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2017年4月4日(火)

【電撃PS】『カオチャ』を中心に『アノニマス・コード』の話題も! 志倉千代丸氏インタビュー全文掲載

文:電撃PlayStation

 電撃プレイステーション Vol.635に掲載された、PS4/PS Vita用ソフト『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』発売記念の志倉千代丸氏インタビュー。誌面ではスペースの関係で泣く泣くカットした内容を含め、全文掲載でお届けします!

『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』
▲MAGES.代表取締役会長 志倉千代丸氏。

機会があれば『CHAOS;CHILD』の舞台化もしてみたい

――まず『CHAOS;CHILD(カオスチャイルド)』のアニメについてお聞かせください。第0話で『CHAOS;HEAD(カオスヘッド)』が完全新規映像&新規アフレコで放映されたことにおどろいたのですが、これは志倉さんのアイディアだったのでしょうか?

 はい。『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』の再放送で世界線を分岐させたときのように視聴者さんをビックリさせたかったんですよ。スケジュールが本当にギリギリだったため、いちどはアニメスタッフに「無理です」と断られてしまいましたが、なんとか実現することができました。

――スケジュールはもちろん『CHAOS;HEAD』のストーリーを30分に収めるのは苦労したのではないでしょうか?

 そうですね。ただ今回のアニメは元から『CHAOS;HEAD』のすべてを理解してもらおうとは思っていませんでした。“ギガロマニアックス”や“ニュージェネレーションの狂気”といった『CHAOS;CHILD』を楽しむ上で最低限押さえておきたい予備知識を伝えるのが目的です。

――確かに『CHAOS;CHILD』を楽しむうえでのプロローグとして非常に親切な構成だと感じました。また『CHAOS;CHILD』もワンクールの放送でありながら重要な出来事や心理描写を丁寧に再構築していますね。

 ありがとうございます。ただやはりワンクールに収めるのは大変でした。各ルートに散らばっている物語の伏線を回収しながら、その先にあるカタルシスもしっかり描かなければいけないので……。2クールあれば日常を含めたすべてのシーンを入れることもできたかもしれませんが、どのみち『CHAOS;CHILD』はラスト付近の物語が長いので無理なんですよね。終わりそうでなかなか終わらない(笑)。

――昨年に放映された『Occultic;Nine』はすべての情報が圧縮して詰め込まれていましたが、今回の『CHAOS;CHILD』は必要な情報をピックアップしてユーザーに届けている印象があります。

 『Occultic;Nine』はキャラクターのセリフの早さやそれに付随する情報量の多さが視聴者さんに話題になりましたが、これはイシグロ(キョウヘイ)監督が作中で提示した伏線を回収するのが作り手の義務だとお考えだったためです。逆に自分はユーザーに考察の余地を残したいタイプなのですが、『Occultic;Nine』のアニメに関しては監督の意見を尊重することにしました。

――なるほど。『CHAOS;CHILD』の話に戻りますが、雛絵や華といった各キャラクターのルートを描くアイディアは最初からなかったのでしょうか?

 そうですね。華ルートは“巨大力士シールマン”がアニメ映えすると思いますし、前作主人公の拓巳の出番もあるので実現したらおもしろいと思うのですが、それらをすべてワンクールで描くのはさすがに無理です(笑)。いちおう『STEINS;GATE』のように2クールにするというアイディアも最初はあったのですが、残念ながらビジネス的に不可能と判断しました。

――『STEINS;GATE』はTVアニメだけでなく舞台版でも“ルート分岐”という形で全ストーリーを再現されていておどろきました。

 機会があれば『CHAOS;CHILD』も舞台化してみたいですが、そうなると舞台ならではの仕掛けを用意したくなりますね。たとえば、お客さんがポジティブトリガーとネガティブトリガーのスイッチを持っていて、票数の多かったほうに物語が分岐していくとか……。まぁ、演者さんは大変だと思いますが(笑)。

『CHAOS』シリーズのR18作品化は始動している!

――次に『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』の開発経緯についてお聞かせください。

 猟奇的だった本編とのギャップを描くというコンセプトは前作の『CHAOS;HEAD らぶchu☆chu!』と同じで、今回は“思春期男子の妄想”をテーマにかなり振り切った内容にしています。

 ただ、個人的にはもっと奥に踏み込んだもの……それこそ18禁作品として発表してもよかったのかなと思っています。主人公の宮代は『CHAOS;CHILD』本編でどんどん妄想が加速していきましたが、その突き詰めた内容をしっかり描きたいんですよね。

 そもそもエロだけではなく全方面の妄想においてエッヂの効いているものを作るのが『CHAOS』シリーズの目標なので、そのためには18禁作品である必要性が出てくるんですよね。

『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』

――一切の制限を取っ払った『CHAOS』シリーズはぜひ見てみたいです。

 現在は大人の事情を調整している段階で、実際に企画にも着手しているので楽しみに待っていていただきたいです。

――『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』の話に戻りますが、今回も志倉さんはオープニングとエンディングの作詞作曲を手掛けていますが、それぞれのテーマについてお聞かせください。

