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2015年12月8日(火)

業界に衝撃を与えた『龍が如く』から10年。重厚な人間ドラマと遊びの幅の広さは初代から健在【周年連載】

文:電撃オンライン

 あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中。

 第32回は、2005年12月8日にセガ(現セガゲームス)から発売されたPS2用ソフト『龍が如く』のシリーズ10周年を記念する思い出コラムをお届けします。

『龍が如く』
▲桐生一馬の力強さが伝わる印象的なパッケージ。この姿は本作の過去を描いた『龍が如く0 誓いの場所』で、ファンの心を揺さぶる演出に使われます!

 『龍が如く』とは、東城会と呼ばれる関東一円を拠点とする極道組織に属していた桐生一馬を主人公に、裏社会で生きる人間たちを描くアクションアドベンチャーです。

 そんなあまり一般になじみのないテーマを選んだこの作品が、なぜ10年という年月を経てもファンに支持され続けているのか。今回はその理由を、三度の飯より『龍が如く』好きな編集Oが、さまざまな視点でひも解いていきたいと思います。

主人公の桐生一馬という男に惚れる!

 『龍が如く』が登場する以前にも、極道が出てくるようなゲームはありました。ですが、裏社会での血なまぐさい組織の抗争を、ここまでリアルに描き切ったのはこの作品が初めと言っても過言ではありません。

『龍が如く』

 ではなぜそのテーマがユーザーに受け入れられ、そして遊んだ人たちを魅了してやまなかったのか。私はやはり“登場人物たちの生き様に惹かれた”ことが1番の理由だと思います。

 その筆頭たる人物が主人公の桐生一馬。とにかく彼は“仁義に厚い男”で、己が傷つこうとも大切な人を守るために命を張るし、見返りを求めずに突っ走りまくります。

「弱きを助け強きをくじく」

『龍が如く』

 そんな姿はまさにヒーローそのもので、たとえ彼が暴力をふるってもそこには正当な理由があるわけですから、好感を抱かないわけがありませんよね。その姿はシリーズを重ねても、スピンオフ作品に登場しても(同一人物ではない)決してぶれることはなく、だからこそファンに愛され続けているんだと思います。

 個人的には、桐生を演じる黒田崇矢さんの低音で響くボイスも、桐生という男を形作る重要なピースだと思っています。なにせ黒田さんの声を他作品で聞いても、「桐生ちゃーん」と桐生の顔が浮かんできてしまうほど、脳裏に焼き付いているぐらいですから(笑)。

『龍が如く』
▲桐生のトレードマークはグレーのスーツですが、なぜこんな地味な色を着ているのかには、理由があります。こちらもぜひ『龍0』で確かめてほしいです!

著名な俳優陣が出演!

 斬新なアイデアを数多く取り入れた『龍が如く』ですが、その1つに著名な俳優陣の出演があります。桐生一馬の育ての親的存在である風間新太郎を、あの渡哲也さんが演じるというだけで、当時はかなり注目を集めました。

 もちろん、単にネームバリューだけでなく、名優と呼ばれるような方々が出演しており、この後のシリーズでも受け継がれる伝統となっています。今では参加俳優さんの顔をゲームで再現するようになり、発表会はゲーム以外のメディアの取材も多く入るなど、その知名度はかなりのものです。これもまたファン層の拡大につながっているのでないでしょうか。

『龍が如く』
▲こちらが渡哲也氏が演じる風間組組長、風間新太郎。『龍が如く』では彼以外にも、藤原喜明さんや三原じゅん子さんなど著名な人物が出演し、大きな注目を集めました。

桐生に負けず劣らずな個性的なキャラクターたち

 いくら主人公が魅力的だとしても、それだけではドラマは成り立ちません。今やシリーズの顔ともいえる真島吾朗をはじめ、アクの強いキャラクターたちの存在も、『龍が如く』を人気シリーズに押し上げた理由の1つでしょう。それは2013年に行われた“『龍が如く』シリーズキャラクター総選挙”でも、1作目から出演するキャラクターたちが数多くランクインしたことからもうかがえます。

『龍が如く』 『龍が如く』
▲「桐生ちゃ~ん」の掛け声で人気の、通称“真島の兄さん”。刈り上げ&眼帯&蛇柄のジャケット姿は、一度会ったら絶対に忘れられないインパクト!

