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2013年7月31日(水)

【電撃銃士隊】『ガンスリンガー ストラトス』の生みの親が語る、本作のこれまでとこれから(完全ノーカット版)

文:あべくん

■キャラメイキングは、どんな遊びをしたいかを考えることから始まる

――キャラクターについてですが、リューシャ、茉莉という第弐次解放戦争以降に追加されたキャラクターのコンセプトや設定を、改めて教えていただけますか。

 まず、リューシャ、茉莉ともに、運営開始後に作られたキャラだということをお伝えしておきます。主水やξ988は、稼働する前から作っていたキャラなので、その点では少し異なりますね。もともと、男性キャラが多くて女性キャラが少なかったということもあり、そろそろ男女間のバランスを取りたいな、という思いもあって女性キャラ2体を追加しました。

 あとはジョナサンのライバルを作るじゃないですが、そういう遊びもあっていいかなと。彼女たちが生まれた経緯ですが、基本的にキャラ作りを行う際には、このゲームでこういう遊びをやりたい、というところからスタートします。たとえば、衛星砲のような武器を作りたい、だから上空から攻撃できる、というコンセプトのキャラを作り出そうなど、そういったイメージですね。

 普通に考えるとキャラメイクって、ゲームの世界観に合わせてキャラを作りましょう、となってしまうのですが、対戦ゲームということで、ゲームありきのキャラメイキングになっています。どんな遊びをしたいかというのが、そのキャラを見たらわかるようになっているので、コンセプト通りに生まれてくれたなと思います。

――茉莉なんかですと、機動力の高いロボットという印象ですね。

 そう! ジョナサンが昭和な感じというか、重量感ある昔ながらのロボットというのに対し、未来形のロボットを作りたい。だったら流線型だ、という流れです。

 余談ですが、我々スクウェア・エニックスと開発会社のバイキングさんとでは、当初キャラの作り方に相違がありました。私たちはキャラのデザインや見た目から取りかかるのですが、バイキングさんは遊びから入るといった違いです。

 私たちはRPGを得意としているので、最初どんなキャラかわからなくても説明を繰り返すうちに理解してもらえるようになると考えており、バイキングさんは100円を入れた時に選択できるキャラがどういう性能なのかある程度わからないと選びようがないだろうという考え。キャラ作りに対する考え方が真逆なので、最初は本当にぶつかっていました。最近になってお互いを理解できたという感じですね。

――そうだったのですね。そういえば、今回はこの2体のキャラデザインを新たに三輪士郎(漫画家・イラストレーターとして活躍。ボーカロイドをボーカルに据えた音楽ユニット“supercell”のメンバーでもある)さんにお願いしたとのことですが、その理由を教えていただけますか。

 フィーリングによるところが大きいですね。性能などをあらかじめ決めて、こうしたキャラにしてほしいと依頼しました。ただ、『ガンスリンガー ストラトス』のユーザーさんを見てると、ボカロPに興味のある子たちが結構多い。新天地のBGMもボカロ調ですし、そういう流れに持っていったというのはあります。

 『ガンスリンガー ストラトス』や本作スタッフとまったくかけ離れた関係のないデザイナーさんに依頼するようなことはしたくない。だったらボーカロイドの延長というか、そうしたカテゴリーの方向へと少しずつ広げていきたいなと考えました。そういった子たちに刺さるようなデザインセンスを持つ方に依頼したというのは1つの狙いとしてありましたね。

――ボツになったキャラクター案などはありましたか。

 実は意外と無いです。もちろん風澄のデザイン案などは20案くらい出しましたし、そういう意味ではデザイン的なボツは多いですが、こんな遊びをさせたいというコンセプトがあってキャラ作りが始まっているんで、それ自体が覆ることはなかったですね。

 ただ、僕の中では羅漢堂があれだけ支持されているというのがショックでしょうがない(笑)。真っ先に「そのキャラ必要かな……?」って言った気がするんですが、ユーザーさんはアレはアレで好きみたいですし、自分の感覚も直していかなきゃなという部分はありますね。

――ちなみに、各キャラのデザインコンセプトはどういったものだったのでしょうか?

 まず風澄は主人公でしょ。主人公がいるならライバルも、ということで鏡磨。『ストリートファイター』シリーズのリュウとケンみたいな関係です(笑)。

 ヒロインは鏡華。あとはセクシーなスナイパーもほしい、ということでオルガを。しづねは暗殺少女だったんですが、バイキングさんはここまでロリっ娘にするつもりはなかったんじゃないかな。きっとワダアルコさんが、僕の意図をくんでくれたんだと思います(笑)。

 あとはシブい枠でアーロン。忍者くんは開発当初、所属勢力によって性別を変えようと考えていました。それがだんだん凛々しくなっていって今の形に落ち着きましたが。ジョナサンは中学生のロボ好き博士くん。羅漢堂はガトリング番長と、初期のメンバーはこんな感じです。“忍者”や“番長”など、コンセプト通りに呼ばれているのが非常におもしろいですね。

 あと、レミーはもともとはこの世界のラスボス的存在にする予定だったんです。ラスボスは少年がいいと。雑談レベルで決まっていったので、おもしろかったですよ。

――本作のコスプレをするユーザーさんも多いですが、これも想定されていましたか?

 開発時にデザイナーの島崎麻里さんやワダアルコさんに言ったのは、コスプレされるようなデザインにしてほしいということでしたし、彼女たちもそこには賛同してくれました。本作を広めていくためにはコスプレ要素は絶対に必要なので、コスプレしたくなるようなデザインに何卒! と伝えました。

 ちなみに当初はいろいろなデザインがあって、たとえば鏡華にもマシンガンの弾帯をグルグルとスカートに巻くような、薬莢でスカートができているようなものもあったんです。撃つ度にどんどん短くなっていく(笑)。でも「案としてはおもしろいけど、そのコスチューム誰が作るの?」という話はありましたね。

――クレーンゲームの景品に“どぐまぐぬいぐるみ”が登場しましたが、こういったグッズ展開は今後予定していますか。

 プライズについてはやって行きたいですね。ただ求めるものがみんなバラバラなので、そこはニーズに応じて対応していくしかないと考えています。大阪大会に合わせて、ネット販売でNESiCAケースやサントラ付きの公式ガイドブックなどの販売を予定しています。個人的にはキャラのクリアファイルとか缶バッジなどを作りたいです。いろいろと考えてはいます。

――展開の1つとしてアニメ化があると思うのですが、これについては、どうお考えですか。

 需要があるよ! ということを会社に説明はできました。この需要は本当に高いので、何かしらで実現できるといいなと思っています。ただ、アニメにした時に、それをやってどうするんだ、という明確なビジョンがないと、アニメ化すること自体が目的になってしまうと思うんです。アニメ化が『ガンスリンガー ストラトス』のプロジェクトの次につながるようにしていかなきゃいけない。そう考えると、少し時間はかかると思いますね。

→『ガンスリンガー ストラトス』の2年目を見る(3ページ目へ)

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データ

▼『ガンスリンガー ストラトス』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:AC
■ジャンル:ACT
■稼働時期:稼働中

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