2016年3月10日(木)
スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『グリムノーツ』。おとぎ話を新解釈した独特の世界観を持つ本作について、開発者インタビューを行いました。
お話を伺ったのは、本作のプロデューサーである石井諒太郎さんと、シナリオを担当している大泉貴さん。不思議で魅力的な世界観やキャラクターがどのように生まれたのか、その誕生秘話をお聞きしました。
さらにインタビュー中には、気になる新キャラクターや今後の展開に関する話も! ぜひ最後までチェックしてみてください。
▲右は石井諒太郎プロデューサーで、左はシナリオを手掛ける大泉貴さん。大泉さんは小説家としても活躍しています。 |
●動画:『グリムノーツ』第1弾PV
●動画:『グリムノーツ』第2弾PV
――本作のシナリオは、どんなきっかけで生まれたのでしょうか。
大泉:具体的に企画が動き出したのは1年と少し前、去年の頭ぐらいからですが、僕と石井さんとイラストレーターの穂里みきねさんがもともと友人で、「いつかゲームを作りたいね」と話をしていました。そんな話をしていたのが、だいたい3年くらい前です。
その時から石井さんは「おとぎ話をモチーフにしたい」と言っていて、それに対して僕たちもいろいろとアイデアを出していった感じですね。
――おとぎ話をモチーフにしたいという部分は、最初から固まっていたのでしょうか?
石井:はい。いくつか理由があるんですけど、個人的な思い出として、子どものころにおとぎ話を読んでいて、毎回同じ展開になるのはおもしろくないなあと感じたことがありました。
いつも同じ話じゃなくて、おとぎ話の中で時には違う行動を取る人物もいるんじゃないだろうかというところから始まり、その人物はどんな行動や目的で動くんだろう……というアイデアをふくらませて形にしたのが『グリムノーツ』なんです。
また、おとぎ話は多くの人が慣れ親しんでいるもので、パブリックイメージもしっかりしているので、自分が知っているストーリーの追体験がしやすいというメリットもあります。そのいう意味でも、童話やおとぎ話は、ゲームのモチーフとしてぴったりだと感じました。
◆『グリムノーツ』の世界
ストーリーテラーと呼ばれる世界の創造主によって作られた“想区(そうく)”。その世界の住人は、生まれながらに与えられた“運命の書”に記された人生を歩む。
それが、たとえカオステラーと呼ばれる暴走したストーリーテラーが描いた、悪夢のような脚本だったとしても、疑問を持つことはない。そう、空白の頁しか存在しない“運命の書”を持って生まれた住人以外は……。
ある日、“シンデレラの想区”に暮らす“空白の書”を持つ主人公が、カオステラーを追ってきた調律の巫女“レイナ”と出会うことから物語は始まる……。
――『グリムノーツ』は少し大人向けの世界観になっている印象がありますが、どのように作られていったのでしょうか。試行錯誤した部分もありましたか?
大泉:“おとぎ話のキャラクターたちがいつもと違う行動をする”という漠然としたコンセプトは、最初からぶれていません。そういった世界観にどんな主人公がいて、どんな敵と戦っていくのかという部分を考えていく感じでしたね。
ゲームの主人公たちを“空白の書”の持ち主にしようというアイデアは、僕のほうから提案させていただきました。
◆空白の書とは?
主人公たちが持つ、ごくまれに現れる、運命の記述がない“運命の書”。
役目を与えられていないがゆえに、この書の持ち主は自分の運命を自分で選択することができる。
石井さんは僕の好きなものや書けるものを知っているので、そのあたりでの無茶な要求はなく、自分のほうからおもしろいと思うモノを提案していこうという形になりました。その考えは開発チーム全体でも共有していて、開発の定例会議にも参加しています。
――それはシナリオとシステムが密接に関連している本作だからこそでしょうか。
石井:そうですね、シナリオ担当が毎回の会議に参加するということは、あまりありませんね。開発の初期に大泉さんに同席してもらって以来、なんとなくいつも来てもらっている流れです。
――シナリオは、すべて大泉さんが執筆されているのでしょうか?
大泉:今のところは、そうですね。400万DL記念クエストのように突発的なものも含めて、イベントのテキストはすべて自分が書いています。
キャラクターのプロフィール文章や、ボイス台本などは別の方と分業している部分もありますが、ストーリーテキストは自分が担当していますね。
石井:ただ、さすがにそろそろ大泉さんも限界に近いので、シナリオライターが増える可能性はあります(笑)。
――おとぎ話はもちろんですが、シナリオで他にモチーフや参考にしているものはありますか?
