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2015年10月27日(火)

アイデアマン・内田明理は最近は何をしているの!? ユークス入社からつんでれ(C)まで記者会見後の活動に迫る

文:マスクド・イマイチ

 さまざまなゲームを手がけてきたゲームクリエイター・内田明理さんへのインタビューを掲載する。

インタビュー

 これまでに、『ラブプラス』シリーズや『ときめきメモリアル Girl’s Side』シリーズ、『ランブルローズ』シリーズなどを手掛けてきたゲームクリエイター・内田明理さん。前職を離れた同氏がユークスに入社するニュースが飛び交ったのが6月10日であった。

インタビュー

 10月1日よりユークスに入社された内田さんは、自身が自由に研究、開発をする部署“Uchida lab(ウチダラボ)”を作られた他、内田さん個人で仮説と検証を行うための会社“株式会社ウチダアカリ”を創設。この“ウチダアカリ”の第1弾プロジェクトとして発表されたのが、ニコニコ生放送を通じてキャラクターコンテンツを作っていくという“Superつんでれ(C)(読み:すーぱーつんでれちゃん)”プロジェクト、通称“つんでれサミット”だ。

 無類のアイデアマンとして活躍している内田さんが、どんな気持ちで、どんなことに挑んでいるのか? そこに切り込むためのインタビューを実施した。内田さんのこれまで、今、そして、これから……同氏の考えを知りたいという人は、ぜひともインタビューをご覧いただきたい。

前職からユークス入社までの“空白の半年間”について

――前社を退職されてから、ユークスさん入社を発表されるまでの半年間、どのようなことを考え、何をしていらっしゃったのでしょうか?

インタビュー

 そうですね、まず「好きなことをやってみよう」と考えました。“好きなこと”と言うとだらしなく聞こえてしまうかもしれませんが、僕は“プロのアイデアマン”だと思っていまして……そういう職業があるかわかりませんが(笑)。“仮説と検証”みたいなことが好きなんですよね。

 こういうことが求められてるに違いない、こういうことが喜ばれるに違いない、というようなことを思いついたら、それに対する方法論や自分の周りを見て、そこに何ができるのかを考える。そういった戦略を練ることが大好きなわけです。できれば「その仮説をちゃんと確かめたい」というモチベーションでモノを作っています。

 縛りがなく、なんでも自由に考えられる立場になったので、ゲームという枠をバラして、自分の得意なところである“キャラクターコンテンツ”で何ができるか、何をやれるということに加えて、今自分がコレだと思えるものができるかな、ということをゼロベースから考えています。

 ユークスに入るまではそれを考えに考えて、友だちのクリエイターとかに「どう思う?」と意見を聞く時間が長かったですね。ユークスからは「なんでもいいから、目立つことをやってください」と言っていただいたので、自分の中でちょっとずつですけど、こういう構成でこういうキャラがいてこういう展開がある……ということを考えていました。

 ときどきユークスにお邪魔して、「こんなこと考えてみたいんですけど、いいと思います?」とちょっとずつ進めていって、ようやく10月より入社となったので本格始動という感じです。なんで空白の時期には下準備を一生懸命やっていたということですかね。ただただボーッとしていたわけではないです(笑)。

――記者会見でも少し話されていましたが、ユークスに入社を決めた決定的な理由というのはありましたか?

 他のメーカーやクリエイターから、お話をいただきました。僕は20数年サラリーマンをやってきていて、新たな場所を探すに際して……ここについては何を言っても語弊があるかもしれませんが、「ちょっとワガママさせてください」という気持ちがあったんです(苦笑)。いろいろとお声掛けしていただいた時に「こんなメチャクチャなことを考えています!」と言うと、「それはそれとして、まず普通の仕事(ゲーム作り)をやろうか!」って言われてしまうんですよ(笑)。