 個人的にはやはり桐生が10年間収監される原因となった、親友でありライバルでもある錦山彰が忘れられないですね。クリアしたときは「なぜお前はその道を選んだんだ……」と、すごくやるせなかったな。まあ、それがあったからこそ『龍0』では、彼が何倍も好きになったので、これはある意味正解だったのかもしれません。

『龍が如く』
▲桐生が収監されている間に錦山組を立ち上げ、東城会で大きな力を持つようになった錦山。長髪ロンゲからオールバックへのイメチェンも衝撃でした!

 あとはやはりヒロインの遥についても語りたい。9歳と年端もいかない少女なのに、大人の都合で振り回されながらも弱音を吐かずがんばる姿に、桐生以上に「守らねば!」とコントローラを握る手にも力が入ったのを覚えています。

 ちなみに、キャラクターたちが作品とともに年齢を重ね、成長していく姿も本シリーズのポイントなのですが、遥は『龍が如く5』ではなんと15歳の女子高生に! シリーズを追いかけている自分としては、ちょっとしたお父さん気分ですよ(笑)。

『龍が如く』
▲たった1人で神室町に来た遥は、そこで偶然桐生と出会います。ほんと、彼に保護してもらってよかったよかった。

リアルではないリアリティの追求とゲームだからこその体験!

 本作が発売された当時、海外では街を丸ごと収録した“箱庭”的な遊びができるゲームもありましたが、日本ではまだ認知度も高くありませんでした。

『龍が如く』

 そんな中で登場したこの『龍が如く』は、日本の、しかも有名歓楽街がモデルとだけあり、ひと目見ただけでその再現度の高さがわかる“リアリティ”に多くの人が圧倒されたのです。あの街を自在に歩き回れる! というだけで鳥肌が立った人も多かったはずでしょう。

 さらに、街を彩る看板やドン・キホーテをはじめとする、実在する店舗の数々も、リアリティの演出にひと役買っていました。今でこそ企業タイアップは当たり前ですが、本作はその先駆けであり、今では『龍が如く』に欠かせない要素となっています。

『龍が如く』 『龍が如く』

 また、街にはパチンコやビリヤード、カジノやカラオケなど、歓楽街に必要不可欠な遊びが贅沢に丸ごと収録されており、それがまた多くの人をのめり込ませたのです。私もストーリーそっちのけで、カジノに通い詰めていましたし(笑)。

『龍が如く』 『龍が如く』
▲シリーズを象徴するのが赤いネオンがきらめく神室町入口のアーケード。言わずと知れた東京にあるあの有名歓楽街がモデルですね。シリーズを重ねても、このカットが出てくるたびにゾクっときます。ドン・キホーテの店内では、あのテーマソングもバッチリ流れます。

桐生の違う一面を見せる抱腹絶倒なサブストーリーの数々

 シリアスな展開のメインストーリーとは別に、神室町で出会う人々を巻き込んだサブストーリーも多く用意されていた『龍が如く』。ただし、こちらはメインとは180度ガラッと方向性を変えた、笑いあり涙ありのドラマが目白押しです。

『龍が如く』

 普段は硬派な桐生がコミカルなセリフや仕草を見せ、それがまた彼の魅力の引き出しとなり、硬派な姿も含めて人気を不動のものにしているんだと思います。

 ちなみに、ゲーム内の時間が発売年の2005年と同じで、その年に話題になった出来事をモデルにしたサブストーリーも登場し、“リアリティ”の演出に拍車をかけています。なお、この手法もシリーズの定番として、人気を博しています。

