みなさんこんにちは。映画の邦題っていいよね。特にB級~Z級映画の原題にまったく関係のない、ヒット映画をモジッた邦題、大好き。でも最近は叩かれすぎて日和ったのか、原題英語をそのままカタカナにしたやつ多くない? 逃げるな! 『悪魔の毒々モンスター』のままでええやろオッシーがコラム66回目をお送りします。

このコラムでは、狂ったようにプレイしている日々のゲーム体験や、ゲーム以外の趣味である映画鑑賞などで摂取したエンタメコンテンツを、短文レビュー形式でお送りしています。今回も映画レビューだけど、ゲーム要素多め!
巨大生物の体内に取り込まれる系ゲーム【クジラに落ちた男】
●映画『クジラに落ちた男』【7点】
ゲームを長年やってると、定番の展開ってあるよね。“巨大生物の体内に飲み込まれて、その中から脱出する”シチュエーションもその一つ。
『ゼノブレイド』とか、リメイクもされる『ゼルダの伝説 時のオカリナ』とか、昔のだと『ガイア幻想紀』とか『新桃太郎伝説』、『ドラクエ10』にもブオーンの体内ステージあったわ。
アトラスはこのシチュエーション好きな気がする。古くは『女神転生Ⅱ』(デジタル・デビル・ストーリーの方)にもあったし、『メタファー』にもしっかりあった。RPGじゃないけど、『HALO3』とか『ゴッド・オブ・ウォーⅢ』にもあったよね。
ゲームのこういった巨大生物はスケールが大きくて、普通にパーティーごと飲み込まれて、探索したりできる。中には、同じく飲み込まれた(という設定の)先住民がいたり、家が建っていて生活してたりする。
大体が、胃酸がイメージされていてスリップダメージの毒の沼地的なのがあるんだよね。そんで敵も、体内に住み着いた病原菌とか免疫細胞のケースもあるし、普通に一緒に飲み込まれた外界の敵だったりもする。
何故か宝箱が設置されてあったりもするし(飲み込まれた設定だけど⋯⋯)、ダンジョンになるケースもしばしば。色んな体内器官に通じているから、ダンジョンがイメージしやすいんだと思われる。
そんで、大体は飲み込まれて胃の中から始まるんだけど、その後は、口の方を目指して吐き出してもらうか、ケツの方に向かってアレと一緒に出してもらうか⋯⋯。正直後者は想像するだけでキッツイ。
飲み込む巨大生物も、巨大なワームとか巨大亀とかバラエティ豊かだけど、一番多いのは、“巨大クジラ”(っぽい生物含む)だと思う。
そう! そんな、夢の(?)巨大クジラに飲み込まれて脱出するまでを実写映画にしちゃったのが、今作『クジラに落ちた男』なのだ!
ピコーン! これはパッパが先住民になるパティーン!【クジラに落ちた男】
まず、『クジラに落ちた男』って題名がいいよね!
『クジラに食べられた男』でも良さそうなもんだけど、クジラに“落ちた”って表現が良い。
まあ英題は『Whalefall』で、これは実際に劇中でも語られる“クジラが死んで生態系に恩恵をもたらすこと”の表現らしいから、そのまま翻訳して『クジラに落ちた男』なんだろうけど、それにしても良いタイトル。
物語はシンプルで、冒頭で主人公のパッパ(ダイバー)が病を苦に海に身投げするところから始まる。
特に説明はないけど、めっちゃヤバい感じに咳込んでいるし、装備もなしに海にドボンするし、船に同乗して釣りしていたオッサンの表情(ドボンという音を聞いて泣きそうな表情になる)から、パッパの自殺の覚悟を知って連れてきたことが分かる。
もうここでゲーマーな筆者はピンときたわけよ。
あ、これは、パッパが実は生きていて、クジラに先に食べられていて体内で会うパターンや! ってな。
映画『ストレンジ・ワールド』って知ってる?
ディズニーのオリジナルアニメーション映画で、いまいち興行的にはパッとしなかったんだけど、これも父親が冒険家で行方不明になっていて、あとから主人公が“ストレンジ・ワールド(超生物が跋扈する魔境)”に行ったら、なんと父親が生きていて共闘する展開だったんだよね。
もう絶対このパターンだと思ったよね。ぼくはくわしいんだ!
案の定、パッパの死体は見つからず⋯⋯主人公のジェイもまた海に向かうことになる。これはもう半ば確定やろ!
待望のクジラにパックンチョ! あれ⋯? なんか狭くね⋯?
ジェイくんは、パッパに厳しくダイバーとして躾けられて、それに嫌気が差していた設定。
そんで逃げ出すように都会の大学に進学して親元を離れたんだけど、パッパの訃報を聞いて戻ってきた。そこでパッパの厳しい指導(トラウマ)を思い出し、それを払拭するために、もう一度、海に潜ることを決意。
そしたら、イカを食べようとしたマッコウクジラに一緒にパックンチョ、体内に取り込まれる。これでようやくクジラの体内ステージ攻略スタートやで!
ん⋯⋯? これ胃の中? 存外狭くね⋯?
