2013年8月1日(木)
――本作で一番気になったところなんですけど、シルエットをなくした理由を教えていただけますか?
中村氏:今作では、背景などの写真をすべて撮り直したんです。実際撮ってみたら、かなりリアルでキレイで……この写真を見ているだけで十分楽しめるんじゃないかと。
――確かにキレイでしたね。ビールの写真は特に美味しそうで……飲みたくなりました(笑)。
中村氏:ありがとうございます(笑)。今までブルーシルエットを使って表現していた部分を、今作では白銀のゲレンデやペンションの内観など、キレイな背景で楽しんでいただきたいなと思いまして。死体のシーンも撮り直しました。背景の写真はかなりの枚数を収録していますが、これでもかなり絞り込んだんですよ。
▲ゲーム中に現れるビールの写真。思わず飲みたくなってしまう……。 | ▲死体のシーンも新たに撮り直したとのこと。CG処理などはほとんどしていないという |
――BGMや効果音も新たに録り直されたんですか?
中嶋氏:はい、BGMはリニューアルしたものが入っています。さきほど中村が申した通り、絵が非常にキレイになったのに音はそのままというわけにいかないなと。それでサウンドのほうもオーケストラを入れたり、細かい部分でギターやベースを生で差し替えたりと、かなりゴージャスになりました。
効果音もリアルになりましたね。オリジナル版の時は、機材や容量の問題でなかなか臨場感が出せなかったんですが、今作では電話の着信音のプルプルプルプルーとか、インターホンのピンポーンとか、ドタドタ歩く音とか、ペンションの中にいる空気感や臨場感がちゃんと出せたかなと思っています
――スマホ向けに移植するにあたって苦労したことはありますか?
中嶋氏:苦労のほとんどは、気持よくページをめくるという部分に費やしました。テキストを読み進めていくと、その勢いといいますか、自然に次のページヘ移る仕様にしています。
中村氏:苦労というよりは、こだわった部分ですね。ページをめくるための転換点は重要なイベントシーンであったり、印象的なSEの入るシーンであったり、ショッキングなエフェクトが入るシーンであったり、それでいて気持よくストレスなく読み進められるスタイルです。
中嶋氏:当初のバージョンでは次のページへ縦横無尽に行けたり、横にそのままめくれるというものもあったんですが、現状のものは悩まずにどんどん自然に読み進められるので、これでよかったと自画自賛しています。
――ページをめくっていく時にローディングがまったくないですよね。BGMが鳴っていて、背景も次々と変わっていくのにまったく読み込みがなくて、ストレスがないのはすごいと思いました。
中村氏:そこにすっごくこだわりましたので!
中嶋氏:これさえなければ、完成がもっと早かったと思います(笑)。
▲インターフェースは非常にこだわったと話す中村氏。実際にテキストを読んでみると、次ページへ移る際の動作がとても自然でなめらかに感じる。 |
――今回、買い切りで800円~1,000円という価格で発売された理由を教えていただけますか?
中村氏:書籍という点を意識しました。電子書籍ですとだいたい700円くらいの価格のものが多いのですが、本作はリッチなデジタル書籍という位置付けですので、800円~1,000円という価格にしてみました。
――フローチャートやエンディングリストの機能が入っていないのは……?
中嶋氏:そこはオリジナル版に忠実に。
中村氏:あくまで書籍ですので。
――なるほど。確かに書籍にはない機能ですね(笑)。今後アップデートで追加シナリオなどの予定はありますか? 例えば“ちょっとえっちなかまいたちの夜”が追加されるなど。
中村氏:今のところは未定ですが、ご要望が多ければお応えしていきたいと思っています。
→次のページでは、初代『かまいたちの夜』の開発秘話を伺いました。(4ページ目へ)
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