2013年6月13日（木）

『千年勇者～時渡りのトモシビト～』は“脱・中二病”から生まれた!? ヨコオタロウさんと白本奈緒さんのコンビにインタビュー！

■過去と現在を行き来する設定はこうやって誕生した！

――タイトル名になった『千年勇者～時渡りのトモシビト～』に、どういった意味が込められているのかを教えてください。

白本：最終決定を行ったのは私たちではないのですが、いろいろとアイデアを出させていただきました。現在と過去の行き来があるというのが、お話のベースの1つになっていることもあって、時間を感じさせるものが単語として入っているといいなということを、アイディア出しの段階でいくつか出させていただきました。

――なぜ“時渡り”という設定が生まれたのでしょうか？

白本：まず、同じダンジョンに別のテーマを持って再度訪れることが決まっていたんです。別に過去じゃなくてもよかったのですが、お話を作っていくうえで、過去と現在のリンクやその関連性が私自身おもしろいと思ったので、同じステージを行き来するという前提ありきで今のような設定になりました。実は別の案もあったのですが、最終的には“時渡り”という設定に落ち着きました。

――『千年勇者』の“千年”も、時間の行き来という設定を考えられてから、ついたのでしょうか？

白本：過去と現在の行き来という設定がまずありきで、そこから広がっていった感じがあります。タイトルもその後に決まりました。

――『千年勇者』のターゲット層は主にどの世代だと考えられていますか？

白本：Yahoo!Mobageのユーザーに30代の方が多いというお話は聞いていたので、シナリオを書く前に、昔ながらのRPGを遊んでいた人に対してのヒアリングを行いました。

――ビジュアル面においても、親しみやすいテイストのものに仕上がっているのですが、世界観のアイデアソースとなったようなものはあるのでしょうか？

白本：最初にお話をいただいた時に“安心感のあるもの”ということだったので、そこまで突飛なものにせずに、わかりやすいものにしようと考えていました。ただ、絵とかそういうところで魅力的なものがあるといいなと思ったので、火をともしていくというところで、画面のイメージが印象に残るとといいなと考えています。これは最初に出した案の中にベースがありました。

――ダンジョンをいちばん奥まで進むと、火をともした瞬間に明るくなるというのは、ビジュアル面でもこのダンジョンを制覇したというような達成感がありますよね。


▲ダンジョンの奥にある台座に、ランタンで火をともすのが、主人公の目的の1つ。

ヨコオ：実は、最初は灯台だったんですよね。

白本：もともとは火をともす先が灯台だったというか、灯台守の少年の話でした。

ヨコオ：「灯台は全部あの形だよね」と横山さんに言われて、ボツになったんですよね（笑）。

白本：ただ、「火をともすというアイディアは残してもいいね」と言われたので、今のような形で設定が残りました。

――世界観の中で、ユーザーの方にココを注目してほしいという、こだわりのポイントはどこでしょうか？

白本：昔と現在の行き来という要素があるので、そこら辺でちょっとずつ仕掛けてたりするので、注目してほしいですね。細かいところだと、全然必要のない「はい」と「いいえ」の選択を楽しんでほしいです。

――クローズドベータテストでは「はい」と「いいえ」のどちらを選んでも、大きな影響はありませんでしたよね？

白本：そうです。どちらを選んでも物語に大きな影響はないのですが、ロビィの反応にひと工夫入れています。ちょっとしたお遊び感というか、そういうのがあるといいなと思って入れました。


▲物語の合間に、いくつもの選択肢が出現する。“いいえ”を選んだ時のロビィの反応は必見。

――お話が展開していく中で、過去と今を行き来するというのがわかってくるわけですが、その辺りで工夫されている点はありますか？

ヨコオ：テクニカル的なお話になるのですが、説明しなければならない要件があって、それを一気に出しちゃうと、ユーザーさんが読んでいても頭に入ってこないということがあるんですよ。“どのぐらいの分量だと頭に入ってきて許せるのか”をよく考慮して、この段階ではこの分量で、その次は新たな謎が出てきてというように、記憶のボリュームに対する操作みたいなデザインを行っています。

　あとは、先ほどの選択肢もそうなのですが、ずっと聞かされているとそれはそれで頭に入ってこないので、リズムでいうと3ウインドウぐらい出てきたら、そこで何かしらのインタラクションを入れるというようなことをしています。これは今回、作ってみて初めてわかったことなんですよね。

白本：そうですね。あまり続くとボーっと見てしまうだけになるので、時々は注意喚起の意味も込めてインタラクションを入れています。そのブロックでお話の流れを変えたりとか、なるべく話がわかりやすくなるようにするためにも、少しずつブロック分けをしました。

→コンシューマゲームと勝手の異なるブラウザゲームに悪戦苦闘!?（3ページ目へ）

データ

▼『千年勇者～時渡りのトモシビト～』: ■メーカー：スクウェア・エニックス; ■対応機種：PC; ■ジャンル：RPG（オンライン専用）; ■サービス開始日：未定; ■プレイ料金：基本無料（アイテム課金制）