スクウェア・エニックスが運営するオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下、FF14)』。本企画では、ヒカセン兼ライターが膨大なプレイ時間をかけて旅する中で出会った、『FF14』の“好きなクエスト”や“好きな台詞”を振り返りつつ紹介していきます。

今回の『FF14』振り返り記事では、『暁月のフィナーレ』サブクエスト“アジムステップの若き冒険者”と、その関連クエストを紹介します。
“アジムステップの若き冒険者”は、サベネア島で体験できるサブクエストです。フライングマウントを開放するための風脈がここのクエスト報酬に含まれているので、『暁月のフィナーレ』を遊んだ人の多くは体験しているかと思います。
かくいう筆者も風脈のマークに釣られて何気なく始めてみたところ、オグルというドストライクなキャラに出会えました。
かくいう筆者も風脈のマークに釣られて何気なく始めてみたところ、オグルというドストライクなキャラに出会えました。

オグルはオサード小大陸にある草原・アジムステップから、はるばるサベネア島までやってきたアウラ族の女の子です。冒険者に憧れて旅を始めたばかりのルーキーなのですが、象によく似た獣人・マタンガ族に対し、目を合わせられないほどの恐怖心を持っています。
困ったことに、サベネア島に住むアルカソーダラ族はマタンガ族の一派です。光の戦士と出会った時も、象の獣人が歩き回るサベネア島を恐れて体を震わせていました。
見るに見かねた光の戦士が付き添い、サベネア島で仕事を斡旋してくれるという人物のもとへ向かうと……

残念、斡旋人のカーンチャナもアルカソーダラ族でした。「助けて、ばあちゃん!」と頭を抱えて怖がるオグルですが、どこにも逃げ場はありません。
アジムステップの若き冒険者・オグルは、苦手なマタンガ族だらけのサベネア島でどんな大冒険を繰り広げるのでしょうか?
このクエストの見所は、何をやってもかわいいオグルのキャラクターです。温厚なアルカソーダラ族を過剰に怖がっている彼女にはつい庇護欲がかきたてられます。
かと思えば、ちょっと立ち直ってカッコつける調子の良さを見せる。その勢いで護衛の依頼に挑んだらアルカソーダ族が近くにいる緊張で気絶する……。
“アジムステップの若き冒険者”から始まる連続クエストは4つあるのですが、ひたすらに感情豊かな彼女と一緒にいるおかげで最後まで飽きませんでした。
メインストーリーでは惑星の滅亡をかけたシリアスな話が進む『暁月のフィナーレ』。そんな大それた物語を尻目に右往左往しているオグルを見ていると、世界の危機に立ち向かう元気がもらえました。
先輩としてメンターを担う光の戦士が感慨深い

本クエストの主役はあくまでオグルであり、光の戦士は冒険者の先輩として彼女をサポートします。
そもそもオグルが冒険者を志したのは、アジムステップで光の戦士を見て「自分も旅をしながら人助けをする冒険者になりたい」と憧れたから。“エオルゼアの英雄”と呼ばれて久しい光の戦士ですが、その光の戦士を無邪気に慕う後輩の登場には、感慨深いものを感じます。
アルカソーダラ族を怖がるオグルに「やれやれ」と言わんばかりのリアクションを取りつつも、面倒をみる光の戦士。
目を見て依頼人と話せないオグルの代わりにコミュニケーションを取ってあげたり、オグルが取りこぼした魔物を始末したり、メンターとしてかっこいいサポートを見せてくれます。
ときにはオグルの仕事をすべて肩代わりするのではなく、彼女ができる部分はちゃんと任せる先輩らしいシーンも。『新生エオルゼア』の頃は光の戦士もオグルと同じ無名の新人だったのに。なんだか、積み重ねた年月を実感させられました。
最小単位での“異種族理解”のストーリーは本編にも通ずる
本クエストの面白さは、アルカソーダラ族を怖がりながらもがんばるオグルの奮闘なわけですが、彼女の恐怖心にはちゃんとした理由があります。
アジムステップに住むマタンガ族は、草原のアウラ族を襲撃する攻撃的な種族としてF.A.T.E.にも登場します。アジムステップで育ったオグルの常識では「マタンガ族は野蛮で恐ろしい種族」で間違いなく、相手が温厚なアルカソーダラ族でも骨身に染みついた恐怖が拭えないわけです。
アジムステップに住むマタンガ族は、草原のアウラ族を襲撃する攻撃的な種族としてF.A.T.E.にも登場します。アジムステップで育ったオグルの常識では「マタンガ族は野蛮で恐ろしい種族」で間違いなく、相手が温厚なアルカソーダラ族でも骨身に染みついた恐怖が拭えないわけです。

しかし、よそ者の自分に良くしてくれるカーンチャナの優しさに触れるにつれ、オグルの偏見は少しずつほぐれていきます。
クエスト“オグルは恩義に報いたい”では、スリに全財産を奪われたオグルがカーンチャナから施しを受け、彼女を“恩人”と呼ぶようになりました。

そのカーンチャナの家に空き巣が入ったと聞くと「恩人には最大限報いるべし!」と奮起し、光の戦士と協力して犯人を捕まえようとします。
カーンチャナを「恐ろしいアルカソーダラ族のひとり」ではなく、「自分に優しくしてくれた恩人」と見るようになった証拠です。

連続クエストの最後“イェドリマンの大捕物”ではオグルの作戦が成功し、実行犯の少年と裏で手を引いていた親玉をまとめて捕まえます。
その結果をカーンチャナに報告する際、オグルは彼女の目を見ながら自然と話せていました。「どぉして、仕事くれる人までマタンガ族なんだ!?」と怯えて、目を合わせられなかった初対面からは考えられない成長ぶりです。後輩、立派になりました……!

ひとりの冒険者が苦手な種族を克服した、と書くとちっぽけかもしれませんが、私はこのクエストをとても意義のある話だと思っています。
『蒼天のイシュガルド』で人と竜が歩み寄ったように、『漆黒のヴィランズ』でアシエンとある種の和解に至ったように、『FF14』では「異種族と分かりあう」がテーマの一つと言えます。
オグルがカーンチャナと仲良くなれたのも、立派な異種族の歩み寄りです。規模こそ違えど、オグルのストーリーは『FF14』本編に通ずるお話ではないでしょうか。
彼女のように異種族への偏見を捨てようとがんばれる人がもっともっと増えれば、世界はよくなるかもしれない。“アジムステップの若き冒険者”オグルは、そんな爽やかな希望を私に抱かせてくれました。
アルカソーダラ族の友好部族クエストでは、オグルが再登場するそうですね。この記事を書いている時点ではまだ会えていないので、再会が今から楽しみでなりません。
電撃オンラインでは、好きなクエストや名言などにフォーカスした『FF14』に関する企画記事をこれからも不定期で展開していく予定です。次回もお楽しみに!




