ソニーの裸眼3Dディスプレイ『ELF-MN1』発表会レポート。約5.4万円で初音ミクが手のひらサイズに!

文:Ak

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 ソニーから発売される、6インチ小型の空間再現ディスプレイ『ELF-MN1』。その発表会が実施されたので、レポート記事をお届けします。

プレゼンテーション:裸眼で立体映像を見ることができる小型ディスプレイ『ELF-MN1』! その革新性や用途を開発担当者が解説


 イベントの冒頭には、XR事業部門の事業企画部部長を務める藤瀬真氏が登壇。同氏は、ソニーが展開する空間コンテンツ制作支援ソリューション群“XYN(ジン)”について説明を行いました。


 空間キャプチャー技術をはじめとするソフトウェアとハードウェアを統合し、クリエイターが直感的かつ効率的に3DCGを制作できる環境を目指していることを説明。


 これまでの空間再現ディスプレイは、15.6インチの『ELF-SR1』や27インチの『ELF-SR2』といった大型モデルを中心に業務用途で展開されてきましたが、今回の『ELF-MN1』によって、クリエイターが手掛けた魅力的な立体コンテンツを一般のファンの元へ広く届けるエコシステムを加速させていきたいという展望が示されました。


 続いて登壇した企画担当の石松瑶氏からは、『ELF-MN1』の具体的な製品概要と開発背景が明かされました。本機は2026年12月11日に発売予定で、市場想定価格は税込54,000円前後となっています。「創造の世界を、机の上の“日常”に。」をコンセプトに掲げており、従来の大型ディスプレイを体験したユーザーから寄せられた「もっと手軽に自分の部屋で楽しみたい」という声を反映して開発されました。

 石松氏は、このコンセプトを支える三つの大きな特長を解説しました。

 1つ目は、日常生活に調和する筐体デザイン。6インチという手のひらに近いコンパクトなサイズ感に加え、透明なアクリルスタンドを採用したことで、画面と机の接地面の境界を感じさせず、置いた場所に自然に溶け込む演出が施されています。これにより、小さな箱庭を覗き込むような従来の鑑賞方法だけでなく、生活空間の中にキャラクターが実在しているかのようなAR的な新しい体験も可能になりました。

 2つ目は、小型ながらも際立つ映像のリアリティ。視線認識センサーに新しく赤外線(IR)センサーが追加され、暗い部屋であっても見る人の瞳の位置を正確に捉え続け、ブレのない裸眼立体視を実現しています。さらにソニーの空間再現ディスプレイとして最高精細となる403ppiのパネルを採用し、映像の二重映りを抑えた鮮明な描写力を備えています。

 3つ目は、手軽に楽しめる接続環境。従来のWindows PCに加えてiOSやAndroidスマートフォンとの連携に対応し、USB-Cケーブル1本で直接繋ぐだけで、アプリからすぐに立体映像の視聴を開始できるようになりました。


 設計プロジェクトリーダーの石橋時光氏からは、ディスプレイを動かすための開発環境と対応アプリケーションの紹介が行われました。クリエイター向けには、Unity用のプラグインや業界標準であるOpenXR対応ランタイムが提供され、プレハブを配置するだけで手軽に立体表示を実装できる仕組みが整えられています。

 また、一般ユーザーがすぐに楽しめるアプリケーションとして、公式キャラクターのデジタルフィギュアを鑑賞できる『ホロモデル』や、VRMなどの3Dアセットを自由にカスタマイズして飾れるビューワー『Deskrium』、机の上の少女と一緒に作業に集中できる育成アドベンチャー『Fenestra』、リアルタイム音声対話ができるパーソナルAIコンパニオン『animates』といった多彩なコンテンツが発表されました。


 パートナーセッションでは、実際にコンテンツを提供する2組のゲストが登壇しました。株式会社Gugenka代表取締役CEOの三上昌史氏は、同社が展開するデジタルフィギュアサービス『ホロモデル』について紹介しました。スマートフォンで持ち歩いて楽しむこれまでのスタイルに加え、『ELF-MN1』と連携することで「自宅でキャラクターと共に暮らす体験」が実現したと語りました。

 本機との連携にあたっては、視線認識を活かしてキャラクターと目が合う“Look At機能”や、室内の照明環境に合わせて影の落ち方を調節できる光源制御機能など、デジタルならではの新しい鑑賞体験が追加されています。