――普通の流れですと、そうなりそうですね。

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▲右がユークスの谷口行規社長。

 そんな中でユークスは、以前にお仕事をご一緒させていただいた時に谷口(行規)社長と面識があった。「いろいろなことを考えているんですけど、ワガママですかねぇ?」と話をした時に、「それだったら、ウチに入ってくれたら生活を支えてあげられるし、好きなことをやっていいよ」と言っていただけたんです。すごく雑な説明ですけど(笑)。

 また、ユークスでやるほどでもないけど、個人的な実験みたいなものも自分だけでやってみたいというのがあって、それが“株式会社ウチダアカリ”なんです。ただ、普通の会社はそういうことを認めてくれませんよね。「それは会社としてやるかやらないかどっちかでしょ?」って言われるのが当たり前だと思っていたんですが、その展開を含めて「やっていいよ」と言っていただけたので、ユークスにお世話になろうと決めました。

 そんな自分の状況だけでなく、ユークス自体について思うことがありました。ユークスは国内での認知度が低いと思っています。ただ、人体のモデルやモーション、その周辺のシステムとか、マルチプラットフォーム展開とかは国内のデベロッパーの中でも、相当すごいんですよ。

 北米や欧州ではすごい売り上げを立てているんですが、日本のコンテンツではそれを活用できていないところがあったので、そういった部分でも自分がお役に立てないかなって思いました。

――なるほど。

 僕のキャラクターというと2D系のイメージがあるかもしれませんが、今や3Dの表現力が相当上がっていて、単純に2Dの絵を動かすための手段としての3D表現ができるようになっています。ユークスでは今はフォトリアリスティックなものをやっていて、その技術をイラスト的なキャラを動かすことに転用できる、応用できると思っていたので、僕にとっては“渡りに船”だったんです。

 あとは開発の人たちが、古きよきと言っていいのかわからないんですけど、極めて“サラリーマン的じゃない人”が多いので、性に合うんですよ。一緒にお仕事していて(笑)。

ユークス入社後――“Uchida lab”の実稼働について

――ユークス入社から数週間が経ちましたが、何か生活が変わったりしましたか?

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 生活の変化は……出社するようになった、ということぐらいですかね。家から近いんですけど(笑)。でも、まだちょっと慣れないところはありますね、お邪魔しているような雰囲気でしょうか。

――逆にユークス側は内田さんが出社していることに慣れてきているのでしょうか?

 僕の部屋には僕1人しかいないので、どうなんでしょうかね……。これはカットされるかもしれないですけど、とにかく手足のように使える人が欲しいんですよね(苦笑)。ここはユークスの偉い人が読んだら「なになに、かわいそうじゃないか!」と思ってくれるかもしれないので、ぜひ残してほしい部分です(笑)。

――残しておきます(笑)。現在は1週間をどのように使われているのでしょうか。

 火曜日に“つんでれサミット”を配信しているので、その準備を土・日曜日にやっている感じですね。あとはユークスで“Uchida lab”の仕事をしています。

――内田さんが自由に研究、開発を行うための部署という“Uchida lab”について詳しく教えてください。

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 すでに動き始めています。本当にすごく動いているんですよ! これはどこまで言っていいのかわからないですけど、年末になんらかの片鱗を発表したいと思っています。(※隣に座っている広報担当者を見つつ)ここまでは言ってもいいですよね? ……なので、もうちょっとだけお待ちください。

――例えば個人的に“Uchida lab”の企画に賛同している人が、新メンバーとして増えているとかはあるのでしょうか?

 「入りたい!」と言ってくれているスタッフがいるらしいんですけど、まだ僕の1人部屋ですね(苦笑)。もうちょっと増えていくといいなぁとは思っています。でも、人が多ければいいってものでもないので、やっぱり“ツーカーで動ける人”がいいですね。

 ただ、各チームのスペシャリストたちが企画に協力してくれていて、いろいろ手伝ってくれているので……さっきも言いましたけど、手足のように使える人が欲しいなぁとは思っています(笑)。

