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2012年7月18日(水)

男性教師とも親密になれ……る? 『新・剣と魔法と学園モノ。刻の学園』発売直前開発スタッフインタビュー

文:ophion

■1年間しかない学園生活を何年分も楽しんでほしい

『新・剣と魔法と学園モノ。刻の学園』

――転入生は、1年間がループしているという世界観にかかわっているそうですが、今回、ループ要素を入れた理由について教えてください。

原神:これまで長くシリーズを展開させていただきながら、まだ学園生活というものをうまく表現しきれていない部分があったんです。そこで本作を作るにあたって最初に考えたのは、“ユーザーさんに1年間の学園生活を楽しんでほしい”でした。最初は3年間の学園生活を用意しようとしていましたが、期間を具体的に決めてしまうと『ととモノ。』ではないなと考えました。具体的な部分をあえて決めずに、ユーザーさんの妄想で補っていただきたいなと。そうなると、この“1年間の学園生活を何年分も楽しんでほしい”となります。それなら1年間を繰り返すしかないなと。

横山:ただ、繰り返すにはなんらかの理由が必要ですよね。それであれば、正解を通らないと出られない世界と物語にしましょうと。それで今の形に落ち着きました。

原神:シナリオ後半での行動によっては、謎が解けないままループしてしまいます。そういうゲームの構造を楽しんでいただければなと思っています。

横山:開発スタッフやテストプレイをされた方に聞きますと、皆さん、それぞれにしっくりくる転入生のシナリオがあるようです。中には「あえてループになるように行動をします。その方が自分の考えたパーティの設定としてハマるんです」という方もおられました。ちょっと驚きましたが、そういうプレイも『ととモノ。』らしいと思いました。この世界で、どのようなキャラクターを作って、パーティを組んで冒険するのかは、すべてプレイヤーさんの自由です。ですので、こちらからは、「あのキャラが転入してきて、ループを抜けた世界が正しいルートです」とは言わないようにしています。

――転入生が3人いるため3周分のシナリオが楽しめますが、2周目以降に解放される要素はありますか?

原神:ないですね。最初は“3周すると真のエンディングが見られる”とか考えていましたが、そうすると3周するのが義務になってしまいます。1周で満足するプレイヤーもいるかもしれませんので、そのような要素はないほうがいいと思いやめました。何周もプレイしたいユーザーさんにも、1周で満足するユーザーさんにも同じように真のエンディングを見ていただきたいんです。

横山:これはゲームのシステムにもかかわってくるのですが、これまではダンジョンのトラップが厳しすぎて途中でプレイをやめてしまった……というユーザーさんの声もいただいていました。ですので今回は、プレイした皆さんに物語の結末をしっかり迎えていただくために、こういう作り方をしています。

■“学園”の雰囲気を演出するために仲がいい声優さんを起用

――転入生3人のキャストの起用理由を教えてください。

横山:『ととモノ。』シリーズは学園ものなので、NPCとの絆や仲よしさをプレイヤーに感じてほしかったんです。その観点で、キャラ同士が仲がいいのは当たり前として、“実際に仲がいい声優さんを起用してみてはどうか”と考えました。そんな時に佐藤聡美さん(モーリア役)、大亀あすかさん(ロジェ役)、野水伊織さん(キュービット役)が仲よしであることを耳にし、お願いすることになりました。

原神:実際に声優さん同士の仲がよいところが、『ととモノ。』で描かれる“仲間との絆”や“学園の雰囲気”をより魅力的に作り上げていけるのではないかと思い、この3名にお願いしています。

横山:起用した声優さんには、転入生が徐々に成長していく様子が表れるように演じてほしいとお願いしました。今回の物語は主人公が主役の話ですが、主人公が成長していくことを転入生が代弁していくところがあります。ですから声の質やしゃべり方から、その部分を感じてほしいですね。

――佐藤聡美さん、大亀あすかさん、野水伊織さんの3人で結成されたユニット“totomono”ですが、今後も活動を継続していくのでしょうか?