大泉:最近はスマホ向けRPGがすごく増えていて、シナリオもどんどんリッチになっていますよね。そのなかで差別化をするために、ユーザーの方に受け入れやすく、かつ新しい手触りの世界観にはしたいなと思っていました。
そこで、自分が好きなSF作品などでよく扱われる“人工知能が管理する世界”というモチーフをゲームシステムを踏まえながら、ファンタジーRPGの形に落とし込めたらおもしろいんじゃないかと思い、今の世界観になっていったんです。
また、物語の基本ではありますが、だんだんと世界の謎や主人公たちの悩みが出てくる中で、登場人物たちの個性が立って、どんどん好きになってほしいなと思いながら書いています。
――主人公たちは、“何者でもないがゆえに、何者にもなれる”という、かなり特殊な立ち位置になっています。彼らの人物像は、どのように作られていったのでしょうか?
▲左から、主人公(声優:逢坂良太)、レイナ(声優:上田麗奈)、シェイン(声優:久保田未夢)、タオ(声優:江口拓也)。 |
大泉:キャラクターを固める前に、まずは舞台となる世界観づくりに力を入れました。
導きの栞を使ってヒーローを召喚するという要素は、最初から決まっていました。そこで栞なら本に挟んで使うんだろうなというところから、運命の本という設定が生まれ、それを書く存在もいるよねということで、先ほど話したSF的なモチーフをベースにしつつ、ストーリーテラーから始まりカオステラーやヴィランなどの設定が固まっていきました。
●カオステラー
ストーリーテラーが異常をきたし、変異した存在。想区の“主役”、あるいは“主役”に関係した誰かに憑依することで、ヴィランを生み出し続ける。
カオステラーを放置すれば、その想区は混沌の渦に巻き込まれ、やがて崩壊してしまう。
ちなみに一時期は図書館をモチーフにしようかとも思ったのですが、石井さんが手掛ける別の作品とかぶりそうになったので、やめました(笑)。
石井:『ブレイブリーアーカイブ』も図書館が舞台となるので、別の方向性で考えていった結果、“想区”という特殊な世界が生まれていったんです。
◆想区とは?
古の伝承や童話などをもとにストーリーテラーが生み出した世界。想区に住む人々は、“運命の書”によって配役を決められ、原典となった物語の登場人物と同じ運命をたどる。
それぞれの想区には、必ずその中心になる“主役”の存在がある。
――おとぎ話といえば、各作品に特徴的な敵が登場します。そのため、ヴィランという共通の敵がいるのが意外に感じました。
石井:作品として、敵のデザインはできるだけ同じにしたいという気持ちがありました。共通のデザインだとコスト削減になるという大人の事情という部分もなくはなかったのですが、遊んでいる人が“何と戦っているのか”を見失わないようにしたかったんです。
というのも、ピーターパンなら海賊、赤ずきんならオオカミなど、作品によって連想する敵がいますよね。でも、それはあくまでおとぎ話の中で“敵であることを演じる存在”であって、“主人公が倒すべき敵”ではないんです。
本作の敵は、ストーリーテラーがカオステラーになり、“物語がおかしくなったこと”として描かれています。その象徴としてあるのがヴィランです。その部分を間違われないように、ヴィランというくくりでデザインをしていきました。
――なるほど! たしかにオオカミや毒林檎の王妃のように、おとぎ話上の悪役を敵としてイメージしがちですが、そうではないということですね。ちなみに配信から間もない状況なのに、メインストーリーはどんどん進んでいるイメージを受けます。この勢いで物語が進んでいくのでしょうか?
大泉:今後はもっと大きく物語が動いていきます。これまでは主人公たちが旅をしているだけでしたが、ヴィランとは別ベクトルで対立する勢力などが登場して、より先が読めない展開にしていきたいと考えています。
石井:本作はシナリオに重きを置いているので、日常の繰り返しになってはいけないなと考えています。求められているものはキャラ同士の小話ではなく、ちゃんとした物語の展開だと思っているので、それに応えていきたいですね。
――メインストーリーだけでなく、期間限定イベントも定期的に登場していますが、これらは並行して制作しているのでしょうか?
