News

2013年7月25日(木)

『メトロ ラストライト』では“カルマシステム”でエンディングが分岐する!? 独特な没入感の秘密をローカライズ担当プロデューサーに聞いてきた!!

文:イトヤン

■名もなき人々の会話が、リアリティあふれる臨場感を生み出す!

――大勢のNPCが行き交う地下鉄駅の内部では、防護マスクを身に着けた地上での探索とは、また違った形の臨場感が伝わってきますね。

 アルチョムが暮らすD6内部や、共産主義者の拠点であるシアター駅など、大勢のNPCが行き交う場所では、生活感を細密に表現したグラフィックだけでなく、雑多な会話の音声からも臨場感が味わえると思います。

『メトロ ラストライト』

 ゲーム内では、名もなきNPCたちが実に多くのセリフを発しているんです。ゲームを最低限進めていくうえでは字幕だけの表示でも問題はないのですが、この世界の雰囲気を伝えるようなNPCの会話に関しては、すべてを字幕にすることはできません。そのため、今作のローカライズにおいて日本語吹替は必須でした。

 主人公のアルチョムは幕間のモノローグを除くと、ゲーム本編ではほとんどしゃべらないんです。メインキャラクターで一番セリフが多いのは、序盤でアルチョムの仲間になるパヴェルというキャラクターです。彼はアルチョムがしゃべらない分、プレイヤーに対するチュートリアルの役割も兼ねていますから。

『メトロ ラストライト』

 その次に多くセリフをしゃべっているのが、実は名もなき街の人々なんですよ。一般的なローカライズ作業では、まずメインキャラの音声を収録して、残りの時間で可能な限り、端役などの細部にこだわるという段取りになるんです。しかし今作では、メインキャラの収録と街の人々の収録を、対等に並行して進めていく感じでしたね。それだけ、街の雰囲気を音声で伝えるというところにこだわっています。

『メトロ ラストライト』

――ということは、通常のローカライズでの収録と本作の収録では、どこか違うところがあるのでしょうか?

 もちろん、どのゲームでもベストを尽くすという意味では同じですが、今回の作品に関して言えば、ゲーム内容がシングルプレイの演出に特化しているために、セリフの細部にも特別にこだわることができました。

 オープンワールドのゲームのように自由度が高い作品だと、1つのセリフがどんなシチュエーションで登場しても違和感のないように、汎用性の高いものにする必要があるんです。会話している時間が昼なのか夜なのか、会話している相手は男性なのか女性なのか。そういった部分をあまり限定せずに、無難にぼかした表現にする必要が出てきてしまうのです。

 しかし今作ではシングルプレイの演出に特化している分、それぞれのセリフの登場する場面やタイミングがほぼ決まっていました。そのため、その場の状況にピタリと合った日本語のディテールに、こだわることができたのです。

『メトロ ラストライト』 『メトロ ラストライト』
『メトロ ラストライト』 『メトロ ラストライト』

 例えば、アルチョムがシアターの駅にやって来ると同時に、難民を乗せた列車が到着します。その時、駅の構内でアナウンスが流れるんですが、日本語吹替だとこのアナウンスが日本で働く駅員さんのような独特のしゃべり方になっているんです。ただ小さな音量で、ほとんど聞こえないほどになっているのが残念なところなんですが(笑)。

――なるほど。シアターの駅といえば、ステージで繰り広げられるショーを見ることもできますよね?

 あのステージはぶっ通しで見ると、全部で10分ぐらい続くんです(笑)。プレイヤーの皆さんにもぜひ最後まで見ていただきたいのですが、まずは興味を持ってもらおうと、司会者の芝居が原音以上にアクの強いものになっています。ショーの内容と相まって、なんとも不思議な体験が味わえると思いますので、ぜひ足を止めて見てみてください。

 ただ、このように日本語吹替ならではの演出を盛り込めるというのは、逆に言うと英語音声やロシア語音声といった原音を同時に収録しているからこそ、ということも言えますね。

『メトロ ラストライト』

――試しにロシア語音声+字幕でプレイしてみましたが、エキゾチックな雰囲気がすごく伝わってくる一方で、字幕に出ないNPCのセリフが何を言っているのかまったくわからないのは、やや残念なところでした。

 そうですね。音声はオプションで自由に切り替えられますから、日本語音声で細部まで楽しんで内容を把握した後に、2周目は英語やロシア語でプレイして雰囲気の違いを楽しむというのもオススメですね。

→隠されたカルマシステムによってエンディングが変わる!?(4ページ目へ)

(C) Copyright 2013 and Published by Koch Media GmbH. Deep Silver is a division of Koch Media GmbH, Gewerbegebiet 1, 6604 Höfen, Austria. Developed by 4A Games. 4A Games Limited and their respective logo are trademarks of 4A Games Limited. Metro: Last Light is based on the internationally bestselling novel METRO 2033 by Dmitry Glukhovsky. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners.

データ

PS3『メトロ ラストライト』
▼『メトロ ラストライト』
■メーカー:スパイク・チュンソフト
■対応機種:PS3
■ジャンル:ACT
■発売日:2013年8月1日
■希望小売価格:8,190円(税込)
 
■『メトロ ラストライト』の購入はこちら
Amazon.co.jp
Xbox 360『メトロ ラストライト』
▼『メトロ ラストライト』
■メーカー:スパイク・チュンソフト
■対応機種:Xbox 360
■ジャンル:ACT
■発売日:2013年8月1日
■希望小売価格:8,190円(税込)
 
■『メトロ ラストライト』の購入はこちら
Amazon.co.jp

関連サイト