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2016年6月27日(月)

『バハムートラグーン』20周年。おとなになるってかなしいことだと教えてくれたRPG【周年連載】

文:まさん

 あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中。第42回は、1996年2月9日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたスーパーファミコン用RPG『バハムートラグーン』の20周年を記念する思い出コラムをお届けします。

『バハムートラグーン』
『バハムートラグーン』

 スクウェアには伝説に残る2つの『ラグーン』があります。後世まで語り継がれるヒロイン・ヨヨを生み出した『バハムートラグーン』。そして、熱いDrivingやCoolでSouth yokohamaな雰囲気が熱狂的なファンを生み出した『レーシングラグーン』。

 私は、どっちも語りたいくらい好きなのですが(というか後者がメッチャ好きなのですが)、今回話題にしたいのは前者の『バハムートラグーン』です。この作品は、ヨヨの行動があまりに有名になってしまったため、ゲームをリアルタイムで遊んでいない人でも知っているのではないでしょうか?

 確かに、当時はビュウの気持ちになって疑心暗鬼で暗澹たる気持ちになってましたが、ちょっと待ってください。『バハムートラグーン』は、ヨヨだけじゃないんですよ。それ以外も、むしろすべてが魅力的なおもしろいS・RPGなんです!

 というわけで、今回は『バハムートラグーン』のさまざまな誤解を解きつつ、20周年の節目に、あらためてこの名作を語っていきたいと思います。

主人公の祖国が全滅でアリマス! そんな重い設定なのにどこかゆるいのでアリマス!

 『バハムートラグーン』と言えば、やはり印象に残るのがストーリー……というよりもキャラクターの会話でしょう。とにかく、敵から味方まで全体的に会話の雰囲気がゆるいのです。

 祖国カーナを滅ぼされ、幼なじみの王女・ヨヨをグランベロス帝国にさらわれてしまった主人公・ビュウ。彼が、反乱軍を率いてドラゴンたちとともに反旗を翻す……という大筋だけ見ればよくある王道ファンタジーなのですが、遊んでいる人はすぐに「なんか、この登場人物たち、ものすごくゆるい」と思うはず。

『バハムートラグーン』
▲キャラの口調もノリも軽くて明るい! 一応、敵の幹部級はシリアスなので、決めるときはビシっと決まります。このギャップがたまらない。

 第1章から軽いノリの登場人物たちが、軽口をたたきながらグランべロス帝国に立ち向かう。これが『バハムートラグーン』なのです。とにかく、絶望的で暗い状況なのですが、キャラクターが明るいので、いい意味で作品が暗くなっていないんですよ。

 設定的にはシリアスで反乱軍に所属している主人公たちなのに、明るくてどこか能天気に戦うことで、ほかのスクウェア作品とも違う印象を残してます。

 ……まあ、ちょっと頭のネジがはずれすぎている人たちもいるというか、ほとんどのキャラの頭のネジがはずれていますが、そこはご愛敬ということで。いや、ホント。ネジがはずれてるっていうどころじゃないんですよ。重要キャラクターが軒並みヘン。

 まず、老魔導士のセンダック。彼は、主人公・ビュウのことが大好きすぎるおじいちゃんです。大好きというか、ビュウに恋愛感情を抱いているとしか思えません。

 なぜか、ヨヨと同じようにドラゴンに乗って「ギュッとしていい?」と聞いてくるとか、本来ならヒロインが持っていくようなセリフを軒並み持っていきます。

 基本的に序盤はヨヨが誘拐されていますし、主人公を健気に思うヒロイン的な立ち位置を獲得しているのが、このジジイということですね。うん、納得……できるか! いや、おかしいでしょ!? おかしくないんです。これが『バハムートラグーン』なのです。

『バハムートラグーン』
▲主人公のことを愛している(?)のハッキリわかるのが、おじいちゃんのセンダックという時点でネジのはずれっぷりが半端じゃありません。なぜ、彼をこんな立ち位置にしたのか。当時のスタッフにすごく聞いてみたい!