石井:そうですね。新ヒーローを登場させるなら、そのバックグラウンドもちゃんと見せてあげたいので、できる限り同タイミングでエピソードも追加したいと思っていますので。
本作はシナリオを中心に開発をしているので、特にシナリオは先行して制作を進めています。そんなわけで大泉さんには本当に次々と新しいシナリオを書いてもらっている状況です。
これまでは短編が主体でしたが、もっとボリュームがあるのも増やしたいと思っています。先ほどお話したように、シナリオは先行してかなり先まで動いているので、今すぐ実装というわけにはいきませんが、春のうちに新たな試みもできたらいいなと考えています。
大泉:期間限定のシナリオについては、本来は交わらないキャラクターが一同に会することもあって、コメディチックなドタバタ劇にしています。
――続いて、パーティメンバーである“空白の書”の持ち主たちについてお聞きます。まずは主人公についてですが、よくしゃべるタイプのキャラクターにしたのは何故でしょうか?
大泉:ゲームのシナリオを書く際は無口な主人公にすることも多いのですが、一方で主人公のキャラをしっかり立たせるようなシナリオ運びでゲームのストーリーを書いてみたいという気持ちがずっとありました。
『グリムノーツ』は4人のキャラクターが旅する作品なので、ちゃんと最初からキャラが立っていたほうが動かしやすいというのもありますね。
石井:これは大泉さんがゲームのシナリオライター専門ではなくて小説家だから、こういった形のほうが書きやすかったというのもありますよね。
――タオ・ファミリーが、とても魅力的です。各キャラのコンセプトなどについて教えてください。
大泉:主人公たち4人は、それぞれ部分的に“空白の書”を象徴するようなキャラクターにしています。
主人公は、何もない少年にしようと考えていました。そんな少年がレイナたちと出会って、いろんな想区を旅する中で成長していく話にしたかったんです。
そこからの計算で、タオやシェイン、レイナはもっと最初からキャラが立つようにしています。タオは一昔前の少年漫画の主人公のように、周囲を引っ張っていくキャラクターです。役割に縛られずに行動する、“空白の書”の一面を反映していますね。
――ネタバレになるのであまり言えませんが、タオとシェインは桃太郎の想区まで遊ぶといろいろと見え方が変わるキャラだと思います。ヒロイン的なレイナはいかがですか?
大泉:調律の巫女であるレイナは、お姫様という設定にすることが決まっていました。ただ、おとぎ話のお姫様は清純な人物が多いので、そのイメージは崩したいというのは決めていたんです。
主人公を引っ張りながら、親しみやすいように、ちょっと抜けているとこもある子にしようと書いていましたが、最近は少しやりすぎたかなと思っています(笑)。
●調律の巫女
カオステラーや想区を“調律”し、あるべき姿に戻す能力を持つ人間のこと。作中では、レイナがその能力を持つ。
カオステラーがいた事実そのものが消え去るため、想区の住民は何事もなかったかのように自らの運命に戻る。
石井:たまにユーザーさんから「いくらなんでも抜けすぎ」と指摘されることもありますね(笑)。
大泉:そんな中で、シェインは最初は本当に無口なキャラだったのですが、タオとの掛け合いを意識するうちに、結果的に今のようなツッコミ役となりました。書いていて、一番動かしやすいキャラクターですね。
石井:シェインは本当にかわいくて、ユーザーさんの間でも人気が高いように感じています。
――石井さん的に主人公たち4人の印象はいかがでしょうか?
石井:基本的には大泉さんと同じですが、それぞれの立ち位置については違った感想を持っていますね。主人公は、何もできない子からスタートさせたいなと考えていました。せっかく冒険が始まるときに、強くてニューゲーム状態のキャラだとおもしろくないかなと。
おとぎ話の多くは、親が子どもに教え伝える訓話なんですよね。何も持っていない真っ白な状態の主人公が、おとぎ話のヒーローたちの影響を受けながら、自分の人生を歩んでいく。教訓としながら成長していく。そんな立ち位置にしたいと考えていました。
個人的に、主人公が最初にコネクトするヒーローがジャックだというのは、とてもしっくりきて気に入っています。ジャックと豆の木の物語って、もともと狭い世界に住んでいた少年がひょんなことから大きなツタを登って新しい世界を見るという内容じゃないですか。
新しい世界を旅することになる主人公が最初に出会うヒーローとして、ジャックはぴったりなキャラクターだったと感じています。
――タオはいかがでしょうか?
