2017年12月18日(月)
『アンチャーテッド』世界中で人気を獲得したアクションアドベンチャーの魅力をプレイバック【周年連載】
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第66回でお祝いするのは、2007年12月6日に発売され、10周年を迎えたアクションアドベンチャー『アンチャーテッド』シリーズです。開発は主にアメリカのスタジオ・ノーティドッグが手がけ、SIEから発売されている作品。現在までにメインタイトルが4作、スピンオフが2作発売されています。
一作目から“プレイする映画”というキャッチコピーを掲げ、さまざまな演出で人々を魅了してきた『アンチャーテッド』シリーズの軌跡を振り返っていきます。
なお、PS3で発売された3作の画像はPS4版『アンチャーテッド コレクション』のもの。
一作目から濃密なプレイを詰め込んでいたシリーズ
『アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝』 2007年12月6日発売
記念すべき一作目となる『エル・ドラドの秘宝』は、トレジャーハンターのネイサン・ドレイク(ネイト)が、幻の黄金郷“エル・ドラド”を追い求めていく、という物語。海中から発見した海洋冒険家、フランシス・ドレイクの棺から発見した手帳を手がかりに、さまざまな謎を解き、時には海賊や敵対勢力の妨害を受けつつ、冒険していくことに。
ストーリーの長さでいえばシリーズ中でも短めの作品でしたが、終盤にかけて謎が明らかになっていくドキドキ感や緊張感はかなりのもので、濃密なプレイを味わえました。
衝撃を受けたことといえば、これまでのゲームに比べて圧倒的に画面に表示されるUIが少ないこと。プレイヤーがゲームだと認識しないように……つまり没入感を高めるようにするための工夫と聞いて、感心したことを覚えています。UIを制限するのは、プレイヤーが画面から得られる情報が少なくなるということでもあるので、一歩間違えば不便に感じてしまうもの。
しかし『エル・ドラドの秘宝』では、一作目にもかかわらずまったく気にならず、その完成度の高さが伺えます。
プレイヤーにどんなことをさせたいのか、というシリーズ通してのコンセプトもこの段階ではっきり伝わってきました。端的にいえば“冒険映画の主人公の気分を味あわせたい”ということでしょう。手帳を自分の手でめくり、ヒントを探して目の前にある謎を解くというプロセスは斬新で、粋な演出だったと思います。
謎解きだけでなく、銃撃戦やアクションの部分においても、映画的な演出を多く取り入れていました。このころから流行し始めたパルクールアクションも取り入れていますし、敵が撃たれて倒れる時の挙動も、映画の敵役のように少し大きいリアクションをしていて、本当に映画のようでした。派手な演出はムービーに頼っていたり、操作がややぎこちなく感じたりするなど、新規タイトルらしい粗さが少しあったことも、今となれば懐かしいですね。
『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』 2009年10月15日発売
二作目『黄金刀と消えた船団』では、マルコ・ポーロがかつて率いた船団の残した財宝を求めて冒険へと繰り出すことになります。前作『エル・ドラドの秘宝』から多くの点が改良された作品。いわゆるホットスタートと言われる、危機的状況からスタートするオープニングに驚愕した人も多いのでは?
前作ではムービー頼りがちな一面があったド派手なシーンも、本作からは緊張感溢れる場面ほどプレイヤーが操作できるようになったのは印象深いです。プレイヤーを焦らせる演出もさることながら、慌てたプレイであってもスムーズに操作できるようなユーザビリティの高さも、このころに完成されていました。
物語としてのポイントは、2人目のヒロイン・クロエが登場したことでしょう。前作のヒロイン・エレナとは違う、妖艶かつミステリアスな雰囲気は大きな人気を呼び、エレナ派かクロエ派かという話題があったとかなかったとか。ちなみに、このクロエは次回作にスポット参戦していたり、最新作でスピンオフが作られたりしていることからも、その人気の高さを見て取れます。
一作目ではジャングルがメインフィールドでしたが、本作では舞台の半分ほどが雪山に。ネイトの足元に積もった雪の表現や、吹雪による視界の悪化と「寒そう」と思わせる様子など、細かいしぐさや演出からも“ひとつの世界”としてのリアリティが圧倒的に増した印象があります。「シリーズでどの作品が好き?」と聞かれた時に本作をあげるファンも多く、それだけシナリオや演出のよさが光っていた作品といえるでしょう。
また、マルチプレイが導入されたのも本作から。財宝を取り合う『アンチャーテッド』らしいルールが用いられており、他のタイトルにはない独特の対戦を楽しめました。
『アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス』 2011年11月2日発売
『砂漠に眠るアトランティス』では、その名の通り砂漠が舞台。『黄金刀と消えた船団』で得た雪の表現をさらに強化し、滑り落ちるような砂粒や、命を奪う砂漠の熱気などをリアルに表現しきった演出は、今でも評価が高いです。実際、自分がプレイしていた時に、苦しい気持ちになったことをよく覚えています……。
本作で語られた大きなできごとといえば、ネイトの過去。少年時代のネイトをプレイできるシーンがあり、シリーズ恒例の相棒であるヴィクター・サリバン(通称、サリー)との出会いが描かれているのも特徴です。これまでシリーズをプレイしてきた人にとっては気になっていたシーンでもあり、それが明かされたことで大きな話題となりました。現代編でもサリーとの絡みが多く、ネイトとサリーの間柄にフォーカスしている部分も特徴ですね。
