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『ワイルドアームズ』今なお色褪せない荒野と口笛のRPG。魅力的なタイトル内容を紹介【周年連載】

ライターM
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 あの名作の発売日から5年、10年、20年……。そんな名作への感謝の気持ちを込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。


 今回お祝いするのは、SCE(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)より1996年12月20日に発売されたPlayStation用ソフトウェア『ワイルドアームズ』です。

 当時は『アークザラッド』、『ポポロクロイス物語』と並んで“SCEの三大RPG”として人気を博しました。

 2003年には、アレンジを加えたリメイク作品『ワイルドアームズ アルターコード:F』が発売に。2018年にはシリーズキャラクターが活躍するスマートフォン向けアプリ『ワイルドアームズ ミリオンメモリーズ』(2020年2月にサービス終了)が配信されるなど、多くのユーザーに愛されている名作です。

 タイトルの特徴や魅力については、アプリに合わせて展開した連載記事の中でもまとめられているので、ぜひご一読を。

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思わず引き込まれる濃いめの世界観

 目の肥えた若い方にとっては少々粗めのポリゴン画面が新鮮に映るかもしれませんが、当時はフルポリゴンというだけでも時代の最先端を行く作品というイメージが強かったかと思います。



 オープニングアニメ終了後に放置しておくと、王城での魔族による襲撃シーンがスタートし、前日譚が始まります。特に説明があったわけでもなかったので、「そんなのあったっけ?」と見逃していた人もいたようです

 物語は異世界・ファルガイアを舞台に、人々と魔族の闘いが描かれます。ストーリーは王道の冒険譚で、仲間との絆や主人公それぞれの心の成長、クライマックスの連続と二転三転する宿敵とのバトルなど、なにかと熱い展開が特徴でした。

 操作する主人公キャラは渡り鳥の少年ロディと早撃ちのザック、公女のセシリアという立場も生き方も異なる3人。誰から始めるかはプレイヤーの自由で、パーティー合流後は操作キャラを切り替えながら、さまざまな謎解きに挑む楽しみがありました。

 のどかな村から始まるロディの物語は、序盤から心をえぐられる展開を突きつけられます。

 ザック&ハンペンのコンビは、トラップに追い回されてのスタートがコミカルで斬新です。

 アーデルハイド公国の公女のセシリアは、修道院で寄宿生活を行っていました。ガーディアンと交信したことから、“ガーディアンの巫女”として魔族と戦っていくことに。

 過去の作品とはいえ細かなネタバレは避けますが、冒頭に登場した女騎士の運命やザックの意外な過去、ロディに秘められた謎など、物語の濃さとスケールの大きさは当時のプレイヤーを魅了しました。

 ちなみにゲーム終盤にはカ・ディンギルやマルドゥークといった古代バビロニア由来の名称もたびたび登場します。今でこそアニメ作品を彷彿とさせるキーワードとなっていますが、開発スタッフを考えればさもありなんといったところでしょうか(後述)。

RPGとしての魅力を凝縮

 システム面では奇をてらうことなく、最後までストレスなく楽しめるバランスだったことも好評を博した理由の1つです。

 “物語るシーン”が多いのに、テンポいい展開やメリハリの効いたボス戦、ヒントがそれなりに用意されている謎解きなど、RPGには欠かせない要素がひと通り詰め込まれていました。

 “グッズ”と呼ばれるキャラ固有のアクションを使った謎解き。勘がいい人はヒントを見つけるよりも先に解いてしまうことも……。

 魔法は自由に選んで修得できるなどと独特で、クレストグラフ(魔法札)の取りこぼしはないかや、どの魔法を優先するかなどで、会話が盛り上がったものです。

 もっとも、すべてがフレンドリーなゲームになっているのかというとそんなこともなく、容赦なく即死攻撃を放ってくる初見殺しのボスも存在しました。

 他にも、幸運値に影響する重要アイテム“ちいさな花”が序盤の何気ないNPCしか売っていなかったり(機を逃すと入手困難)、やたらと手強い隠しボスが何体も用意されていたりと、攻略情報抜きで遊ぶと見落としやすい要素が盛りだくさん。寄り道せずに遊んでもなかなかのボリュームを誇っていたので、クリア時の満足感もひとしおでした。

 ちょっとしたミニゲームも用意されていて、当時のゲーム雑誌ではタイムアタックなども実施されていました。

開発スタッフについても一言!

 本作を語るうえで欠かせないのが、金子彰史さんとなるけみちこさん、麻生かほ里さんという開発スタッフの3人。

 シリーズのデザイン&総合プロデュースを手がけた金子さんといえば、人気アニメ『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズのクリエイターとしても有名ですよね。

 また、PCエンジン時代からゲーム音楽に携わられてきた音楽家のなるけみちこさんは、『ワイルドアームズ』シリーズを筆頭に『大乱闘スマッシュブラザーズ』など数々のタイトルに楽曲を提供されています。口笛から始まるオープニングをはじめ、流れ者の放浪感を肌で感じさせるフィールド曲、西部劇風味のダンジョン探索の曲、王道ヒーローモノといった体のバトル曲など、いずれも耳に残る名曲ばかり。

 また、透き通るような歌声を持つ歌手の麻生かほ里さんも『ワイルドアームズ』シリーズには欠かせません。1作目では携わっていませんが、2作目~4作目やアニメの曲を担当されています。中でも、2作目に収録されたボーカル曲『どんなときでも、ひとりじゃない』を耳にすると思わず涙目になる人もいるのでは?

 この記事を読んで懐かしくなったそこのアナタ。ゲームアーカイブス版はPlayStation 3およびPlayStation Vita経由でPS Storeから入手可能です。

 サントラアルバムやボーカルアルバムは今でもわりと手に入るので、こちらで当時の思い出に浸ってみるのも一興です。

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