石井:大泉さんから新しいシナリオが送られてくるたびに、「よかった。今回も生きていた」と思っちゃうキャラクターです(笑)。
というのも、タオはある過去が原因で、タオ・ファミリーのリーダーになるという強い意思を持っています。それは、「一番危ないところだからこそ自分がやるんだ」という意思表示の意味もあるんですよ。
そのため、もしかしたら……と、シナリオをもらうたびにソワソワしています。
――タオはそんなフラグを持っていたんですね! 女性陣の印象はいかがですか?
石井:レイナとシェインは、大泉さんとほぼ同じですね。シェインは、思いのほか、とてもかわいいキャラクターになってよかったなと思っています。
――登場人物は、今後も増えていくのでしょうか?
大泉:はい。最近ではジャンヌの想区で謎の少女のカーリーが登場しましたし。ただ、どんどん増やしていくというよりは、ひとりひとりのキャラクターを深く掘り下げつつ、世界観を深めていくことを考えています。
石井:そのうち、減ることもあるのかな。
大泉:その可能性は、なきにしもあらずですね。
――先ほどのタオの話でも感じましたが、かなりドキッとする発言ですね。アプリゲームでメインキャラがいなくなることは、あまり想定していなかったので。
石井:コンシューマのRPGではメインキャラの入れ替わりは普通にあることなので、そこについては特別なものではないと思っています。
大泉:そもそも空白の書の持ち主たちの旅は、それぞれの物語をつづるためのものです。そのため、物語を作り終ることは、いつかは来るのかなとは思います。
英雄はえてして死を持って終幕を迎えることが多いですが、本作ではどうなるのか……。
石井:キャラクターの今後は未定ですが、キャラがいなくなることによって不利益が生じたり、職種選びで困ったりするなんてことにはならないようにします。
そのためにも、新たな主人公となるパーティキャラクターは定期的に増やしていきたいなと思っています。
――そんな主人公たちに力を貸してくれるヒーローたちは、どのような流れで増やしているのでしょうか?
石井:ケースバイケースですね。シナリオありきでデザインをお願いすることもありますし、デザインが先で設定などが広がっていくケースもあります。
人選についてもいろいろと理由がありますが、実はまだ公開していないだけで、かなりたくさんのヒーローがほぼフィックスしている部分があります。現在登場しているヒーローよりもメジャーな作品はたくさんありますが、今後ストーリーで想区を追加する予定があるゆえに、今はまだ実装していない人物も多いです。
皆さんもきっと予想していると思いますが、西遊記、オズの魔法使いといった人気作品は、当然ながら想区の追加予定がありますね。
――確かに、メジャーな作品はメインストーリーで楽しみたいという気持ちはユーザーにも強いと思います。そういう意味では、マッチ売りの少女もメジャーな作品ですが、なぜメインストーリーではなく期間限定イベントとしたのでしょうか?
石井:理由の1つは登場キャラクターの少なさです。メインストーリーにしようとすると、だれがカオステラーになるか想像できてしまうんですよ。
マッチ売りの少女の場合、彼女以外は脇役なので、カオステラーにしにくいじゃないですか(苦笑)。
――誰がカオステラーなのか想像や推理しながら物語を進めるのも、本作の見どころの1つですからね。
大泉:そのあたりは、ストーリーを引っ張る要素でもあるので、すごく考えていますね。本作はおとぎ話における主役級のキャラでもカオステラーになるので、最後まで気が抜けないようになっています。
ドン・キホーテなどは原作を知っているとカオステラーが想像できそうな作品なので、そこはミスリードを意識したり、前回のシナリオの内容を変えながらカオステラーになる人物のパターンを変えたりしています。ただ、いろいろ書いているとどうしてもある種のパターンに落ち着いてしまうこともあるので、そこは注意したいですね。
石井:本作は、おとぎ話が狂ってしまうというコンセプトがあります。そのため、原作の悪役がおかしくなっても、それは物語が狂ったことにはならない気がするんです。
原作から離れたお話にするためにも、意外なキャラクターがカオステラーになるという展開が多くなっています。
大泉:『グリムノーツ』の世界では、おとぎ話の悪役と呼ばれる存在もその役を演じているだけの人物として描かれています。彼らは各想区で、たまたまその役に選ばれただけなんですよね。
だから、悪役を単純に倒すべき存在として描くことは、やりたくないんです。白雪姫の継母である毒林檎の王妃など、一般的に悪役とされているキャラクターもヒーローとして登場するのも、そのためですね。
――役割を演じている本作ならではの展開ですね。個人的には、各想区で主人公のちょっと親切が逆にトラブルを呼んで、物語がおかしくなるという展開もすごく好きです。
石井:白雪姫のイベント“プリンスキッス・エフェクト”は、完全にそのパターンでしたね(笑)。あのタイトルはバタフライ・エフェクトとかけていたんですが、あまり気付いてもらえませんでした(苦笑)。
――やっぱりシナリオ名は、いろいろ裏の意味も込められているのでしょうか?