これまで、難度も危機的な状況になりつつも不屈の心で乗り越えてきたネイトですが、本作の敵はネイトの精神を揺さぶってきたことも斬新でした。これまでとは異なるアプローチで攻めてくる相手に、大きく苦戦するネイトの姿は、かつてないほどの危機感を覚えたものです。毎回恒例となっていたチェイスシーンに馬が使われたのも本作ならでは。中東の街並みなど、これまではあまり描かれていなかった“無数の一般人がいる風景”を歩けるようになり、世界を旅している実感を味わえるようになっています。
このころになると『アンチャーテッド』シリーズとしてのセオリーがほぼほぼ出来上がっており、“映画をそのまま動かしている感覚”として、完成の域に入っていたと思います。
『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』 2016年5月10日発売
プラットフォームをPlayStation 4に移した『海賊王と最後の秘宝』は、その性能を生かした圧巻のグラフィックが注目の的に! これまでもグラフィックのスゴさは認知されてはいましたが、それらを凌駕する圧倒的な映像美は必見です。
これまでの集大成として発売された本作は、ネイトの冒険のラストエピソードとなるということで、発売前から大きな注目を浴びていました。実際、ネイトがトレジャーハンターを引退していたり、エレナと結婚生活を送っていたりと、『砂漠に眠るアトランティス』の冒険ののちに彼の生活が大きく変わったのが見て取れます。困難につぐ困難を潜り抜けてきた『アンチャーテッド』らしからぬ、温かく穏やかな日々を見れるのは新鮮でした。
しかし、そんなネイトの前に、死別したと思っていた兄、サム・ドレイクが現れたことで状況が一変。ネイトは再びトレジャーハントの舞台へと舞い戻ります。その中で、これまで謎めいていた多くのことが判明していくのが本作最大の魅力。前作でもネイトの過去について少し触れられていましたが、本作ではさらに過去が明かされていきます。
個人的に本作のテーマは“家族”に集約されると思っています。唯一の血のつながった肉親であるサム、育ての親であり、トレジャーハントのイロハを教えてくれたサリー、そして数多の苦難を乗り越えて新たな家族となったエレナ。それぞれとの絆や愛情の狭間で葛藤しながら答えを出していく……『アンチャーテッド』というゲームとしてだけでなく、ネイトという1人のキャラクターの人生のそのものの集大成といえるでしょう。
当然、ゲームとしても前作から大きくパワーアップを遂げており、演出面の強化はもちろん、さまざまな新アクションが追加されました。特徴的なのはグラップリングフックを使ったワイヤーアクション。高所に引っ掛けて昇り降りしたり、振り子のようにして遠くにジャンプしたりと、三次元的なアクションの幅が増えました。
そしてステルス要素。これまでは演出的に“潜入”するシーンはあっても、結局は銃撃戦をする他ありませんでした。しかし本作では草むらに身を隠し、敵に気付かれずに倒すことが可能に。これにより、うまくプレイすればまったく気付かれることなく敵を倒したり、通り抜けたりすることができるようになっています。
『アンチャーテッド』シリーズは、これまで決まったルートを進んでいく、“リニアタイプ”で作られていました。ですが本作では、プレイヤーが自由に探索できる広いエリアを導入。
これまで通り、物語自体は決まっているため、そこにいたる道筋やあとの展開は決まっているものの、特定のエリアにおいてプレイヤーが自由に見て回れる空間を作る“ワイドリニアタイプ”を取り入れています。本作から実装された、プレイを一時停止してスクリーンショットを撮影できる“フォトモード”との相性もよく、プレイヤーによっては探索に没頭するあまり、物語が進まないということもあったのではないでしょうか。
スピンオフにも注目! 若かりしネイトやクロエの活躍を描いた2作品を紹介!
基本となる『アンチャーテッド』シリーズは、以上で紹介した4作品ですが、外伝的な作品も2作品発売されているので、こちらも簡単に紹介します。本編シリーズとはまた異なる味があるので、プレイしてみることをオススメします。
『アンチャーテッド 地図なき冒険の始まり』 2011年12月17日発売
本作は、シリーズで唯一PlayStation Vitaで発売された作品。かつ、ノーティドッグではなく、SCEベンドスタジオの開発作品です。ネイトがまだ駆け出しのトレジャーハンターだったころを描いており、登場キャラクターも独自のものが多いのが特徴です。
PS Vitaの機能を利用したギミックが多く、タッチスクリーンを利用した格闘攻撃や、モーションセンサーを利用した照準など、独自な要素を取り入れていました。そのため、他のシリーズ作品とは異なるプレイ感覚を楽しめます。
『アンチャーテッド 古代神の秘宝』 2017年9月14日発売
『海賊王と最後の秘宝』の拡張コンテンツで、『黄金刀と消えた船団』で登場したクロエが主人公となる作品です。驚くべきは、パートナーとなるナディーン・ロスというキャラクター。彼女は『海賊王と最後の秘宝』で、ネイトたちの前に立ちはだかったライバルキャラ。敵として登場した時とは異なる一面を見ることができ、ナディーンの人気も大きく上昇したとか。
ゲーム的には『海賊王と最後の秘宝』を引き継いでいるため、本編をプレイした人であれば問題なくプレイできるかと。拡張コンテンツではありますが、本編を持っていなくてもプレイできるのも特徴です。
『アンチャーテッド コレクション』でシリーズをまとめてプレイ!
これまで発売された『アンチャーテッド』シリーズの歴史を振り返ってきましたが、シリーズとしてコレ以上ないほどまとまった作品だと思います。『エル・ドラドの秘宝』から『砂漠に眠るアトランティス』までの3作品が収録された『アンチャーテッド コレクション』がPS4で発売されているので、まとめてプレイするハードルも低くなっています。
個人的には『海賊王と最後の秘宝』のラストシーンは、「シリーズ通してプレイしてきてよかった……!」と思えるほどいいと思っているので、未プレイの方はぜひこの機会に通して遊んでみてください。
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