 もう一人のゲストである空間コンテンツクリエイターのVoxelKei氏は、初代モデルから空間再現ディスプレイを使い続けてきたクリエイターの視点から本機の魅力を語りました。ヘッドマウントディスプレイのような装着の煩わしさがなく、手元に置いておくことで“常にそこに在る状態”を作り出せる点が本機最大の強みであると強調。

 実写を忠実に3D化する技術“3D Gaussian Splatting”を活用した空間表現や、頭の動きに合わせて視点が変わる縦スクロールシューティングゲームのデモを披露し、見るだけのエンターテインメントにとどまらず、コストや時間のかかる3Dプリント前の立体プレビュー用途など、実用面でも高い価値があると述べました。

■プレゼンの簡単なまとめ
  • メガネやゴーグルなしで立体映像が見られる、6インチ小型の空間再現ディスプレイ『ELF-MN1』を発表。2026年12月11日発売予定、市場想定価格は54,000円前後
  • これまでの大型・業務用モデルから大幅に小型化・低価格化し、スマホやPCとUSB-Cケーブル1本で繋いですぐに使える
  • 暗所でも視線を捉える赤外線センサーや高精細パネルを採用し、ブレのない自然な裸眼立体視を実現

質疑応答:制作されたコンテンツの購入や共有はどうなる? Unity向けの開発は?


 プレゼンテーション終了後には短めの質疑応答が行われ、メディアからの質問に対して開発陣が回答しました。


――クリエイターが制作したコンテンツは、ソニーが用意する専用のストアなどで取引・流通できるようになるのでしょうか。

 本日ご覧いただいたクリエイターの皆様の作品につきましては、基本的にはそれぞれのクリエイター様自身から一般に向けて公開・配信していただく形を予定しております。現時点でソニー側から専用のストアを開設して一元的にコンテンツを管理・販売する仕組みは用意しておりません。まずはこのようなコンテンツを楽しめるという認知を広げる環境を整え、各社やクリエイター様のプラットフォームを通じて手にとっていただきたいと考えております。

――アマチュアのクリエイターが制作したデータを手軽に共有できるような仕組みについても、公式側で提供する予定はあるのでしょうか。

 アマチュアの方々も含めたデータ共有の仕組みに関しては、社内でも必要性を強く認識しており、現在どのような形で実現できるかを検討している段階でございます。

――Unity向けの開発体験について伺いたいのですが、iOSやAndroid向けに展開する場合、一度作成したビルドをそのまま『ELF-MN1』で動作させることができるのでしょうか。また、実機を用いたデバッグ環境や、Unity以外のUnreal Engineへの対応予定についても教えてください。

 開発手順に関しましては、Unityに専用のプラグインを取り込み、プレハブをシーン内に配置していただければ通常通りアプリを制作することが可能です。ビルドについては、各プラットフォームやOS向けにそれぞれビルド設定を行って書き分けていただく必要がございます。

 また実機での確認につきましては、開発用のPCに『ELF-MN1』を接続しておくことで、Unityのエディタ上から直接実機へ映像を投影し、リアルタイムに見え方をチェックしながら作業を進めていただけます。Unreal Engineへの対応に関しましては、現時点で具体的な予定は未定となっておりますが、まずはUnityで幅広く使っていただき、クリエイターの皆様から強いご要望をいただけるようであれば前向きに検討していきたいと考えております。

実機展示:『初音ミク』が生き生きと動く『ホロモデル』などの多彩な対応アプリを体験!


 体験会の会場では『ELF-MN1』の実機が展示され、対応するコンテンツが動いている姿が確認できました。


 実機の見た目はこんな感じ。形状は三角形でちょっとサンドイッチみたいですね。ディスプレイ自体は平面ですが、斜めに置くことを想定した作りになっています。透明なアクリルのスタンドで固定されているので安定感は十分です。

 写真で見るとどうしても伝わりにくい(ブレて見える)ですが、適切な距離を保つと裸眼でも高品質な3D画像を楽しむことができます。かなりの視野角で安定して3D画像を楽しむことが可能なので、卓上でも使いやすそう。ただし顔と本体の間に何かあるとエラー表示になり画像が安定しなくなるようです。

 下記で、主なコンテンツの概要や見どころについて簡単に解説します。

『ホロモデル』(配信中)


 約500種類の公式キャラクターを取り扱うデジタルフィギュアサービス。スマートフォンと『ELF-MN1』を組み合わせることで、デジタルフィギュアを日常空間の中に実在するかのように飾って鑑賞できます。

 『初音ミク』『Re:ゼロから始める異世界生活(エミリア)』『ピングー』の3種類が展示されていました。目の前に立って話すと、何か反応を示してくれます。また今回は試すことはできませんでしたが、ポーズなども自分で指定して動かすことができるようです。


 『初音ミク』はミニライブステージ風のジオラマ展示を設置。このように展示の仕方を工夫することで、よりそのキャラクターの“そこにいる”感が際立ちますね。アタッチメントが現状では市販の予定がなさそうなのが残念!