大泉:練る時もありますし、直感で決めることもあります。
石井:ちなみに、マッチ売りの少女のイベント名はどうして“マッチの勇者伝説・エピソード0”にしたの? 某大作SF映画が放映されたから?
大泉:違います(笑)。イベントをクリアするとわかると思いますが、物語本編が始まる前のエピソードといった意味でつけたものです。
――個人的には、あの続きが気になっています! さて、本作はキャラクターのイラストも魅力的ですが、どのようにオーダーしているのでしょうか?
石井:場合によってまちまちですね。原作があるのでイメージしやすいぶん、先にイラストをお願いすることもあります。シナリオに大きくかかわるキャラに関しては、設定を作り込んでからお願いすることが多いです。
また、同じキャラクターを複数のイラストレーターさんにお願いするというケースもあります。現時点では1キャラクターにつき1デザインしか公開されていませんが、デザインが複数種類あるキャラクターもいます。
――ぜひ、使用されていないデザインも見てみたいですね。ちなみに、すでに登場しているキャラクターの職種違いなども登場する可能性はあるのでしょうか?
石井:ぜひ出したいですね。アリスや赤ずきんなどは、どんな武器を持っていても比較的違和感がないキャラクターじゃないですか。
あくまでアイデアレベルですが、ハロウィン、クリスマス、水着など、衣装違いがあってもいいのかなと思いますね。
▲アリス。 |
――複数デザインやパターン違いという話がありましたが、例えばアリスはすでに登場していますが、まったく違う人格を持ったアリスが出てくることもあり得るのでしょうか?
大泉:はい、あります。近いタイミングで行われる“空白の書”の持ち主追加イベントで赤ずきんちゃんが登場するのですが、これはすでに登場している想区の赤ずきんちゃんとは違う人物です。
石井:これについては、明確に違う人格として描かれていますね。もともと導きの栞の赤ずきんちゃんと、想区の赤ずきんちゃんはまったく別人という設定になっています。
▲赤ずきん。 |
基本的にストーリーテラーは同人作家で、もともとの原作をアレンジしてそれぞれの世界を作っているという設定なんですよ。そのため、導きの栞のヒーローは原典として描いており、想区ではアレンジされた作品の登場キャラクターとして明確な違いを持っています。
――ストーリーテラーに注目すると、より本作の世界がわかりやすくなりそうですね。
石井:ただ、今はストーリーテラーの定義がユーザーにわかりにくくなっている部分かもしれないと思っています。
ストーリーテラーがカオステラーになるという設定なのですが、一部のキャラクターがカオステラーになっているので、ちょっと誤解を招いている気がしています。
大泉:歪んでしまったストーリーテラーが、悪霊のようにキャラクターにとりついて物語を変えてしまっていると解釈していただけたればと思います。
逆にキャラクターイベントで主人公たちが物語を歪ませてしまって、ストーリーテラーがもとに戻そうとするパターンもありますね。
――本作には魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、特にお気に入りのキャラはいますか?
大泉:最初に引いたキャラクターというのもありますが、帽子屋ハッタは好きですね。使いやすいですし、セリフも聞いていておもしろいです。
やっぱり、ゲームとして自分で操作して遊ぶキャラクターには愛着が湧きますね。
メインキャラクターでは、書いている時にシェインにすごく手ごたえを感じました。きっと人気が出るだろうなと思っていましたが、想像以上に人気が出て、うれしかったです。
――確かにシェインは、いいキャラクターですよね。
石井:シェインは、デザインも紆余曲折ありました。最初は帽子をかぶせたり、コートを着せたり、いろいろなことをしていました。
ただ、なんだかどこかで見たことがあるデザインになって、リテイクをたくさんかけていき、今の形に落ち着きました。
――石井さんのお気に入りのキャラクターは?