横山:『刻の学園』が好調であれば、新シリーズとして継続するチャンスがあると思いますので、その時はご相談させていただきたいですね。

原神:今回ご縁があったということで、次の作品を開発できるのであれば、ぜひこのユニットで続けていきたいというのは制作者側としての要望ですね。

――声優さん同士仲がよいとのお話ですが、何か収録中のおもしろいエピソードがあれば教えてください。

『新・剣と魔法と学園モノ。刻の学園』

原神:収録中にお願いした“ちょっとずつ成長していく感じを出してほしい”という要望に真面目に取り組んでいただけました。「こういった形の成長でいいんでしょうか?」とか「こういった形で変えていこうと思っているのですがどうでしょうか?」といったような確認がありましたね。

横山:ゲーム中ではまったく別のストーリーになっていますので、本編でこの3人が絡むことはないんですよ。でも収録現場のことを聞くと「皆さん本当に仲がいいんだな」ってエピソードがたくさんあって。

原神:ラジオでのエピソードですが、声優さん3人が「パンを作るならどんなパンがいい?」というテーマで、HLSパン(※)という物をラジオ内で作ったんですよ。HLSパンはホルモン、レタス、ステーキを挟んだサンドウィッチなのですが、声優さんたちから「ゲームでも出てほしいよね」という声がありまして……。現場のノリで、HLSパンの実装を決定してしまいました。

横山:ラジオとかで出たネタを実際にゲームに盛り込むと、仕込みだと思われがちじゃないですか(笑)。でも、今回は本当に声優さんの思いつきがきっかけでゲームにアイテムが追加されました。自分の立場としては、スケジュールやコストのこともあるので「このタイミングで本気ですか!?」ってハラハラしましたが、開発スタッフが頑張ってくれたのでなんとかなりました。

※……HLSパンは、PlayStation Storeで7月19日より配信予定(無料)。1人1回のみ、ダウンロードできる。

――アイテムの追加ができるということは、ダウンロードコンテンツ(DLC)も用意されているのでしょうか?

横山:『ととモノ。』シリーズですので、今回も、配信アイテムをご用意させていただいております。発売日から、順次、配信させていただく予定です。また、ユーザーさんからの応援をいただけるのであれば、なんらかの形で、ちょっとだけでもアイテムや新規要素などを配信できれば……と考えております。

――先ほど起用された経緯を伺った3人の声優さん以外でも、今回はものすごく豪華なキャストがそろっています。こちらはどういった経緯で決まったのでしょうか?

横山:これはまず転入生3人のキャストを決めた後に、他のNPCもいろいろな声優さんにお願いしようという流れで、どんどん決まっていったんです。

原神:裏話的な話をすると、最初は声を入れるか入れないかでもめました。それで、まずは転入生の3人には声を入れようと。他のNPCにも声を入れたいけど、容量的な問題や予算的な問題があって、どうしようかなという話になりました。でも転入生だけに声を入れるのは変ですし、入れることでユーザーさんも喜んでくれるでしょうから、メインシナリオにはNPC全員の声をきちんと入れています。急きょNPC全員をしゃべらせるとなった時に、えらい豪華な方々に声を当てていただくことになって正直あせりました(笑)。

横山:ゼロディブさんから、メインシナリオだけでもフルボイスにできるというお話をいただき、「ぜひ、お願いします!!」と即答しました。シナリオや言い回しを細かく調整していただき、当初プロットから、シナリオを切って短くしたりせずに、ちゃんと実現してくださったのはうれしい限りですね。

原神:収録は何日にも及びまして、軽い気持ちで「できますよ」と答えた時には、まさかそんなにかかるとは思っていませんでした(笑)。

――豪華なメンバーがそろっていますから、スケジュールを抑えるのも大変そうですよね。

原神:そうなんですよ。それなのに「えっ!? この声優さんにこれだけのセリフでいいの?」と思うくらい少ししかしゃべってもらっていないこともありました。シナリオは既にでき上あがっていたため、調整できることはなく「このキャラのセリフをもっと入れておけばよかったな」と後悔することもありましたね。

――プレイしていて、まず中村悠一さんの声からシナリオが始まったので、これは女性ユーザーさんが喜ぶだろうと思いました。ここは狙いがあってのことでしょうか?

原神:狙ったものではないので、逆にラッキーだと思いました。うれしいですよね、ゲームが始まってすぐに中村悠一さんの演じる先生から声がかかるというのは。

→NPCとの明確な恋愛描写は?(3ページ目)

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データ

▼『新・剣と魔法と学園モノ。刻の学園』ダウンロード版
■メーカー:アクワイア
■対応機種:PSP
■ジャンル:RPG
■発売日:2012年7月19日
■価格:4,800円(税込)

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