『Fenestra: my focus, her future』(近日公開)


 PC(Steam)向けの集中支援×育成アドベンチャーゲーム。PC内で目覚めた名前しか知らない少女“フェネストラ”と一緒に仕事や勉強、創作に取り組み、現実で集中した時間を彼女の成長に変えることができます。


 単体でも遊べるゲームではありますが、『ELF-MN1』があるとそちらに“フェネストラ”を移すことが可能。小型ディスプレイならではの手元に置ける感じがうれしいですね。なお『ELF-MN1』側に“フェネストラ”が行っている場合は、PCのほうにはいなくなります。

『animates』(『ELF-MN1』発売時対応)


 リアルタイム音声対話や会話記憶の連続性を備え、感情豊かなキャラクターとのコミュニケーションを卓上で楽しめるパーソナルAIコンパニオンアプリ。

 AI搭載なのでリアルタイムで通話しながらのリアクションを楽しめます。表情も豊かで、話していて楽しい! 今回は短時間の試遊でしたが、会話内容をしっかり記憶してくれるので、長時間使うと愛着もより強くなっていきそうです。

『Deskrium』(『ELF-MN1』発売時対応)


 VRM、FBX、OBJ、glTF(.glb, .gltf)、PLYなどの3Dアセットを読み込み、モーションや背景をカスタマイズして飾ることができる汎用3Dモデルビューワーアプリ。

 展示ではキャラクターに実写映像を元にした背景がセットされていました。自分の馴染み深い背景をスキャンして、そこにキャラクターを置くという遊びができそうですね。

『MEISHI Pop! - メイポプ!』(2026年内公開予定)


 アバターがぴょこっと現れる3D名刺アプリ。イベントやオフ会などで自分らしさを楽しくアピールできる“飛び出す名刺”となっています。

 アプリ内でアバターをカスタマイズする機能はなく、Unityで制作したモデルを取り込んで使用できます。Unityを使う分、自由度の高いアバターを制作可能になっているとのこと。

『Vマド mini』(2026年内公開予定)


 VRChat向けのアプリケーション。作業中などVRを放置している間でもインスタンスの様子が気になるときに、デスクの上にVRChatへ繋がる“窓”を置くことで、バーチャル空間の様子を立体的に眺められ、心の距離を近づけることができます。

公開未定のデモ展示も!


 そのほか、技術デモとして複数のコンテンツが展示されていました。気になったものをいくつか紹介していきます。

▲QR Studio:スマートフォンのカメラでカードのQRコードを読み取ることで、カード内のキャラクターが現実空間に立体表示される作品。手軽に立体表示が可能なので、イベントなどで役立ちそう!
▲Spatiarium:アクアリウムのように楽しめるアプリ。スケール感がちょうどよく、さまざまな魚を入れて楽しめそうです。
▲PARALLAX FIELD:奥行き感を活かした縦スクロール型シューティングゲーム。視線認識(ヘッドトラッキング)で機体を動かす操作性が新感覚で、アーケードで動かしても面白そうと感じました。
▲Rain Shelter - 雨宿り:電話ボックスで雨宿りをする一人と一匹を卓上ウィジェット化した作品。アタッチメントの可能性を感じる作品ですね。

まとめ:手軽に質の高い3D映像が楽しめる空間再現ディスプレイ!


 小型ながら、裸眼で質の高い3D映像が楽しめる空間再現ディスプレイ『ELF-MN1』。


 机にポンと置けて、裸眼で手軽に3D映像を楽しめるのがすごい。先進的な商品にしては予想価格54,000円と比較的安価なので、今後の空間再現ディスプレイの趨勢を左右する商品になりそう。ガジェット好きには気になる一品ですが、一般層にまで広がるかはコンテンツラインナップしだいだとは思うので、今後の続報に要注目です。

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