任天堂の代表取締役フェロー、宮本茂氏が文化勲章受章に伴う記者会見を開きました。
ゲームと社会の関わりの変化や、映画、テーマパークへの展開、AI時代の創作について語っています。
文化勲章とは?
文化の発展に特に顕著な功績がある人に授与される勲章
文化勲章は、学術や芸術など、文化の発展に特に顕著な功績がある人に授与される日本の勲章です。1937年に制度が設けられました。
受章者は、原則として前年度までに文化功労者に選ばれた人の中から選考されます。文部科学大臣の推薦を受け、内閣府賞勲局での審査を経て、閣議で決定されます。
今回の宮本氏の受章は、ゲーム業界では初の文化勲章受章となります。
親子三世代でゲームを知る時代に。遊ばない人との接点も意識
宮本氏は、ゲームを遊んで育った世代が親となり、今では親子三世代でゲームを知るようになったと説明。ゲームが文化として受け止められるようになったことへの感謝を述べました。
ものづくりでは、ゲームを遊ぶ人だけでなく、普段ゲームをしない人にも関心を持ってもらえることを意識してきたといいます。
開発の歩みを振り返り、ゲームをより面白くしようとする中で、コントローラーそのものが複雑になり、初めて遊ぶ人には扱いにくくなっていたのではないかと考えた時期があったと説明しました。
宮本氏は、ゲームだけでなく、使う人が何かをすると、それに応じた反応が返ってくる仕組みそのものに面白さを感じてきたといいます。思い通りに動かせるか、反応の速さは適切かといった点を追求してきたゲーム開発の経験は、ゲーム以外の製品やサービスの設計にも生かせるとの見方を示しました。
映画やテーマパークを通じ、キャラクターをより多くの人へ
映画やテーマパークへの展開については、ゲームのために生み出したキャラクターが、長年にわたりファンに親しまれてきたことが背景にあると説明しました。
もともとキャラクターはゲームのために作ってきたものであり、性格や家族関係などの設定を先に固めると、その後のゲームづくりで不都合が生じる可能性があったといいます。
一方、長年にわたりキャラクターが愛される中で、ゲームを知らなくても、キャラクターを好きになることで任天堂のファンになってもらえると考えるようになったそうです。そうした考えから映画制作を始めたと説明しました。
映画やユニバーサル・スタジオのテーマパークなどを通じて、ゲームから生まれた任天堂のキャラクターを、より多くの人に知ってもらいたいと語っています。
自身の今後については、現在は映画制作に夢中になっていると説明。映画の専門家と仕事をする中で、再びゲームのようなものを作る可能性にも触れました。
AIの発展は、作ることの意味を考える機会に
会見では、AIの発展によって制作のハードルが下がる中、クリエイターの役割をどう考えるかという質問も寄せられました。
宮本氏は、これまでも道具の進化によって、デザインや制作の作業が変化してきたことに言及。制作作業をAIが担えるようになるほど、何を作ろうとするのか、作るとはどういうことなのかを考える機会になるとの見方を示しました。
道具が進化しても、人が構想し、デザインする役割は残るとし、クリエイターが取り組むべきことはまだあると語っています。
創作の喜びは、人が遊んでいる姿を見ること
宮本氏にとって創作の喜びは、自分が作ったもので人が遊んでいる姿を見ることだといいます。子どものころから、自分の作ったものを人に見せ、驚いてもらうことが楽しかったと振り返りました。

ゲームづくりでは、遊ぶ人が「こうしたらどうなるだろう」と考えて試したときに、どのような反応を返すかを重視しているといいます。試した結果を受けて、遊ぶ人の発想がさらに広がっていくことに、インタラクティブな体験の面白さがあると説明しました。
若いクリエイターに向けては、既存のゲームで面白いと感じたことをそのまま作るのではなく、こんなことをしたら面白いのではないかと、自ら考えることを促しました。

