『千年勇者～時渡りのトモシビト～』は“脱・中二病”から生まれた!? ヨコオタロウさんと白本奈緒さんのコンビにインタビュー！

文：万札

■お気に入りのキャラクターにまつわる裏話も盛りだくさん！

――お2人は古いRPGというものに対して、どのような思いがありますか？

ヨコオ：古いRPGが本当によければ、バーチャルコンソールなどでやればいいだけなので、やはりそこにある“できていなかったこと”をうまく取り除いて、食べやすくするというのが重要なのかなと思います。私自身は昔のゲームが好きで、RPGは『ドラクエ』を死ぬほどやっていましたし。そういう意味ではもっとレトロなほうが好きなのですが、グラフィック的にはスーパーファミコンぐらいがかわいいなと。そういう世代的な意味では、『千年勇者』は白本さんがやってよかったと思います。私がやるとファミコンっぽくなっちゃう気がしますね。

白本：昔、『ドラクエ』を遊んだ時にすごく楽しかった思い出があって、今もう一度それを見直すと、お話の動線がシンプルだけどババッと流れていくのがすごいなと思います。このシンプルさで、これだけ遊べるのがうらやましいという思いもあります。今の時代、ブラウザゲームだと特に説明を用意しないと入りにくいかなというところがあるので、入れてはあるのですが、『ドラクエ』のようなシンプルさを目指したいなと思っています。

ヨコオ：ブラウザゲームなので、手早くスッと遊べるということをしないといけないのかなと思っていたのですけれど、RPGらしさみたいなものがあって、それを表現するストーリーがあるということで、その部分の配分を調整しているところですね。クローズドベータテストの時はこちらが考えているよりは読んでくださっていたので、もうちょっと話を増やしても読んでいただけるのかなとか、そこら辺をやりながら試していきたいです。

――キャラクターの原案もすべて白本さんが考えられたのでしょうか？

白本：各キャラクターには村の機能的なものが含まれているので、後から「こういった感じの設定を加えさせてください」とか、そういうところで触らせていただいたりはしています。ロビィに関しては、ガイドっぽい立ち位置にするかどうかが最初は決まっていなかったのですが、やはりナビ役っぽい人がいたほうがいいということで、このような立ち位置にしました。リアクション担当といったら変ですけれど。

　それも踏まえて、主人公がしゃべらないと決まった時点で、感情豊かな子になってほしいなということで、こういうポジションになりました。他のキャラは仕様にリンクしている人たち、特に村の人たちは、そういう点をベースに膨らませてもらったぐらいです。

――ポジーは原案の時から大きく変わったと聞いたのですが、本当でしょうか？

白本：最初、ポジーはオネエキャラだったんです（笑）。いろいろとあって、今のような形になりました。どっちがしゃべるとか、本体がどっちだとかを順番に決めていきました。

――ポジーの相棒が、いったい何なのかというのがまったく語られていないので、すごく気になります。

白本：きっと今後語られていく……かもしれません（笑）。

▲鍛冶屋を営むポジー。毛むくじゃらのパートナーの名前は“相棒”（ポジーが命名）。

――お2人が特に気に入っているキャラクターは誰でしょうか？

ヨコオ：僕はやっぱりロビィですね。あの偽善っぽいところが、「こんないい子いねえよ」と思いながら（笑）。そういう意味では、僕には書けないキャラクターで、すごくいいなと思います。

白本：やっぱり、死ぬか裏切るかしかないんですね（笑）。

――白本さんのお気に入りは誰でしょう？

白本：いろいろとあったので、ポジーには思い入れがあります。あの口調を書くのが楽だというのもありました。最初に見た時に「ポニョ、そうすけ好きー」というフレーズが浮かんで、これでポジーを「ゆうしゃ好きー」にしようと思ったところから始まったので、イメージしやすかったです。ロビィについても言おうかなと思っていましたが、ヨコオさんが全部かっさらっていったのでいいです（笑）。

――そこは語ってください！

ヨコオ：特に、ロビィとは付き合いが長いからですからね。

白本：そうですね。とりあえず「いいえ」を選んだ時の“めげないロビィ”を書くのが好きです。でも、もうこの記事を読んだ皆様の中では、“ロビィは死ぬか裏切るしかない”というイメージが……（笑）。