――では今は、スケジュール管理とかもご自身で全部やっていらっしゃるんですね。

 基本はそうです。アポ(イントメント)の管理とかって、しばらく人任せにしていたものですから、自分でやると大変な仕事だということが改めてわかりました。ダブルブッキングの嵐です(苦笑)。打ち合わせとかも時間が押しちゃうんですよね。周りの人にはご迷惑をかけてばかりです。

――ずばり“Uchida lab”で作りたいものというのは、どんなものなのでしょうか。

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 今まで、ありそうでなかったモノを考えています。それがそのままゲームになるかどうかもまだわかっていないのですが、ゲームにもアニメにもなれるようなものを考えています。

 キャラクターコンテンツだけど、ゲームやアニメそれ自体ではない。中心に別のエンターテイメントがあって、そこが本線で、そこから展開してゲームやアニメといったものができないかな、と思っています。

 普通だったらメインの展開はゲームやアニメになるんですが、そこがメインではないんです。本線の中でお話が流れていき、キャラクターが成長していき、その周辺に展開としてのゲームやアニメがあるというようなものを考えていきたいなと思っています。説明だと伝わりにくいので、発表を楽しみにしていてください。

――やはり“キャラクターありき”というお考えが強いのでしょうか。

 そうですね。僕がファンタジー寄りとかではない“人間”を題材にしたものが好きで、自分でもそれがそこそこ得意なんだろうという思いがあります。そのため、それをもっと掘り下げたいと思っています。

――ユークスだからできること、やってみたいことはありますか?

 普通だったら「まずゲームをやってみようか」とか「ノベルから初めてみないか」となり、「それがうまくいったら、次に行こうよ」みたいな展開が多いと思うんです。今思い描いている“キャラクターコンテンツの原作を、特殊なシステムに乗せて展開する”という考え方自体がまず認めてもらえないので、ユークスは懐が広いと思っています。

 あとは、先ほども出ましたが、ユークスのキャラクターをアクションさせる技術には大いに期待しています。それがあるから他所で「あれよさそうだからウチでもやってみよう」といったマネができないようなものを作れると思っています。

並行して動いている“株式会社ウチダアカリ”について迫る

――ユークス入社と並行して、ご自身の会社・株式会社ウチダアカリを立ち上げられましたが、何をやられているのでしょうか?

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 先ほど説明した“仮説と検証”を含めて、そもそも、株式会社ウチダアカリで1人で全部やろうと思っていたんですよ。そのはずだったんですけど、ユークスが「それもやっていいけど、面倒を見てあげる」と言ってくださったんで、「ありがたいな」とご厚意に甘えさせていただきました。

 そのため、“仮説と検証”を含めて、今まさにユークスでやっています。

――では、ユークスでできないことをウチダアカリでやるというイメージでしょうか?

 ユークスでできることは、もちろんユークスでやったほうがいい。ただ、ユークスでできないことというか、「これは自分1人でやるべきだろうな」というふわっとした案件をやれる場所、ユークスの開発セットでなくても僕単品で「これをちょっとお願いできない?」と言われるような外部からの窓口が1つあったほうがいいと思ったんです。

 9月30日の“つんでれサミット”第0回でウチダアカリについてしれっと説明したら、視聴者の方からは冗談だと思われてしまったようで(苦笑)。そういう会社が本当にあるんですよ!

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▲“つんでれサミット”第0回で公開されたパワーポイント。

――今、お話にも挙がりましたが、ウチダアカリ第1弾プロジェクト“つんでれサミット”で“Superつんでれ(C)”を発表されましたが、このプロジェクトはどのようにして思いつかれたのでしょうか。

 自分の作ったコンテンツを楽しんでいただいているユーザーさんと、生でやり取りするような機会がこれまでほぼなかった。だから、一緒にモノ作りをする場を作って、それにどっぷりと浸ってみたいという欲求が以前からあったんです。

 ユーザーさんからはいろいろなご意見が送られてくるんですよね。「こんなキャラを考えたので使ってください! 声優さんはこの人で……●日までにお返事ください!!」みたいな回答期限付きだったりもして(苦笑)。もっとこうしてほしい、ああしてほしいみたいなご意見をいただくんですけど……できることとできないことがある。ちょっと偉そうな言い方ですけど「それをやってもよくならないよ」ということや「組織としてはそれはできないよ」ということもあるんですね。