石井:3月の中旬に4匹の猫が登場するイベントを開催するのですが、そのキャラクターはお気に入りですね。
もともと原作があるわけではなく、完全にオリジナルのキャラクターになります。デザインはもちろん、すごくいいシナリオを書いてもらいましたので、ぜひお楽しみに。
▲新キャラクターはかわいい猫たち! フリフリな服もよく似合っていますね!! |
既存のキャラクターの中では、エイプリルが好きです。この世界に、いかにもいそうな魔法少女って感じで。あと、経験値アップのスキルもあって使いやすいです。
▲エイプリル。 |
――本作オリジナルのキャラクターもたくさんいますが、今後彼らが活躍することもあるのでしょうか?
大泉:何かしらの形で出番を作ってあげたいと思っているのですが、タイミングが難しいですね。
石井:イグニスとグレシア姫は人気がありすぎるので、彼らについては遠くないタイミングでイベントを書き下ろしてあげたいなと思いますね。
▲イグニス。 |
シナリオには時間がかかってしまうので、なかなかすぐに対応できない部分があって申し訳ありませんが、ユーザーさんの感想や期待には、できるだけ応えていきたいと思っています。
▲グレシア姫。 |
――本格的なゲーム部分も本作の大きな魅力ですが、バトルシステムはどのように作っていったのでしょう?
石井:おとぎ話をモチーフにしているので、その中を自由に動けた方がいいだろうと、自分で操作できるほうが楽しいだろうなと考えていました。そういう意味でも、アクションゲームをこれまで作ってこられた元気株式会社さんとご一緒できて、よかったと思います。
当初のイメージよりもアクション性が高い仕上がりになりましたが、その方向性はずっと変わっていません。できるだけ1人ずつのキャラクターを大切にした結果、今のシステムになったという感じですね。
――ヒーローたちの職種は、どのように決めていったのですか?
石井:職種やスキルは、キャラクターデザインの段階から決めています。やはりパブリックイメージの強いキャラクターが多いので、自然に決まっていきますね。
桃太郎に杖を持たせるわけにはいきませんし、できるだけ自然なものを選ぶようにしています。とはいえ、どうしても剣や杖を持つキャラが多いので、そこは偏らないように気をつけています。
――早い段階でマルチプレイが実装されました。これも開発当初から予定していたのでしょうか。
石井:そうですね。本作は1人のキャラクターを操作するタイプで、他のキャラクターがCPUになります。そのため、仕様的にも4人まで一緒にプレイできるので、最初からマルチプレイは実装しようと作っていました。
――本作では、箱庭の王国という街作り要素もあります。これを実装された意図は?
大泉:これも最初の企画からありましたよね。
石井:本作はスタミナがないので、延々と遊ぶことができます。バトルだけを続けていくのは辛いので、他に成長を実感ができるものが欲しいなと思ったんです。そのため時間を置くことで成長を実感したり、効果を得られたりする箱庭の王国は最初から考えていました。
――開発中に見送った要素や、後々追加したシステムはありますか?
石井:基本的には、想定通りのものを作ることができました。現状は、見送っているものはありませんね。直前で入れたシステムは、箱庭の王国の詩晶石採掘所くらいです。
これはガチャなどに使える詩晶石を入手できる施設で、リリースの1カ月前くらいに追加しました。絶対にユーザーさんに喜ばれると思って急いで作ったのですが、ちょっと面積が大きかったようで、箱庭の王国の面積が足りなくなってしまったような……。
――確かにとても便利ですが、ちょっと大きくて、置き場所に困ります(笑)。さて、今後はどのような展開を予定しているのでしょうか?
石井:先ほど主人公が増減するかもしれないという話をしましたが、実はもうすぐ新たな空白の書の持ち主が追加されます。
新しい空白の書の持ち主は“いばら姫の想区”出身という設定ですが、マッチ売りの少女のエピソードで登場したいばら姫とはまた違う想区が舞台という扱いです。
メインストーリーではなく、期間限定のイベントのクリア報酬的な形で登場する予定です。
▲新たな主人公となるエイダ。女性騎士のようですが? |
――空白の書の持ち主が増えると言うことは、パーティが5人から選択できるようになるということでしょうか?
石井:そうですね。そのため、ヒーローの選択肢が増えるかなと思います。
――キャラが増えるということは、曜日クエストの条件など変更が入ることも?
