2013年8月1日(木)
――オリジナルのスーパーファミコン版『かまいたちの夜』を開発された時に印象深かったエピソードってありますか?
中村氏:いっぱいありすぎまして……何を言えばいいんでしょうね。やはり我孫子武丸さんと出会ったことが大きかったとは思います。『弟切草』を作った時のアンケートで「ミステリー作品を希望」というのがすごく多かったんですよ。それでミステリー作家の先生方に、「ゲームを作っているのですが、ご興味ありませんか?」という内容のお手紙を直に書いて出したんですね。その時に我孫子さんからお返事がありまして、もう先生が我々以上にゲーマーで『弟切草』もやっていただいていて。「じゃあ一緒にぜひ!」と言ってお願いしたのが、『かまいたちの夜』誕生の経緯です。
もう1つは、前回も今回も撮影で非常にご協力いただきましたペンション“クヌルプ”さんです。最初に我孫子さんがペンションを舞台にしたいと言うので、シナリオに合うようなペンションを探すことになりまして、旅行代理店さんにお願いしてめぼしいロッジ風の場所を何件か紹介していただいて実際にお願いしに行ったりしたんですけど、さすがに泊り客が連続で殺されていくシナリオだと言うと「それはちょっと困ります」って。
中嶋氏:最初「いいですよ」って言っても殺人事件だと聞くと……。その後のシリーズでも全部そうですね(笑)。
中村氏:大体それで何件も断られて、クヌルプさんにたどり着きました。ご主人によると、お願いした時はペンションを始めてまだ間もないころで、「あまり深く考えなかった」とおっしゃっていただきまして。ご主人と我々が同世代だったのも大きかったようです。
今作でもまた撮影に行ったのですが、もちろん当時のままのクヌルプで、しかも我々を待っていましたというような嵐で、ものすごくぴったりのロケーションでした(笑)。そんな中、ご主人には行き帰りの送迎など今回もいろいろとご協力いただきまして、本当にありがたかったです。
▲ゲームの舞台となる“シュプール”のモデルとなった、ペンション“クヌルプ”。ファンの聖地のような存在となっている。 |
――中村さんも撮影に行かれたんですね。
中村氏:はい、何年ぶりかにクヌルプに行きました。今回スタッフ4人で行ったんですが、みんな『かまいたちの夜』を熟知している人たちばかりで、ほぼ絵コンテなしでどんどん撮影していきました。あの時と同じペンションだなという感慨深さと、それが今風のキレイな画像で表示される感動を、かつて『かまいたちの夜』をプレイした方に感じていただきたいですね。
▲当時と変わらぬ姿のクヌルプ。かつてオリジナルのゲーム版で見た内装の背景が、アプリ版では美しい写真でよみがえっている。 |
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