 でも、そういう“ベタな話”をユーザーと直接しながら、何かモノが作れたらいいなと思っています。自分の意見を言ってもらって、僕が「いや、そういうキャラをあなたはイイと思ってるかもしれないけど、違うんだなぁ」みたいなことを言っちゃっう(笑)。そういうフランクなやり取りをしたいです。もちろんこちらも“気づき”をたくさんいただけると思っています。

――コミュニケーションをとりつつ、形を作っていくと。

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 正直に言ってしまうと、形にならなくてもいいんです。ただ、この過程が1つのエンターテイメント化してくれればいいかなと思っています。最近多いじゃないですか、ソーシャルメディアを使ってユーザーさんの遊びから生まれてくるキャラクターって。

 あわよくば、その場を僕らが提供して、そこから生まれてくることができないかなと考えています。半分自然発生的、半分意図的、みたいなことがあってもおもしろいんじゃないかと思って、冗談めかしつつやっていることですね。「半分本気! 半分冗談!!」な感じです(笑)。

――ニコニコ生放送という場を使ってみての感想は?

 生放送番組に出させていただいたことはあるのですが、主催側になったのは初めてだったので「こりゃ大変なものだなぁ……」と(苦笑)。多少なりとも発表する、発信することを主催するのは大変であることを実感しました。第0回は「これは素人さんの番組だよね(笑)」と言われてしまうような出来だったので、猛烈な反省がありました。

 うれしかったのはどんどん発表していくなかで「グッズという話が出たので、こういうサンプル作ってみました。番組で取り上げてください!」とか、TV番組の構成をやっている方が「ちょっとあまりにひどいので、構成台本を作りました(笑)」とか、送ってくれるのがすごく楽しいですね。そういう皆さんのご支援でやっている感覚や、サークル的な感覚はおもしろいです。

――1回目を終えての感想をお願いします。

インタビュー

 どうでしょう、よく見ると第0回よりは少しは番組らしかったのかなとも思うのですが、グダグダであったことは間違いありません。肝心のサミット部分については、この回が初めてだったワケですが、こちらはそこそこいい感じにコメントを集められたように思います。

 無事、“つんでれ(C)”の正確なデザインを思い出せました(笑)。視聴者の皆さんが本当に優しくて、「内田としてはこうしたいんだろうな」という流れができてしまって(笑)。でも、そこに甘えちゃダメですね。反省してます。

――視聴者の反応を見て、今後番組をどのようにしていきたいですか?

 “思い出し”(設定作り)の他にも、大目標である“ゲーム化”に向けたタスクのブレイクダウンと、そのための具体的なアクションプランを実行したいと思います。ちょっと会社風に言ってみました(笑)。

 要は、つんでれ(C)を既成事実化するための活動を皆さんと一緒に考えて、実際に体を動かしてみようと。ワクワクです。

――TwitterやFacebookといった、距離感が近いものを利用することでフランクな部分も増していくのかなと思いました。

 勘違いを与えてしまったところかもしれないですけど、民主主義で何かを決めていこうという場ではないんですよね。僕がネタ振りをして、大喜利的に皆さんにトンチの効いたことを言っていただいて、その場で盛り上がったものをコネコネ形にしていったら、さて何ができるやら……という話です。

 あまり固く考えずに好きなことを言っていただいて、それがいつの間にか、本当に愛すべきキャラクターコンテンツになっていたら万々歳といった感じです。

――毎回アジェンダ……宿題的なものが出されますが、それに対して議長・内田さんの中での答えを考えられているのでしょうか?

 「こうなったらいいな」ぐらいの考えはありますが、正解みたいなものを用意するのは違うと思っています。結構、僕は簡単に説得されるので、すぐにひっくり返ってしまったりすると思うんです(苦笑)。そういうのを包み欠かさず「こう思ってたんですけど、そっちのほうがイイですね」と言ってしまうダイナミズムがソーシャル時代かなぁと思うんです。

――第0回の収録にお邪魔させていただいた時に感じたのですが、“ソーシャル”という言葉を内田さんが強調されていたような気がしました。ソーシャルという言葉にどんな印象を持たれていますか?