石井:今回の新主人公は期間限定となるため、必ずしもすべてのユーザーさんが仲間にできるキャラクターではないのが難しいところですね。
そのため、ミッションクリア条件なども含めて、基本的には初期の4人を中心にしていく予定です。とはいえ、キャラを入手する期間は長めに設定していきますので、ぜひこの機会に取っていただけたらと思います。
――システム的にかなり完成されている作品だと思いますが、今後はどのようなアップデートをしていく予定でしょうか?
石井:現状は基礎固めの段階ですね。まだまだ遊びにくい部分や、改善してほしいという意見が多いのでそこを修正することを優先しています。
このインタビューが公開される頃には、いろいろ改善されていると思います。その後は、もっと直接的なバランス調整なども行っていく予定です。例えば、武器の入手手段を増やしていきたいですね。専用のクエストがあって、そのなかで武器を集めるようなイベントを開発中です。
近いものでは4月ぐらいに、ヴィランを倒して素材を集めて武器を作るマルチプレイ専用のイベントを追加する予定です。
――それはうれしいですね。そうなると、倉庫を増やしておく必要がありそうです。素材倉庫も油断するといっぱいになってしまいますからね。
石井:素材倉庫に関しては、今後確保できる量を増やしていきたいなと思っています。そもそもの所持枠の底上げは実施するかもしれません。
直近で考えているのは、箱庭の王国で1マスなど中途半端に残っているスペースに建てられる建物を追加することです。それは素材倉庫だったり、ヒーローにバフをかけるものだったり、いろいろですね。
――しばらくは、遊びやすさを重視したアップデートになるんですね。
石井:そうですね。アクションゲームとしての完成度も高めていきたいので、ヒーローの攻撃モーションや必殺技のパターンについてももっと増やしていくつもりです。
また、スタミナがないこともあって、ずっと遊び続けていただいた結果、プレイすることがなくなったというユーザーさんの声もあるので、できるだけボリュームのあるものを追加したいと考えています。
このあたりは難しい問題で、どうしても先行プレイヤーさんと新規ユーザーさんの差がつきやすいコンテンツになっています。やり込み派にはおもしろいけど、新規の人にはついて行けないというものにはしたくないと思っています。
――アプリ作品は他タイトルとのコラボも多いです。今後、何かの作品とコラボする予定などはあるのでしょうか?
石井:最初のコラボは、今後の方向性にも大きく影響してしまうので、特に慎重に進めています。現時点で具体的な話は決定していませんが、配信から半年以内には何かとコラボできたらいいなと思っています。
逆に、『グリムノーツ』のキャラクターが他の作品のゲストキャラクターとして登場するといった展開は、もう少し早く実現できるかもしれませんね。
――職種の追加予定もあるのでしょうか?
石井:現状アタッカー、ヒーラー、シューター、ディフェンダーという4つに分かれていて、そこに武器も紐づけられています。少なくとも、武器の種類に関しては増やしていきたいなと思っています。
職種も増やしたいのですが、役割分担の意味合いもありますし、職種を増やすと武器や適応する空白の書の持ち主も必要になります。せっかくヒーローを入手したのに、使用できないのは悲しいですからね。
ただ、アイデアレベルではいろいろと考えています。ファンタジー作品で人気のある召喚師などはおもしろいと思いますし、バトルでも活躍できそうです。
あと、魔物使いや動物使い的なポジションの職業もおもしろいと思うんですよね。アライグマをけしかけたり、犬と一緒にステンドグラスを眺めたり。システム的に難しいところはありますが、動物が活躍する童話は多いので、考えていきたいですね。
――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
大泉:本当にありがたいことに、たくさんのいろいろな人にプレイしていただいております。3人からスタートした企画ですが、開発会社の元気さんも世界観を大事に熱量高く作ってくださっています。
こんなに多くの方々に遊んでいただけたことに感謝しつつ、皆さんの期待に応えられるように今度もシナリオを頑張っていきます。よろしくお願いします。
石井:現状多くの方に遊んでいただいて光栄に思う反面、いたらないところもたくさんあるので、直していかないといけないと思っています。
スケジュールの都合ですぐにというわけにはいきませんが、できるだけ早い段階で要望に応えていけたらなと思います。もう少しだけお待ちください。
もっともっとおもしろい作品にしていければと、日々対応をしていきますので、楽しんで遊んでいただけるとうれしいです。
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