 一応、主人公に好意を寄せている女性として、すぐに倒れる病弱な女性フレデリカさんがいるおかげでバランスはとれていると言えますが、センダックがゲームの中心にいるというだけで、このゲームのとがりっぷりがよくわかるでしょう。

 堅物騎士っぽい感じがするものの、主人公をきちんと案じてくれるマテライトをはじめ、ほかの仲間たちも個性的。S・RPGは登場キャラクターが多いものですが、遊んでいてすぐに印象に残って覚えられるくらい、個性が際立っています。

 後世まで語り継がれるトンデモ行動のおかげでヨヨが注目されがちですが、ヨヨだけが『バハムートラグーン』ではないのです。個性的なキャラクターが繰り広げる。どこかコミカルで、それでいてシリアスな部分もあるキャラクターとストーリー。それこそが『バハムートラグーン』最大の魅力だと言って間違いありません。

『バハムートラグーン』
▲ヨヨと気持ちがすれ違っていく様子が描写されていくのに、心を痛めた当時。綺麗な思い出も、のちの展開を知っているとすごく物悲しいシーンなのです。

 それから、インターミッション中にあちこちを調べると手に入るアイテムなど、ちょっとした小ネタが楽しいことも触れておかないといけないでしょう。会話が楽しいのはもちろんなのですが、あちこちに隠されているアイテムを見つけるのがすごい楽しいんですよ。

 ヨヨのベッドから“王女の???”を拾ったり、民家のベッドから“エッチぼん”を見つけたり、なんで、こんなに変なアイテムがあるんだというくらい、いろいろ出てきます。

 後述しますが、アイテムはドラゴンに食べさせるのでいくら手に入れても無駄になりませんし、インターミッションが楽しいS・RPGは、名作の証です。

『バハムートラグーン』
▲エッチぼんからアレなアイテムまで、よくわからない物がごそごそ出てきます。“王女の???”っていったいなんなんでしょうね。“エッチぼん”も、ボクにはよくわからないや。

『FF』風な感覚で遊べるRPGとS・RPGが融合した戦闘パートがガチ!

 ストーリーがおもしろいRPGであるということは散々主張してきましたが、本作はS・RPGなので重要なのは戦闘部分。こちらも、当然ながら魅力的です。しかも、これが結構独自のシステム。

 本作では、敵に隣接して“たたかう”を選ぶとSFC時代の『ファイナルファンタジー』のような戦闘画面に突入。敵味方が1ターンずつ行動するというRPGのような戦闘が行われます。ちゃんと4人分のコマンドを選択して戦うので、S・RPGが苦手な人でもRPGのような感覚でプレイしやすいのです。

『バハムートラグーン』
▲“たたかう”を選ぶと『FF』風の戦闘画面に移行。4人分のコマンドを選んで攻撃するRPGのようなバトルが展開します。出撃前にメニュー画面の“てきせい”を選べば、自動的にオススメの編成を選んでくれるので悩む必要は皆無です。

 さらに、本作ではマップ上で発動できる間接攻撃“フィールド”コマンドがとにかく強力! 敵と接触する前に“フィールド”コマンドで体力をガリガリ削り、弱ったところを一気にたたき込むプレイヤー側が有利なバトルが楽しめます。

 “フィールド”コマンドが当たった範囲は水が凍って歩けるようになったり、炎で燃えてダメージを受けるようになったりと、地形が変化するので戦略的にもすごく重要。

 “黒魔法”や“はかい”を使ってゴリゴリ進軍していくのが気持ちいいですし、地形を破壊して相手の進軍を阻むのも楽しいんです。……あえて、思い出の教会を破壊したりね!

『バハムートラグーン』
▲フィールドコマンドで大ダメージを与えていくのが本作の基本。間接攻撃で倒すともらえるお金が減るので、直接“たたかう”を選んでトドメを刺しましょう。

 ゴホン。それはともかく、このように本作のS・RPG部分は非常によくできています。ヨヨだけのゲームじゃないんです。なにより、タイトルが『バハムートラグーン』とあるように、重要なのはドラゴンなのですよ。 

 本作では、自分で操作できるユニットのほかに、AIで独自に行動する特殊ユニット“ドラゴン”が存在しています。各部隊に1匹ずつ設定されているドラゴンは、“いけ”、“こい”、“まて”という3種類のおおざっぱな命令しか受け付けず、自分の判断で敵陣に突っ込んで戦うのです。

 きちんと育てておけば、ドラゴンの“フィールド”コマンドだけで敵の体力をガッツリ削れるので、より有利に立ち回れるのです。

 たまに、相手の得意属性で攻撃してしまって回復させちゃったりもするのですが、そこはドラゴンなので許してあげてほしいところ。“まて”などの命令でうまく止めてあげましょう。

 S・RPGというと難しいイメージもあるかもしれませんが、このようにおとものドラゴンが強いので、彼らをちゃんと鍛えておけばサクサク進められる。それも本作のいいところではないでしょうか?

