言いつつ、直ったものがきちんと出てくるというすごい状態でした。

新堀:ほめ殺しですか(笑)。ただ、コンボについては『DOA』のシステムに沿っているので、ダメージ調整などの部分でオリジナルの『VF』と違うところもあります。でも、技を出すということに関しては、感覚的な部分をかなり再現できたと思っています。

片桐:新たなコンボを探す楽しみというのもありますね。実際に今もプレイをさせていただいているんですが、やらなくてもいいのに『VF』とは異なるコンボを探しちゃったりします(笑)。

早矢仕:あ、それ聞いてますよ。片桐さんがずーっとコンボを探しているとか(笑)。

片桐:「俺、これやってるから」なんて言って、会議中などもついついやってしまうので、みんなもそれを見て会話がなくなってしまったり(笑)。とにかく感覚的な部分を私たちは重要視しました。キャラクターのモデリングにかんしては、羽田のほうから「え、そんなことまで?」みたいな注文も出ていたようですが(笑)。

羽田:なんというか、ちょっと心苦しいリクエストをコーエーテクモゲームスさんにお伝えしたこともありますね。心象を悪くしているのではないかと、気にしたりも……。

■サラのプロポーションは5mm単位で修正が繰り返された

――例えばどのようなリクエストをされたのですか?

▲『DOA』に登場して、艶っぽさが若干増したように思えるサラ。
▲セガ AM研究開発本部 AM R&D 2 アシスタントチームマネージャー 羽田隆之さん。

早矢仕:サラはすごくたくさんのバージョンを作りました。

新堀:そうでした……逆にアキラは比較的早かったですね。

片桐:アキラの場合、我々が気にするのは主に姿勢の部分なんですよ。「背筋がもっとこうです」みたいに、本当に細かい部分まで。とはいえ、みなさんが主に聞きたいのは女性キャラのほうだと思うので、それは羽田からお伝えしましょう。

羽田:キャラクターのモデルデータも、こちらからはすべて提供いたしましたので、ベースは同じはずです。ただ、サラはプロポーションと顔の修正だけで2~3回はお願いしました。

――サラの顔だけ、これまでとは若干雰囲気の違ったキリッとした印象を受けました。

羽田:『VF』のキャラクターセレクト画面のイメージに近づけて作っていただきました。『VF』では、キャラクターセレクト画面に出ているハイレンダリングの顔と、実際に戦っている時の顔では若干イメージが異なります。今回の『DOA5』は、ハイレンダリングのほうに近いんです。

 その中で『VF』側のデザイナーのこだわりがありまして、例えば、眉の角度やあごの長さの場合、実際の寸法で5mmという本当に微妙な修正もしていただいています。そのあたりの刷り合わせをコーエーテクモゲームスさんと何度かさせていただいて、最終的な落とし所まで到達したという感じですね。CG担当の方は悶絶されたと思います。心苦しい限りです(苦笑)。

早矢仕:CG担当の者も格闘ゲームが大好きですから、『VF』のモデルをいじれてうれしかったと思いますよ。

新堀:さすがにリテイク3回目は疲弊してましたけど(笑)。

羽田:電話の声がだんだん低くなっていくんですよね。それでも修正点をお伝えすることだけはしておこうかなと……。

早矢仕:その甲斐あってかアキラを公開した時、『VF』ファンの方からも『DOA』のファンの方からも、よい評価をいただけたのがうれしかったです。片方のファンの方だけが評価していたわけではなかったので。

新堀:こだわった甲斐が本当にありました。

『VF』のあのテクニックが『DOA』では猛威を振るうかも!?→(3ページ目へ)

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Akira, Sarah characters (C)SEGA.
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