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2013年6月13日(木)

『千年勇者~時渡りのトモシビト~』は“脱・中二病”から生まれた!? ヨコオタロウさんと白本奈緒さんのコンビにインタビュー!

文:万札

『千年勇者~時渡りのトモシビト~』公式サイト

■コンシューマゲームと勝手の異なるブラウザゲームに悪戦苦闘!?

――今回、主人公以外の脇役キャラクターにはセリフがあって、その人となりが見えてくるのですが、主人公はしゃべらないですよね。

白本:主人公をしゃべらすかしゃべらせないかは、ゲームの大きい部分にかかわりそうだったので、最初に横山さんにお伺いしました。主人公はしゃべらない方向にしてほしいというお話だったので、「選択肢も無個性で大丈夫ですか?」というようなやり取りをさせていただきました。

――最初の段階で決めていられたのですね。もししゃべるとしたら、どのような形になっていたのでしょうか?

白本:男性と女性でいろいろとあるなと思っていたので、しゃべらせるとしたらその2パターンを用意したか、どちらでもいけるかみたいにしちゃおうかと思っていました。主人公の個性はプレイする人によっては受け入れられなかったりして、そこを気にしなくてはいけないので、今はしゃべらせなくてよかったなと思っています。

――今後もしゃべらない、ということですね。

白本:そう……だと思います(笑)。

ヨコオ:僕たちは、横山さんのことを「いつかブレるのでは?」と、信じていないので(笑)。ですが、世界観とかは白本さんや僕が引っ張っているというよりは、基本的に横山さんにお伺いを立てているというのがベースですよね。

――では、横山さんがブレない限りは……(笑)。ちなみに、現状でのシナリオのボリュームは、どの程度用意されているのでしょうか?

白本:すでに公開されたクローズドベータテスト以上のシナリオは用意していて、そこから先の展開とかも、ある程度区切ってやっていこうかなと思っています。どこまで膨らませていくかは、実際に走り出してからかなと思っています。

――魔王に関しては、まだまだ明らかになっていない部分が多いですよね。

白本:出し過ぎても、出さなさ過ぎても難しいので、探り探りで(笑)。

――スクウェア・エニックスのゲームということで、あえて意識した演出ですとか手法などはありますか?

白本:なるべくオーソドックスな単語を使うというのは意識的にやっていました。知っている単語の組み合わせで表現していきたいなと思っているので、そこは気をつけているところです。あとはRPGなので、冒険感みたいなものを出していければと考えています。

――お2人が考えられている“RPGとしての楽しさ”とは何なのでしょうか? また、それが『千年勇者』にどうフィードバックされているのでしょうか?

白本:私はRPGならではのお話とか、その世界そのものを楽しみたいという人間なので、そういうことろは大事にしていきたいなと思っています。ですので、『千年勇者』でも薄くなりすぎず、濃くなりすぎずで、お話感とか、ちょっとだけ味がついた世界感を出していきたいなと思っています。

ヨコオ:『千年勇者』は今の一般的なRPGとはちょっと違う、レトロRPGのカテゴリに含まれるのかなと思っています。そういう意味では、本当の意味での冒険をするというよりは、皆様の頭の中にある“以前冒険したあの体験や味わい”を、もう1回ここで再現できればと思っています。最先端のおもしろさの追求というより、いかに皆様の思い出に寄り添えるかというところですね。『千年勇者』のおもしろみは、懐かしいことがストレスなく楽しめるという点だと考えています。

――昔の思い出を引っ張り出してくるという感じですね。

ヨコオ:そうですね。あくまで個人的な考えなのですが、RPGのストーリーはすごく進化しているので、スタンダードな話でおもしろがってもらえるものってあまりないんですよね。異常な展開や変わった演出が入って、皆様がおもしろいと感じられることが多いと思います。『千年勇者』はそうではなくて、かわいらしいスタンダードな物語で、その中でのおもしろさを追求したほうがいいのかなと思っています。

――逆に考えると、今のRPGが難しくてついていけないという人には、『千年勇者』がピッタリですね。

ヨコオ:そうですね。まさにその通りだと思います。

――つまり、『ドラッグオンドラグーン』とは対極の位置にあるわけですか?

ヨコオ:『ドラッグオンドラグーン』はちょっと変なゲームなので特殊なのですが、そういうものを、横山さんから求められていなかったんですよ(笑)。横山さんから求められていたら、分厚い中二病の資料を作りますけど(笑)。何にせよ、僕たちはコンシューマゲームの出身者なので、ソーシャルゲームやブラウザゲームの勘所はまだつかめていないと思います。その辺りは学ばせていただいて、いろいろと伺うということを基本としています。

――ブラウザゲームという枠の中で工夫されている点はありますか?

白本:先ほどのお話にも掛かってくるのですが、いっぺんに見せられる情報の量だとか、プレイがどこで止められるのかというのがわからないので、ある程度目的を提示してあげるというような、細かい気遣いみたいなことはやっていこうというお話はしました。ただし大筋の流れとしては、「目的は1つだよ」というような形にはしていこうと思っています。

ヨコオ:コンシューマーゲームと違うなと思ったのが、“読み流され感”がすごいなという点ですね。ブラウザゲームだと、つい連打してテキストを進めちゃうのですが、対するコンシューマーゲームだと「読まないと続きがわからないかな」みたいになるように、ユーザーさんの気構えが違うのかなという印象があります。

白本:お話がメインではなく、あくまでちょっとした味つけみたいなポジションになっていることが多いなという印象があります。

ヨコオ:コンシューマゲームといちばん違うのが、オンラインゲームなのでゴールが存在しないことです。ずっと続くサービスだけど、進捗感が必要という、この矛盾した問題をどう解決しようと悩んでいます。きっと白本さんが頑張ってくれるはず……(笑)。

『千年勇者』

――やはりヨコオさんがかかわっていることもあり、「ダークファンタジー的な展開があるのでは?」というユーザーの方もいらっしゃると思うのですが、その辺りの要素はどうでしょうか?

ヨコオ:ないと思います。僕は今回、メインでは携わっていなくて、白本さんの個性というか、女性らしさをうまく出せたらいいなと思っているので、なるべくやらないようにしています。テクニカルなところだけを中心に見ているという感じなのですが、なにぶんオンラインゲームなので、人気が低迷して、テコ入れで横山さんから「やっぱり中二病が必要だよ」というブレブレの指示があったら、僕が書き始めると思います。まずは“ロビィ死す”というエピソードから(笑)。

→お気に入りのキャラクターにまつわる裏話も
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※画面は開発中のもの

データ

▼『千年勇者~時渡りのトモシビト~』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PC
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■サービス開始日:未定
■プレイ料金:基本無料(アイテム課金制)

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