 ちなみに、ドラゴンの育成はインターミッションで行います。アイテムを食べさせることでドラゴンが強くなっていくので、余ったアイテムは全部ドラゴンに食べさせてOKです。ドラゴンは重要な戦力なので、ガンガン育てましょう!

『バハムートラグーン』
▲ドラゴンはエッチぼんだろうが、グンソーの???だろうがなんでも食べます。育ちざかりなんです。バンバン食べさせてあげましょう!

「ううん、サラマンダーよりずっとはやい!」

 最後に、うん、やっぱり、『バハムートラグーン』を語るうえで、ヨヨのことを語らないわけにはいかないでしょう。主人公・ビュウに続いて名前を入力できる女性キャラクターということで、ヒロインだと思い込んでいた少年たちを阿鼻叫喚の渦に叩き込んだあの王女のことを……。『ライブアライブ』のアリシア王女と並んで、今も語り継がれるスクウェア最凶の王女・ヨヨの話をしなければならないでしょう。

『バハムートラグーン』
▲うん! よかったね! 早いね!

 あまり言うと衝撃的な展開のネタバレになるので避けますが、当時、自分もショックを受けた1人でした。今思うと徹底して主人公との気持ちのすれ違いが描かれていくのが、とても斬新なシナリオだったと思います。

 何年経っても語り継がれるのは、それだけインパクトがあったということ。人の気持ちだけはどうしょうもないのです。だから、ヨヨだけが悪いわけでは……悪いわけでは……ない……と思います。うん。

『バハムートラグーン』
▲うんうん! ヨヨはがんばってるとおもうよ!

 本作を知らない人には何を言っているのかと思われるかもしれませんが、どうか判断は自分の目でしてもらいたいのです。今なら、WiiUのバーチャルコンソールで配信されているので、ぜひ遊んでみてください!

 そうですね。当時の気持ちを味わいたい人は、主人公の名前を自分。ヨヨの名前を好きな子の名前で遊ぶといいでしょう。……いや、すみませんでした。ヨヨを知ってる人たち、お願い、石を投げないでください! 名前はデフォルトがイイと思います。デフォルトにすべき。

 私は、かなしいことを経験しまくりな大人になったので、今ならヨヨの名前を昔振られた女の子の名前とかにしても受け入れられますが、まず間違いなく初見の衝撃はスゴイので、デフォルトでプレイしましょう。

 それにしても、このヨヨというキャラクターを生み出したのは英断だと思うんですよ。今のゲームだとタブーにされそうな設定ですが、当時だからこそできたものだと思います。

 いろいろと挑戦的な部分が見受けられる『バハムートラグーン』ですが、ヒロインですら挑戦していた。だからこそ、今でも印象に残っているのです。だから、第18章の展開もゆる……ゆる……ゆる……ゆるせるかーーーー!

『バハムートラグーン』
▲おとなになるってかなしいことなの。おとなになるってかなしいことなの。うん、そうだね。うん。そ、そ、そ、そ、そそそそそそそ、そそそそそ(混乱中)。

 そんな感じで、いろいろと驚きとお約束破りが満載な『バハムートラグーン』。さまざまなチャレンジがうまくまとまっており、本当に今遊んでもおもしろい作品になっています。というより、自分もこの記事のために遊んで、あらためて「おもしろかった記憶はあったけど、こんなにおもしろかったのか……」と良さを再確認しました。

 往年のスクウェアが放つ、とがっているけどスクウェアらしい変わった名作『バハムートラグーン』。今ならWiiUのバーチャルコンソールがあって遊びやすくなっているので、この機会にぜひ遊んでみてください!

 私もいい年の大人になったので、今なら負ける者の悲しみも、おとなになるってかなしいことだということも、わたしはつよいものがすきなだけと言う女の子の気持ちもわかります。だから、再プレイしてもダメージを受けない……なんてことは全然ありませんでした。わ、わ、わ、わかるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(涙)!!

『バハムートラグーン』
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