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団地に活気を取り戻せ! 古き良きおつかいクエストRPG『Danchi Days』【おすすめ度:9】

『Danchi Days』は、認知症のおばあちゃんを元気づけるため、かつて団地で開催されていた夏祭りを復活させるべく、癖強住民相手に主人公・ホシノちゃんが奮闘する2Dアドベンチャーゲームです。
夏祭り実行委員に任命されたホシノちゃんは、カッパ(?)のモロキュウと共に団地で出会う住民に夏祭りのチラシを渡して、夏祭りにご招待していきます。
しかし団地の住民たち、非常に癖が強くて一筋縄ではいきません。チラシを渡しただけで参加を快諾してくれる人もいるにはいるのですが、大体の人には“行けない理由”があって断られてしまいます。

その“行けない理由”も、くだらないものから悲しいものまで千差万別です。しかし、どんな理由であっても解決してご招待するのがホシノちゃんの役目となります。
そして癖の強い住民たちのご用聞きをする中で、各人が大切にしている哲学、思想、理念、人間関係に触れ、ホシノちゃん自身も成長する温かくも切ないストーリーが展開されます。

コアなファンにぶっ刺さりすぎるコンセプト“『ウキカニ』ライク”

『さくらももこのウキウキカーニバル』(以下『ウキカニ』)というゲームをご存知でしょうか。
2002年に発売したGBA用のゲームで、その名の通り漫画家・エッセイストのさくらももこ先生とそのお姉さんが企画・制作・キャラクターデザインを手掛けています。
さくらももこイズム全開の癖強キャラクターとストーリー、そして何周してもコンプしきれないやりこみ要素など、今もなおファンの間では“神ゲー”として名高いゲームです。
私自身も小学生の頃にプレイし、そのさくらももこな世界観と周回するごとに新しい要素が現れる楽しさにハマり、何時間も没頭し続けていたという記憶があります。
実は『Danchi Days』はこの『さくらももこのウキウキカーニバル』に影響を受けているというのです。
そう言われると“祭り”を復活させるというコンセプトや、チラシをひとりひとりに渡して問題を解決していくゲームの流れ、そしてホシノちゃんが手にするパソコンによって楽しめるゲーム中の疑似インターネットシステムもすべて『ウキカニ』リスペクト。

そんな『Danchi Days』をプレイしていると、『ウキカニ』をプレイしていた頃の昔の記憶の扉がぶわっと開く感覚があります。
ただ、それらのシステムやコンセプトもただ真似ているだけではありません。本作の核となる住民たちが魅力的にデザインされていることから始まり、その住民たちの性格や嗜好に合わせたBGMやホームページ、ミニゲーム、果てはテキストにいたるまですべてにこだわりが詰まっているため、すべてが意味をもった要素として作用するのです。

大人になってからというものの“おつかいクエスト”が子どもの頃よりはハマりにくいな、と感じていたのですが、住民たちにすぐ魅了されてしまい「この人のことを知りたい」と自然に“おつかいクエスト”に楽しみを見出せました。
ミニゲームの種類がかなり豊富&単純に見えて意外とアツい!

作中には“五感ゲーム”と呼ばれるミニゲームが登場します。このミニゲーム、普通にクリアするだけであればそこまで難しくはないのですが、“ゴールド”でクリアしようとすると途端に難易度が上がります。
というのもミニゲーム自体がかなり緻密に計算されており、無駄な挙動を一度でも挟むともうゴールドには至れないというオワタ式レベルの縛りが課せられているのです。そしてリセットも手軽なので延々と繰り返してしまうという中毒仕様。
そしてミニゲームの一つひとつが、そのシーンに合うように練られています。一部のミニゲームでは住民のキャラクター性がヒントになっており、そのキャラクターがどのような性格なのか? 何を好むのか? を理解していると、挙動のパターン性なども理解しやすくなるという構成になっています。
“すべてがハッピーに終わるわけではない”と、折り合いをつけるための物語

主人公のホシノちゃんと相棒のモロキュウが天真爛漫なおかげで普段は意識しづらいのですが、“年月とともに寂れた団地”、“会わない間に認知症になったおばあちゃん”、“保育園跡地に建てられたシルバーセンター”、“シャッターが並ぶ商店街”、“諦めた大人”、“闇を抱える子ども”……と、ホシノちゃんを取り巻く環境はまあまあ寂しいです。

そのせいか、本作の雰囲気は明るいながらも根底にはどこか寂しさが漂います。ただそんな現実的な世知辛さや時の流れと真正面から向き合うのもホシノちゃんの良さで、大人と子どもの間で揺れ動く瑞々しい感性で問題を昇華したり、自分の中で折り合いを付けたりして進むことができる強さを持っています。

大人からするとあまり直視したくないような現実や問題にもお構いなしに取り組み、少しずつ良い方向にもっていく。終盤に向けて展開がシリアスになっていく中でも、そんな清涼感のあるホシノちゃんの存在感は、癒しとなっていきます。ホシノちゃんがどのような結末を迎え、成長を遂げるのか。ぜひ自分の目で確かめてみてほしいです。
『ウキカニ』ファンはもちろん、レトロなジュブナイル系RPGを求めている人にもおすすめしたい

“『ウキカニ』ライク”という言葉に興味を惹かれ心待ちにしていた『Danchi Days』ですが、『ウキカニ』への懐古以上に楽しむことができました。
画面割や操作方法にもレトロ感が滲んでいてこだわりを感じますし、『ウキカニ』以外にも名作の影響を感じる要素が多々あり、制作者の方々の「こういうのが好きなんだよ!」が丁寧に反映されたゲームだと感じました。
『ウキカニ』好きはもちろん、ラブデリック系などさまざまな人々や事件とかかわりながら子どもたちが成長を重ねていくジュブナイルゲームが好きな方は特にハマると思いますので、おすすめ度:9点です。
『Danchi Days』概要
ジャンル: 平成レトロな団地ADV
開発元: sandy powder, Melos Han-Tani, mogumu, gingham games
パブリッシャー: Analgesic Productions
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