インタビュー

 ちょっと言い過ぎたかな、と思っています(苦笑)。欧米のソーシャルネットワークサービスというと、個人が全面に出ているもので、オンライン上で個人がアピールして、それが本名同士でつながっている。これがそもそもの“ソーシャル”なんですけど、日本にそれらのサービスが入ってきた時に、それが欧米のようにはなりませんでした。

 Twitterでもハンドルネームでアカウントを作る人とかが多いですよね。ハンドルネームを使った上に、しかも話題によって専用アカウントを複数使い分けている人とかもいます。それって、そもそものソーシャルネットワークサービスの本筋とズレてしまっている気がしていたんですよ。

――確かに本来の使い方とはズレているかもしれません。

 ただ、それが悪いと言っているわけではなくて、すごい日本人らしい使い方だなと僕は思っています。その反面、やっぱり個人が複数に分かれて人格化してしまっているがゆえに、それぞれの顔を持てるんだけど、その枠組のなかでの発言に捕らわれてしまっているとも感じます。それだと“個人”としての意見を発露する場みたいのがないんじゃないかと思うのです。

 例えば「なんとかクラスタのアカウントを作りました」となったら、そのクラスタ内のルールに則ってお行儀よくしなきゃいけないみたいな、変な縛りができている気がします。

 そういった中で、“つんでれサミット”には皆さんが1人のクリエイターのつもりで入ってきてほしいです。個人として、顔も名前も伏せていていいんですけど、“つんでれ(C)”は実態がまだないですし、こうしなきゃいけないというルールもないわけです。

 そこに対して自由闊達に振る舞っていただいて、むしろ自分たちがルールを作っていくみたいなことができると、新しいつながり、仲間ができていくと思っています。それを“ソーシャル”と呼ぶのかはわからないのですが、少なくともソーシャルネットワークサービスがなければできなかったこと。“何かの専用アカウントの私”ではなくて、“総体……1人のクリエイターとしての私”としての意見の発信の場を提供できればなと思っています。

――第0回、第1回を見ても、そこは成功していた部分なのではないでしょうか?

 好き勝手言ってましたよね(苦笑)。乙女ゲームにしようとする一派がいたり(笑)。

――“『つんでれ(C)』というゲームがあったという体(テイ)”で進むのがいいですよね。「こうしたい!」じゃなくて、「こうだったはず!」って、みんなで思い出していく場。

インタビュー

 ありがとうございます。そのツッコミどころ満載の場、お題を提供すると、皆さんが物申したくなるんじゃないかと思っています。その物申しているアナタというのは、普段アカウントを使い分けているアナタの“総体”としての“地の部分”が出てくる。そうやって初めて、その人“個人のソーシャルとしての人格”で参加してくれると思っていて、それをやりたいんですね。

――いろんなしがらみから解き放たれて発信していく……これっていうのは、ウチダアカリで内田さん個人がやろうと目指していることに、ものすごく根付いているんじゃないかなと思いました。

 今おっしゃっていただいて、ああそうかもなぁと思いました。今って、アプリのランキングとかを見ていても「大手メーカーが作ったから」とか関係なくなりつつあるじゃないですか。メーカー、クリエイターすら遊ぶ側は意識していないし、個人製作のゲームがバカ受けしていることもある。それらと同じ土俵で戦っていて、とてもおもしろいと思っています。

 ただ、それを個人でやれる人とやれない人というのがいるので、そのために一段ハードルを下げたステージとして“つんでれ(C)”を用意しているんです。例えば「フルスクラッチのプラモデルは作れないけど、キットだったら作れますよ」みたいなもので。

