『トゥームレイダー』国内発売目前レビュー！ ファンの不安を称賛に塗り替えた圧倒的“ララ・クロフト”感【春のレビュー祭り】

文：イトヤン

■アクションをテンポよく自然に習得！　計算され尽くしたタイミングが絶妙!!

　ヒロインのララは、ゲームの冒頭でいきなり嵐の海に投げ出されて島に漂着したため、何のアイテムも持っていない状態です。そこで、まずはたいまつを手に入れて火をつける方法から始まり、崖などの登り方、弓矢を手に入れてその使い方をといった具合に、すべてのアクションを1つずつ順番に習得していくことになります。

　少し前の海外製のゲームでは、最初からすべてのアクションが実行可能になっている代わりに、何をどう操作すればいいのかわからない、なんていうものが少なくありませんでした。本作ではもちろん、そんなことはありません。そして本作の完成度の高さを実感できるのは、そうした1つ1つのアクションをプレイヤーに対して提示していく、その順番とタイミングの部分です。

▲マップ上のあちこちにロープが張り巡らされており、ララはこれを使って移動することができます。写真のように、下に向かって滑り降りていくだけでなく、上の方によじ登っていくことも可能です。

　例えば本作には、ララがロープを使って移動するというアクションが存在しています。数回ほどこのアクションを実行し、プレイヤーがやり方を覚えたところで、お次は弓でロープ付きの矢を射って、目的の場所までロープを張るというアクションが登場します。これをまた数回ほど繰り返すと、今度は移動のためではなく、マップ上のオブジェクトを引っ張るためにロープ付きの矢を射って、ロープを使った謎解きに挑戦するという局面が登場してくるのです。

▲オブジェクトにロープを巻きつけてある部分が存在する場合には、そこに向かってロープ付きの矢を射ることができます。この時、ララのそばに柱があれば、ロープの端を結んで移動可能なロープの橋を作ることができます。		▲ロープ付きの矢を打ち込んで、その端をララが引っ張ることで、離れた位置にあるオブジェクトを動かすことができるようになります。釣り鐘を引っ張ってスイングさせると、反対側に向かって移動していった釣り鐘が扉にぶつかって……。

　ここでは例として、ロープを使ったアクションを取り上げましたが、実際のゲームでは新たな種類の敵やララが使用する武器のバリエーション、そしてララが習得するスキルを使ったアクションなど、さまざまな要素がこのように丁寧な段階を踏まえて登場してきます。これらをタイミングよく次々と提示することで、プレイヤーはすべてのアクションを自然に、しかも楽しみながら使いこなすことができるようになっていくのです。このタイミングがまた見事に計算されていて、“そろそろ違うことにチャレンジしたいなぁ”と思ったころに、ちょうど登場してくるんですよね。

▲マップ上でたき火のできる場所を見つけると、スキルや武器のアップグレードが実行できる他、ファストトラベルの起点にもなるベースキャンプを実行できます。炎のそばで休憩するララの姿が、緊張の連続から解放されたプレイヤー自身の心理と呼応して、心からホッとできるんですよね。

　このように、プレイしていて気持ちのいいタイミングというのは、ゲームに登場するアクションをただ順番に並べただけでは決して得られるものではありません。プレイヤーによってバラツキが出るゲームの進行具合をあらかじめ計算したうえで、何度も繰り返しテストプレイを重ねることにより初めて可能になるものだと思うのです。その意味で、これだけ気持ちよく遊べるゲームを作り上げた本作の制作スタッフの努力は、並大抵のものではないと思います。

→本作で初めて見せる“普通の女性”なララ・クロフト（3ページ目）

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データ

関連サイト

• 『トゥームレイダー』公式サイト