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2013年9月10日(火)

日本と海外のセンスの衝突から生まれた!? 『ロスト プラネット 3』の設定や世界観について開発プロデューサーにインタビュー

文:電撃オンライン

■衝突から生まれた画期的なアイデアとは?

『ロスト プラネット 3』

――本作では生身での戦闘とURでの戦闘、2つの視点から楽しめましたが、これはどのようにして生まれたのでしょう?

 過去作で登場したバイタルスーツ(以下、VS)は、見た目はカッコイイのですが、搭載された武器を発射するといった攻撃方法は、生身の状態とやっていることは大きく変わらなかった。それは昔からの悩みのタネでもあり、なんとかしたかったんですよ。それなら、逆にロボットに乗っているときは肉弾戦にすればおもしろいんじゃないか、ということで生まれました。

 ただ、これによって莫大な作業量が発生することになったんです。小型のエイクリッド(以下、AK)はURが踏めばつぶれてしまいますが、中型以上のAKになると人間に対する行動パターンとURに対する行動パターンの2種類を用意しなくてはならないんですね。1つの敵なのに2つの敵を作ってるようなものなんですよ。風呂敷を広げたのはいいけど、広げすぎてどうしようってことはありました(笑)。

――その甲斐あってか、生身で苦戦するAKでもURの時は安心して戦える。そのギャップがきちんと描かれている印象を受けました。

 URがあって助かった、ホッとしたっていう気持ちが生まれたなら、こちらの狙い通りです(笑)。他にも、URの通信圏内でないとレーダーが使えなくなるので、URがあると便利だというところも表現したかったんですよ。

――URの便利さを表現する一方で、逆に不便さという意味で気を使ったところなどがあれば教えて下さい。

 そこは試行錯誤の繰り返しでしたね。当初の設計では、URに乗っている時だけ目的地が表示されるようになっていたのですが、さすがにこれではプレイヤーのストレスになってしまうだろうと。とはいえ、つねに目的地を出している状態だとせっかくの世界観が壊れてしまう。

 そこで、プレイヤーに任意で見てもらおうと、十字ボタンの上を押すことで目的地を一時的に表示するようにしました。自分の力で道を切り開きたいという人は、頼らず進んでもらえますから。あとは、セレクトボタンでミッションログを出せばそこにマップは必ず出るので、極力ストレスがないようにしてあります。

『ロスト プラネット 3』

――確かに、URから降りて遠出して命からがら戻ってきて、レーダーが復帰した時の安心感はありましたね。

 URのコンセプトとして、プレイヤーに愛着を持ってほしいという気持ちもありました。URに乗ったら安心できる。ストーリーでも、地球から輸送されたURをゲイルが勝手に組み立ててしまったことに対してジムは怒りましたが、そういうジムの愛着を通じてプレイヤーにも同様の愛着を持ってほしいとおもいます。

――開発チームは海外にありましたが、その方々とはどれくらいのペースでやりとりをしていたのでしょうか?

 メールでは毎日、何十通というやり取りでしたね。私自身も少なくとも月に1回は向こうに行くようにしましたね。プロジェクトを立ち上げた最初の一年は、カプコンの開発スタッフも連れていって、お互い議論しながら仕様を固めていった感じです(笑)。

――国が違うと思想も違うかと思います。海外の開発のやり取りのなかで印象的なエピソードがあれば教えてください。

『ロスト プラネット 3』

 いろいろありますが、一番印象に残ったのは先ほども話したURですね。アメリカ側としては「過去のお話だからURは大型であるはず」だと。しかし、すでに過去2作品を作ったカプコンスタッフとしては、「やったけどうまくいかなかった」というところで衝突しましたね。URにしても敵にしてもデカくするための見せ方がうまくできないと、ゲームに盛り込む際に収集がつかなくなってしまいます。

 ここでアメリカ側からは、「URの操作は第一人称にすればいい」という提案をもらったんですね。で、実際にやってみると、視点をいくらでも高くすることができ、視界も広くなって巨大なロボを操縦する独特の感触ができちゃったんですよ(笑)。

――衝突から生まれた仕様だったんですね。

 はい! こういう衝突があってできた仕様は多いです。URでの操作性は『ロスト プラネット 3』の特徴にもなったのですが、おかげでゲーム開発の作業としては倍かかることになってしまいました(笑)。

――デザイン的な面でも、日本と海外では好みの差異があったのでは?

『ロスト プラネット 3』

 URのデザインでもかなりもめました(笑)。アメリカ側が提案したのは三角形のシルエットをしたデザインだったんですよ。上半身は細く足が太い海外のメカスタイルです。それに対して日本側はシルエットは特徴的でないとダメだと言いました。ディティールが見なくてもシルエットを見ただけでURだと解るデザインにしたかった。それで、登山家が山登りするときにパックを背負っているカンジのシルエットにしたらどうかという提案がされました。

 ただ、言葉は通じないので絵を書いて見せ合いっこですね(笑)。それを繰り返して、今のデザインに落ち着いたわけです。URは日本人のセンスとアメリカ人のセンスが五分五分に反映されたものになりました。

――URにはプラットフォームモードという機能が追加され、変形までしてしまいますが、それはやはり日本側からの提案なのでしょうか?

 ええ。「ロボットなら変形しなきゃだめでしょ!」ってことです(笑)。ただ、プラットフォームモードは後から足したのではなく、当初からあった企画です。

『ロスト プラネット 3』

――四つんばいになるかなり特徴的なシルエットですが、このような形にしようと思ったのは?

 最初はもっと簡易的に、座り込む程度にしようと思ったのですが、「変形ならこれくらいしなければ!」という提案があり、現在のような形になりました。完全変形ではないんですが、特徴的なシルエットになってよかったと思っています。

――ジムのURとラロッシュのURはデザインが異なりますが、これは地球側のメーカーが違うということですか?

 簡単に言うとそういうことですね。基本となるフレームは一緒なんですが、そこにつける外装が違います。……実はジムとラロッシュ以外にもURが登場するので、そちらも探してみてください。

マルチモードについてや細かすぎるネタは3ページ目で!

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データ

▼『ロスト プラネット 3』ダウンロード版
■メーカー:カプコン
■対応機種:PS3
■ジャンル:ACT
■発売日:2013年8月29日
■価格:6,990円(税込)
▼『ロスト プラネット 3』
■メーカー:カプコン
■対応機種:PC
■ジャンル:ACT
■発売日:2013年9月26日
■希望小売価格:5,990円(税込)
▼『ロスト プラネット 3』ダウンロード版
■メーカー:カプコン
■対応機種:PC
■ジャンル:ACT
■発売日:2013年9月26日
■価格:59.99米ドル
※STEAMにて販売

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