 そのキットの中でも、そういう段階が用意されていて素組みの人がいれば、カラーリングする人もいて、改造する人までいる。キットは用意したので、みんなでコネコネ作ってみましょうよというようなのが“つんでれ(C)”だと思っているので、そういう風に使っていただければと思います。

――プラモデルの例えを使うと「右足をシャープに作ったのに、なんで左足がこんなゴツイんだよ!」みたいなことが起きたりする可能性もありますよね(笑)。

 そうなったらどうしましょうかね(苦笑)。そういったたくさんの意見を、なんとか1本の納得感のある形にしたいです。もしかしたら、とっ散らかったスラップスティックなもので終わりという可能性もあるかもしれないですけど……僕としては無茶な設定もなんとかこじつけて、そこそこの話にして最終的には泣く! 「まさか“つんでれ(C)”に泣かされる日がくるとは!」みたいな結末に持っていきたいんです(笑)。

――“つんでれ(C)”には無限の可能性があると思いますが、内田さんの中でゴールは設定されているのでしょうか?

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 番組の中でのゴールとしては、「じゃあウチが(ゲームやアニメを)作ってやるよ!」という会社さんが出てきてくれれば勝ちなんですが……僕としては今も話したんですけど、こんな調子で始まった“つんでれ(C)”でみんなが号泣することがゴールですね。泣かせるような展開を作ることには、そこそこ自信はあるんですよ!(笑)

目が離せない内田さんのこれからとは!?

――男性ユーザー、女性ユーザーともにファンの多い内田さんですが、女性ユーザーのファンに向けて何かひとこといただければと思います。

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 多分ですが、皆さんに「これは私たち向けだ!」と思っていただけるものもやっていますので、大ヒットした『つんでれ(C)』はギャルゲーだったということで1つ勘弁してください(苦笑)。順番順番でやっていきます。

 でも、反応をいただけたのは本当にうれしいですね。“つんでれ(C)”にしても、カワイイ女の子が好きな女性ユーザーはすごく多いと思うので、いろんなご意見をいただければ幸いです。正直に言ってしまうと、性別で分けるのはあまり考えたくはない部分なんですよね。「●●が好きな人集まれ~!」や「▲▲好きな人集まれ~!」と、1つ1つやっていければと思います。

――ユークスの内田明理さん、株式会社ウチダアカリの内田明理さんとして、今後はますますお忙しくなると思いますが、意気込みなどをいただければと思います。

インタビュー

 もう忙しいので、すでに息をつきたいというのが心境です(苦笑)。今後も「そういう手があったのね」みたいな、話題とコンテンツを提供できればなと思っています。別に媚びているわけではないのですが、お客さんの力を借りて自分の“仮説と検証”をやれたらいいなと本気で思っています。そういうものこそ、ソーシャルネットワークサービスが普及した今やるべきではないのかなと。

 メーカーが「こういうもの作りました、はいどうぞ!」ではなくて、「こういうもの考えてみたんだけど、どうでしょう」とユーザーさんに意見をいただくという形ですね。素材を提供すれば、それをコンテンツに育て上げていくというのができる時代になってきたと思っていて、そういうことに挑戦してみたいですね。

 ただ、さっき話したようにアンケートをとって多数決で決めていくというのをやりたいわけではなくて、集合知みたいなものを形にしていくお手伝いができればと思っています。発想の根を提案して、それが好きな人の集合知が集まって、「こうするべきだ」や「ああするべきだ」と話し合いながら、1つの結論に結びつけて行ければなと思っています。これはユークスの仕事でも、ウチダアカリの仕事でも、そういうスタイルを1つ確立できればなと思っています。これからもよろしくお願いいたします。


インタビュー

 本日10月27日22時から生放送“つんでれサミット 第二回”が配信される。アジェンダは「つんでれ(C)を天使足らしめた設定を挙げれば枚挙に暇がないが、できれば一時間で語りつくさないか?」だ。興味がある人はチェックしてみては?

■“つんでれサミット”第2回
【配信日時】2015年10月27日 22:00開演
【配信ページ】http://live.nicovideo.jp/gate/lv238454345

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