『World of Tanks』で多彩なカテゴリーの戦車を使いこなせ！【めざせ！ 戦車道免許皆伝!! 第5回 駆逐戦車・自走砲・重戦車編】

文：田中尚道

■自力で移動できる大砲だから【自走砲】

　Tier IIで登場するもう1つの新顔が【自走砲】です。これは駆逐戦車と同様に、装甲を施した車両に大口径の榴弾砲を載せたもの。そもそもの大砲は曲射砲（弾が弓なりに飛ぶ大砲）ですから、最古の砲の末裔と言えます。ちなみに、大型砲はその種類によって、配属される部隊が異なります。

　対戦車砲は機甲部隊が、高射砲はそのほとんどが空軍、そして曲射榴弾砲は砲兵部隊にそれぞれ所属します。そして砲兵は、師団つきとして独立した部隊になっていることがほとんどです。自走砲は分散して配置しても意味がなく、集中して運用してこそ効果があるからで、いわゆる面制圧のための戦略兵器の位置づけです。とはいえ、『WoT』では他の戦車に交じって普通に使えます。

　さて、自走砲に積まれた曲射榴弾砲ですが、間接射撃である曲射の命中精度では、平射砲（目標に向かってまっすぐ飛ぶ大砲）にかないません。が、戦車上面の装甲の薄い部分を、平射砲とは比較にならない大口径の砲弾で、さらには周囲に弾丸をバラマキながら攻撃することができます。このため、その攻撃力は侮れません。平射砲の場合と違って、直接敵に狙われることもありませんしね。

▲レティクル（照準）が収束しきれば、普通の対戦車砲ぐらいの大きさになりますが、この大きさになるまでに膨大な時間が掛かるのが難点。

　第一次世界大戦のような塹壕戦で、戦線が膠着している状態では、陣を築いてそこに砲を設置して使用していました。しかし、戦車による電撃戦が考案されたことにより、戦線がフレキシブルに動くようになると、陣を構築する意味が薄れてきます。前線から遠ければ弾が届きませんし、前線に近すぎるとあっという間に撃破されるからです。中世の戦争でも真っ先に弓兵が狙われたように、相手を一方的に攻撃できる兵種は優先してつぶさないと、味方の損害が増えるばかりですから。

　そんな状況を踏まえて生まれたのが、自走砲。大砲は重いですから、不整地では機動性が落ちます（ようするに、ぬかるんだ地面で身動きがとれなくなる）。そこを無限軌道でカバーするという考え方は、駆逐戦車と同じです。絶えず変化する戦線の動きに合わせて、攻めている時は進み、攻められている時は後退しと、ベストポジションに移動しながら敵に間断ない攻撃を与えるのが、自走砲のコンセプトなのです。

■自走砲の長所と短所

　平射砲を搭載した駆逐戦車の場合、直接照準で攻撃しますから、戦車の亜流としての戦い方ができます。しかし自走砲は、攻撃方法から異なります。その長所と短所は以下の通り。

●自走砲（SPG、Self-Propelled Gun）

【長所】
・直接照準ではないので、一方的に攻撃できる。
・曲射なので障害物の後ろにいる敵を攻撃できる。
・射程が長い。
・砲の口径が大きい。
・位置取りの関係で最後まで生き残ることが多い。

【短所】
・移動がとても遅い。
・装甲がとても薄い。
・旋回砲塔がない。
・障害物の多い地形ではその力を発揮しにくい。
・弾着まで時間が掛かる。
・間接射撃中は動けない。
・装填に時間が掛かる。

　やばい、短所が多過ぎます……。まぁ、それを補って余りある長所があるわけです。自走砲の攻撃方法は、直接照準による射撃と間接照準による射撃の2種類があります。この攻撃方法の違いが、最大の特徴にして最大の長所（Shiftキーで直接攻撃と間接攻撃を切り替える）。間接射撃の場合、ミニマップを参考にレティクルを移動して敵戦車を狙いますが、曲射線上に障害物があると命中しないのは、平射砲と同じ。障害物の背後を上から狙う場合でも、敵戦車が障害物に近すぎれば狙うことができません。

▲射線が赤くなる場合、途中に障害物があるということです。		▲敵が射程外になると、レティクルがつぶれた形に変化します。

▲市街地などでは、射線を通すために、敵戦車を目視できる位置取りが必要になったりします。とにかく移動が遅いので、狙われたら回避は難しいと考えたほうがいいでしょう。

　Tier IIで登場するドイツ軍のG.Pz.Mk.IVですら105mmと、破格の大きさの砲を持っているのが自走砲の特徴。榴弾と言えども、平射で直接命中させれば敵戦車を撃破できることも多いのです。が、まぁ当たりません。一発外すと装填に時間が掛かりますから、大概はその間に一撃を食らってお陀仏と相成ります。

　何度も繰り返しますが、全カテゴリー中で最も足が遅いので、後ろにつかれると逃げられませんし、そもそも車体を旋回して敵を狙うことすら難しい。さらに、自陣から離れた場所に潜伏している場合、自陣地が占領されかかっている時には成す術なしとなってしまうことがほとんどです。また、戦線から離れた場所にいることが多いので、自分以外の味方車両が全滅して途方に暮れることも珍しくありません……。

▲運よく当たれば一撃で敵を撃破できることがほとんどですが、なかなか難しいものです。

　自走砲の戦い方としては、射線が通りやすい場所を探すこと、ついで敵に見つからないようにすることの2点が大事。ですが、自走砲が陣取るのに適した場所は、敵もそれを知っていることが多いため、真っ先に軽戦車が駆けつけてきたりします。いつも同じ場所に陣取らない、迷彩ネットやスキルを使用するなどの自衛策を心がけたいものです。

→ぶ厚い装甲と強力な砲が魅力の重戦車！（3ページ目へ）

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