 オープニングの“非合理的かつ訂正不能な思い込み”の歌詞は見る人が見ればド変態ソングかもしれませんね(笑)。歌詞を読み解けば読み解くほどエッチな深読みがはかどってしまいます。ただ、アフィリア・サーガ本人達はアイドルなので、もちろん内容を深読みする事は不可能です(笑)。間違いなく純粋な気持ちで歌ってくれている事でしょう。

 エンディングの“罪証のルシファー”に関してはFES(『CHAOS;HEAD』の劇中で活動するロックバンドのボーカル)が歌っていてもおかしくない楽曲をイケてるハーツが歌ったらどうなるのかと興味があって作りました。そのため、いつか機会があればFESにカヴァーしてもらいたいですね。

動画:PS4/PSVita『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』オープニングムービー

⇒“アフィリア・サーガ”のユミさん、マホさんへのインタビューはこちら

動画:イケてるハーツ“罪証のルシファー”MusicClip FullVer

⇒“イケてるハーツ”舞波和音さん、宇咲美まどかさんへのインタビューはこちら

――ゲーム全体のボリュームについてもお聞かせください。アナザーストーリーということで気になっているユーザーも多いと思いますが……?

 さすがに本編よりは短いストーリーになっていますが、早めにルート分岐するようになっています。そのため内容は濃いですよ。

――今回は“妄想トリガー”だけでなく新システムの“YES/NOトリガー”が導入されていますが、どういった経緯で生まれたのでしょうか?

 『CHAOS;HEAD』にも診断テストのような展開がありましたが、それをビジュアライズ化してシステムの形にしたのが“YES/NOトリガー”ですね。じつは“YES/NOトリガー”自体は『CHAOS;HEAD』の企画書にも入っていたぐらいやりたかったシステムで、ようやくゲームに取り入れることができました。

――“妄想トリガー”に関してはいかがでしょうか?

 必ずしもポジティブだからエッチなシーンが見れるというわけではなく、ネガティブだからこそ見れるイケないシーンもあります。ぜひ両方のパターンを見てもらいたいです。

――ちなみにヒロインのなかでいちばんエッチなキャラクターは誰だと思いますか?

 いちばん好きなキャラクターは世莉架ですが、ムッツリスケベだと思うのは乃々ですね。それは『らぶchu☆chu!!』だけでなく『CHAOS;CHILD』のときからそうだったと思います。あとは、澪は絶対に変態だと思います(笑)。

――え、そうなんですか!? 変態には見えませんが……。

 そのあたりはゲームをプレイしてもらえればわかると思います(笑)。

最新作『ANONYMOUS;CODE』のカギは“地球シミュレーター”

――それでは、ほかのタイトルについてもお聞かせください。開発中の『ANONYMOUS;CODE(アノニマス・コード)』の進行状況はいかがでしょうか?

 『ANONYMOUS;CODE』は設定が膨大になってしまったため、内容をブラッシュアップしているところです。今は映画が10本作れてしまうぐらいネタを詰め込んでいるので、シンプルにそぎ落とす作業をしています。

――今までの科学アドベンチャーのように“科学”がテーマのひとつになることは変わりがないのでしょうか。

 そうですね。むしろ『ANONYMOUS;CODE』はほかのどの作品よりも科学を題材にしています。舞台である2037年は町並みなどは現代と変わらないのですがVR技術が目まぐるしく発展しています。とくにコンピューター上に“仮想地球”を作り出す“地球シミュレーター”は物語の核になってきます。現代でもシミュレートの精度は上がっているのですが、『ANONYMOUS;CODE』ではすでに人間たちが暮らしている世界までシミュレートしています。

 そのため地球シミュレーターで暮らしている人は『ANONYMOUS;CODE』のキャラクターが自分たちのことを観察していることなんて知らないんです。そして『ANONYMOUS;CODE』のキャラクターたちもゲームを操作しているユーザーたちのことを認識していないんです。このカラクリが“世界線”に変わる“世界層”になります。“世界層”が物語のドラマにどのような影響を及ぼすのかどうかは、ぜひゲームをプレイして体感してもらいたいですね。

『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』

――最近のMAGES.は『かまいたちの夜』や『YU-NO』のように名作を次々にリメイクされていますが、志倉さんが個人的にリメイクしてみたい作品についてお聞かせください。

 『かまいたちの夜』は発売前こそ賛否両論ありましたが、購入していただいたかたには概ね好評でした。同じサウンドノベルである『街』もリメイク版『かまいたちの夜』のようにイラストやボイスで再現してみたいですね。あくまでも個人的な願望ですが。

――最後に『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』を楽しみにしているユーザーにひとことお願いします。

 『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』は『CHAOS;CHILD』をアニメで見た人もゲームでプレイした人もみんなが楽しめる癒やしの着地点になっています。『CHAOS;CHILD』本編で受けた衝撃を優しく包んでくれる作品になっていますので、ぜひプレイしてみてください!

⇒志倉千代丸さんTwitterはこちら

(C)MAGES./5pb./RED FLAGSHIP/Chiyo st. inc
(C)2008 5pb./Nitroplus/RED FLAGSHIP

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.635』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年3月30日
■定価:639円+税
 
■『電撃PlayStation Vol.635』の購入はこちら
Amazon.co.jp

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