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クトゥルフ経営SLG『夜明けの笛吹き者』レビュー。臓器すぎる見た目の“人柴”をこき使って錬金工房を大きくしよう!【おすすめ度:7点/電撃インディー#1492】

文:宮本デン

公開日時:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Bone Nailが開発した経営SLG『夜明けの笛吹き者』のレビューをお届けします。


 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!


“ダイヤモンドの城 ”と呼ばれる世界で錬金工房を営む『夜明けの笛吹き者』【おすすめ度:7】


 『夜明けの笛吹き者』は、クトゥルフ神話をモチーフにしたホテル経営SLG『ヨグ=ソトースの庭』を開発したBone Nailがおくる新作経営SLGです。

 主人公は非凡な才能を持つ錬金術師(私)として、“ダイヤモンドの城”と呼ばれる場所で小さな錬金工房を営むこととなります。

 農業、採掘、錬金術、釣り、店舗経営、神託、遺伝子操作……などさまざまなシミュレーション要素が搭載されているので、できることが多い分、とにかくやることも多い! のですが、ゲームを進めていくと美少女たちがお手伝いとして働いてくれたり、“人柴”という「もう何か……なにこれ?」と一見面食らう見た目の(だけどなぜか愛着がわいてくる)働き手を使ったりできるのでご安心ください。


 本作はマルチエンディングで、昼間のSLGパートと朝夜のノベルパートによってゲームが進行します。

 Bone Nailらしいさまざまな魅力を持った美少女たちが登場し、そのうちメインの6人には好感度シナリオも用意されています。


 ですが、私に一番刺さったのは好感度シナリオのない翡雀様でした。深緑の旗袍に長尺の煙管を持つ気の強そうな美女の魅力には抗えません。DLCで好感度シナリオが追加されることを強く祈っておきます。

▲翡雀様が出てきた瞬間にドキッとしてしまいました。

苦しみのない“幸せな1カ月”をループする濃密な100万字超えのストーリー


 本作のシナリオはなんと100万字超え。可愛らしいふわふわの世界観とは裏腹に、秘密と陰謀と古代の神が跋扈する重厚なストーリーが繰り広げられます。

 ストーリーは、主人公が錬金工房を開く資金を調達するために、明らかに怪しい謎の美少女にカード勝負を仕掛けるところから始まります。ところがこの主人公、ここに辿り着くまでの記憶があやふやで、しかもスマホらしきものを持っておりすでに不穏な雰囲気が漂っています。


 無事錬金工房を手に入れた主人公は、屋根裏に住む前任錬金術師や太陽酒場での喧嘩芝居などを経て街に順調に溶け込んでいきます。どうやらこの町は、“五月花祭り”という催しを控えているようで、カレンダーには日付の進行とともに、“五月花祭りまであとxx日”とカウントダウンされていきます。

 とにかく毎日いろいろなイベントが発生するので、序盤は文字を読むだけでも一苦労。それでもなんとなく住民の性格や関係性、バッググラウンドが見えてきて、「よし! この町で錬金術師として頑張るぞ」と気合を入れた瞬間、

なんと爆発騒ぎを起こして捕まってしまいました。

 「えーーーー!?」と混乱しすぎて事態を飲み込む暇もなく、留置されたまま一気に2週間が経過していきます。あのメチャクチャ時間のかかった序盤の2週間は一体……。

 踏み込み始めた秘密も謎の怪物も爆発に巻き込まれた人たちの安否も、何もかも気になる状態のままついに“五月花祭り”を迎えることになります。

 まあこの“五月花祭り”も不穏どころじゃないレベルで惨劇というか……。

 ゲームのビジュアルの可愛さもあいまって「ドイツ風の可愛らしい街で美少女たちとちょっと不思議なシミュレーションゲーム♡」に見えるんですが、内実はかなり複雑でグロテスク。ストーリーを進めるごとに世界の真の姿が見えてきて、一緒に行動してくれる美少女たちの姿が癒しとなります。


 そしてそんな“五月花祭り”を経て、時間は主人公が街で錬金工房を開いた日に戻ることになるのです。

 ちなみにこのときのループしていることを示すカレンダーのギミックが、個人的にはかなりお気に入りです。

ヤバすぎる見た目だがなぜか愛着がわく“人柴”をこき使って錬金工房を大きくしよう


 できることが増えていくと段々と手が回らなくなっていきます。そんな時に使えるのが“人柴”です。


 脳、目、手、口など、人体の一部が顔となっており一見してグロテスクな見た目なのですが、農作、労働、錬金術、ひいてはお店の運営まで対応してくれるため、効率よく進めていくためには彼らの存在が必要不可欠なのです。

 人柴は、人柴の種を畑で育てることで生み出すことができます(何を言ってるかわからないと思いますが、文字通りです)。種を植えたときの小さい歯や目が地面に埋まっている光景は、他のゲームではなかなか見ることができないでしょう。

▲絵が可愛いからまだ耐えられるけど冷静に考えてヤバい光景

 人柴に延々と薬草や素材、薬品を作らせて店で売りさばくルーティンを作り出すことができれば、普通に進める分には金策に困ることも早々ないと思います。彼らがあくせく働く中、主人公は気ままに釣りを楽しむ、なんてことも。

 モノ言わぬ社員の人柴ですが、さすがに使い続けるとSAN値(正気度)が下がり正気を失ってしまいます。その場合は、人柴用の休憩スペースを用意し、正気を取り戻すまで休ませてあげましょう。

▲“人柴マンション”という呼び方がなんかいい。

 最初のうちは見た目がちょっと怖いな……と感じていたのですが、ともに仕事をしていくにつれてなぜだか愛着がわいてきて「おっ今日も元気に働いてるな」と嬉しくなってしまうところが不思議です。

 人柴にもレベルがあり、錬金工房をレベルアップしていくにつれ、より有能な人柴を手に入れることもできるようになります。倉庫が満員になってしまった場合、人柴を容赦なく“野に放つ”こともできますので、定期的に人柴の様子を見て壊れないように管理してあげましょうね!

やることは多いものの、“次にすべきこと”が明確なため迷わず進めることができる


 ゲーム中は“次にすべきこと”がつねに表示される状態なので、できることが多すぎて途方に暮れがち(私)な人でも、迷うことなくゲームを進めて錬金工房を大きくしていくことができます。

 また、『ヨグ=ソトースの庭』にはなかったノベルパート中のセーブ/ロード機能が追加されており、自分でタイミングを取りながらプレイできるところも嬉しいポイントです。

 やることが多いと楽しさよりも面倒くささが先に立ってしまうこともありますが、本作ではとにかく簡単にハイスピードに作業をこなすことができるので、そういったこともありません。その点においてもバランス感覚が非常に優れたゲームだと感じました。

 まだ日本語の翻訳は惜しい部分も多いのですが、今後アップデートされていくとのことなので楽しみですね! 経営SLGもビジュアルノベルもどちらも楽しみたいという方におすすめしたいということで、おすすめ度は7点といたします。

『夜明けの笛吹き者』概要
ジャンル:経営シミュレーションゲーム
対応言語:日本語、中国語(簡体字・繁体字)、英語
プレイ人数:1人
開発元:Bone Nail
パブリッシャー: Bone Nail、2P Games


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