――ビジュアル的な面ではいかがでしょうか？

白本：絵がすごくかわいいので、設定を出してデザインが上がってくる時がすごくうれしいですね。私は特にデフォルメ版を見るのを楽しみにしていて、見た目だけで言うならミモナがいちばん好きですね。

――大胆な胸元をしているデザインですよね。

白本：このポーズをしているというところに、喜びを感じます（笑）。

――ストーリー上で出てくるキャラクターも、特徴的なものが多いですよね。ねむりの海宮の石像など、口調が独特で印象的でした。

ヨコオ：石像は、確かに結構調整した記憶があります。

白本：あの場所はキャラらしいキャラが出てこない、すごく静かな場所ですので、石像がしゃべるとかは調整していました。

ヨコオ：以前はもっと石像がしゃべっていたんですよね。ですが、ちょっと読むのが辛かったので、絞って読みやすくしました。

白本：寡黙な感じになりましたね。登場するのも“ねむりの海宮”なので（笑）。他にもたくさんキャラクターがいますけど、ストーリー上に登場するキャラクターはお話ありきで案を出させていただいているので、割と全員、思い入れがあります。

▲特徴的なしゃべり方をする、ねむりの海宮の石像。

――ご自身に似ているキャラクターとかはあります？

白本：うーん、わからないです。

ヨコオ：ちなみにコレ、なんて答えてもバッドエンドだけどね。全部カワイイ系だから、「えーこれだと思ってるの」って思われちゃうよ（笑）。

白本：マルチバッドエンドですね（笑）。自分を投影したキャラクターはいないんですけど、先ほどもお話した通り、「いいえ」を選ばれた時のロビィを書くのがすごく楽しかったですね。

――白本さんはドSなんですね（笑）。

白本：そうかもしれないです（笑）。ロビィが苦しんでいるところを書くのがすごく楽しいです……（笑）。

――シナリオのキャラクターというと、王様の責任感のなさがすごいなと思うんですけど、いかがでしょうか？

白本：あれは、王様をもう1回出したいんですけど、開発的な事情で出せないんですよ。出せるタイミングが来たら、そこのお話が回収できるんですけど。今は「いってらっしゃい」と言ったきりの状態ですね（笑）。

――世界の危機にかかわることなのに、結構ぞんざいな存在になっちゃってるんですね（笑）。

ヨコオ：ただ、魔王を倒すという目的自体は王様にひもづいているので、定期的に出てくれないと困りますね。RPGにはだいたい、でっかい目的と小さい目的があって、小さい目的はいつも覚えているけど、大きな目的はたまに思い出す、みたいなリズムで進んでいくので、たまに王様が出てきて「魔王忘れてない？」という流れを作っておかないと、ユーザーさんが戻ってこれないだろうなと思っています。ですので、今後、王様は定期的に出てきます……多分。

――王様に関しては、その時に補完されるわけですね。ちなみに、現状明かされているヒト族やヒギツネ族以外の種族が登場する予定はありますか？

白本：いるという設定ですが、具体的にこういうキャラクターが出てくるというのはフワッとしています。ですが、出せればいいなというのはあります。

▲現在明らかになっているのは3種族。左から、ヒト族のバレッタ、ケモノビト ヒギツネ族のポータ、ケモノビト ヒネコ族のミモナ。

――ヨコオさん、今後は種族同士の抗争などが描かれたりする予定はありますか？

ヨコオ：なんで暗い話になると僕に振るんですか（笑）！　僕が書くとなると民族浄化的なひどい話をやり切りますけど、そうはならないと思います。

白本：最終的にはそうなるかもしれませんよ。

ヨコオ：横山さんがブレたらそうなる可能性がありますね（笑）。

――モンスターの設定も白本さんが考えていらっしゃるのですか？

白本：今のところはノータッチで、今後はアイディアを出しても大丈夫だと言われていますが、現状公開されているモンスターに関してはかかわっていません。

→激しいじゃれ合いは信頼の証!?
ヨコオさんと白本さんの意外な関係（5ページ目へ）

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• 『千年勇者～時渡りのトモシビト～』特集ページ
• 『千年勇者～時渡りのトモシビト～』公式サイト