電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、PHOSEPO INC.より、11月5日にSteamにて配信予定の認知異常×本格ミステリーのデスゲーム推理アドベンチャー『病能探偵』のプレイレポをお届けします。

なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
“本格ミステリー”と“認知異常”を融合させたデスゲームサスペンス『病能探偵』【おすすめ度:8】

“常識的な物理トリック”や“完璧なアリバイ工作”。これらは、本格ミステリーにおける謎解きの醍醐味であり、推理の土台となる絶対的な前提です。
しかし、もしもその“現場の事実”そのものが、人間の脳のバグ“認知異常”によって根本から歪められていたとしたら、私たちは一体何を信じて犯人を突き止めればよいのでしょうか……?
今回ご紹介するのは、そんな思考の前提を根底から揺るがす注目の新作推理アドベンチャー『病能探偵』です。
本作は、“本格ミステリー”と“認知異常”を融合させたデスゲームサスペンス。
「殺してもバレなければ、それでいい。」というショッキングなルールの下、世界を支配する謎の宗教組織“理”が主催する残酷な試練が描かれます。
集められた13人の参加者は、それぞれ稀有な認知異常を抱えた“病能者”たち。彼らは自らの異常を周囲に伝染させ、物理法則や常識では説明のつかない、狂気の殺人現場を生み出していきます。




本作をプレイした結論から申し上げますと……「ミステリー好きを自負する人ほど、脳の処理が追いつかずに大混乱させられる、とんでもない怪作」でした!
息もつかせぬ議論バトルや、圧倒的な熱量で描かれる演出の数々など、試遊を通して味わった生々しい衝撃と興奮を、余すところなくお届けいたします!
ミステリー好きほど騙される!? 常識が完全崩壊する衝撃のトリック【病能探偵】

推理小説やアドベンチャーゲームを多く遊んできた人ほど、事件が起きた際には“現場の状況”、“凶器の特定”、“死亡推定時刻”、“動機とアリバイ”といった客観的な証拠からロジックを組み立てようとするはずです。

しかし、本作『病能探偵』では、その当たり前の思考パターンこそが最大の罠になります。
本作の事件現場は、病能者の持つ“病能”によって現実そのものが歪められています。
たとえば、空間の左側を認識できなくなる病能のせいで「左半分にあるはずの証拠が見えなくなる」、人の顔を識別できなくなる相貌失認によって「現場にいた人物の顔がわからない」、あるいは四肢を失った遺体を見て「凄惨なバラバラ殺人だ」と推理したものが、実は自身の身体部位を他人のものと誤認する「異肢症」による自傷行為だったのではないか……という疑念が立ち塞がります。

「目に見えている証拠は、本当に物理的に存在するのか? それとも誰かの認知異常によって見せられている幻覚なのか?」
「現場に“ない”ものは、本当に存在しないのか? それとも認知から消去されているだけなのか?」

試遊中、筆者はこれまでのミステリーのセオリーを総動員して事件を解き明かそうと試みたのですが、次から次へと提示される“歪んだ現実”の前に、第一章から完全に翻弄され、頭を抱えて大混乱に陥ってしまいました。
しかし、これこそが本作の真骨頂です!
理不尽な超能力バトルではなく、“認知異常という明確なルール”を医学的・論理的に解読し、歪んだ世界の中から真実のピースを拾い集めて正常なロジックを再構築していく作業は、他のどのミステリー作品とも一線を画す、知的好奇心を刺激する極上の快感に満ち溢れていました。

主人公の認知も混濁!? “何が真実で何が幻覚か”プレイヤー自身が迷宮に堕ちる没入感【病能探偵】
本作の没入感を極限まで高めているのが、主人公自身が抱える認知の危うさです。

作中において、主人公は「何が現実で、何が幻覚なのかが自分でも判別できない」という精神状態に直面します。そして驚くべきことに、その感覚はテキストや演出を通して、画面の前のプレイヤー自身にもダイレクトに伝染してきます。


画面に映し出される陰惨な現場、怪しげに蠢く影、耳元で囁かれる不穏な声。
「今見ているこのシーンは、主人公の正常な視界なのか? それともすでに病能の影響を受けた幻覚を見せられているのか?」
ゲームを進めるうちに、プレイヤー自身の認識すらもグラグラと揺さぶりをかけられ、画面の向こう側の狂気と完全にシンクロしてしまいます。

自分が立っている足場すら信じられない不安定さの中で、かすかな論理の糸を手繰り寄せていく感覚は、まるで悪夢の中を手探りで進むかのよう。
この“プレイヤー自身の認知がバグる”体験は、現実では味わえないゲームというインタラクティブな媒体だからこそ実現できた、唯一無二の恐怖とスリルだと言えます。
息をのむ“弁論モード”! 溢れ出る戦慄の“お仕置き”【病能探偵】

集められた証拠をもとに、生き残りをかけて真犯人を暴き出す“弁論モード”は、緊張感の極致。
矢継ぎ早に繰り出される容疑者たちの証言に対し、プレイヤーは瞬時に「その発言を受け入れるか?」「矛盾を突いて証拠を突きつけるか?」のジャッジを下さなければなりません。