飲み込まれた家もないし、先住民もいない(一緒に飲み込まれたイカはいるけど)。っていうかネカフェの個室くらいの広さなので、そもそもゲームみたいに立って歩けるようなスペースもない。
え、実際のクジラの体内ってこんなもんなの⋯? ということで、だいぶ夢が壊れてガッカリしてしまったんだけど、よく考えたら、そんなダンジョンになるくらいの体内を持つ巨大生物が現実にいるわけないよね⋯⋯。
しゃーないんだよ! 『超時空要塞マクロス』みたいに船内に街があるようなの見て育ったからさぁ! 巨大生物のお腹の中に街があってもおかしくないと思うやん!!
ビーキーちゃんや発光クラゲのヒカルくんと大冒険(流されるだけ)【クジラに落ちた男】
ということで、クジラの体内はめっちゃ狭いから、当然パッパが生きていて先住民としているわけもない。
必然的に、ジェイくんの一人芝居状態。でも大丈夫! 心強い仲間(?)がいるから!
- ダイオウイカ:一緒にクジラに食べられ仲間。仲良く胃の中に収まったはいいが、言葉が通じるわけもなく、狭い胃の中のスペースを取り合って激しく敵意を向けてくる。組んず解れつ戦ってたら、胃の収縮(?)に押し潰されてお陀仏。
- クラゲ:最初はダイオウイカが発光して、胃の中を照らしてくれたんだけど、上述の通り速攻で退場したので、次の光源としてデウスエクスマキナに送り込まれた存在。特に名前はないけど、ヒカルくんって心のなかで呼んでた。
- ビーキー:これがよく分からないんだけど、胃からおそらく腸の方に移動した際に主人公の手に噛みついてきた(?)固いくちばしみたいなやつ。ダイオウイカの残骸っぽいけど、ダイオウイカに固いくちばしなんかあるんかいな?? ネットでも“体内の貝”とか“ダイオウイカのくちばし”って意見が分かれていてよーわからん。でもこのビーキーくんは刃物としてめっちゃ役に立ったので、まあなんでもええんやで。
※“ダイオウイカのくちばし”が正解でした! 生き物博士な息子が教えてくれました。ダイオウイカにはめっちゃ硬いくちばしがあるんやって。勉強になったね!
登場人物(?)紹介終わり!
こいつらと腸の方に行って命からがら戻ったり、食道を登って口の方まで行ったりするけど、結局、すぐに胃の中に戻るよ!
やっぱり巨大生物の体内モノの基本は胃なんだよなあ!
登場人物(?)紹介終わり!
こいつらと腸の方に行って命からがら戻ったり、食道を登って口の方まで行ったりするけど、結局、すぐに胃の中に戻るよ!
やっぱり巨大生物の体内モノの基本は胃なんだよなあ!
メタンガスって言ったら、いよいよケツアナ確定⋯かと思ったが【クジラに落ちた男】
口から出るのに失敗した辺りで、“これはいよいよアレと一緒にケツから出るパターンか?”と思い始めた。さらに追い打ちで、パッパが生前言っていた、“メタンガスが云々”みたいな話を思い出すジェイ。
おいおい食事中(クジラの)にシモの話するなや⋯⋯。もうこんなのケツから出る作戦一択やんけ⋯⋯。と思ったら、なんと作戦Bは違うものだった。
正解は“メタンガスに引火させてクジラを爆散大作戦”
なんとも都合よく、クジラが飲み込んだスチールウールや持ち込んでいた電池、残り少ない酸素ボンベと、爆破するのに適した素材が揃っている。この辺もゲームっぽいよね。たまたま攻略アイテムが近くに転がってるの。
いやでも、体内で爆発したら普通にジェイくんも吹っ飛ぶんじゃ⋯⋯。だってネカフェ個室くらいの胃の中の話やで?? と思ったが、「これはパッパが導いてくれた、唯一無二の冴えたやり方!」とばかりに準備を進めるジェイくん。
肉壁に酸素ボンベを埋め込み、いざ点火(イグニッション!)。見事、クジラさんの土手っ腹に穴を開けて、ジェイくんは逃げ出すことに成功したのだった。
あ、点火した方の手は吹っ飛んだよ! まあでも手だけで済んで良かったね!
総評:行きてし帰る物語的には生還したけどさぁ⋯⋯【クジラに落ちた男】
ということで、無事(片手を失って満身創痍)に生還したジェイくん。エピローグは、あえて見ていなかったパッパの遺書的なのを見て微笑んで締め!
これでパッパのトラウマも克服できたし、めでたしめでたしハッピーエンドやな!
⋯⋯ってなるかーい! まだ大学生の身なのに、片手を失って、父親も失って、お先真っ暗やんけ⋯⋯。
なんかパッパのおかげで一人前の海の漢になれましたわーみたいな流れだったけど、ぶっちゃけパッパの身勝手な自殺行為で、大事な息子の人生オワタにしちゃったわけで。
そして一番の被害者は、大好きなイカを食べてたらお腹を爆散されて死んだクジラさんなんだよなぁ⋯⋯。パッパはクジラを神格化していたのにね!
ということで、なんかモヤモヤしたまま終わったけど、まあほぼ全編クジラの体内でモゾモゾしてるだけの映画をよく撮ったよね。そして我々ゲーマーの夢を現実を見せつけて壊してくれたよね!