2012年10月23日(火)
――続いて、レスキネン教授の誕生経緯を教えてください。
たきもと:レスキネンに関しても、真帆と同様に紅莉栖のセリフがきっかけになっています。大学に在籍して研究をしているからには指導教授がいるわけで。ただのアメリカ人だと特徴がないので、北欧系の大柄な男性にしました。
林:最初は教授も女性にしようか? という話もあったんですよ。
たきもと:でも、それだと女性だらけの作品になってしまうので、それはちょっと違うでしょ、ということで男性になりました。
――『閉時曲線のエピグラフ』を読んでいて、レスキネンにはミスター・ブラウンに近い印象を持ちました。
たきもと:レスキネンは真帆と対比させる意味もあって、大柄でたくましいキャラクターということにしていますが、ブラウンほどいかつい感じではないですね。
林:打ち合わせをしていた中では、いかにも学者というイメージで考えていました。
――この2人以外の新キャラはいかがでしょうか。
たきもと:まずはまゆりの義理の娘であるかがりがいます。『閉時曲線のエピグラフ』だと冒頭に顔見せ程度でしか登場していないので、現時点ではあまり語ることができないのですが、今回の小説のキーパーソンとなるキャラクターです。これから先のストーリーに大きくかかわってくることになりますのでご期待ください。
――キャラクターではないのですが、レスキネン教授が研究している“Amadeus(アマデウス)”の存在も気になるところです。
たきもと:“Amadeus”の名前自体は作曲家のモーツァルトのフルネーム“ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト”から取っています。また、モーツァルトの才能に嫉妬したとされるサリエリという作曲家も存在していましたが、彼らの関係を真帆と紅莉栖の微妙な関係にも引っ掛けて表現しています。この“Amadeus”に関しても、次巻でいろいろな展開がありますよ。
――新キャラたち以外で『閉時曲線のエピグラフ』の中でここは注目、というポイントはどの辺りになりますか?
たきもと:ダルと鈴羽の橋田親子ですね。あの2人は書いていて楽しいんですよ。あと、『閉時曲線のエピグラフ』を読んだMAGES.のスタッフの方から、「この小説の主人公はダルと鈴羽でもありますよね」と言われて「なるほど」と思いました。今回の小説はもちろんオカリンと真帆が中心になって話が進みますが、同時にオカリンを復活させようと頑張るダルと鈴羽の物語でもあります。この2組の主人公たちの動きに注目してほしいですね。
安本:他にも、それまで『STEINS;GATE』本編でもほのめかされてしかいなかったキャラクターたちも登場しますしね。
たきもと:例えば阿万音由季とフブキやカエデがそうですね。今まで隠されていた部分が明らかになってくるので、そこも大きな見どころだと思います。
――ドラマCDはどうでしょう?
安本:そこはやはり真帆の存在に尽きます。彼女がラボメンたちと絡んだらどうなるのか。また岡部や紅莉栖との微妙な温度感といった部分も注目してほしいです。
たきもと:紅莉栖と真帆で、例えば百合っぽい展開とかはないの?
安本:百合な展開かあ(笑)。そこは今後おいおい、というところですかね。ただ今回のドラマCDの後半のほうで、ちょっとしんみりする部分はありますよ。
――それでは第2巻となる『永劫回帰のパンドラ』についてもお聞きしたいのですが……?
たきもと:現在まさに執筆中でして、あまり詳しいことは話せないのですが……。岡部のとある出会いがストーリーの鍵になります。また、ダルの周辺でもいろいろな出来事が起きるかもしれません。
――タイトルにはどんな意味を込められたのですか?
たきもと:ギリシャ神話の“パンドラの箱”のように、希望や絶望が入り混じった物語、といったふうに捉えていただければと思います。
――それでは最後に、ひと言メッセージをお願いいたします。
林:先日のコミックマーケット82ではセットの一部として先行販売された『閉時曲線のエピグラフ』ですが、今回ドラマCDも付いた形で皆さんにお届けいたします。小説の内容はシリアスでハードで、キャラクターたちの今までとは違った一面が味わえると思います。ドラマCDはラボメンたちがワイワイガヤガヤと楽しそうにしている姿を描いておりますので、ぜひあわせて楽しんでください。
安本:ドラマCDはシリアスな本編に対する一服の清涼剤といった立ち位置で考えていますので、気楽に楽しんでいただければと思います。新キャラの真帆も、声が付いたことでキャラクターに深みが増しているので、ぜひ聴いてみてください。
たきもと:今回この小説を執筆する中で、『STEINS;GATE』という作品やキャラクターへの愛着を新たにしている自分がいたりします。ファンの皆さんには、今回の小説3部作を通じて、『STEINS;GATE』という作品や登場するキャラクターたちにより深い愛着をもっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
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