『龍が如く』 『龍が如く』
▲美人局のように、歓楽街でいかにもありそうな内容のサブストーリー。選択肢によって展開が変わり、時には失敗扱いにも……。ただ、そちらの展開もおもしろいものが多く、あえて見る人も多かったとか。

表現の限界に挑戦したオトナの遊び

『龍が如く』

 歓楽街である神室町を舞台にした『龍が如く』。当然のように“女”にまつわる施設が多く登場するわけですが、中でも話題をさらったのはキャバクラでしょう。

 お酒やおつまみを注文しながらキャバ嬢たちのご機嫌をとり、連絡先をゲットして最後はホテルへ……。そんなキャバクラ遊びをゲームで体験できるのは、まさに衝撃でしたね。今ではセクシー女優の出演は欠かせないものとなり、毎回それを楽しみにしているファンの方も多いのでは?

『龍が如く』 『龍が如く』
▲キャバ嬢のご機嫌を取るには、高いお酒やおつまみの注文が欠かせない。もちろん、嬢との会話にはセンスが重要です。

アクションが苦手な人も爽快感を味わえるバトル!

『龍が如く』

 メインストーリーだけでなく、神室町を歩いているとチンピラや極道に因縁をつけられ、拳を振るうことが多々ある本作。バトルはけっして難しいものではなく、難易度をEASYにすれば□ボタンを連打するいわゆる“ガチャプレイ”でも最後まで進め、アクションゲームが苦手な人も安心な間口の広さも、ライト層にも支持された理由でしょう。

 もちろん、シビアなボタン入力が求められる操作も可能で、使いこなすほど華麗に戦えるこの絶妙なバランスは、ハードゲーマーである私も納得のデキでした。

 さらに、ヒートゲージがたまると繰り出せる“ヒートアクション”は、壁に顔面をたたきつけたり、ドスを刺したりとこれでもかというぐらい強烈。ゲームだからこそ許される、禁断の爽快感にハマる!!

『龍が如く』 『龍が如く』
▲殴る、蹴る、投げるといった基本アクションに加え、武器を使っての攻撃もあり。

 このようにゲーム業界ではある意味タブー的な表現に、果敢にも挑戦して成功を収めた『龍が如く』。「でも、暴力はちょっと…」と敬遠される方もいるでしょう。しかし、その印象だけでこの作品に触れないのはとてももったいないです!

 とはいえ「今からPS2で遊ぶのもな……」と思ったアナタに朗報。なんと今年発売された『龍が如く0』のクオリティでフルリメイクした、『龍が如く 極』が2016年1月21日に発売されます。

『龍が如く』 『龍が如く』
▲『龍が如く 極』の画像。技術の進化が手に取るようにわかるのではないかと。

 しかも、PS2版では描かれていなかったエピソードを数多く追加し、まさに“極まった龍が如く”を遊べるのです。もちろん、PS2版をプレイした人もぜひ手に取り、10年の年月で『龍が如く』シリーズが積み上げた実績や技術の進化を、その目で確かめてください。

 あ、発売まではまだ時間がありますし、桐生と真島の過去が語られる『龍が如く0』もプレイしておくこともお忘れなく。『龍が如く 極』でも登場する桐生、錦山、真島たちへの感情移入度が段違いになりますから!!

【周年連載 バックナンバー】

→第32回:業界に衝撃を与えた『龍が如く』から10年。重厚な人間ドラマと遊びの幅の広さは初代から健在【本記事】

→第31回:『風来のシレン』20周年。お竜にドーーン!! ガイバラにイッカァーーン!! ペケジに倒される!?

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→第29回:セガサターン名作紹介。編集・ライターのおすすめソフトは!?

→第28回:名作『ワンダと巨像』10周年。今なお色あせない“巨像と戯(たわむ)れる”濃密な時間

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→第26回:初代PlayStation(プレイステーション)20周年。おすすめゲームを編集/ライター25人が選出

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→第23回:『アイドルマスター』サウンドチームに聞く楽曲制作の狙い。765と346の曲作りで意識したこと

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