制限時間が刻一刻と迫る中で、論理的思考と直感的な判断力が同時に試されるハイスピードな舌戦は、コントローラーを握る手に思わず汗が滲むほどの熱量があります。

そして、この“弁論モード”をはじめ、スタイリッシュなカットイン演出、張り詰めた空気を煽る疾走感あふれるBGM、テンポ抜群のテキスト回しなど、魅力的な要素がふんだんに盛り込まれています。

単なる模倣にとどまらず、“認知異常”という独自のエッセンスが議論に組み込まれているため、「相手の嘘を暴く」だけでなく「相手の認知の歪みを指摘してロジックを正す」という独自の駆け引きが成立しているのが実に見事です。
さらに、見事に真犯人を暴き出した後に待ち受けるのは、その者が抱える“病能”にちなんだ残酷かつショッキングな「裁き(お仕置き)」の瞬間です。

美しくも狂気に満ちた破滅の演出は、プレイヤーの倫理観と精神を強烈に揺さぶり、デスゲームならではの重厚な後味を残してくれます。毒気とスタイリッシュさが同居したデスゲームADVが大好物な方であれば、間違いなく心の底から歓喜できる仕上がりです。



ビジュアルとLive2Dがとにかく素晴らしい! “代理教主”の圧倒的かわいさと曲者揃いの13人【病能探偵】
本作を語るうえで絶対に外せないのが、圧倒的なクオリティを誇るビジュアルワークです。




登場するキャラクターたちは繊細なLive2Dアニメーションによって息を吹き込まれており、息遣いや視線の動き、微細な表情の変化までが滑らかに描写されます。
極限状態に追い詰められた人間が見せる絶望の表情や、狂気に歪んだ笑みなど、アニメーションの細やかなこだわりがキャラクターの感情をダイレクトに伝えてきます。



集められた13人の病能者たちも、まさに一癖も二癖もある曲者ばかり。

強迫性障害、相貌失認、獣化妄想など、それぞれが重い業と病能を背負っており、誰一人として一筋縄ではいかない強烈な個性を放っています。彼らのバックボーンや隠された本性については、ここで語ってしまうのがあまりにも惜しいため、ぜひ製品版のストーリーを通して一人ひとりの生き様を見届けてほしいと思います。

そして、そんな濃いキャラクターたちの中でも、筆者が声を大にして主張したいのが「“代理教主”がとにかくかわいすぎる!」という点!


試練を司る宗教組織“理”の代理であり、残酷なデスゲームを冷徹に公平に見つめる存在でありながら、そのビジュアルの破壊力、ミステリアスな佇まい、時折見せる仕草の愛らしさは反則級の魅力を放っています。この代理教主に狂わされるためだけにゲームをプレイしても決して損はしないと、自信を持って断言できます……。かわいすぎる……。

チュートリアルからすでに超濃厚! 50万字の巨編が約束する圧巻の体験
今回のプレイレポで感じたのは、「これ、本当に第一章のチュートリアルのボリュームなのか……?」と唖然とするほどの序盤からの密度でした。

本作は全体で50万字を超える長大なシナリオ、主要シーンを彩る豪華声優陣によるボイス、40種類以上の美麗なイベントCG、数十種類に及ぶ3D背景、そして世界観を彩る50曲以上のオリジナルBGMが用意されているとのことですが、その片鱗は序盤から遺憾なく発揮されています。

導入から事件の発生、探索、そして怒涛の弁論バトルに至るまで、一切の無駄がなく、プレイヤーの感情を常に揺さぶり続ける構成は圧巻。
チュートリアルの枠を完全に超えた濃厚なドラマが展開され、第一章が終わる頃には、映画を丸々1本見終えたかのような心地よい疲労感と高揚感に包まれました。


常識を疑い、狂気の底から真実を手繰り寄せる——ミステリーの地平を切り拓く劇薬的ADV【病能探偵】

『病能探偵』は、“犯人を暴く”というミステリー本来の知的カタルシスに、“世界そのものが認知異常によって歪んでいる”という狂気のルールを掛け合わせた、極めて刺激的で挑戦的な推理アドベンチャーです。

信じていた証拠が覆る絶望感、主人公とプレイヤーが一体となって精神を蝕まれていく没入感、息をもつかせぬスリリングな弁論バトル、そしてLive2Dで躍動する魅力的なキャラクターと美麗なアートワーク。そのどれもが高水準で融合し、プレイヤーを底なしの狂気の世界へと引きずり込みます。

正統派の推理に飽き足らないミステリーファンはもちろん、デスゲームを愛するプレイヤーにとって、本作は絶対にスルーしてはならない“劇薬”となるはずです!
13人の病能者が織りなす神の試練の果てに、一体どのような結末が待ち受けているのか? その病んだ世界の真実を自らの手で解き明かしてください!

常識を根底から覆す“認知異常×ミステリー”という発想が見事で、先が全く予測できない極上のサスペンスを体験できました。一癖も二癖もある病能者たちも強烈な存在感を放っており、ダークな世界観を鮮烈に彩っています。
ぶっ飛んだルールの中でロジックを再構築していく独特のゲーム性のため、古典的でリアリスティックな本格推理を求めるプレイヤーには好みが分かれる側面もあると思います。
ですが、現場の概念すら揺らぐ独自のトリック性は本作にしかない唯一無二の強み。従来のミステリーの枠に収まらない刺激的な体験を味わいたいなら、迷わず手に取ってほしい“新時代のミステリー”作品です。
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