News

2013年7月30日(火)

【ほぼ毎日特集#26】時がゆっくり流れていた子ども時代『ゼビウス』は神聖なものだった――ファミコン世代のおっさんが思い出を語る(まっつ)

文:まっつ

■大人と子どもでは時間が流れる速さが違う?

ほぼ毎日特集『ゼビウス』

 ファミコン版『ゼビウス』は、1984年の11月に発売された。気になっていたアーケードゲームが移植されるということで、当時の俺はさぞかし喜んだと思うのだが、なぜかそのころの記憶がまったくない。

 その年はゲーム以外にもキン消し(キン肉マン消しゴム)とか少年ジャンプとか、夢中になれることがたくさんあったころだ。『ゼビウス』はそんな夢中になれるものの1つに過ぎなかったのかもしれない。

 今思うとこのころはファミコン、ゲームセンター、少年ジャンプ、アニメなどが充実していたうえに、カラーボール野球やドロケイ、駄菓子、ガンプラ、犬の散歩など、遊びの選択肢が山ほどあった。そこに勉強という選択肢が入る隙は一部もなかった(←アホ)。とにかくものすごい密度だったと思う。

 確か平日は午後3:40ごろに学校が終わって、放課後から18:00過ぎくらいまでの約2時間が外での遊びの時間。今思うと不思議だが、毎日ヘトヘトになるまで遊んで、やっと日が暮れるという感覚だった。

 たったの2時間である。おっさんになった現在の感覚からすれば、腹の周りについた贅肉をつかんでひとしきり嘆いたあと、急に思い立って胸筋を動かしたり、ちょっと集中して鼻毛を抜いているだけで過ぎ去っていく時間である。

 普通、集中すると時間は速く流れていきそうなもんだが、子どものころは逆なんだよなあ……。なぜだろう。

 子ども特有の経験値の少なさのおかげで、些細なことでも好奇心をもって心から楽しめること。子ども特有の体力の少なさと速い回復力ゆえに、疲れながらも運動を続けて動き回れること。この辺りの要素が、時間の流れを遅くしているのだろうか。

 もしかしたら、おっさんになっても体を鍛えて体力を付け、本気の好奇心で新しいことに挑戦し続ければ、子どものころのような濃密な時間を過ごせるのかもしれない。

 そんな本気の好奇心を抱かせるものにもう一度出会ってみたい。スイカに塩を振りかけながら、そんなことを思った夏の夕暮れでした。

おわり。

→オマケ・『ゼビウス』キャラクター紹介(4ページ目)

(C)NBGI

関連サイト