2013年12月6日(金)
――最近、ゲームによるコミュニティの盛り上がりが顕著になってきたかと思うのですが、Logicool Gとしてのそういったコミュニティへのアプローチはどのようにお考えでしょうか?
Logicool Gとしては、全方位的かつ精力的にバックアップしていきたいと思っています。目指すゴールとしてはeスポーツというジャンルをメジャーなものにしたいというところにあります。ここにたどり着くために色々なアプローチの仕方があると思いますし、我々1社だけでできるものではないと思っています。
ですので、プレイヤーがあって、チームがあって、それを取り囲む環境があってと全員で盛り上げていかなければ実現できないと思っているんです。その1つとしてまずやらなければいけないことは、プレイヤーがオフラインで顔を合わせて、競技として戦える場を提供しなければいけないというところです。そしてそれをエンターテイメントとして観戦できる場もないといけない。それがスポーツとして見てる人もプレイしている人も楽しめる。この環境作りがすごく大切だなと思っています。
そうした環境を作っていく中で、有名なチームやプレイヤーが誕生して、その人のプレイを見たい、プレイを見て学びたい、練習をしたい……そして練習してうまくなるためには、こういうデバイスを使うのがいい、というふうにいいスパイラルに入ってくれればと。eスポーツを盛り上げるための環境作りとチームへの支援、これは両輪でやっていきたいことです。
裾野を広げていくという意味でも、こういった環境を作ることとチームへのスポンサードを行っていくということは、我々に課せられた使命なのかなと思っています。
――それはMADCATZやRazerのようなプロゲーマー的な活動も広げていくということでしょうか?
そういうことになります。ただ、Logicool Gチームのようなプロの作り方をしていくというよりも、特定のチームをスポンサードして製品を使ってもらい、情報を発信していければと思っています。やはり我々が「こういう機能があります」と言うよりも、実際にプレイヤーに使ってもらって、「この動きをするには、この製品のこの機能を使っています」と言ってもらったほうが説得力が段違いです。
逆に言えば、彼らからは我々を利用してどんどん有名になってもらいたいということですね。一方通行ではなくて、相互に効果的な化学反応が起こるような活動を意識していきたいです。
また、コミュニティと接していく理由はもう1つありまして、製品へのフィードバックがいただけるということなんです。ゲーミングデバイスなので、ゲーマーからの声が一番重要です。活動をご一緒させていただく中で、いい意味でのお叱りとか、製品への要望など、生の声が聞けるので非常にありがたいです。
ゲーマーの方々は、高いお金を払って製品を使っていただいているので、その分こだわりも製品への期待値も高いんです。我々としてはそれに応えなければいけません。オフィスに座って仕事をしているだけではこういう声は拾えないので、イベントにはどんどん飛び出していきたいですね。
――メーカーさん側も最近よくイベントなどを行うようになってきましたよね。
そうですね、我々のこういった活動を見ていただいて、同じようにやってみようと思ってもらえたメーカーさんがあるとしたら非常にプラスな効果になっているんだな、と思います。10月に開催されたアイ・カフェでの『LoL』のイベント(関連記事)のニコニコ生放送の視聴者数が9万を越えていますし、数字としては表れてきているのかなと思います。今回のイベントはロジクールが特別協賛という形だったのですが、ALIENWARE ARENAが大会会場ということで、デルも協賛されていましたね。
▲『LoL』日本予選大会はALIENWARE ARENAのある秋葉原アイ・カフェの8Fフロアをまるまる使用して行われた。 |
デルのALIENWAREとは一部の商品で競合だったりもするんですが、今回はそういった垣根は取り払って一緒にやっていきましょう、というお話もできたので、そういった輪は広げていきたいですね。
――今までのお話ですと基本的にPC向けということですが、家庭用ゲーム機での展開はお考えでしょうか?
家庭用向けにはロジクールとしては、ステアリングコントローラを発売しているのみとなっています。フライトシミュレータ用スティックなどは海外では発売されていますが、日本では住居環境の問題もありますし、発売していないですね。ただ、最初から何もやらないというわけではなくて、いつでもアンテナをはっておいて、盛り上がりがあるようだったら検討するという感じです。
――ちなみにロジクールの製品の企画や開発は世界のどこで行われているのでしょうか?
製品の企画や開発を主に行うラボはスイスにあります。営業マーケティングの本部はシリコンバレーです。ただ、製品開発の観念から言うと、日本の市場って世界的に見ても注目されているんですよ。特にユーザーさんのこだわりの強きですし、製品コンセプトやアイデアのヒントを探すのに日本はおもしろいと。
本社の人間が年に何度も来日してマーケットツアーをしたり、レポートを上げたりしているんですよ。製品の中には日本からの発信で生まれたというものもあります。
このLogicool Gというブランドを立ち上げる時に、さまざまなリサーチを行っていたんですが、結構皆さん若いんですよ。有名な方の中には10代のプレイヤーもいますし。それで1つ思ったことがありまして、私も30代なのですが、30~40代の方には胸をはって「趣味がゲームです」と言える方はそんなに多くないんです。でもこれが10~20代前半になると、野球やサッカーに並んで趣味がゲームと言っている人が多くいる。これは衝撃的でした。
今後、eスポーツを広げていくために若い世代にどんどん積極的にアピールしていくのもいいなと。野球やサッカーと同様に、このゲームが趣味って言える人たちが、今後のeスポーツを担っていく人たちなんじゃないかと思います。我々の世代ではあまり考えられない、いわゆるジェネレーションギャップですよね。それがわかっただけでもいいリサーチだったと思いました。
我々としては、eスポーツが広がっていくための革新的な製品やアイデアを常に追い求めていきます。繰り返しになってしまいますが、製品による盛り上げと、イベントやプレイヤーのサポートといった盛り上げの両軸を積極的に行っていきますので、皆さんご期待ください。
(C)2013 Logicool
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